マイルCS(2017年)は重馬場で2011年のようなレースになれば、ダノンメジャーにチャンスも!ーー予想

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11月19日(日)、淀の1600mを舞台に行われるマイルCS(GⅠ)は、エアスピネル、イスラボニータ、サトノアラジン、レッドファルクスなどが「秋のマイル王」の座をかけて争います。

マイルCSの行われる京都の外回りコースは、3〜4コーナーの下り坂からスピードを上げ、その惰性で直線をバキューンと弾ける馬に有利なレイアウト。ディープインパクト産駒がこのレースと好相性なのも、しなやかなストライドで坂を下ることができるからです。

 

現在の京都の芝はややタフなコンディション

トーセンラー、ダノンシャーク、フィエロなど瞬発力に長けたディープインパクト産駒が活躍したマイルCSですが、今年は例年と様相が異なります。それは、現在の京都の芝が、10月半ばから後半にかけて降り続いた雨の影響によって、ややタフな馬場コンディションになっているためです。

参照記事

京都の馬場については以下の記事に詳しく書いたので、よければご覧下さい。

マイルCS(2017年)で重馬場適性のある馬を買うときに、注意をしなければいけないことは? - ずんどば競馬

 

マイルCSのポイント

上記のことを踏まえた上で、今年のマイルCSのポイントを整理してみましょう。予想の上で大切な点は以下の3つです。

マイルCSのポイント

1. 上位人気馬の不安点

2. マルターズアポジーの逃げ

3. 馬場への適性

1〜3についてそれぞれ解説します。

 

1. 上位人気の不安点

エアスピネル、イスラボニータ、サトノアラジン、レッドファルクスはそれぞれ不安な点を抱えているのは事実です。

モーリスがマイル路線を去ってから、昨年のマイルCSと今年の安田記念は1〜3着がガラリと入れ替わっているように、「1600mならこの馬!」という中心馬は不在。

今年のマイルCSの単勝1人気馬のオッズが4〜5倍を示しているのも、どこかに不安を抱えた馬たちが集まったレースであることを示しています。

参照記事

上位人気の馬については、以下の記事に詳しく書いていますので、そちらをご覧下さい。

マイルCS(2017年)の上位人気5頭についての解説ーーR・ムーア騎手に◎のレース - ずんどば競馬

 

もっとも注目を集めるのはエアスピネルの乗り替わり

そして、この混戦を煽るように、1人気が想定されるエアスピネルの鞍上は急遽の乗り替わりとなりました。アイドリームドアドリーム牝系出身の馬を知り尽くしている武豊騎手が乗れないことから、ムーア騎手への「不安」が高まっているのです。

「誰から誰へと乗り替わる」などにかかわらず、GⅠでのテン乗りはマイナス。理由はGⅠを取るための「準備」が不十分だから。エアスピネルが勝つか負けるかはわかりませんが、少なくとも万全の準備ができていないことは確かです。

参照記事

ムーア騎手への乗り替わりについては、以下の記事に詳しく書きましたので、そちらをご覧下さい。

あの頃のマイラーは痺れる手応えでマイルCSの4コーナーを回っていたーーR・ムーア騎手は馬にハミを噛ませて走らせる - ずんどば競馬

 

2. マルターズアポジーの逃げ

ロケットスタートを切れること、そして、競りかけに行った馬が潰されてしまうことから、どのような逃げも打てるマルターズアポジーは、今年のマイルCSのカギを握る馬。

 

マルターズアポジーのアレヨアレヨも……

逃げと先行の隊列はスタートしてすぐに決まるメンバーで、ポイントは3コーナーまでに上位人気のエアスピネルとイスラボニータがどのポジションに付けられるのかになります。もし、この2頭が中団より後ろで折り合いに専念するようだと、今の京都の馬場ではマルターズアポジーの勝てる展開にはめられてしまう可能性が大。

2番手を離す逃げになると、イスラもエアも積極的に前を捕まえに行くのかは「?」が付きます。時計のかかる馬場だと、外からバキューンと差すのも難しく、前半のポジション取りと道中でロスなく走れた馬がスルッと好走してしまうことも。さらにはマルターズのアレヨアレヨも……。

 

先行勢も仕掛けの意識は薄い

ウインガニオン、ダノンメジャー、ヤングマンパワー、ムーンクレストなどの先行勢が4コーナーから直線入口でマルターズアポジーを競り落とすような仕掛けになるとは考えにくく、そうするとアレヨアレヨの逃げ切りのシーンも……。

もう1つの心配は馬場の内と外の傷みはほぼイーブンなので、先行馬はコースロスを防ぐためできるかぎり内目を通ろうとします。4コーナーで苦しくなった先行馬がバテ始めたときに、インコースが渋滞することが考えられ、差し馬はコースロスを覚悟して外を回さなければなりません。

コースロスを少なくするために、差し馬の仕掛けが直線に入るまで待たされるなら、サトノアラジンやレッドファルクスは苦しく、インを突く差し馬も進路があるかどうか……そうすると本当にマルターズアポジーの逃げきりも!

