新設GⅠの大阪杯は阪神芝2000mの内回りコースで行われます。
昨年の古馬チャンピオンのキタサンブラック、ダービ馬のマカヒキなど好メンバーが揃った大阪杯の初代王者はどの馬でしょうか? 今からレースが楽しみですね。
阪神の芝状態
土曜日の芝は稍重でレースがスタートしました。古馬500万下と1000万下の芝1400mの勝ちタイムが1:22.1と良馬場に近い水準だったこと、午後には晴れ間が差していたことを考えると、日曜日は乾いた状態でレースが行われそうです。
阪神の芝2000m(内回り)
大阪杯は阪神の芝2000m(内回り)で行われます。内回りはコーナーを曲がるときの器用さも要求され、直線だけで追い込もうとする馬には不利なコースです。そのため、内回りと外回りではそれぞれ求められる適性が異なります。
内回り
ピッチ走法やコーナーを減速しないで曲がれる器用さ(機動力)のある馬が適性としてはずんどば
外回り
ストライド走法や身体を伸縮させて走るようなしなやかさを持った馬に有利。
大阪杯は内回りですから、ピッチ走法>ストライド、パワー>しなやかさ、器用にコーナーを回れる機動力をもったタイプを狙いたいレースです。
出走馬を内回りと外回りでは色分けすると
今年の大阪杯に出走するメンバーは内回りと外回りのどちらに適性があるのでしょうか?
1頭毎に見ていきましょう。
ミッキーロケット
ベストパフォーマンスが、サトノダイヤモンドの2着に好走した神戸新聞杯とシャケトラを下して1着になった日経新春杯からも、ストライドを伸ばせる外回りコースが適性として合っています。
アングライフェン
ステイゴールド産駒らしいパワーのあるピッチ走法で、阪神の内回りは適性としてはずんどば。
スズカデヴィアス
ストライド走法ですが、フォームがしなやかに伸びるタイプではなく、どちらかと言えばパワー型。内回りでも外回りでも一定のパフォーマンスが発揮できる反面、ずんどばなコースが見極めにくい馬です。
ステファノス
重厚な斬れ方をするストライド走法。パワーがあるので、軽い瞬発力勝負よりも締まった流れの方が持ち味を発揮できます。本質的には外回り>内回りですが、パワーがあるので阪神コースはプラスです。
キタサンブラック
コーナーや下り坂でスムーズに加速できる機動力をもっていますが、前肢をしなやかに伸ばすストライド走法なので、内回り=外回りのタイプ。ただ、ハイレベルなレースだったとは言え、昨年、宝塚記念と有馬記念という内回りコースでは3、2着と勝ち切れていないのは事実ですから、やや外回り向きのタイプと言えます。
サクラアンプルール
強敵相手の中山記念で、内をロスなく捌いてきたように、ピッチで加速する機動力に優れた馬です。パワーもあるので阪神内回りは適性としては合っています。
サトノクラウン
無駄のない脚捌きで、平均的な脚を長く持続できるストライド走法。ただ、しなやかさよりもパワーの勝ったタイプで上りのかかる外回りがベスト。いつもコーナーで置かれ気味になるのは機動力に欠けるからと言えます。
ロードヴァンドール
ダイワメジャー産駒らしいパワータイプで、ピッチとまではいきませんが、前肢が力強く地面を蹴る走法で機動力のあるタイプ。内回りの方がパフォーマンスは上がります。
ディサイファ
ディープインパクト産駒としてはスパッとは斬れないパワー型で、歳を重ねるにつれて母父のDubai Millenium(Seeking the Gold直仔)の影響が強く出てきており、上りがかかるレースに向くようになりました。外回りに比べて内回りは上りがかかりやすいので、適性としては阪神の内回りはずんどばです。
モンドインテロ
