リリーノーブルとマウレアは桜花賞(2018年)で2歳女王を逆転できるのか?

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3歳クラシックは阪神芝1600mで行われる桜花賞からその幕を開けます。今年は「2歳女王+4戦4勝」のラッキーライラックが主役。前走のチューリップ賞は休み明けをものともせず、阪神JF上位組のマウレアとリリーノーブルをアッサリと退けて快勝しました。

シンザン記念を快勝して臨むアーモンドアイが2人気に推されているように、ラッキーライラックとすでに対戦している「阪神JFやチューリップ賞組の逆転は難しいのでは……」というのが大方の見方でしょう。

今回の記事では、阪神JFとチューリップ賞でともに2、3着と好走したリリーノーブルとマウレアが、「桜花賞でラッキーライラックを逆転できるのか?」について考察します。

 

2歳女王が敗れたのは?

桜花賞はここ2年、単勝1倍台に押された2歳女王が敗れています。

2016年

1着:ジュエラー(阪神JF未出走)

2着:シンハライト(阪神JF未出走)

3着:アットザシーサイド(阪神JF5着)

4着:メジャーエンブレム(阪神JF1着)

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2017年

1着:レーヌミノル(阪神JF3着)

2着:リスグラシュー(阪神JF2着)

3着:ソウルスターリング(阪神JF1着)

一昨年のメジャーエンブレムは未対戦のジュエラーとシンハライトだけではなく、阪神JFで5着に下したアットザシーサイドに先着を許しました。また、昨年の1人気ソウルスターリングは阪神JFで下したレーヌミノルとリスグラシューに逆転を許しており、「勝負付けが済んだ」と考えられている馬にとっても馬場や展開によってはチャンスも出てきます。

ここ2年における2歳女王の敗因は「展開」や「馬場」に泣かされたことも確かです。「レースは生きもの」、「勝負は水もの」とよく言われるように、どんな展開や馬場やコースであっても勝ち切れる馬などそうそういるわけではありません。「勝負付けが済んでいる」と思われている馬でも、条件が揃いさえすれば逆転の可能性もあるのです。

 

今年と昨年の桜花賞路線は似ている

今年の桜花賞は「2歳女王+4戦4勝」のラッキーライラックが主役を務め、脇を固めるのは阪神JF→チューリップ賞でも上位に入線したリリーノーブルとマウレア、そして別路線組のアーモンドアイです。

この図式は既視感が……そう、昨年はソウルスターリングが主役を務め、阪神JF→チューリップ賞ともに2着のリスグラシュー、別路線組のアドマイヤミヤビが人気の中心となりました。

阪神JF3着→フィリーズレビュー2着のレーヌミノルが、「1400mベスト」と判断されて大きく人気を落としていたものの、昨年と今年の桜花賞における大まかな図式は似通っていると言えるでしょう。

 

今年も稍重馬場だと紛れも……

昨年の桜花賞は稍重馬場。タフな馬場+前後半800m46.5 - 48.0のハイペースになったことで、中距離馬のソウルスターリングとリスグラシューは苦しく、マイラーとしての資質の高さを利したレーヌミノルが逆転を果たしました。

今年も週末にかけて雨が降り、馬場が悪化するようだと紛れも出てくるかもしれません。ただ、ラッキーライラックはビュンとキレる脚を使えるわけではないので、時計のかかる馬場そのものは得意なタイプ。「馬場が重くなった」→勝てないとは言い切れません。

 

リリーノーブルとマウレア

ここからはリリーノーブルとマウレアの2頭に焦点を絞って、「逆転の可能性」について考えてみましょう。まずはそれぞれの特徴をおさらいします。

 

リリーノーブル 3歳牝馬

父:ルーラーシップ

母:ピュアチャプレット(母父:クロフネ)

厩舎:藤岡健一(栗東)

生産:ノーザンファーム

先行力と器用さを併せもち、レースにおける立ち回りの巧さとパワフルなストライドが最大の武器。阪神JFはラッキーライラックに敗れたものの、ゴール前まで叩き合いを演じたことから、2頭にそれほど大きな能力の差はありません。

ノーザンファーム生産馬、チューリップ賞からのローテーション、川田騎手の継続騎乗と桜花賞に向けての準備は万全。休み明けを叩いた上積みで逆転を狙います。

 

パプティスタ牝系

祖母パプティスタは重賞馬こそ出していませんが、イースター、デウスウルト、バティスティーニなどの活躍馬を産んだ好繁殖牝馬。この牝系はコンスタントに走る馬が出ています。

リリーノーブルは牝馬ということもあって、デウスウルトほどパワーに寄っている馬ではなく、コースの適性は「東京>阪神>中京>中山=京都」。東京芝1800がベスト・コースの長めマイラーで、いかにもバプティスタの牝系らしい馬です。

