8月27日(日)、過去にはジャスタウェイ、ハープスター、イスラボニータなどのGⅠ馬が出走し出世レースとしても知られる2歳重賞「GⅢ新潟2歳S」が新潟競馬場のメインレースとして行われます。年末の2歳GⅠ朝日杯FS、阪神JF、そして来年のクラシックへとつながる大切な重賞だけに、出走馬にとっては結果だけはなく内容も問われる1戦。今年はどの馬が好走を果たすのでしょうか?
新潟2歳Sのポイント
新潟2歳Sのポイントは大きくわけて3つあります。週中にレースのキーポイントについてくわしく書きましたので、よければ以下の記事をご覧下さい。ここでは簡単にサクッと説明を。
GⅢ新潟2歳S('17年)は「素質」か「しなやかなキレ」か「マイラーとしてのスピード」かーー展望 - ずんどば競馬
新潟2歳Sの3つのポイント
新潟競馬場の芝1600mの外回りは4コーナー過ぎからゴールまでのホームストレッチが600mを超える長い直線で争われ、デビューして間もない2歳馬たちの「キレ」る脚が試されるコース。直線が長過ぎるため、ゴール前の1Fがどうしても減速してしまうのが新潟2歳Sの特徴です。上り3Fの内1Fは10秒台の脚を使わなければ好走できないので、「しなやかにキレる脚」をもっている馬に有利。以下、このレースのポイントは3つ。
1. 差し・追い込み馬が優勢
2. しなやかにキレる馬が優勢
3. 素質馬が「素質」だけでバキューンと突き抜けられる
どんなにスローペースになっても前残りになることが少なく、しなやかにバキューンとキレる脚をもっている馬に向くのが新潟2歳S。気性的に前進気勢の強い馬よりも、しっかりと脚をためて道中を追走できる馬が有利です。
新潟2歳Sは上り32秒台の脚を使った馬がこれまでに計7頭いて、全頭が連対しているように「とにかくしなやかにキレ」たもの勝ちという側面の強いレース。32秒台の脚を使った馬を表にまとめると以下の通り。
▼新潟2歳Sで上り32秒台の脚を使った7頭
年 | 着順 | 人気 | 馬 名 | 上り | 通過順位 |
2009 | 1 | 1 | シンメイフジ | 32.9 | 18 - 18 |
2011 | 1 | 4 | モンストール | 32.7 | 9 - 9 |
2 | 1 | ジャスタウェイ | 32.6 | 11 - 12 | |
2013 | 1 | 1 | ハープスター | 32.5 | 18 - 18 |
2 | 4 | イスラボニータ | 32.7 | 12 - 13 | |
2015 | 1 | 1 | ロードクエスト | 32.8 | 18 - 17 |
2016 | 2 | 6 | オーバースペック | 32.9 | 15 - 14 |
後のGⅠ馬が顔を揃えていることからもわかるように、素質馬がその「素質」であっさりと32秒台の脚を使って突き抜けてしまうこともままああります。「来年のクラシック候補!」と騒がれるようなグリグリの1番人気には逆らわない方が無難です。単勝オッズが3倍を切るような1番人気は素直に信頼してしまった方が楽なレースとも言えますね。
今年の上位人気の馬は?
