牝馬限定の重賞マーメイドSは少頭数ながら、面白いメンバーが揃って混戦模様。上位人気に支持されるのはGⅢ中山牝馬Sを制したトーセンビクトリーとGⅢ愛知杯を制したマキシマムドパリの重賞馬2頭。ハンデ戦のレースだけに、力量馬がそのまま好走を果たすことができるのでしょうか?
今回の記事では、各馬の阪神内回り2000mのコース適性と展開をもとにマーメイドSを予想していきます。
マーメイドSのポイント
今年のマーメイドSを予想する上でのポイントは3つ。
1. 阪神内回り芝2000mのコース適性
阪神芝2000mは内回りコースを使用します。内回りは外回りに較べて直線が短くなるだけではなく、コーナーがきつくなるためにスピードを落とすことなくカーブを曲がる器用さが求められます。
内回りは脚の回転が速いピッチ走法に向くコースで、全身を伸ばしてストライドで走る馬はいくらか割引が必要です。
2. ペース・展開
マーメイドSは逃げ馬(人気に関わらず)が粘り込んだり、後方から捲り追い込む馬が届いたりとペースや展開によってガラッとレースの質が変わります。内回りコースは短い直線が騎手心理に作用し、どうしても中団〜後方にいる馬が3〜4角で押し上げていくことが多く、これによってペースが乱されることもあるのです。
3. 馬場状態
先週から開幕した阪神競馬場は、エアレーション作業を行っていないため路盤が硬く速いタイムの出る高速馬場になっています。マーメイドSも2分を切るタイムになることが考えられるので、速いタイムに対応できるかどうかが好走するためのポイントに。
上位人気馬について解説
それでは、上位人気馬について1〜3のポイントをもとに解説します。
トーセンビクトリー 5歳牝馬
母トゥザヴィクトリーはトゥザワールド=トゥザグローリーと重賞馬を出した名繁殖牝馬。トーセンビクトリーも兄と同じく中山牝馬Sで初重賞制覇を果たしました。
コース適性
トゥザグローリー=トゥザワールド=トーセンビクトリーの全兄妹は、内回り・小回り向きの器用さのある血統。
トーセンビクトリーも内回り>外回り向きのピッチ走法で、阪神内回り2000mを完勝した兄トゥザグローリーを見てもこの舞台はずんどばです。
ペース・展開
初重賞制覇となった中山牝馬Sは、牝馬限定の重賞らしくペースが緩んだ1戦になりました。インのポケットで先行したトーセンビクトリーは直線に向くとピッチで鮮やかに抜け出し、マジックタイムの猛追をしのいでの勝利。
ピッチ走法の馬は、脚の回転の速さ=俊敏な加速で勝負するため、ペースはスローで流れるのがベターです。
馬場状態
父キングカメハメハ×母トゥザヴィクトリー(母父:サンデーサイレンス)という、現代の日本競馬を代表する血統で高速決着はOK。
マキシマムドパリ 5歳牝馬
3歳時には秋華賞3着とGⅠでも素質の高さを見せる走り。その後は好走すれど勝ち上がれずの競馬が続きましたが、今年の初めにGⅢ愛知杯を制してオープン入りを果たしました。
コース適性
父キングカメハメハ×母父サンデーサイレンスという配合はトーセンビクトリーと全く同じです。この馬も器用さがあるタイプで内回りはOK。トーセンビクトリーよりもストライドが伸びるので、外回りコースでも好走できるのが特徴。
「このコースが適性としてずんどば!」というよりは、どのコース・距離でも力を発揮できます。その反面、どこで走っても勝ち切れないレースになってしまうのが玉に瑕なところ。
ペース・展開
ペースや展開も不問。上りの勝負になっても33秒台の脚を使え、愛知杯のような4Fからの持続力勝負になってもOKなタイプです。
馬場状態
トーセンビクトリーと同様に高速決着は苦にしません。速い上がりを使えるので、パンパンの馬場にも対応可能です。
クインズミラーグロ 5歳牝馬
昨年末に1600万下条件を勝ち上がると、その後は愛知杯→中山牝馬→福島牝馬と重賞を走り、いずれも3着に好走しています。着実に地力をアップさせてここへ参戦してきました。
コース適性
こちらもコーナーでスピードアップできる器用さをもつピッチ走法。3〜4角で前に取り付く脚に見所がある馬です。
1600万下を勝った時が阪神内回り2000mだったようにこのコースも得意としています。
ペース・展開
上りが速すぎると対応できないので、ややスローからイーブンペースが理想。ただし、この馬もピッチ走法なので、道中緩みがない持続戦にのなると持ち味を発揮できません。
