中内田厩舎の期待の2歳馬フロンティアが新潟2歳Sに出走!ーー中内田厩舎の今年の成績は?

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開業4年目となる中内田充正調教師は、'17年8月20日(日)終了時点で全国調教師リーディング5位と好成績を上げています。今年はすでに昨年の勝数に並ぶ31勝を上げ、その活躍ぶりは目が離せません。厩舎の期待の2歳馬フロンティアが出馬登録をしている「GⅢ新潟2歳S」は、昨年ヴゼットジョリーで初めての重賞制覇となった思い出のレース。中内田厩舎にとっては縁のあるレースとあって、フロンティアがどのような走りを見せるのかに注目が集まります。

 

8月20日(日)終了時点での中内田厩舎の成績

中内田厩舎の8月20日(日)終了時点でのJRAでの成績を確認しておきましょう(地方・海外の成績は含みません)。

  1着 2着 3着 着外 出走回数 勝率 連対率 3着内率
平地 29 10 16 86 141 0.206 0.277 0.390
障害 2 0 0 0 0 1.000 1.000 1.000
JRA合計 31 7 15 67 114 0.217 0.287 0.399

参照:JRA日本中央競馬会

全国調教師リーディング5位

勝率が3割を超えていた3月の初め頃から較べるとさすがにそれぞれの率は下がりました。ここにきて3着内率ば4割を切ったものの、それでも全体的にはハイアベレージをキープしています。この時期にリーディング・トップ10内に入っているのも優秀。中内田厩舎の特徴は出走回数の少なさが上げられ、リーディング1〜4位の厩舎と較べるとその差は歴然です。

 

調教師リーディング1〜5位の出走回数

順位 調教師名 出走回数
1位 池江泰寿 212
2位 角居勝彦 236
3位 藤原英昭 203
4位 国枝栄 225
5位 中内田充正 143

参照:JRA日本中央競馬会

調教師は過去2年の成績をもとに管理できる馬房数が決まるため、開業4年目の中内田厩舎と名門と言われる1〜4位の厩舎とは出走数に差ができるのは自然なことです。ここまでの出走回数は上位の厩舎の約3分の2にあたる143。中内田厩舎はこの出走数の少なさから勝率や連対率、3着内率の数字が高くなっているのです。とは言え、少ない出走数にもかかわらずリーディング5位につけているのは1着の数が多いためで、中内田厩舎は2、3着の数からすると「勝ち切っている」ことがこの数字からもわかります。

 

今年デビューした2歳馬をチェック

ここまで中内田厩舎からは4頭の2歳馬がデビューし、ダノンプレミアムとフロンティアの2頭が勝ち上がっています。2歳馬の成績は以下の通りです。

 

中内田厩舎の2歳馬の成績 8月20日(日)終了時点

日付 馬 名 着順 人気 コース 騎手
6/18 サナコ 3 1 阪神芝1600m 川田将雅
6/25 ダノンプレミアム 1 1 阪神芝1800m 川田将雅
7/1 フロンティア 1 1 中京芝1600m 川田将雅
7/8 サナコ 4 1 中京芝1200m 川田将雅
8/13 パクスアメリカーナ 4 1 新潟芝1600m 川田将雅

中内田厩舎の2歳新馬戦は「川田将雅ゲーム」と化していますね。8月13日(日)、新潟芝1600mの新馬戦でデビューしたパクスアメリカーナにもわざわざ川田騎手を手配。これほど徹底して騎手を固定している厩舎も珍しい……。

ここまで2歳戦は(2 - 0 - 1 - 2)の成績。特徴的なのはすべてのレースで1番人気に押されていることで、それだけ素質馬・血統馬が預託されているからでしょう。

それにしても、POG御用達の良血馬フォックスクリーク、欧州のマイルGⅠを勝てそうな配合のグレートシールなど、この後にも期待馬がスタンバイしており、中内田厩舎の2歳馬の層の厚さは折り紙つきです。現状はクラシック路線を歩むことになるディープインパクト産駒のダノンプレミアムが中心ですが、その他の馬も好素質馬が揃っています。

中内田厩舎の2歳馬についてはこちらの記事にまとめてありますので、ご覧いただけると幸いです。

 

フロンティア 2歳牡馬

父:ダイワメジャー

母:グレースランド(母父:トニービン)