 

3. 馬場への適性

以前の記事にも書きましたが、京都の外回りコースを好走する馬たちは、重馬場適性に不安があります。反対に重馬場の巧い馬は下り坂をロスなく走れる馬が少ないのです。

今の京都はやや時計のかかるタフな馬場になっており、マイルCSは1分33秒台の可能性が大。過去10年で33秒台の決着は2度あって、2011年エイシンアポロン、2016年ミッキーアイルともに先行勢での決着。

時計がかかると、外からバキューンが利かないので、内枠+前目に付けた馬にチャンスが出てくるのです。今年はどのような決着になるのか……。

 

予想

まず、1人気のエアスピネルについて。アイドリームドアドリーム牝系出身の馬は、エアデジャヴーもシャカールもメサイアもシェイディもソミュールもピッチで走り、コーナーを俊敏に回れるのが最大の武器です。そのため、どの馬も直線の長いコースより小回り・内回りに向いています。

エアスピネルは中山1800mがベストの馬。直線の長いコースは不向きで、マイルだとトップスピードが少しだけ足りません。だから、不良馬場だった富士Sは、この馬にとって弱点を補える要素が全て揃っていました。

そのため、この馬場でR・ムーア騎手が前目に付けることさえできればチャンスはあります。ネット上では「エアスピネルにR・ムーアは合わないのでは?」などと言われますが、どうなんですかね。

参照記事

この馬については詳しい展望記事を書いているので、よければご覧下さい。

I Dreamed a Dream エアスピネルの「夢」はどこにあるのか?ーーマイルCS(2017年)展望 - ずんどば競馬

 

エアスピネルではなくR・ムーア騎手に◎を打ちたいレース

R・ムーア騎手はプロフェッショナルです。たとえこのレースをエアスピネルで勝ったとしても、「武豊騎手で良かったのに」と言われますし、負けたとしたも「武豊騎手なら」と言われてしまいます。

どちらにしても「ムーア、スゲー!」にはならないので、騎乗依頼を受けたことに対して賞賛をしたいところです。ファンとしてはエアスピネルではなく、R・ムーアに◎を打ちたいレース。でも、ムーアを買うということはエアスピネルを買うということなので……。

そのため、今回は予想で印をつけずに、買い目だけを記載します。

 

展開

考えられる展開は2つだけです。1つはマルターズアポジーがすんなりとハナを取り、隊列がパッと決まったとき。その展開なら、2011年エイシンアポロンが勝ったマイルCSのようなレースになり、イン+内枠の先行馬が有利で、ダノンメジャーにチャンスが生まれます。

もう1つは揉まれ弱いヤングマンパワーが外目の2番手を取るために、スタートから出して行ったときで、マルターズアポジーが3コーナーまでにペースを落とせない展開が考えられます。そのときは差し追い込み決着に。

やや時計がかかる芝なので、スローペースになる可能性は高いと言えます。ダノンメジャーには2011年2着フィフスペトルのような走りを期待しましょう。この時もシルポートの「逃げイチ」でしたね。

 

youtu.be

引用元:jraofficial - YouTube

 

ダノンメジャー 5歳牡馬

父:ダイワメジャー

母:ヴィヤダーナ(母父:Azamour)

厩舎:橋口慎介(栗東)

生産:ノーザンファーム

ラジオN杯京都2歳S2着の後は、なかなか重賞で好走できていない馬。ただ、前走のスワンSは久しぶりに見応えのあるレースを観せており、距離がマイルに延びるのもプラスでしょう。

ダノンメジャーがGⅠで通用するのかは走ってみないとわかりません。ただ、イスラボニータもエアスピネルもサトノアラジンも「展開」や「馬場」や「相手」を問わないマイルのチャンピオンではないので、100倍を超える単勝オッズの馬の好走に期待してもOKのレース。

この枠なら、マルターズアポジーとヤングマンパワーを先に行かせて、好位のイン3番手が取れる組み合わせ。1分33秒台の決着なら、フィフスペトルのように抜け出せるはずです。1800mベストのこの馬にとって、やや時計のかかる馬場は追走で脚を使わない分だけ歓迎。ここは上位人気馬にひと泡ふかせるチャンスの到来です。

 

ダノンメジャーの相手は?

ダノンメジャーの相手として、1〜5枠までの馬はケアします。ただ、この馬よりも人気の薄いブラックムーンは除外。ヤングマンパワーとアメリカズカップはともに揉まれ弱く、前者は本質的に京都向きではないこと、後者は馬場がそこまで悪化しないことから、あくまで抑えに。

いろいろと書いたものの、そもそもダノンメジャーは16人気なので、1〜15人気までの馬連を買っても15点。それでもオッズとしては十分な魅力がありますね。

 

買い目

ダノンメジャーから1〜15人気の馬を相手に馬連を買います。

3連複は内枠の中から2軸目の相手を取ります。GⅠに向けての準備ができているのは、早くからC・デムーロ騎手を配したレッドファルクス

3軸目は京都適性などを考慮して絞ります。候補はサングレーザー、サトノアラジン、マルターズアポジー、レーヌミノル、クルーガー、ガリバルディ、ペルシアンナイトの7頭。

 

まとめ

マルターズアポジーがこれほどに人気を背負うとなると、ペースが流れ→内が渋滞→外差しズブズブの可能性もなきにしもあらず……。

そのときはガリバルディから人気5頭への3連複ボックスで当たりそうですが。とにかく、展開でガラリと変わるレースだけに、スタートが切られてからゴールまで目を離すことができませんね。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。