11月18日(日)、淀の1600mを舞台に行われるマイルCSはモズアスコット、アエロリット、ペルシアンナイト、アルアインなどのGⅠ馬が揃い、「秋のマイル王」の座をかけて争います。
マイルCSの行われる京都の外回りコースは、3〜4コーナーの下り坂からスピードを上げ、その惰性で直線をバキューンと弾ける馬に有利なレイアウト。ディープインパクト産駒がこのレースと好相性なのも、しなやかなストライドで坂を下ることができるからです。
マイルCSに出走するディープインパクト産駒は?
今年のマイルCSは以下6頭のディープインパクト産駒が出走します。
アルアイン
ジュールポレール
ミッキーグローリー
レッドアヴァンセ
カツジ
ケイアイノーテック
(内枠から降順)
皐月賞馬のアルアインは高速馬場に強いものの、ビュンとキレるというよりもバキューンと長く脚を使うタイプです。ミッキーグローリーとカツジは全兄弟で、小回り向きの器用さがあるので、しなやかにキレるディープ産駒ではありません。
ジュールポレールは兄サダムパテックがマイルCSを制しているように、このコースに大きな不安はナシ。ただ、母系がパワーに溢れているので、京都コースだとやや時計のかかる決着がベストでしょう。
名繁殖牝馬エリモピクシーの仔レッドアヴァンセはしなやかなストライドで走る馬。直線の長いコースがベストで、京都の下り坂もOKです。ケイアイノーテックは体質が柔らかく、こちらも京都の下り坂を得意とするタイプでしょう。
現在の京都はタフな馬場
しなやかなディープインパクト産駒は時計の速い決着でパフォーマンスが上がります。ただ、現在の京都の馬場はややタフな馬場コンディション。Cコース替わりにもかかわらず、各騎手が直線の内目を避ける進路を通っていたことから、外差し馬場なのでしょう。
土曜日のメインレースとして行われたアンドロメダS3着のアメリカズカップは道悪を得意とする馬。上り3Fの時計がかかったときに好走するタイプが上位に入線しており、京都の芝は見た目以上にタフなことがわかります。
マイルCSの想定タイムは?
土曜日の芝を見るかぎり、マイルCSの勝ちタイムは1分33秒0前後になる可能性が高く、「昨年よりもやや速い時計の決着になるのか?」というラインです。前半から締まったペースにならないと、32秒台は難しいかもしれませんね。
▼想定する勝ちタイムと前後半800m
勝ちタイム:1分33秒0
前後半800m:46.5 - 46.5
タフな馬場だからか、土曜日の芝レースはほとんどがスローペースでした。下り坂で動く意識も低くなっており、これが外国人騎手の揃う日曜日にどう変わるのかは注目です。
現時点ではマイルCSの前後半800mを46.5 - 46.5と想定します。ピュアな逃げ馬が不在とあって、前半からペースを引き上げる馬も見当たりませんし、今の馬場だと前半800mが45秒台になることはまずないでしょう。
マイルGⅠは前後半800mのラップが重要
マイルCSや安田記念などのマイルGⅠは前半800mのタイムによって好走するタイプが異なります。詳しくは週中に記事に書いているので、よければ以下をご覧下さい。
ここでは簡単に、前半800mのタイムによってどのようなタイプの馬が好走するのかを簡単に触れておきましょう。
前半800mが45秒台になると
ここ2年の安田記念のように高速馬場で行われるマイルGⅠは、前半800mの通過が45秒台と速くなります。前半のペースが速くなると、1800〜2000mに適性のある中距離馬よりも、1400〜1600mベストのマイラーが有利です。
中距離馬がマイルの速いペースだと追走に脚を使ってしまうため、直線で思うような伸び脚を発揮できません。前半800mが45.5と速いタイムになった昨年と今年の安田記念は、1400mベストのサトノアラジンとモズアスコットが1着となっています。
前半800mが46秒台になると
前半800mが46.7と遅くなった昨年のマイルCSは、1〜3着まで1800mベストのタイプが上位を独占しました。
・2017年のマイルCS
勝ちタイム:1分33秒8
前後半800m:46.7 - 47.1
1着:ペルシアンナイト
2着:エアスピネル
3着:サングレーザー
ペルシアンナイトは2000mのGⅠ・皐月賞と大阪杯を2着、サングレーザーは今年の天皇賞・秋を2着していることからも、ピュアマイラーではありません。エアスピネルは個人的に「中山芝1800mがベストコース」と言い続けている馬です。う〜ん、今の京都の馬場だと1800mベストの馬に有利になっていますね。
予想
今年のマイルCSは逃げ馬が不在。さらに、アエロリット、アルアイン、ロジクライ、レッドアヴァンセのノーザンファーム生産馬の4頭が先行脚質とあって、どのようなペースになるのかがまったく読めません。
R・ムーア騎手を手配したアエロリットが逃げることは「99%」ありませんから、先手を奪うとしたらアルアインかレッドアヴァンセのどちらかになります。
逃げるのはどの馬か?
