米GⅠ4勝などの名牝ステラマドリッドは日本でも枝葉が広がる名繁殖牝馬です。ミッキーアイル、アエロリット、ラッキーライラックは3代母にこの血を引く芝GⅠ馬。ステラマドリッド牝系の日本における活躍馬は、前向きな気性とスピードを活かした先行で、前々から粘り込むレースを得意としています。
この前向きな気性は、ステラマドリッドの父Alyderと母父父Gallant Manによるもの。この2つの血を引く日本での活躍馬と言えば、パワー型スプリンターとして鳴らしたギャラントアローで、ガンガンと突進するような先行力がもち味でした。
ミッキーアイルとアエロリットは逃げ・先行でGⅠを制し、ラッキーライラックが小気味の良い先行力を発揮するのも、3代母の影響が強く出ているからでしょう。この牝系から資質の似た活躍馬が出るということは、ステラマドリッドの遺伝力が強いことを示しています。
ビュンとキレないストライド走法
ミッキーアイル、アエロリット、ラッキーライラックはストライド走法(身体を伸縮させて大きなフットワークで走る)ながら、「ビュン」とキレる脚に欠きます。先週のヴィクトリアマイルに出走したアエロリットがゴールまでジリジリと伸び続けていたように、この牝系の活躍馬は「キレ」よりも持続的な末脚が武器です。
ラッキーライラックにもこの傾向は受け継がれており、パワフルなストライドでズドーンと脚を使います。この馬が前目のポジションに付けるのは、理にかなっていると言えるでしょう。
名繁殖牝馬ライラックスアンドレース
ラッキーライラックの母ライラックスアンドレースは父Flower Alley×母Refinementという配合。Flower Alleyは日本のGⅠ馬トーセンラー=スピルバーグ全兄弟(父ディープインパクト)の半兄で、その母プリンセスオリビアは活躍馬が目白押しの名繁殖牝馬です。
ライラックスアンドレースは代々にわたって名種牡馬・名繁殖牝馬が掛け合わされており、思わずため息が出るほどの優れた配合。オルフェーヴルとの間にGⅠ馬を産んだことから、今後はどのような種牡馬を配しても高確率でOP級の馬が出るでしょう。
ライラックスアンドレースの弱点は?
名繁殖牝馬に「なる(だろう)」と期待されるライラックスアンドレースにも、1つだけ弱点があります。それは揉まれ弱いVaguely Nobleの血を引くこと……。
「またかー!?」と思った人はこのブログをよく読んでくれている人で、先日も「名繁殖牝馬エリモピクシー」について書いたときに、Vaguely Nobleの話をしました。
ラッキーライラックの姉ラルク(父ダイワメジャー)は、揉まれずに逃げ・先行できると能力を発揮する馬。馬群の中だとアッサリと大敗することもあり、気性の難しさは母譲りでしょう。
繁殖牝馬はVaguely NobleやWild Riskなど難しい気性を取り込むことも大切で、扱いが大変な分だけ強い遺伝力を発揮することもあります。ライラックスアンドレースやエリモピクシーが引くVaguely Nobleは揉まれ弱い反面、スタミナと底力に優れているのです。
ラッキーライラックは揉まれ弱い?
ラッキーライラックは前走の桜花賞で1枠1番からのレースとなったものの、馬群の中でイヤがる素振りもなく我慢の利いた走りができました。ただ、桜花賞は前半3Fが34.5と流れたこともあって、3〜4コーナーにかけて窮屈なシーンもなく、スムーズなレースだったことも確か……。まだ、揉まれてもOKなのかは未知数です。
オークスは1枠2番に入ったものの、石橋脩騎手がスタートから勇気をもって出して行けば、3・4番手が取れる組み合わせ。下手に中団のインを取ると、揉まれ弱さが顔を出す可能性もあり、心配点はそこでしょうね。中距離レースとあって、ペースが緩み馬群が凝縮するようだと不安が増します。
今年のオークスは?
さて、今年のオークスはどうなるのでしょうか?
単勝1倍台の支持を受けそうなアーモンドアイとラッキーライラックが揃って馬券外になる可能性は薄そうで……。3連単なら2・3点で仕留めたいところでしょう。ただ、展開やペースによって、上位の着順は入れ替わることもあるだけに、どのように馬券を買うのかが難しい……。
東京は予想されていた雨の影響もそれほど受けておらず、先週の「高速馬場」は続いています。う〜ん、「人気から人気薄」という馬券しか買えないので、どうしようか迷ってしまう……。
人気薄で面白そうな馬がいない……
昨年のオークスは◎ソウルスターリング、◯ディアドラ、▲モーヴサファイアの3頭を買い、◎1着、◯4着という内容でした。今年はディアドラのような人気薄で面白そうな馬がおらず……。
オークスなどのクラシック・レースは「生産者・ローテーション」などで絞れるのですが、ソコソコ人気がなくて上記に当てはまるのは以下の2頭です。
カンタービレ
レッドサクヤ
どちらも「乗り替わり」はマイナス。とくにカンタービレは「テン乗り」なので、これは苦しい……。オークスやダービーなどのクラシックは「テン乗り」で勝てるほど甘くはありません。2頭の比較で言えば、福永騎手が手綱を取ったことがあるレッドサクヤが上ですね。
レッドサクヤは3着……
レッドサクヤは桜花賞でも◎にした馬なので、能力的に全く足りないとは思えません。ただ、4分の3姉のGⅠ馬エイジアンウインズに似て、マイラー色が強いだけに、距離が延びてパフォーマンスが上がるかは「?」が付きます。枠の並びとして、ラッキーライラックやリリーノーブルなどの後ろのポジションが取れそうで、そこを利して3着に……。
1着と2着は?
2強の比較で言えば、スローになればアーモンドアイ>ラッキーライラック。また、ラッキーは中団で脚をためるような競馬だと馬群をさばけるのかが少しだけ不安ではあります。
ラッキーライラックが1着になる展開だと2着はアーモンドアイとリリーノーブルの2頭、アーモンドが1着なら2着はリリーでしょうね。というわけで、買い目は3点になります。
買い目
3連単でレッドサクヤを3着に固定します。アーモンドアイ1着とラッキーライラック1着の2パターンで。
3連単
1着:アーモンドアイ
2着:リリーノーブル
3着:レッドサクヤ
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1着:ラッキーライラック
2着:アーモンドアイ・リリーノーブル
3着:レッドサクヤ
まとめ
今年のオークスは馬券よりもアーモンドアイやラッキーライラックがどのような走りをするのかに注目したいレース。
アーモンドアイの2冠がなるのか、それとも2歳女王の巻き返しになるのか、今からレースが楽しみですね。
以上、お読みいただきありがとうございました。