新潟記念(2019年)、上位人気のキングカメハメハとディープインパクト産駒は好走できるのか?

f:id:hakusanten:20180901184946j:plain

サマー2000シリーズの最終戦「新潟記念(GⅢ)」は9月1日(日)、JRA全10場のなかで最長を誇る新潟競馬場の外回りコースを舞台に行われます。今年、上位の人気に推されると目されるのは以下の5頭。

レイエンダ

ユーキャンスマイル

カデナ

サトノキングダム

フランツ

(上位人気想定順)

このなかで、1・2人気が想定されるレイエンダユーキャンスマイルはキングカメハメハ産駒、3〜5人気のカデナサトノキングダムフランツはディープインパクト産駒とあって、近年の日本競馬を引っ張った大種牡馬の仔が新潟記念の上位人気となります。

新潟記念の行われる「芝外回り」は、速い上りを使える馬でないとなかなか好走することができないコースです。そのため、しなやかにキレるディープインパクト産駒やビュンと加速できるキングカメハメハ産駒が、このコースを得意とするのも自然なことだと言えるでしょう。

 

新潟記念におけるキングカメハメハは不振?

過去10年の新潟記念において、キングカメハメハの血を引く馬が馬券圏内(1〜3着)に入ったのは2018年1着のブラストワンピースのみ。また、昨年の2人気グリュイエール(10着)、2015年の1人気ミュゼスルタン(16着)、2011年の2人気エオリアンハープ(8着)と人気でも凡走しているのは気になるところです。

さて、それではなぜ、「キングカメハメハの血を引く馬は新潟記念で不振」なのでしょうか?

まずは、キングカメハメハという種牡馬について考えてみましょう。

 

キングカメハメハが伝えるもの

種牡馬キングカメハメハはロードカナロア、アパパネ、ドゥラメンテ、レイデオロ、ホッコータルマエなど優れた産駒を多く出しました。芝・ダート、距離の長短を問わず、さまざまなカテゴリーのチャンピオンを出したのがキングカメハメハの最大の特徴です。

ライバルと呼ばれるディープインパクトは、ロードカナロア級のスプリンターやホッコータルマエ級のダートチャンピオンを出すことはありませんでした。その点を考えると、キングカメハメハの「多才」ぶりは際立っています。

 

母系の良さを引き出す種牡馬

キングカメハメハは「自己主張」があまりなく、種付け相手である牝馬の長所を引き出す種牡馬です。例えば、ロードカナロアは母レディブラッサムのもつ「しなやかな血」がフルに活かされ、それがアーモンドアイへも受け継がれています。

ロードカナロアがディープインパクトに似た「しなやかなフットワーク」の馬を多く出すのは、キングカメハメハがレディブラッサムの血の良さを引き出しているから。

キングカメハメハがこれほどまでにさまざまなカテゴリーで活躍する馬を出せるのは、母系を引き立てる種牡馬であるからでしょう。それにしても、ロードカナロア、ホッコータルマエなどのまったく異なるタイプの競走馬を出すのですから、「名引き立て役」と言えますね。

 

キングカメハメハの不振は?

キングカメハメハがオールジャンルの産駒を出すほどの万能種牡馬であることは、裏を返せば「ひとつのジャンルでNO.1になるほどの特長がない」ということです。先にも述べたように、新潟の外回りコースは上りの速さが何よりも求められるコース。となると、キングカメハメハは高速決着に強いディープインパクトになかなか及ばないことも……。

新潟の芝外回りのように、「速い上りに特化」した特徴のある(エッジの効きすぎた?)コースだと、万能すぎるキングカメハメハにとっては「どっちつかず」で凡走してしまうのかもしれませんね。たしかに、レイエンダもユーキャンスマイルもディープインパクト産駒的なしなやかなキレをもっているわけではないので……。

 

ディープインパクト産駒も安泰ではない?!

ここまではキングカメハメハ産駒を取り上げましたが、次は「速い上りのレースを得意」とするディープインパクト産駒と新潟記念についてチェックしてみましょう。

 

2014年から3連覇

ディープインパクト産駒は2014〜16年まで新潟記念を3連覇。また、14年は1〜3着を独占しているように、新潟記念と好相性です。しなやかなフットワークの活きる舞台であれば、ディープインパクト産駒の強さが際立ちますね。

 

近2年はディープインパクト産駒が不振

過去の成績を見てしまうと、「新潟記念はディープインパクト産駒を買っておけばOK!」となるのも自然なことです。ただ、近2年は(0 - 0 - 0 - 7)とディープインパクト産駒が不振。昨年は2人気グリュイエールが10着と敗れているので、「ディープだから安心!」とはなりません。

 

今年はディープインパクト産駒がズラリ!

上位の人気に推される馬たちを含め、今年の新潟記念に出走するディープインパクト産駒は以下の6頭。

サトノキングダム

フランツ

ジナンボー

カデナ

サトノワルキューレ

センテリュオ

(内枠から降順)

サトノキングダムからカデナまでの上位人気の馬たちはすべて1〜3枠に入りました。先週の新潟2歳Sの結果からも、現在の新潟芝外回りコースは内の馬場が伸びないコンディションとなっていたので、内枠に入った馬の取捨はキーポイントになりますね。

 

しなやかにキレる馬は?