生産牧場:社台コーポレーション白老ファーム

馬主:サンデーレーシング

中内田厩舎はもともとH・H・シェイク・モハメド、ファハド両殿下の馬や個人馬主の馬を多く管理しているため、サンデーレーシングの馬はこのフロンティア1頭のみです。ただ、社台系ファーム生産馬は数多く預託されているので、今後は中内田+サンデーレーシングという組み合わせも増えていくかもしれません。

ダイワメジャー産駒で母父に「クラシック〜中距離(トニービンなど)」をもつのは、メジャーエンブレム(母父:オペラハウス)、コパノリチャード(母父:トニービン)、カレンブラックヒル(母父:Grind Stone)とGⅠ馬が出る配合。ただし、フロンティアはパワーとピッチ走法を伝えるノーザンテーストのクロスがあり、これが父のパワーをさらに増幅してしまうとしなやかさに欠ける嫌いがあります。母系にしなやかなPrincely Giftが入るため、この影響がどれほど出ているかがポイントでしょう。

 

新馬戦のレース内容

フロンティアがデビューした7月1日(日)の中京芝1600mの新馬戦を振り返ります。

 

新馬戦 中京芝1600m 頭数:12頭 馬場:稍重
着順 人気 馬 名 勝時計 通過順位 上り
1 1 フロンティア 1:38.4 1 - 1 34.4

レースラップ: 13.0 - 12.2 - 13.0 - 12.9 - 12.7 - 12.1 - 11.1 - 11.2

前後半800mが51.1 - 47.1のかなりのスロー。この時期の2歳新馬戦、そして直線の長い中京競馬場のマイルですから、実質的に上り2Fの競馬になったのも納得。4コーナーから直線にかけて12.1とペースアップし、直線の上り坂の区間で11.1、ゴール前でも11.2と大きく落とすことなく上がっており、一定の能力は見せています。

レースの内容から気性的なもろさなどは見せておらず、騎手に従順で操縦生の高そうな走り。パトロールビデオの映像からも、直線でヨレたりするような素振りもなく真っ直ぐに走れていたのは好印象。

 

レース解説

好スタートから内枠を利してハナに立つと、川田騎手が折り合いに気をつけながらゆったりとした逃げにもち込みます。2歳新馬戦らしいスローペースになり、各馬しっかりと脚を残して4コーナーから直線へ。

4コーナーから少しずつペースを上げ、直線の坂下で追い出されると外から迫るアドマイヤアルバに最後まで差を詰めさせずに1着でのゴール。スローペースから危なげのない逃げ切りになりました。

フロンティアはパワーだけではなくしなやかさも感じさせるフォームのダイワメジャー産駒。ゴール前ではしっかりと前脚を伸ばすストライドで走っていたので、中京のような直線の長いコースは歓迎でした。新馬戦では気性的な問題も見せなかったので、逃げなくても競馬ができる馬でしょう。今後はもう少しペースが流れたときに今回のようなびゅんとした終いの反応を見せられるかどうかが鍵になります。

 

新潟2歳Sに向けて

川田騎手のフランス(謎の)遠征によって、フロンティアの鞍上は岩田康誠騎手。岩田騎手はダイメイジフジ、セイウンワンダーでこのレースを連覇するなど、このコースを知り尽くしているだけに「騎手個体」としての不安はありませんが……。やはり、川田騎手からの乗り替わりはややマイナス。この厩舎ですから、新馬戦から1ヶ月以上レース間隔が空くのはむしろプラスで、フレッシュな状態で新潟2歳Sに向かいます。

フロンティア自身は直線の長いコースもOKの走りを見せているものの、ノーザンテーストのクロスで新潟外回りをしなやかにキレるのかはいくらか疑問が残ります。ただ、先日の新潟2歳Sの展望記事「GⅢ新潟2歳S('17年)は「素質」か「しなやかなキレ」か「マイラーとしてのスピード」かーー展望 - ずんどば競馬」でも書いているように、この舞台はマイラーとしてのスピードで好走できることもあります。バキューンとしなやかにキレる馬を先行抜け出しから封じることができるのかに注目です。

 

まとめ

中内田厩舎は今年、残り4ヶ月と少しを残して調教師リーディングの5位につける好成績を上げています。今年はすでにGⅢ平安Sをグレートパールで制したように、上級条件でも好走できる馬が少しずつ揃ってきている印象。昨年のヴゼットジョリーに続き、フロンティアが新潟2歳Sを勝つようなレースができれば、中内田厩舎にさらに勢いがつくでしょう。

今から、週末のレースが楽しみですね。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。