武蔵野S(2018年)はしなやかなストライド走法の馬が好走する?ーー展望

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GⅠ・チャンピオンズカップへのステップレースとなる武蔵野S(GⅢ)は東京ダート1600mを舞台にして行われます。直線の長いコースでのダート重賞とあって、ストライドを伸ばす馬が有利なレースです。

昨年は1着インカンテーション、2着サンライズソアともに父系にSeattle Slewをもつ馬のワンツー。Seattle Slew→A.P. Indyのラインはしなやかなストライド走法を伝える血とあって、東京コースと好相性を誇ります。

また、Nureyevの重厚なストライドを受け継いだゴールドアリュール産駒も東京ダート1600mを得意としており、ダートであってもしなやかなストライドで走る馬をピックアップしたいレースです。

 

上位人気でストライド走法の馬は?

今年の武蔵野Sは出馬登録が26頭と多く、どの馬がゲートインするのかハッキリとしていないので、「上位人気が想定される5頭+注目馬3頭」を取り上げ、そのなかからストライド走法の馬をピックアップします。

▼上位人気の5頭

サンライズノヴァ

インカンテーション

ウェスタールンド

ナムラミラクル

ユラノト

赤色でマークした馬はあきらかなストライド、青色でマークした馬はピッチ寄りの走法です。ナムラミラクルとユラノトは追い出されてから、しなやかに前脚が伸びるフットワークではないものの、体質的には柔らかさもあり東京コースを苦にしないでしょう。

 

ストライド走法の2頭

サンライズノヴァとインカンテーションは東京ダートが「ズンドバ!」なストライド走法の馬。また、2頭ともに東京ダートのマイル戦を得意としており、コースに不安はありません。

 

サンライズノヴァ

サンライズノヴァは東京ダート1600mのユニコーンSを制し、今年のフェブラリーSを3着と好走しているように、直線の長いコースに向いたストライド走法です。叔父にフェブラリーSを制したサンライズバッカスがおり、母系に入るサーペンフロ(その父Sir Ivor)の影響が出たのか、サンライズノヴァもストレッチランナーとなりました。

ゴールドアリュール産駒は揉まれ弱いVaguely Nobleの血を引くので、外から被されることなくスムーズに直線へ入れるかが好走のポイント。逃げか2番手がベストのコパノリッキー、直線で大外に出して追い込むゴールドドリーム、代表産駒の2頭の走りからも「揉まれ弱さ」が見て取れます。

揉まれ弱いサンライズノヴァは外枠がベターなタイプ。内枠だと後方まで下げて大外を追い込む競馬しかできません。速いペースで馬群がバラける展開なら中団でもOKですが、直線は大外に出さないとバキューンと弾ける脚は使えないタイプ。そのため、内枠に入るようだとマイナスです。

 

インカンテーション

インカンテーションは昨年の武蔵野Sを制し、今年のフェブラリーSを3着と好走。8歳となっても大きな衰えを感じさせません。父シニスターミニスターはA.P. Indyの系統で、東京ダートに向いたストライド走法を産駒に伝えます。

母オリジナルスピンはJRAに出走した産駒6頭の内、5頭が2勝以上をマークしている名繁殖牝馬。母系の活力も十分なだけに、武蔵野Sの連覇へ挑みます。

 

ウェスタールンドはピッチ寄り

ウェスタールンドはダートに転じてから(2 - 1 - 0 - 0)と高いパフォーマンスを発揮しました。好走したダートの3戦は函館→小倉→阪神と直線が短い小回りコースでのもの。前走のシリウスS2着時のゴール前の脚さばきからも、小回り向きのピッチ走法だとわかります。

全姉ミクロコスモスも父ネオユニヴァース譲りの器用さをもち、小回りコースでパフォーマンスの上がるタイプでした。脚さばきが俊敏なだけに、トップスピードへ乗せるまでに時間がかからないものの、それを長く持続することが苦手です。東京コースだとどこまで長く脚を使えるかがポイントになります。

 

魅力的なのはA.P. Indy系の「バローズ」2頭

上位人気5頭の他に注目したいストライド走法の馬は以下の2頭です。

ゴールデンバローズ

ストロングバローズ

ゴールデンバローズとストロングバローズは関東の名門・堀厩舎の管理馬。2頭ともに3歳春の時点でOPに上がり、ユニコーンSを好走しました。ただ、古馬になってからはパッとしない成績が続いています。

ゴールデンバローズとストロングバローズは父がA.P. Indy系とあって、しなやかなストライドで走ります。東京1600mがベストな配合だけに、人気が薄いのなら狙ってみたいものの、近走の成績が物足りず……。

どちらも東京コースでベストパフォーマンスを出せる配合。ただ、よりしなやかさを感じさせるのはSeattle Slewのクロスをもち、母系の奥にBlushing Groopを引くゴールデンバローズ。3歳時、UAEダービーを3着と好走したパフォーマンスが戻れば、好走でから下地はあります。

この2頭はフットワークが大きく、気性的に難しいところがあるので、外枠からスムーズなレースをできるかがポイントです。

 

その他のしなやかストライドの馬は?

バローズの 2頭以外でSeattle Slew→A.P. Indyのラインはクインズサターンが登録しています。この馬もしなやかなストライドで走るので、東京コースがベスト。ただ、ソコソコの人気になるので、オッズと天秤にかけて考えたい1頭です。

その他にしなやかなストライドで走るのは、プリサイスエンド産駒のメイショウウタゲ。前走の南部杯(JpnⅠ)はルヴァンスレーヴ、ゴールドドリームに続く3着と好走しました。今年に入ってから大きく調子を崩していましたが、前々走のエニフSを12番人気ながら1着となり、良い頃の雰囲気が戻りつつある印象です。

プリサイスエンド産駒のダート上級馬は武蔵野Sを制したグロリアスノア、根岸Sを制したカフジテイクなど東京ダートを得意としています。メイショウウタゲは東京コースで2勝を上げているように、この条件はベスト。雨で渋った馬場も得意なので、ここ2走の調子を維持しているならチャンスもあるでしょう。

 

まとめ

東京のダート重賞はユニコーンS、武蔵野S、根岸S、フェブラリーSとしなやかなストライドで走る馬が好走する条件。Seattle Slew→A.P. Indy系の馬やゴールドアリュール産駒と好相性の舞台です。

今年はゴールドアリュール産駒のサンライズノヴァ、シニスターミニスター産駒のインカンテーションが上位人気に推されており、血統通りの決着となるのかに注目しましょう。

以上、お読みいただきありがとうございました。