3歳のマイルチャンピオンを決めるNHKマイルカップ（GⅠ・東京芝1600m）のステップレース・ニュージーランドT（GⅡ）は中山の芝マイルで各馬がスピードを競います。
近年、3歳春の1200m〜1600m戦はそれほどハイレベルな争いにはなりません。昨年のNHKマイルCを桜花賞から参戦したアエロリットが制したように、クラシック級の馬が「アッサリ」とマイル路線を制圧することもあるのです。
今年も桜花賞や皐月賞からマイル路線へ転向する馬もいるでしょうから、ニュージーランドT組はここで高いパフォーマンスを見せておきたいところでしょう。
今年のニュージーランドTの上位人気は？
今年のニュージーランドTはケイアイノーテック、カシアス、ファストアプローチ、カツジなどの重賞好走馬が顔を揃え、人気の中心を形成します。
そのなかで1人気に推されるのは、朝日杯FS4着→前走の500万下を楽勝してここへ臨むケイアイノーテック。朝日杯FSはダノンプレミアムにこそ離されたものの、2着ステルヴィオと3着タワーオブロンドンには「クビ＋ハナ」差の接戦を演じ、この世代トップレベルに位置することを示しました。
波乱の決着が多い重賞レースだけに、まずはケイアイノーテックがここを好走できるのかについて考察します。
ケイアイノーテック 3歳牡馬
父：ディープインパクト
母：ケイアイガーベラ（母父：Smarty Jones）
厩舎：平田修（栗東）
生産：隆栄牧場
ディープインパクト産駒としてはコロンとした馬体をしており、ビュンと加速するパワー型マイラー。ベストは阪神1600mや東京1600mなどの直線の長いコースですが、このパワーがあれば小回りでもOKです。
血統
母ケイアイガーベラは短距離ダートの重賞で活躍し、スピードとパワーの血が詰め込まれた配合をしています。しなやかなディープインパクトはスピードとパワーのある繁殖牝馬との間に多くのGⅠ馬を出しており、ケイアイノーテックも好配合。
母父Smarty JonesはElusive Quality直仔。Gone West系のなかでも底力のあるElusive Qualityは、母父として阪神JFを勝ったショウナンアデラ（父ディープインパクト）を出しています。
ケイアイノーテックはショウナンアデラをよりパワーに寄せた配合で、馬体からも母系に入るDanzigやDamascusの「単調なスピードとパワー」を感じさせます。この馬がビュンと加速できるのは母系に入る血によるものでしょう。
中山芝のマイル戦は？
先にも述べたように、ケイアイノーテックのベストは阪神芝1600m。ただ、Elusive Qualityは器用さを併せもつ種牡馬なので、小回りにも十分に対応可能です。前走のビュンと加速する脚を使えれば、中山芝マイルが大きなマイナスとは言えません。
予想
現在の中山芝は先週に行われたダービー卿CTが1分32秒2の好時計が出たように、高速馬場になっています。この開催は例年、皐月賞に向けて馬場がどんどん軽くなるので、まとまった雨が降り続かなければ（✳︎）、今週も速い時計の出るコンディションでしょう。
✳︎排水性の良い中山芝コースは雨が降ったとしても、その後に日差しが出れば馬場が急速に乾きます。
金曜日の雨が馬場にとれほど影響するのかは未知なものの、時計面は先週と変わらないと判断します。そのため、軽い馬場でも力を発揮できる馬をピックアップしたいところです。
人気薄は内枠から
中山芝1600mはスタートしてすぐに3コーナーがあるため、基本的には外枠が不利なコース形態です。波乱の決着になりやすいニュージーランドTにおいても、馬券圏内に突っ込んだ2桁人気の馬は4枠から内。5枠から外の人気薄はバッサリと切り捨てます。
ケイアイノーテックは8枠