父ディープインパクト×母父ブライアンズタイムで、パワーのある捲り脚をもつタイプ。東京や外回りの瞬発力比べになると鋭さ負けをしてしまうため、上りがかかれるレースに向きます。Roberto的なパワーで捲るので機動力も備えており、阪神の内回りは適性としてはずんどば。
マルターズアポジー
走るとしなやかさを感じさせますが、小回り向きの機動力をもったピッチ走法。コーナーでスピードが落ちないことからも内回り>外回りという適性と言えます。
アンビシャス
ディープインパクト産駒ながら母父エルコンドルパサーのパワーが表現され、重厚な斬れ方をする馬。ストライドで走るので、本質は外回り>内回り。ただ、パワーがあることからも阪神や中山などの上りのかかるコースがベターです。
ヤマカツエース
ピッチともストライドとも言えないパワー型の走法が特徴。前肢がしなやかに伸びるタイプではないので、コーナーを曲がる時の機動力に優れています。上りのかかるレースの方がベターですから、阪神の内回りはほぼベストのコース。
マカヒキ
父ディープインパクト×フレンチデピュティですから、ショウナンパンドラと同じようにしなやかなフォームで走ります。Haloのクロスがあることからも、ストライドを伸ばすというよりは俊敏に脚を動かせるタイプで、ダービーで見せた切れ味が真骨頂です。弥生賞を完勝しているように、Haloクロスらしい機動力に優れているので、本来は内回り>外回りという適性。
予想
それでは、大阪杯の予想を張り切って!
レース展開とペース
マルターズアポジーがダービー卿CTではなく大阪杯に出走してきました。テンの速さから考えてもキタサンブラックとロードヴァンドールを制してマルターズアポジーがハナヘ。
緩めずに逃げるマルターズアポジーと後ろとの差がどれくらい開くかが大阪杯のレース展開を読む上で重要です。11秒台のラップを連発した小倉大賞典のような逃げに持ち込むのかどうか…
マルターズアポジーが後ろを離して逃げるのであれば、実質はキタサンブラックのペースメイクになりそうです。
昨年の宝塚記念、キタサンブラックは3角の下り坂から少しずつペースを上げ、4角手前から後ろを引き離す6Fの持続戦へ持ち込みました。ワンアンドオンリーやサトノノブレスに突かれたとは言え、この積極的な仕掛けによってグランプリレースに相応しい消耗戦に。
大阪杯ではここまで締まったペースになるとは思えませんが、キタサンブラックが内回りでそれほどペースを落とすとは考えにくく…
マルターズアポジーとの兼ね合いを考えても大阪杯は前傾ラップのレースになりそうです。
◎マカヒキ
マカヒキは父ディープインパクト×母父フレンチデピュティと、ショウナンパンドラをはじめ活躍馬を続々と輩出する血統。
ダービーは2000mベストの瞬発力型が勝ちやすいレースで、マカヒキは弥生賞や皐月賞の内容を見ても2000m前後がベストでしょう。
Haloクロスらしい俊敏な脚捌きでコーナーを捲れるように、内回りコースは適性として合っている舞台です。
凱旋門賞からの海外帰り初戦となった京都記念は重馬場の影響もあったと思いますが、調整そのものが難しかったはずで、大きく崩れることなく3着に入線したのは力のある証拠と言えます。
ハイペースによって1:57.9のレースレコードが記録された昨年の皐月賞で2着に好走しているように、内回りであれば持続戦になってもOK。馬群に包まれることなくこの馬のタイミングで捲ることができる大外枠もプラスで、サトノダイヤモンドに続くキタサンブラック超えなるかに注目です。
◯キタサンブラック
GⅠの舞台で、武豊騎手のペースメイクに応えて緩急自在に動けるのがこの馬の最大の長所です。
サトノダイヤモンドとのクビ差の接戦となった有馬記念の疲れが取れているのか、 休み明けに加えて次の天皇賞・春に向けて余裕残しの仕上げではないかなど、キタサンブラックにも死角はあります。
