秋競馬の2週目は9月16(土)〜18(祝)の変則3日間開催。中山と阪神の東西で牡馬と牝馬のクラシックトライアルが行われます。17日(日)は秋華賞トライアルのGⅡローズS、18日(祝)は菊花賞トライアルのセントライト記念が組まれ、この2つのレースともに春のクラシックを沸かせた実績馬が登場。ラスト1冠に向けて勝ち名乗りを上げるのはどの馬でしょうか?
秋のクラシック路線もノーザンファーム生産馬が中心
9月9日(土)に行われた秋華賞トライアルのGⅢ紫苑Sはノーザンファーム生産のディアドラがオークス4着の実績通りに他馬をねじ伏せて1着、3着にもノーザンファーム生産のポールヴァンドルが入り、秋のクラシックも社台系ファームの生産馬がしっかりと好走しました。
GⅢ紫苑S('17年)はハービンジャー産駒の春の実績馬ディアドラが勝利ーーレース回顧 - ずんどば競馬
桜花賞からダービーまでの春のクラシックもノーザンファーム生産馬の活躍が目立ち、今年のダービーは1〜3着を独占。生産者にとって「クラシック」はGⅠのなかでも特別な舞台ですから、レースに向けてより多くのリソース(資源)を1頭の競走馬にそそぐことのできるメジャーな生産者が好成績を上げるのは自然なことです。以下の表は2017年春のクラシックで1〜3着に入線した馬の「生産牧場」をまとめたものになります。
▼2017年 春の3歳クラシック1〜3着馬と生産牧場
レース | 着順 | 馬 名 | 生産牧場 |
桜花賞 | 1 | レーヌミノル | フジワラファーム |
2 | リスグラシュー | ノーザンファーム | |
3 | ソウルスターリング | 社台ファーム | |
皐月賞 | 1 | アルアイン | ノーザンファーム |
2 | ペルシアンナイト | 追分ファーム | |
3 | ダンビュライト | ノーザンファーム | |
オークス | 1 | ソウルスターリング | 社台ファーム |
2 | モズカッチャン | 目黒牧場 | |
3 | アドマイヤミヤビ | ノーザンファーム | |
ダービー | 1 | レイデオロ | ノーザンファーム |
2 | スワーヴリチャード | ノーザンファーム | |
3 | アドミラブル | ノーザンファーム |
4つのレースの1〜3着馬12頭の内、非社台系のファーム生産馬はわずかに2頭。3連単複系の馬券を購入する人にとっては、ノーザンファームという生産馬というだけで、ケアをしないといけないほどの好走率です。この成績を見てしまうと、クラシックが「社台の運動会」と揶揄されるのもわかりますね。
ローズSとセントライト記念もノーザンファームが中心
秋華賞トライアルのローズS、そして菊花賞トライアルのセントライト記念もノーザンファームの活躍が目立つレース。とくに、素質のある牝馬が集まるローズSはこの傾向が強く、過去5年のなかで2回が1〜3着を独占する結果になっています。下の表はローズSとセントライト記念の過去5年の成績と生産牧場をまとめたものです。
▼過去5年のローズSの1〜3着馬と生産牧場
年 | 着順 | 人気 | 馬 名 | 生産牧場 |
2016 | 1 | 1 | シンハライト | ノーザンファーム |
2 | 11 | クロコスミア | 小島牧場 | |
3 | 6 | カイザーバル | 社台ファーム | |
2015 | 1 | 7 | タッチングスピーチ | ノーザンファーム |
2 | 1 | ミッキークイーン | ノーザンファーム | |
3 | 2 | トーセンビクトリー | ノーザンファーム | |
2014 | 1 | 2 | ヌーヴォレコルト | 社台ファーム |
2 | 15 | タガノエトワール | 社台コーポレーション白老F | |
3 | 9 | リラヴァティ | ノーザンファーム | |
2013 | 1 | 1 | デニムアンドルビー | ノーザンファーム |
2 | 9 | シャトーブランシュ | ノーザンファーム | |
3 | 10 | ウリウリ | ノーザンファーム | |
2012 | 1 | 1 | ジェンティルドンナ | ノーザンファーム |
2 | 2 | ヴィルシーナ | ノーザンファーム | |
3 | 3 | ラスヴェンチュラス | 社台ファーム |
非社台系ファームが馬券圏内に好走したのは過去5年でわずか1頭。2016年2着のクロコスミアはマイペースの逃げでオークス馬シンハライトを最後まで苦しめました。この年は2番人気のジュエラーが桜花賞以来+脚部不安明けから11着と敗退し、勝ったシンハライトもこの後で局部に故障を発生したように、2強の体調が万全とは言えなかったレース。
ローズSは馬券を検討する上で、まずノーザンファー生産馬から検討するのがベター。後は非社台系の馬が上位に来れるかを考えるのがもっとも楽チンですね。
▼過去5年のセントライト記念の1〜3着馬と生産牧場
年 | 着順 | 人気 | 馬 名 | 生産牧場 |
2016 | 1 | 1 | ディーマジェスティ | 服部牧場 |
2 | 2 | ゼーヴィント | ノーザンファーム | |
3 | 3 | プロディガルサン | ノーザンファーム | |
2015 | 1 | 6 | キタサンブラック | ヤナガワ牧場 |
2 | 9 | ミュゼエイリアン | 社台ファーム | |
3 | 10 | ジュンツバサ | ノーザンファーム | |
2014 | 1 | 1 | イスラボニータ | 社台コーポレーション白老F |
2 | 2 | トゥザワールド | ノーザンファーム | |
3 | 10 | タガノグランパ | 新冠タガノファーム | |
2013 | 1 | 3 | ユールシンギング | 社台ファーム |
2 | 5 | ダービーフィズ | 社台ファーム | |
3 | 6 | アドマイヤスピカ | ノーザンファーム | |
2012 | 1 | 1 | フェノーメノ | 追分ファーム |
2 | 14 | スカイディグニティ | 大栄牧場 | |
3 | 4 | ダノンジェラート | ノーザンファーム |
ノーザンファーム生産馬が毎年3着内に1頭は入線しているものの、ローズSに較べて他を圧倒しているわけではありません。ここでの特徴はノーザンファーム生産馬が勝ち切れていないこと。2、3着にスルっと入ってくるイメージですね。こちらは非社台系の生産馬は4頭がも入っているように、菊花賞トライアルは関西の有力馬が次週の神戸新聞杯に回ることも影響しているのでしょう。
今年のローズSとセントライト記念は?
