春の東京開催は5週連続でGⅠが行われます。その開幕を飾るのは、3歳馬のマイルチャンピオンを決める「NHKマイルC」。スピードだけでは乗り切れない東京芝1600mを舞台に、今年はどの馬が栄冠をつかむのでしょうか?
近年のNHKマイルCの傾向は?
創設されたばかりの頃のNHKマイルCはシーキングザパール、エルコンドルパサー、クロフネなど日本の競馬を代表する「外国産馬」がスピードとパワーで圧倒するシーンもままあるレースでした。
近年は日本産馬のレベルが高まったことにより、完成度の高い外国産馬がぶっち切って勝つことは少なくなっています。また、ハイレベルな外国産馬の輸入が少なくなるにつれ、NHKマイルCは皐月賞や桜花賞からのクラシック路線組が幅を効かせるようになったのも特徴のひとつと言えるでしょう。
2015〜17年のここ3年は「皐月賞か桜花賞」を経由したクラリティスカイ、メジャーエンブレム、アエロリットが制していることからも、非クラシックのマイル路線を歩んできた馬にとって、NHKマイルCはやや不利なレースになっています。
波乱の要素もある
過去10年、馬連の万馬券(100倍を超える配当)が4回、2桁人気の馬が3着内に入ったのが7回とNHKマイルCは波乱の要素も十分にあるGⅠです。
▼NHKマイルCの過去10年
2017年
勝ちタイム:1分32秒3(46.1 - 46.2)
1着:アエロリット(2人気)
2着:リエノテソーロ(13人気)
3着:ボンセルヴィーソ(6人気)
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2016年
勝ちタイム:1分32秒8(46.0 - 46.8)
1着:メジャーエンブレム(1人気)
2着:ロードクエスト(2人気)
3着:レインボーライン(12人気)
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2015年
勝ちタイム:1分33秒5(47.2 - 46.3)
1着:クラリティスカイ(3人気)
2着:アルビアーノ(4人気)
3着:ミュゼスルタン(2人気)
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2014年
勝ちタイム:1分33秒2(46.6 - 46.6)
1着:ミッキーアイル(1人気)
2着:タガノブルグ(17人気)
3着:キングズオブザサン(12人気)
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2013年
勝ちタイム:1分32秒7(46.1 - 46.7)
1着:マイネルホウオウ(10人気)
2着:インパルスヒーロー(6人気)
3着:フラムドグロワール(8人気)
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2012年
勝ちタイム:1分34秒5(47.3 - 47.2)
1着:カレンブラックヒル(1人気)
2着:アルフレード(3人気)
3着:クラレント(15人気)
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2011年
勝ちタイム:1分32秒2(45.7 - 46.5)
1着:グランプリボス(1人気)
2着:コティリオン(2人気)
3着:リアルインパクト(4人気)
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2010年
勝ちタイム:1分31秒4(44.8 - 46.6)
1着:ダノンシャンティ(1人気)
2着:ダイワバーバリアン(5人気)
3着:リルダヴァル(3人気)
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2009年
勝ちタイム:1分32秒4(45.5 - 46.9)
1着:ジョーカプチーノ(10人気)
2着:レッドスパーダ(5人気)
3着:グランプリエクセル(13人気)
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2008年
勝ちタイム:1分34秒2(46.7 - 47.5)
1着:ディープスカイ(1人気)
2着:ブラックシェル(3人気)
3着:ダノンゴーゴー(14人気)
馬券圏内に1〜5人気が入った2015年、11年、10年を除くすべてのレースにおいて、2桁人気の馬が3着内に入っています。その7回のなかでも2016年、12年、08年の3回は1・2着が1〜3人気で、3着に2桁人気が入るレースでした。つまり、10年の内6回は「上位人気同士の決着」か「3着ヒモ荒れ」です。
そう、高配当を狙うなら、2017年、14年、13年、09年の4回にヒントが隠されています。
波乱となった年の共通点は?