この牝系の最大の弱点は、OP級の活躍を見せる馬がコンスタントに出る反面、重賞勝ち馬がいないこと……。アベレージが高くてもホームランを打たないのが難点で、リリーノーブルがGⅠを勝てるのかは「?」が付きます。

 

ラッキーライラックに先着するとしたら

リリーノーブルがラッキーライラックに先着するとしたら、昨年の桜花賞のようにこの2頭の前を「レーヌミノル」的な馬が先頭でゴールするシーンが……。

リリーノーブルは好素質馬ですが、重賞では後もうワンパンチ足りない牝系の出身。もちろん、ノーザンファーム生産、川田騎手の継続騎乗などのプラス要素がGⅠ制覇への後押しにはなります……。

まとめると、ラッキーライラックに先着する可能性はあるものの、GⅠを勝つまでは後一歩足りないというのがこの馬の評価です。

 

マウレア 3歳牝馬

父:ディープインパクト

母:バイザキャット(母父:Storm  Cat)

厩舎:手塚貴久(美浦)

生産:下河辺牧場

桜花賞馬アユサンの全妹で、これまでのレースぶりからも高い素質をもっていることは間違いありません。この馬の場合、「対ラッキーライラック」というよりも、桜花賞を好走できるのかに不安があります。

 

桜花賞での不安点

マウレアの抱える桜花賞での不安点は以下の通りです。

1. ローテーション

2. 中距離馬

 

ローテーション

陣営は当初、クイーンC→桜花賞のローテーションを組みました。ところが、賞金を加算するためのクイーンCで5着に敗れたことから、急遽チューリップ賞に出走することに……。その前走は馬体重を8kg減らしての出走となり、2着好走と引き替えにダメージが残るものでした。

桜花賞はふたたび関西への長距離輸送とあって、さらなる上積みは期待薄。ローテーションだけ取れば、不安の大きな1頭です。

 

中距離馬

マウレアはアユサンよりも胴の長い馬体をしており、マイラーというよりも中距離馬でしょう。東京芝1600mで行われたクイーンCはハイペースを追走しての5着。中距離馬はマイル戦の前傾ラップだと追走に脚を使ってしまい、直線で伸びを欠いてしまうことがままあります。

前後半800mが47.5 - 46.0くらいのスロー・バランスであれば、マウレアにとっては差しやすい質のラップですが、それよりも速くなるようだと不安が大きく……。

 

レースへの準備が……

マウレアは先にも述べた通り、青写真通りに桜花賞へ向かうことができませんでした。それに加えて、非社台系ファームの生産馬ですから、「レースへの準備」という面でもマイナス。

武豊騎手がチューリップ賞に続いて手綱を取るのはプラスも、前走で大きく減らした馬体重と回復も心配です。レースに向けてのマイナス面がどうしても目立ってしまいます。

 

ラッキーライラックに対して

マウレアがマイルの桜花賞でラッキーライラックを逆転できるかは難しい……。距離の延びるオークスであれば、まだ先着の目もあるとは思います。

この馬については「勝負付けが済んでいる」うんぬんではなく、「マイル+臨戦過程」の点で桜花賞を好走できるのかが疑わしいのです。

 

ラッキーライラックは1枠1番

4月5日(木)に桜花賞の枠順が確定し、ラッキーライラックは1枠1番に入りました。母系に揉まれ弱いVaguely Nobleが入り、半姉のラルク(父ディープインパクト)もすんなりと逃げないと好走できないタイプだけに、この枠はさすがに厳しいですね。

ポンと好スタートさえ切れば逃げるのがベストとは言え、阪神外回りの桜花賞を的確なペースで逃げられるのかは難しい……。さすがにレッツゴードンキのようなドスローに落とすのは危険過ぎますし、石橋脩騎手の手腕が問われます。

リリーノーブルは5枠9番、マウレアは8枠17番に入り、2頭ともに悪くない枠を引きました。

 

まとめ

2〜3歳春の牝馬路線は「阪神JF→チューリップ賞→桜花賞」が王道です。この3レースはすべて阪神芝1600mで行われるため、「コース適性の差で逆転!」はほぼありません……。

阪神JFとチューリップ賞のレースぶりから、リリーノーブルとマウレアの2頭は「2歳女王との勝負付けが済んでいる馬」と捉えられても仕方がないのです。

ただ、昨年はレーヌミノルがソウルスターリングを下していますし、上記の2頭にもチャンスはあります。桜花賞の栄冠は2歳女王かそれとも他の馬に輝くのか、今からレースが楽しみですね。

以上、お読みいただきありがとうございました。