阪神の内回り芝1400mで施行される重賞は、阪急杯、フィリーズレビュー、阪神牝馬S、阪神Cの4レース。
古馬重賞の阪急杯と阪神Cがリピーターレースとして広く知られているように、阪神内回りの芝1400mは適性のある馬が活躍するコースです。
フィリーズレビューは3歳牝馬限定の重賞だから
とは言え、桜花賞トライアルのフィリーズレビューはまだ完成途上な3歳牝馬限定の重賞ですから、過去のレース内容や血統表をあれこれと眺めて、「どのような馬に完成するのだろうか?」と想像しながら予想をすることになります。
ちなみに、桜花賞につながる重賞ということもあって、純粋に「能力>適性」で決まってしまうこともあるので、フィリーズレビューは予想が難しいレースの1つ。
阪神内回りの1400mがベストではないけれど、馬個体の能力が飛び抜けていた例としてはーー
◯メイショウマンボ(オークス、秋華賞、エリザベス女王杯1着)
クイーンズリングなどはフィリーズレビューでの馬体重が前走比−20kgで馬のデキもベストとは言い切れない上での勝利ですから、本当に予想は難しいものです。
フィリーズレビューの出走馬の中で
17年のフィリーズレビュー出走予定馬の中で、人気を集める重賞勝ち馬の2頭、ジューヌエコールとレーヌミノルは、能力と阪神芝1400mの適性面においてどのような評価をすればよいでしょうか?
ジューヌエコール
父:クロフネ
母:ルミナスポイント(母父アグネスタキオン)
GⅡデイリー杯2歳ステークスに勝ったジューヌエコールはGⅠ阪神JFに出走しますが、レースでは3角過ぎまで折り合いを欠いてしまい、直線で失速しての11着敗退。
デイリー杯では好位のインで我慢をする競馬ができていただけに、前向きすぎる気性で自滅の形になった阪神JFは残念な結果になってしまいました。
血統的に
ジューヌエコールの母ルミナスポイントはダートの短距離でオープン入りを果たした競走馬で、母母のソニンクからはランフォルセやノーザンリバーといったダートの活躍馬が多数出ています。
クロフネに母がダートの短距離馬ですから、ジューヌエコールはパワーのあるスプリンターで、マイルのGⅡデイリー杯を勝っていますが本質的には1200〜1400mに適性があるタイプです。デイリー杯を観てもコーナーの部分ですっとスピードを上げられるので、内回りもOK。このコーナーでの無駄のない脚捌きは母ルミナスポイントのもつHaloの素軽さに由来するものだと思います。
また、安田隆行厩舎は、ロードカナロア、カレンチャンなどの短距離馬を育てるのに優れているのもジューヌエコールの将来を考えるとプラスです。
レーヌミノル
父:ダイワメジャー
母:ダイワエンジェル(母父タイキシャトル)
厩舎:本田勝(栗東)
小倉2歳ステークスを1:08.0の好タイムで圧勝したために、血統の字面以上に1200〜1400ベストのタイプです。淀みのないペースで流れた阪神JFではソウルスターリングの3着とマイルにも対応しましたが、やはり本質的には距離が少し長いのかなという走り。ハイレベルな1戦だった前走のクイーンCも坂を駆け上がったところ(残り200mを切ったあたり)でアドマイヤミヤビとアエロリットにあっさりと突き放されてしまいました。
血統的に
父のダイワメジャーから粘着的なしぶとい脚を、母父のタイキシャトルからスピードを補完する配合で、先行して粘り強いタイプに出たのは順当。
母ダイワエンジェルの仔の中でもレーヌミノルは高いスピード能力をもった馬で、小倉2歳ステークスを好時計勝ちしてしまう軽さがある反面、阪神芝内回り1400mの持続力とパワーが要求される舞台で高いパフォーマンスを発揮できるのかは「?」がつきます。
2頭の比較
阪神芝1400mであれば、適性としてはジューヌエコール>レーヌミノル。
フィリーズレビューは1400mという距離であることから、マイラーだけではなく短距離タイプが出走することもあり、それほどスローにならないのが特徴です。もちろん内回りコースなので、能力差がないと外からの差し・追い込みは難しく、上がりのかかるところをじりじりと伸びるタイプに向きます。
今年の阪急杯で大穴の立役者となったナガラオリオンが初芝でも3着に突っ込んできたように、レースのラップがダートの短距離に近い後半失速ラップになることもあるので、将来的にダートを走っていそうな馬にもチャンスがあるレース。
その観点からも、母がダート短距離の競走馬だったジューヌエコールに分がありそうです。
まとめ
ジューヌエコールもレーヌミノルも、今年の夏にはアイビスサマーダッシュを走っていそうな血統構成とスピードをもっています。どちらも1400mの適性は高いものがありますが、阪神芝1400mマイスターはどちらになるのか今からレースが楽しみですね。