まずは、波乱となった上記の4回について、その共通点を探してみましょう。
▼共通点
・1分33秒2以内の決着
・前後半800mはほぼイーブンペース
・1400mベストの馬が好走
4回ともに1分32秒3〜33秒2と速い時計の決着になっており、09年を除く3回は前後半800mの差が0.5秒以内のイーブンペースになっています。
また、「速い時計」+「前後半800mが46 - 46のペース」だったことで、1600〜2000m向きの馬よりも1400mベストのタイプが好走しているのも特徴と言えるでしょう。
昨年のリエノテソーロ、14年2着のタガノブルグ、13年2着のインパルスヒーロー、09年2着レッドスパーダと3着グランプリエクセルなどは1400mがベストなタイプです。
今年のNHKマイルCはクイーンCを46.0 - 47.7のラップで押し切ったテトラドラクマが出走するとあって、上記の共通点が当てはまるレースになる可能性は十分。それだけに、1400mベストの人気薄の馬をしっかりとピックアップして高配当を狙います。
予想
今年の出走馬のなかで1400mベストのタイプをピックアップすると、以下の通りです。
・リョーノテソーロ
・ダノンスマッシュ
・アンコールプリュ
・カシアス
・ミスターメロディ
(内枠から降順)
このなかから馬券圏内に入る可能性の高い馬を2頭ピックアップします。2桁人気で波乱を演出したリエノテソーロ、タガノブルグ、グランプリエクセルの3頭はいずれも芝1200〜1400mに勝ち鞍があり、芝の重賞勝ち馬ではありませんでした。この時点で、函館2歳S1着のカシアスとファルコンS1着のミスターメロディは脱落。残るは3頭です。
また、リエノテソーロとグランプリエクセルは牝馬ですから、3頭のなかで真っ先にピックするのは桜花賞11着のアンコールプリュです。2桁人気になることは間違いないですし、この馬は外せませんね。後はリョーノテソーロとダノンスマッシュの2択……。
ダノンスマッシュとリョーノテソーロ
どちらか1頭を選ぶなら、朝日杯FS5着の実績があり、名スプリンターを数多く輩出する安田隆厩舎のダノンスマッシュでしょう。リョーノテソーロは血統構成やローテーションから昨年のリエノと同じ匂いがしますが、「柳の下にドジョウが2匹」いるのかは疑わしく、ここは素直に実績上位のロードカナロア産駒のダノンをピックします。
アンコールプリュとダノンスマッシュについて
アンコールプリュは08年のNHKマイルC2着ブラックシェルの半妹。父がディープインパクトに替わり、兄よりもしなやかさが増した1400mベストの差し馬です。友道厩舎の管理馬ですから仕上げに関しては大きな不安はなく、初の長距離輸送をこなせればチャンスも十分です。時計の速い決着もOKですし、輸送で馬体を減らさなければ……。
ダノンスマッシュはロードカナロア産駒としては馬体に伸びがなく、いかにも1400mベストのマイラーという体型。また、母系にRoberto4・5のクロスとDanzigの血を引くため、しなやかさよりもパワーの勝ったタイプです。直線の長い東京コースがベストとは言えない、ダノンのような血統構成の馬が2、3着に入るのがNHKマイルCですから、これだけ人気がないのならシメシメ……。
2頭ともに関西の名門厩舎ながらも2桁人気になりそうで、穴馬としての資格は十分にあります。また、枠も中枠に入ったことで、レースの流れにも乗りやすいでしょう。1着まで突き抜けるとしたら、牝馬のアンコールプリュではなく、牡馬のダノンですね。
1着候補は?
アンコールプリュもダノンスマッシュも2、3着候補としては高い可能性をもつものの、1着まで突き抜けられるのかは不透明です。そのため、ここでは1着候補も探しておきます。
上記の2頭を2・3着に固定するなら、1着のマークシート欄に5頭を塗っても合計10点と安上がりです。素直に1〜5人気の馬を買ってもいいですが……。コース適性やこれまでの臨戦過程、厩舎と騎手からすれば、タワーオブロンドンの一択。ただ、1600mで1分32秒台の決着になった時は一抹の不安も……。
上位人気馬は不安が……
ピュアなマイラーには見えないギベオンはイーブンペースになったときにこれまでのようなレースができるのかはわかりませんし、ケイアイノーテックは前走の大幅な馬体減が……。テトラドラクマはクイーンCからの直行ローテに不安はないものの、小西一男厩舎がGⅠを勝てるのかがネックです。パクスアメリカーナはホエールキャプチャの全弟で、この配合だと牡馬はパワーに振れる可能性が高く、高速馬場でアーリントンC以上のパフォーマンスを望めるのかは「?」が付きます。
点数を絞るなら
点数を絞るならもっとも弱点の少ないタワーオブロンドンだけを1着にマークする手もありますが、それだとさすがに不安ですよね……。もう1点付け加えるなら、馬個体の能力に大きな不安のないテトラドラクマでしょうか。
この2頭を1着にマークするなら3連単は4点ですみますから、後は3連複で買います。さすがに、2桁人気のワンツースリーは手が出せないので、アンコールとダノンの2頭軸の相手は9番人気までの7頭でしょうか。
買い目
3連単と3連複で計11点に抑えられるので、後はダノンスマッシュが1着に突き抜けたときの馬単を買います。
3連単
1着:7. 3
2着:8. 12
3着:8. 12
3連複2頭軸流し
8. 12 → 1. 5. 9. 10. 11. 16. 17
馬単1着流し
8 → 「1〜9人気」+アンコールプリュの12
まとめ
今年のNHKマイルCは高配当を狙っての21点で楽しみます。皆様にとっても素晴らしいレースになりますように。
以上、お読みいただきありがとうございました。