上記のディープインパクト産駒のなかで、しなやかにキレるタイプは以下の3頭です。

サトノキングダム

サトノワルキューレ

センテリュオ

カデナとフランツはディープインパクト産駒としてはしなやかさよりもパワーのあるタイプ(✳︎)なだけに、新潟記念向きかと言われると「?」マークが付きます。ジナンボーは母アパパネの俊敏さを受け継いでいるので、しなやかさというよりもスローの瞬発力勝負がベストです。

✳︎カデナは母父フレンチデピュティ、フランツは母父ブライアンズタイムとディープインパクトの柔らかさにパワーを補う配合となっています。

父ディープインパクト×母父フレンチデピュティは牡馬だとマカヒキ、牝馬だとショウナンパンドラなどを出しているニックス配合。この配合は古馬になってからだと、牝馬がよりしなやかさを保つのが特徴です。カデナも好走した重賞が小回りコースだったことからも、新潟敵性に疑問が残ります。

父ディープインパクト×母父ブライアンズタイムは皐月賞馬ディーマジェスティなどが出る配合。古馬になってからはパワーが前面に出る配合で、どちらかと言うと上りのかかる決着に強くなる配合です。フランツにとっては馬場が渋って時計のかかる決着になるのがベターでしょう。

 

サトノキングダム 6歳牡馬

ドイツ血統らしく、古馬になってから着実に力をつけると、今走の新潟記念で重賞初出走となりました。母系はAcatenango×ダンシングブレーヴなので、「しなやかさ+先行して粘りこむパワー」もある配合。

先行してもしなやかにキレる馬だけに、いかにも新潟記念に向くタイプです。問題は雨馬場になったときと最内枠をどう乗りこなすかの2点。また、石橋脩騎手が今夏の新潟開催で不振なのも気にかかります。

 

サトノワルキューレ 4歳牝馬

母父Roi Normandは5代血統表のなかにNorthern DancerやHyperionを引かないアウトブリード(4×4以上のクロスをもたない)な種牡馬です。母ヒアトゥウィンはアウトブリードな父を配され、自身もNorthern Dancer5×5の薄いクロスしかもたないものの、南アフリカで高い競走能力を示しました。

ヒアトゥウィンにディープインパクトが配されて産まれたサトノワルキューレは、母系が活力のあるアウトブリード配合だけあって、古馬になってからもジワジワと成長すると考えられます。

3歳時に制したフローラS(GⅡ・東京芝2000m)のしなやかなフットワークを見ると、いかにも直線の長いコースに向くタイプの馬です。ただ、近年の新潟記念は牝馬が不振。また、現在のサトノワルキューレの体調や精神面が整っているかは不透明なところもあるので、馬券を買うならオッズとの兼ね合いになるでしょう。

 

センテリュオ 4歳牝馬

母アドマイヤキラメキはGⅠ馬トーセンジョーダン(父ジャングルポケット)の半姉で、名門クラフティワイフ牝系の出身。

センテリュオの全兄トーセンスターダムは豪GⅠを勝利するバリバリのオープン馬。母系に入るエンドスウィープ、クラフティワイフなどしなやかさを伝える血が多く入り、本馬も直線の長いコース向きのストライドとなりました。

マーメイドS4着からの休み明けとなるものの、ノーザンファーム生産馬であれば、仕上がりに大きな不安はありません。ノーザンファームのセカンド・ドライバーである北村友一騎手が乗るのもプラスですし、馬場が悪くならなければチャンスもありそうです。

 

買いたくなるのは2頭の牝馬

新潟記念に出走するディープインパクト産駒6頭のなかで、「買いたいな〜」と思わされるのは牝馬の2頭。近2年は内枠の馬の活躍が目立つものの、このレースはもともと枠にこだわらなくてもOK。

サトノワルキューレは凱旋門賞に挑戦するキセキと同じ「角居廐舎+下河辺牧場」の組み合わせだけに、ここはバチコーンと好結果を出したいところです。血統的な背景も後押ししますし、アルコセニョーラやコスモネモシンのように1着まで狙えるのはこの馬かなと考えています。

血統背景としてはクラフティワイフ牝系のセンテリュオは文句なし。ただ、ノーザンファーム生産馬+北村友一騎手とあっていくらか人気になり過ぎている感じも……。単勝で20倍以上つくなら妙味もあるのですが……。

 

キングカメハメハ産駒を全キリするなら……

1・2人気のレイエンダとユーキャンスマイルを「キングカメハメハ産駒だから」という理由で馬券の買い目に入れないのであれば、ぐっと高配当の期待も高まります。また、キングカメハメハの血を引く馬も除外するなら、ダイワキャグニーやジナンボーまでアッサリと切り捨てられるので……。

 

レイエンダにはリソースを割かないのがベター

C・ルメール騎手が乗るレイエンダに予想の時間を割くのはナンセンス。もう、ノーザンファームというだけで「好走」してしまうことはザラなのでね。しかも人気になってしまいますし……。

そこに時間を割くのであれば、レイエンダが好走してもしなくても大幅なプラスになるような馬券を吟味するのがベターです。だって、ブラストワンピースだって、調整過程を不安視されたのに、アッサリと札幌記念を勝ちましたから。

「ノーザンファーム+C・ルメール騎手」に逆らうのであれば、そもそも「外れてもOK」の気持ちで馬券を買わなければなりません。

 

まとめ

キングカメハメハ産駒の上位人気馬と、内枠に入ったディープインパクト産駒を外したら、「びっくりするほどの高配当」が期待できる今年の新潟記念。

◎サトノワルキューレは決まったものの、どこまで人気薄へと手を広げるのかが考えものです。買い目については、Twitterにアップする予定なので、これからまたウダウダと妄想します。

以上、お読みいただきありがとうこざいました!