今年のローズSとセントライト記念にもノーザンファーム生産の有力馬が出馬予定。それぞれのレースを見ていきましょう。
GⅡローズS(阪神芝1800m)
ローズSはノーザンファーム生産馬は6頭、社台ファームから2頭が出走予定です。
▼ノーザンファーム
アドマイヤミヤビ
アロマドゥルセ
サトノアリシア
ベルカプリ
ミリッサ
リスグラシュー
(✳︎アドマイヤミヤビは9月13日屈腱炎が判明し、ローズSは回避となりました)
桜花賞・オークスと春のクラシックを沸かせたアドマイヤミヤビとリスグラシューはノーザンファー生産馬。また、牡馬混合の1000万下を快勝してここへ挑むミリッサ(父ダイワメジャー)はシンハライトの半妹という良血馬です。この3頭は上位の人気に支持されるでしょうから、この取捨がポイントになるでしょう。
このなかで注目はハービンジャー産駒のサトノアリシア。牡馬混合の1600万下を3着と好走していることから、直線の長い阪神芝外回りコースを克服できれば面白い存在になります。
ハーツクライ産駒のアドマイヤミヤビとリスグラシューがGⅡローズS('17年)に登場ーーレース展望 - ずんどば競馬
▼社台ファーム
カラクレナイ
ブラックスビーチ
GⅡフィリーズレビューで桜花賞馬レーヌミノルを鮮やかに差し切ったカラクレナイも社台系ファームの出身。桜花賞を5着と好走して臨んだNHKマイルは17着と大敗を喫しているだけに、前走からの立て直しがキーポイント。
スイートピーSを制したディープインパクト産駒のブラックスピーチは関西の名門・角居勝彦厩舎の管理馬。いかにもクラシックらしい配合は魅力的ですね。
ファンディーナは非社台系の生産馬
皐月賞7着からの巻き返しを図りたい怪物牝馬のファンディーナは非社台系の生産馬。1番人気に支持される可能性もある馬で、この馬の取捨がローズSを検討する上での最大のポイントになるでしょう。過去5年から考えると逆風が吹いていますが、2011年の勝ち馬ホエールキャプチャは千代田牧場の生産馬で、非社台系がまったく勝てないレースではありません。ここが難しいところですね。
GⅡセントライト記念(中山芝2200m)
セントライト記念はノーザンファーム生産馬が3頭、社台ファームから2頭、社台コーポレーション白老ファームから3頭が出走予定です。
▼ノーザンファーム
アルアイン
サトノクロニクル
ミッキースワロー
皐月賞馬のアルアインはノーザンファーム生産馬。また、アルアインとサトノクロニクルは関西の名門・池江寿厩舎の管理馬ですから、好走率の高い組み合わせ。池江寿厩舎は2015年のセントライト記念で1番人気のサトノラーゼンを7着と馬券外へ飛ばしているので、その点はいくらか心配ですね。ミッキースワローは中山向きの捲り脚をもっている馬で中山の舞台は合います。
池江泰寿厩舎はフランス遠征で国内の成績を落とすのか?ーーアルアインのGⅡセントライト記念 - ずんどば競馬
▼社台ファーム
インペリアルフィズ
スティッフィリオ
インペリアルフィズは前走500万下を2着、スティッフィリオは前走1000万下を3着した関西馬。後者の母シリアススティテュードは英スプリントGⅠの勝ち馬で、繁殖牝馬としても優秀です。
▼社台コーポレーション白老ファーム
ストロングレヴィル
セダブリランテス
チャロネグロ
この3頭のなかではラジオNIKKEI賞の勝ち馬セダブリランテスが最有力。セダブリランテスは昨年の同レース2着馬ゼーヴィントと同じ牝系の出身で、中山コースを捲るのはドンと来い!
ゼーヴィントはノーザンファームですが、こちらはイスラボニータと同じ白老ファームの生産馬。勝ち切る可能性も十分ですね。
まとめ
ローズSは有力馬の1頭ファンディーナが非社台の生産馬のため、まずはこの取捨がポイントになります。それに対してセントライト記念は1、2番人気が社台系ファーム。どちらもノーザンファームの素質馬が出走するので、今からレースが楽しみです。
以上、お読みいただきありがとうございました。