1人気のケイアイノーテックは不利な8枠に入りました。インコースに入ると前が詰まって追い出しの遅れる戸崎騎手が乗りますし、むしろこの枠ならメリハリのある競馬ができる分だけプラスです。
コース・ロスを覚悟して4コーナー手前からビュンと捲るるのなら、8枠が大きな不利になるとは思えません。後は馬場がインベタになっていなければチャンスは十分ですね。
展開
もともとニュージーランドTは1200〜1400mに適性のある馬が出走するこもあるため、ペースが速くなることもあります。今年はスプリント戦をビュンビュンと先行してきた快速馬が不在。
カシアス、エントシャイデンなどの逃げ・先行馬は後続の脚を削ぐようなハイペースにもち込むタイプではないですし、最内のコスモイグナーツはここでハナを切れるかは微妙なところなだけに、ペースはスローでしょう。
前残りと4コーナーからバキュンと捲れる馬をピックアップしたいですね。
内枠の人気薄をピックアップ
まずは2、3着に入線する可能性のある2桁人気の馬を選びます。1〜4枠からピックするので、候補は以下の4頭。
コスモイグナーツ
デルタバローズ
ゴールドギア
エントシャイデン
（内枠から降順）
コスモとエントは2桁人気になるかは微妙なラインですが、前日時点ではこの2頭も入れて考えます。
「厩舎＋騎手」の組み合わせだと、もっとも期待値が高いのは「堀宣行厩舎＋大野騎手」のデルタバローズ。前走は2000mの京成杯を13着と凡走しており、ここはかなりの人気薄となりました。馬の能力は抜きにして、押さえておきたい1頭です。
ニュージーランドTで穴を出すのは、500万下を勝ち切れずにここへ出走する馬なので、ゴールドギアとエントシャイデンもOK。コスモイグナーツは最内枠ですから「逃げ」るしかなく、展開を考えると苦しいレースになりますね。
△ゴールドギア
△デルタバローズ
△エントシャイデン
△アイスフィヨルド
エントシャイデンはブランボヌールの全弟で小回りもOKなタイプ。ただ、田中勝春騎手ですし、人気になるようなら外します。
最後にソコソコの人気に収まっているアイスフィヨルドもピック。内枠の北村宏司騎手ですから、押さえておいて損はありません。
1着候補は？
1着候補は今の「戸崎騎手」が重賞を勝てるのかに不安があるものの、このメンバーなら……。骨っぽい相手もいないですし、大外枠に入ったことで単勝オッズが2.5倍前後なら。
◎ケイアイノーテック
上位人気のなかでこの馬を◎にした理由は、「3歳重賞なら戸崎騎手でも勝てる可能性が高いのでは？」という点。このレースはM・デムーロもC・ルメールもいないですし、ケイアイノーテックなら外目をスムーズに捲れば届くはずです。
上位人気馬からもう1頭をピック
ニュージーランドTは上位人気馬が総崩れというのはなかなかないので、ケイアイノーテックが崩れた場合の保険として、△ファストアプローチを抑えます。藤沢和雄厩舎は外国人ジョッキーでないと勝てないのがネック。そうは言っても、カツジやカシアスなどの上位人気馬が勝てるイメージが湧きにくいので……。このところ絶不調の田辺騎手ですが、ソロソロ目覚めの時期ではないか、と……。
買い目
ケイアイノーテック1着固定の3連単を。△のファストアプローチが絡むものはオッズを見てから買い方を考えます。後は保険で△からの3連複フォーメーションを。
3連単
1着：14
2着：2. 3. 4. 7. 10
3着：2. 3. 4. 7. 10
3連複
1軸目：2. 3. 4. 7
2軸目：2. 3. 4. 7
3軸目：10. 14
まとめ
ニュージーランドTは波乱の要素が強いとは言え、人気薄での1-2-3となったのは雨の降りしきる渋った馬場で行われた昨年のみ。ほぼ1〜3人気のどれかは絡むので、買い目は上記にしました。
皆様にとっても素晴らしいレースになりますように。
以上、お読みいただきありがとうございました。
