NHKマイルC(2018年)はディープインパクト産駒のケイアイノーテックが差し切り勝ちーー回顧

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3歳のマイル・チャンピオンを決める「NHKマイルC(GⅠ・東京芝1600m)」は、ニュージーランドT2着からここへ臨んだケイアイノーテックが直線大外から鋭く脚を伸ばすと、先に抜け出したギベオンを捕らえて1着でゴールを駆け抜けました。

藤岡祐介騎手、ケイアイノーテックの人馬ともにこれが嬉しいGⅠ初勝利。2着に坂下で先頭に立ったギベオン、3着に外から鋭く脚を伸ばしたレッドヴェイロンが入り、1人気のタワーオブロンドンは12着と大敗しました。勝ちタイムは1分32秒8(良)。

 

ケイアイノーテックは好配合のディープインパクト産駒

1分32秒8と高速決着になった今年のNHKマイルCは、バキューンとしなやかな差し脚をもつディープインパクト産駒のワンツーとなりました。ギベオンが坂を駆け上がってから残り200mでスピードを落としたところを、勝ったケイアイノーテックは上り3F33.7の鋭さで差し切り勝ち。

前後半800mが46.3 - 46.5のイーブンペースとなり、後方待機から末脚勝負に賭けたケイアイノーテックの差し脚がズバリとはまりました。中距離馬のギベオンがラスト1F12.0と大きくラップを落としたのは致し方なし。それでもディープインパクト産駒のワンツーですから、現在の東京はしなやかなフットワークが有利な馬場コンディションと言えるのでしょう。

 

ケイアイノーテック 3歳牡馬

父:ディープインパクト

母:ケイアイガーベラ(母父Smarty Jones)

厩舎:平田修(栗東)

生産:ケイアイファーム

祖母アンナステルツはスピードとパワーに優れた種牡馬Boundary(芝スプリント重賞2勝の快速馬サーガノヴェルの父)の全妹。母ケイアイガーベラはそこに北米を代表するスピード血統が詰め込まれたSmarty Jonesが配され、現役時代には短距離ダート重賞を2勝するなどの活躍を見せました。

種牡馬ディープインパクトはパワー型スプリンターの繁殖牝馬に配するのがひとつの成功パターン(ジェンティルドンナなど)。ケイアイノーテックは父のしなやかさと母のパワーが上手くマッチし、直線でバキューンと弾ける脚を使えるのが最大の長所です。

この馬の配合については以下の記事に詳しく解説しているので、よければご参照下さい。

Gone West系の中ではもっとも底力のあるElusive QualityはNasrullahやPrinsquilloなどのスピード血脈を豊富に引くだけではなく、しなやかなSir Ivorをもつのが最大の特徴。ディープインパクトとの配合ではこのSir Ivorがクロスされ、長い直線をバキューンと弾ける馬が多く出ています。

阪神JFをしなやかなフットワークで差し切ったショウナンアデラが父ディープインパクト×母父Elusive Qualityですから、ケイアイノーテックもほぼ同じイメージでOK。今後も東京や阪神の1600〜1800mでは目が離せない1頭です。

 

タワーオブロンドンは12着

前走のアーリントンCを快勝し、マイルへの不安を払拭したタワーオブロンドンでしたが、インコースで進路が開かず、12着と大敗しました。前脚が短く、全体としてコロンとした馬体のシルエットからもベストは1400mなだけに、今後のローテーションに注目したい1頭。

父Raven's Pass、母スノーパインともに5代アウトブリード。タワーオブロンドン自身はNorthern Dancer5×4、Mr. Prospector4×5のクロスをもつものの、まだまだ成長の余地は十分にあり、距離適性が短距離にシフトしたときにどのようなパフォーマンスを出せるのかが楽しみです。

 

藤原英昭厩舎は2着と4着

関西の名門・藤原英昭厩舎は4月終了時点で、2位以下を10勝以上引き離してリーディングを独走。今年は皐月賞をエポカドーロ制するなど、勝ち鞍だけではなくGⅠでも目が離せない存在となっています。

NHKマイルCでも管理するギベオンが2着、ミスターメロディが4着と好走し、さすがの厩舎力を見せつけました。藤原厩舎の管理馬というだけで、どうしても人気を集めてしまいますが、今後も馬券を検討する上では無視できない存在です。

 

レッドヴェイロンは3着

外目をスムーズに追走し、ゴール前ではギベオンに迫ったレッドヴェイロンは3着に惜敗。名繁殖牝馬エリモピクシーの仔はクラレント、サトノルパン、レッドアリオン、レッドアヴァンセなど重賞級のマイラーとなりますが、揉まれ弱いのが最大の弱点です。

その産駒の多くは外枠からスムーズに先行したときに高いパフォーマンスを出しており、レッドヴェイロンもこれに当てはまります。今走は8枠に入ったことから、好走する下地は整っていたものの、GⅠを勝てないのはいかにも「この血」らしいと言えます。

来週のヴィクトリアマイルには半姉のレッドアヴァンセ(父ディープインパクト)が出走を予定しており、7・8枠に入るようなら2・3着に好走する可能性も十分です。

 

雨が降らなければ東京芝はさらに高速に

近年のヴィクトリアマイルは雨の影響を受けなければ、1分32秒0前後の高速決着になります。今週のNHKマイルCの勝ちタイムからも、来週はさらに時計が速くなる可能性が……。

もし、1分31秒台の決着になるようであれば、今度こそ1400mベストのマイラーが活躍する舞台になるはずで、中距離馬のリスグラシューにとっては苦しいレースになります。

 

まとめ

今年のNHKマイルCは1400mベストのマイラーが活躍するレースにはなりませんでした。これに懲りずに、来週も高配当を狙って1400mベストの人気薄を狙います。ウハウハになれるように祈って……。

以上、お読みいただきありがとうございました。