ただ、いくらマイナス面を探してもこの馬の強さを否定できるわけではありません。昨年の宝塚記念、有馬記念という内回りコースの持続戦で見せた強さは一流馬だからこそのパフォーマンスでした。今年の大阪杯のメンバーはマカヒキを除くと新興勢力がいない組み合わせ。キタサンブラックにとっては与し易いメンバーであることは確かです。
一つだけ気になるのは、大阪杯が内回りコースで行われること。昨年の宝塚記念も有馬記念も強い内容だったとは言え、着順は3、2着と勝ち切れませんでした。この部分が引っかかり◯の印に。昨年キタサンブラックが負けたのは、アンビシャス、マリアライト、ドゥラメンテ、サトノダイヤモンドですから、そのレベルの馬でないと休み明けであっても勝つのは難しいと言えます。
マカヒキとキタサンブラックが大阪杯では名勝負を繰り広げることを期待して。
▲モンドインテロ
この2頭の間に割って入れるのは…と考えると、父ディープインパクト×母父ブライアンズタイムのこの馬の捲りに期待したいところです。
マルターズアポジーの逃げに乗り、キタサンブラックが宝塚記念のような持続戦に持ち込むのであれば、この馬の捲りが届くシーンも。
少なくとも内回りの大阪杯であれば、ミッキーロケットの勝った日経新春杯3着よりもパフォーマンスは上げられると思います。
印としては▲にしましたが、2、3着としての狙いです。
大阪杯はこれ以上印を打ちたい馬がいないので、人気になっている3頭について簡単に解説しておきます。
ヤマカツエース
有馬記念は上り最速で4着、年明け初戦となった金鯱賞は好メンバー相手に完勝と地力が確実にアップしているのがわかります。
阪神コースでは結果が出ていませんが、大阪杯はこの馬の適性に合っている舞台。ただ、昨年のGⅠ戦線を見ても、締まった流れで勝ちに行く競馬をするとだらしないのがこの馬の特徴です。
'16年の有馬記念は直線で追い込んでの4着で、4角手前で仕掛けたシュヴァルグランやミッキークイーンを交わす脚を見せましたが、勝ちに行く競馬ではなかったことも確か。大阪杯でも「3着に入ればOK」というレースをするなら掲示板を確保する可能性は高いものの、さすがにこの人気だともう少し仕掛けは早くなるはずです。勝ちに行った時にこのメンバーで好走できるのかは疑問なので…
サトノクラウン
ストライド走法で、平均的に長く脚を使うタイプ。内回りコースの2000mは適性としてはずれています。上りのかかる阪神はOKですが、どうしてもコーナーで置かれてしまうと思うので…
Mデムーロ+堀厩舎はドゥラメンテ、ネオリアリズム、そして同馬と勝率、連対率共に高い数字を上げているので、怖いことは怖いのですが…やはり、2400m以上の外回りコースがサトノクラウンのスイートスポットだと思います。
アンビシャス
音無調教師は大阪杯に向けてのインタビューで、折り合いに専念+後方からの競馬を示唆しました。
GⅠレベルの馬ですし、昨年の大阪杯ではキタサンブラックを下してもいます。でも、末脚がハマれば、とか言っているのであれば、印を打ちたくない1頭です。
昨年の宝塚記念のように持続戦になればアンビシャスが追い込める可能性は高くなりますし、ワンテンポ仕掛けを遅らせて差すのは福永騎手の真骨頂ですから、ハマれば勝ち切ることもあり得ます。
ただね、後方に控える競馬をするなら、やはり買いたくはないのです。
アンビシャスについては以下の記事も参考にして下さい。
買い目
◎マカヒキ、◯キタサンブラック、▲モンドインテロの3連単で。
1着:14. 5
2着:14. 5. 10
3着:14. 5. 10
まとめ
昨年の有馬記念のように、マカヒキとキタサンブラックの名勝負が見たい'17年の大阪杯。
今からレースが楽しみですね。
皆様にとっても素晴らしいレースになりますように。
以上、お読みいただきありがとうございました。