馬場状態
上りが33秒台になるようなスローの高速決着はキレ負けの恐れがあります。レース全体として2分を切る時計には対応できますが、上りは34秒台よりかかった方がベター。
レースの展開
逃げて好結果を出しているプリメラアスールがここはハナを主張する展開に。枠の並びとして、インに潜り込みたいクインズミラーグロとトーセンビクトリーが隣同士のため、どちらがプリメラアスールの直後を取るのかは微妙なところ。トーセンビクトリーの武豊騎手は内に潜り込めないと分かれば、ハナを主張することも考えられますが……ただ、ここはプリメラアスールが押して押して逃げる手に出るので、無用な争いはありません。
プリメラアスールは1000mの通過が60秒を切るペースの逃げを打つと予想され、ペースはイーブン。これだとピッチ走法の馬たちには少し厳しい流れになります。
◎アースライズ 5歳牝馬
父:マンハッタンカフェ
母:ライジングクロス(母父:ケープクロス)
厩舎:矢作芳人(栗東)
オークス4着、秋華賞5着と持続戦の流れになれば持ち前のスタミナとパワーできっちりと好走するのがアースライズの最大の特徴。
母のライジングクロスが英愛オークスを2着、3着と好走し、良質なスタミナを産駒に伝えます。アースライズも2000m以上のレースで平均的な流れになれば凡走はしないタイプです。
前走の1000万下は長期休養明け+1600mの距離と条件としては厳しいレースでしたが、好位から楽に抜け出して快勝し力の違いを見せつけました。
ここはプリメラアスールがイーブンペースで逃げることが予想され、阪神内回りコースも加味すると持続戦になる公算が大。2000m以上のレースで持続戦になるのであれば、この馬の持ち味が最大限に活かせるレースになります。斤量の54kg+内枠も有利ですここは中心視。
◯プリメラアスール 5歳牝馬
週中の記事にも書いたように、ここはこの馬が逃げてレースの流れを作ります。
プリメラアスールは51kgの軽量を利してマーメイドSを逃げ粘れるのか? - ずんどば競馬
1000万下1着→1600万下2着はこの阪神内回り2000mでのもの。コース適性はずんどばで、上りのかかる流れに持ち込むことができれば好走する可能性も十分にあります。
後続に脚を使わせるような逃げを打てるかどうかが重要で、逃げたとしてもスローの上り勝負になるようだと凡走の可能性も。
今年のマーメイドSの有力馬はピッチ走法の馬が多いので、後続に脚を使わせる逃げがドンピャでハマる可能性が高くこの印に。
△マキシマムドパリ 5歳牝馬
コース・ペースが不問の中距離馬。OPの大阪城Sを13着と大敗し、そこからリフレッシュしてここへ臨みます。休み明けは苦にしませんし、前走の精神的・身体的なダメージが残っていなければここでも好走する力は十分に持っている馬。
岩田騎手から藤岡佑騎手への乗り替わりが不安要素の1つです。
△ハツガツオ 6歳牝馬
マーメイドSは人気薄軽量馬の差し追い込みをケアしないといけませんから、2着候補としてもこの馬を。
逃げ・先行で結果を出していましたが、昨年はパワーとスタミナを利しての差し込みもできるようになりました。
持続戦の流れを無欲で乗れば2、3着の目もあるのでこの印に。人気薄の中ではもっとも期待をしたい1頭です。
以下は3着候補として
▽バンゴール
荻野極騎手の軽量馬で、イン差しができれば3着も。
▽ローズウィスパー
こちらも軽量馬で、差し込みに期待。
▽キンショーユキヒメ
パワー型の差し馬で阪神内回りもOK
人気馬の3頭は……
トーセンビクトリーとクイーンズミラーグロはピッチ走法の馬なので、持続戦になると脆さを出すと考えて無印に。
ビッシュは持続戦を捲るのがベストですが、牝馬戦に乗る福永騎手は早めの捲りを打つことが少ないので……。
買い目
◎◯を1着に固定した3連単と◎からの馬単を。
3連単
1着:1. 3
2着:1. 3. 10. 9
3着:1. 3. 10. 9. 2. 8. 6
馬単
◎→◯▲△へ
まとめ
牝馬同士の白熱した戦いに注目したいマーメイドS。今年はスローではなく持続戦になるはずで、アースライズに期待します。
皆様にとっても素晴らしいレースになりますように。
以上、お読みいただきありがとうございました。