今年の新潟2歳Sで上位人気に支持されそうな馬は、ムスコローソ、プレトリア、フロンティア、テンクウの4頭(27日10:00時点)。最終的にはムスコローソかフロンティアが1番人気に押されるのでしょうね。
フロンティアは新進気鋭のトレーナー・中内田充正調教師の管理馬。週中にこの馬については解説をしていますので、よければ以下の記事をご覧下さい。
中内田厩舎の期待の2歳馬フロンティアが新潟2歳Sに出走!ーー中内田厩舎の今年の成績は? - ずんどば競馬
残りの3頭について、ザックリと解説しておきます。
ムスコローソ 2歳牡馬
父:ヘニーヒューズ
母:ルナレガーロ(母父:アドマイヤムーン)
厩舎:手塚貴久(美浦)
手塚厩舎のヘニーヒューズ産駒と言えば、すぐに思い浮かぶのはGⅠ朝日杯FSを制したアジアエクスプレス。この馬は芝の2歳GⅠを勝ったものの、3歳以降はダートを主戦場としたように、本質的には芝は不向きでした。2歳のこの時期はダート向きの馬であってもスピードと素質だけで芝をこなしてしまうので、ヘニーヒューズ産駒のムスコローソも血統的な面はそれほど心配しなくてもOK。
新馬戦は母父アドマイヤムーンのしなやかさの出たフットワークで直線を楽々と抜け出し、後続を突き放す快勝。4コーナーから直線入り口で内をすくって伸び、先頭に立ってからはほぼ追われることのない内容でしたから、「追ってどうか?」という不安はあるものの、新馬戦としては上々。気性的な難しさも見せませんでしたから、この馬がい1番人気に押されるのは納得です。
プレトリア 2歳牡馬
父:ヨハネスブルグ
母:ダイワエタニティ(母父:ジャングルポケット)
厩舎:中川公成(美浦)
今年の2歳馬は「ヨハネスブルグ産駒の当たり年になるのでは?」と思わせるほど、新馬戦で高い勝ち上がり率を上げています。2歳の早い時期から活躍し、古馬になってからもう一皮むけるのが「ヨハネスブルグ産駒の活躍馬」の特徴。キーンランドカップに出走するネロなどがその好例です。
新馬戦は大外を一気に「ピッチ」で駆け抜けての1着で、前脚がしなやかに伸びないのはいかにもヨハネスブルグ産駒らしい走り。しなやかにキレるというよりはマイラーとしてのスピードで抜け出してしまいたいタイプで、新潟の外回りのマイル戦で新馬戦以上のパフォーマンスを上げられるのかは「?」がつきます。ただ、マイラーとしてのスピードで抜け出して2、3着に入る馬もチラホラと見かけるのが新潟2歳S。完成度の高さでどこまで走れるのかに注目です。
テンクウ 2歳牡馬
父:ヨハネスブルグ
母:ピサノドヌーヴ(母父:アグネスタキオン)
厩舎:奥村武(美浦)
プレトリアと同じヨハネスブルグ産駒で、昨年の新潟2歳Sを3着と好走したイブキの半弟。母ピサノドヌーヴはダートの活躍馬が多く出る牝系の出身で、イブキ、テンクウと2年連続で新馬勝ちを上げた馬を出したようになかなかの好繁殖。ただ、コンスタントに走る馬が出る分だけ、重賞をアッサリと勝つだけの素質には「?」がつくので好走したとしても勝ち切るまでは……。
新馬戦は逃げ馬の直後につけ、直線で追い出されるとしっかりとした脚取りで抜け出しての完勝。優等生のような大人びたレースぶりで完成度の高さを見せた1戦となりました。ゴール前までしっかりと伸び切った内容も新潟のマイル戦は合っている印象。気性的な問題もないことから、ここで大きな着順に凡走することはあまりイメージできませんが……。
しなやかにキレそうな馬に◎を
上位人気馬の4頭を見ると、ムスコローソがもっとも弱点が少ないのかなという印象です。この馬がアジアエクスプレス級の素質馬だったとしたら、脱帽するしかありません。
新潟2歳Sはやはりしなやかにキレる(あるいはキレそうな)馬をピックアップしたいので、◎はトッカータに。この馬については週中にくわしく解説をしたので、よければ以下の記事もご覧下さい。
GⅢ新潟2歳S('17年)は「素質」か「しなやかなキレ」か「マイラーとしてのスピード」かーー展望 - ずんどば競馬
◎トッカータ 2歳牡馬
父:ブラックタイド
母:ペルセクション(母父:インヴァソール)
厩舎:和田雄二(美浦)
ブラックタイド産駒とは思えないほどにしなやかでキレイなフォームで走る馬。これはもう母系のインヴァソール(Candy Stripes←Blushing Groom)×Woodman×Nureyevという名血が詰まっている質の良さから来るものでしょう。新潟の外回りのマイル戦であれば、Blushing Groomのしなやかさに期待して◎を打てるだけの配合で、ここは素質に期待します。
新馬・未勝利戦と鞍上がしっかりと押さえ込んでの差す競馬を試みたことがここで活きるはずで、新潟の長い直線でバキューンと弾ける脚が出せれば。
買い目
◎の人気がないこと、2着には何がきてもおかしくないことから、まずは単勝で。馬連についてはパドックの気配とオッズを見ながら考えます。配当的な妙味が大きいなら総流しでもいいもかしれませんね。
単勝
2
まとめ
バキューンと32秒台の弾ける脚を使う馬が現れるのか、今から胸が高鳴りますね。皆様にとっても素晴らしいレースになりますように。
以上、お読みいただきありがとうございました。