マイルCS(GⅠ・京都芝1600m)の行われる京都芝は、10月半ばから後半まで続いた雨の影響を受け、やや時計のかかるタフなコンディション。
18日(土)の京都の天気は「雨のち曇り」の予報が出ており、日曜日に行われるマイルCSの馬場状態が心配されます。
今回の記事ではマイルCSに出走する馬のなかから、重馬場+ややタフな馬場に適性のある馬をピックアップし、確定した枠順をもとに解説します。
その前に、現在の京都の芝の状態についておさらいしておきましょう。
エリザベス女王杯の当日はインコース+前目のポジションが有利
エリザベス女王杯は好位のインから直線で抜け出したモズカッチャンが1着、逃げ馬の直後につけて直線入口で先頭に立ったクロコスミアが2着になったように、インコース+前目のポジションにつけた馬がワンツーを決めました。
このレースだけではなく、この日の京都芝は全体的に「イン+前目」が有利で、やや時計のかかるコンディション。外がまったく伸びないわけではないものの、内を走る逃げ先行馬が止まらない馬場だったと言えるでしょう。
土曜日に雨が降ると?
土曜日に雨が降ると芝の含水率が上がり、先週と同じかさらに時計のかかるコンディションになることが考えられます。少なくとも時計の速い馬場は見込めません。
雨量によっては、先週の「イン+前目」有利の状態が続かない可能性もあり、どのコースが伸びるのかなど、マイルCSの前に行われる芝のレースをしっかりとチェックしておきましょう。
重馬場+ややタフな馬場に適性のある馬をピックアップ
10月の半ばから雨が降り続いたこともあって、マイルCSへの2つのステップレースはともに道悪でのレースとなりました。まずは、その2レースをふり返ります。
富士S(GⅢ・東京芝1600)について
馬場:不良
1着:エアスピネル
2着:イスラボニータ
3着:クルーガー
5着:ペルシアンナイト
(マイルCSへ出走する掲示板内の馬)
1着のエアスピネルは、母エアメサイアよりも祖母エアデジャヴーのノーザンテーストらしい体型と体質を受け継いだピッチ走法の馬なので、重馬場は得意。また、マイル戦だとどうしてもトップスピードが足りないので、時計のかかる馬場になったのも好走の後押しとなりました。
2着のイスラボニータはしなやかなストライドで走るので、本質的に重馬場は不向きです。今年の富士Sは、この馬の格とパワーで好走できるレベルの道悪だったと言えるでしょう。上り3Fが35秒台後半よりかかる重馬場だとパフォーマンスは下がる馬です。
3着のクルーガーは父キングカメハメハ×母父ディクタットという掛け合わせに加え、Nasrullahなどの柔らかい血を引かないので、時計のかかる馬場は得意。このレースでは外枠+馬場の良いところをスムーズに走れたのも大きく、マイル戦で時計がかかるなら凡走の少ないタイプです。
5着のペルシアンナイトは重厚なストライドで走るため、時計のかかる馬場はOKですが、雨で滑るような芝は得意ではありません。シンザン記念で重馬場はこなしており、時計のかかるコンディションになっても、それほどマイナス要素にはならないでしょう。
スワンS(GⅡ・京都芝1400m)
馬場:重
1着:サングレーザー
5着:ダノンメジャー
1着のサングレーザーは父ディープインパクト×母父Deputy Ministerという配合。母父に入るDeputy MinisterはNorthern Dancer系の中でもパワーを誇る系統ですから、やや時計のかかる馬場でもOK。ただ、しなやかな血を伝えるSir Gaylordのクロスになることから、本質的には重馬場は合いません。
5着のダノンメジャーは、ノーザンテースト=Night Shiftのクロス(✳︎)らしい小回り向きのピッチで走るので、重馬場はそれほど苦にしないタイプ。母系にはかなりタフな馬場になっても耐えられる血が多く入っています。
その他に重馬場適性のある馬は?
上記の6頭以外に重馬場に適性のある馬をピックアップすると以下の通りです。
ブラックムーン
アメリカズカップ
ヤングマンパワー
レッドファルクス
マルターズアポジー
グランシルク
このなかで、重馬場が「鬼」なのは、ブラックムーンとアメリカズカップの2頭。前者はパワーを伝えるTom Rolfe(Ribot直仔)5×4のクロス、後者はTom Rolfe6×5に加え、Ribot7×6・6のクロスをもち、いずれも前脚が地面をつかんでから後ろに蹴るパワーが素晴らしく、芝が悪くなればチャンスは広がるでしょう。
ヤングマンパワーとレッドファルクス、マルターズアポジー、グランシルクはタフな馬場でもOKですが、雨が降って滑るようなコンディションだと心配が残ります。レッドファルクスは道悪になった高松宮記念3着などは、インでノメっていましたから……。
重馬場が合っていない馬は?
もう有名な話ですが、サトノアラジンは重馬場が苦手です。また、良馬場発表でも雨で滑るようなコンディションもダメなタイプ。現在のややタフな馬場は割引材料です。
また、3枠と内の枠に入ったことから、この馬の最大のもち味であるストライドを活かすために、いかにスムーズに外へ出せるのかもポイントです。
確定した枠順は?
エアスピネルとイスラボニータはともに6枠に入り、枠の並びとしては悪くありません。上位人気の中では、ペルシアンナイトが大外の8枠に入り、これは皐月賞と同じように鞍上のM・デムーロ騎手がインからポジションを押し上げるレースになるのでしょうね。
問題はストライドを伸ばしたいサトノアラジンとレッドファルクスが内枠に入ってしまったことと、離れた2番手のポジションを取りたいウインガニオンが外枠に入ったことでしょうか。
逃げ・先行馬のポジション取りはキーポイント
スタートダッシュの速いマルターズアポジーがポンとスタートを切ったとしても、揉まれ弱いヤングマンパワーが内にいて、外からウインガニオンですから、3コーナー手前の上り坂でどこまでペースダウンできるのかが難しくなりました。
マルターズアポジーは、3〜4コーナーの下り坂では、極端にペースを落とすような逃げにはもち込まないでしょうから、その前の上り坂でどこまで後ろを離すのか、そしてペースを落とせるのかがポイントですね。
もっとも怖いのは、全体的に速いペースではないのに、2番手以外が大きく離れた追走になること。外国人騎手(欧州出身の)の多くは大逃げに弱い(✳︎)ため、上位人気の馬たちが動かないようだと紛れもあるでしょう。
✳︎ヨーロッパの競馬は、ペースメーカーが付いてレースをコントロールすることと、馬群が一団になることがデフォルト。明確な意思をもった、勝つための大逃げをされると外国人騎手は脆さが出ます。
まとめ
重馬場に適性があるかもさることながら、これだけ外国人騎手がズラリと揃うと、マルターズアポジーの大逃げになったときにしっかりと動ける馬がいるのかも不安になるところです。
ペースを動かせるM・デムーロ騎手が大外枠に入ってしまったのも、イヤな予感がしますしね。さらに、馬場がタフになって、イン有利なコンディションになったとしたら……カオスなレース……。
う〜ん、枠を見たら人気薄の好走があっても驚かないレースになってしまいました。
以上、お読みいただきありがとうございました。
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