アルアイン+川田騎手とレッドアヴァンセ+北村友騎手のコンビを較べると、逃げの手に出そうなのは前者でしょうか。今年の天皇賞・秋は川田騎手のキセキが北村友騎手のアルアインを制して逃げたことからも、同じようなシーンが……。
ただ、GⅠタイトルのないレッドアヴァンセはここだと挑戦者の立場ですから、人気を考えるとコチラの逃げも十分にありえます。外枠からポンと好スタートを切るようだとスッと先手を取りきってしまうかもしれません。
ノーザンファーム生産馬のチームプレイ
先に上げた先行脚質の4頭はノーザンファーム生産馬ですから、ムリなハナ争いは「100%」しないでしょう。アエロリットが2・3番手を取るためには、この枠の並びだとレッドアヴァンセの逃げがベスト。
レッドアヴァンセは揉まれ弱い馬で、「逃げ or 外目の2番手」がベストのタイプです。この馬がスタートから出して行くなら、チーム・ノーザンファームの先行馬はすんなりとハナを譲るでしょう。ここは北村友騎手の逃げに期待します。
レッドアヴァンセの2・3着付け
レッドアヴァンセの母エリモピクシーは重賞勝ち馬を多く出しているものの、GⅠを制した産駒は「0」です。この血統はGⅠにあと1歩届いていないだけに、馬券を買うなら「2・3着付け」がベストと言えます。
レッドアヴァンセの血統や走りについては、以下の記事に詳しく解説しているので、よければご覧下さい。
今年のマイルCSはエリモピクシーの血を信じて、この馬の3連単3着付けと馬単2着付けを買います!
1着候補は?
1着候補は「外国人騎手+川田騎手」だと、さすがに思考停止し過ぎているので、もう少し絞りましょうか。
モズアスコットは馬場が?
Frankel産駒のモズアスコットは日本の高速芝に適したしなやかさをもつ1400mベストのマイラーです。安田記念を1分31秒3で走破していること、高速決着に強いStorm Catの血(✳︎)が母系に入ることから、この馬にとって今の京都の馬場はかなり割引となります。
✳︎1分31秒5のタイムで安田記念を制したサトノアラジンは母父Storm Cat
しなやかなマイラーなので京都の外回りコースはベストも、1分33秒台の決着だと伸び切れるのか……。昨年のマイルCSで3人気に支持されながらも8着に敗れたレッドファルクスと似たような結果になることも十分です。
アエロリットは1着になれるのか?
アエロリットは古馬になってから1600mベストのマイラーにシフトチェンジしており、今なら高速馬場がベスト。ただ、パワフルなタイプなので時計のかかる馬場そのものは苦にしませんし、ヴィクトリアマイルのような1秒以上の後傾ラップにならなければ力を発揮できます。
R・ムーア騎手を手配したことからここに向けての準備も万端です。アエロリットは多くの不安点が囁かれているものの、ノーザンファーム天栄の調整力があれば心配ありません。だって、関東馬がラジオNIKKEI賞依頼のローテーションでも菊花賞を勝てるのですから。
その他のノーザンファーム生産馬について
アエロリットとモズアスコットを除くと、外国人+川田騎手の乗る馬は以下の3頭。
ステルヴィオ+W・ビュイック騎手
ペルシアンナイト+M・デムーロ騎手
アルアイン+川田将雅騎手
ロジクライ+C・デムーロ騎手
ステルヴィオとペルシアンナイトは1800mベストのタイプなので、今の馬場は合っています。ただ、内がそれほど伸びないコンディションですし、差し・追い込み馬の最内枠というのはマイナスですね。
ロジクライはピュアマイラーですが、アエロリットと同じくパワフルなタイプ。今の京都の馬場は苦にしません。C・デムーロ騎手は来日してからイマイチ乗り切れていないので、どうでしょうか?
アルアインは1800mベストの中距離馬なので、マイルなら時計のかかるレースがベターです。アエロリットと同じくビュンとキレないタイプですから、仕掛けどころが難しくなるでしょう。先週の落馬負傷から復帰した川田騎手はイマイチ乗り切れていないので、いくらか不安があります。
ディープインパクト産駒をピック
アエロリットを除くとノーザンファーム生産馬がビシッと1着になるイメージがわかず……困ってしまってワンワンワワンですね。
であれば、外差しのできるディープインパクト産駒を1頭ピックします。候補は以下の2頭のどちらか。
ジュールポレール
ケイアイノーテック
ジュールポレールは主戦の幸騎手が負傷のため、石川騎手に乗り替わり。ヴィクトリアマイルの結果からもレッドアヴァンセが2・3着のときに好走しそうなものの、関西のGⅠで関東騎手への乗り替わりは買いにくい……。とは言え、馬場がタフになったので、この馬にとってベストの条件が揃いました。
3歳馬のケイアイノーテックは毎日王冠の内容がマズマズ。藤岡佑騎手としても気負わずに乗れる人気ですし、大外枠というのもそれほどマイナスではありません。枠の並びからはステルヴィオよりもこちらを上に取りたいですね。
買い目
3連単はアエロリットとケイアイノーテックを1着に固定し、2着はステルヴィオ、ペルシアンナイト、アルアイン、ロジクライ、ジュールポレールの5頭+1着の2頭、3着はもちろんレッドアヴァンセをマーク。
レッドアヴァンセ2着付けの馬単は上記の7頭を1着にマークします。
3連単
1着:15. 18
2着:15. 18. 1. 2. 3. 6. 7
3着:13
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馬単
1着:15. 18. 1. 2. 3. 6. 7
2着:13
合計19点。このメンバーとレースのペースを考えると、レッドアヴァンセの2着も十分に考えられますね。
まとめ
レッドアヴァンセが秋初戦となった富士Sを3着と好走したときから、「今年のマイルCSはこの馬から!」と決めていました。今の京都の馬場もそれほど苦にはしませんし、揉まれずにスムーズな競馬さえできればチャンスも十分です。
レッドアヴァンセ+北村友騎手にすべてを託して、明日のマイルCSのスタートを待ちます。
以上、お読みいただきありがとうございました。