エリザベス女王杯(2017年)は1〜4人気が母系にBlushing Groomを引く馬たちーーレース展望

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2017年のエリザベス女王杯(GⅠ・京都芝2200m)は、中距離の「女王」を決めるのにふさわしい豪華なメンバーが揃いました。

近年は、ジェンティルドンナやショウナンパンドラのように、中距離に適性のある牝馬がジャパンカップを目標にすることもままありましたが、今年は実力のある牝馬の多くがエリザベス女王杯に出走します。

出走馬登録を見た時点から、「素晴らしいレース」を期待したくなるメンバーが揃っただけに、どんな結末になるのかが今から楽しみですね。

 

繁殖牝馬としても期待される「才媛」たち

今年のエリザベス女王杯は、現3歳以上の牝馬による「中距離の女王」を決めるのにふさわしい1戦です。繁殖牝馬としても期待される「才女」たちの熱い戦い……。

出走メンバーを見ていると、ついつい「この馬にこの種牡馬を配したら、こんな仔が産まれるのかな」などと想像を巡らせてしまいますね。

 

ヴィブロスとディアドラの類似点

ハービンジャー産駒として初めてGⅠを制した秋華賞馬ディアドラは、その母ライツェントがスペシャルウィーク×Machiavellian×Nureyevという配合。

ヴィブロスとヴィルシーナの全姉妹はディープインパクト×Machiavellian×Nureyevの配合ですから、ここにハービンジャーを付けると、ディアドラと似た血統構成の仔が産まれることになるのです。

ヴィブロスとディアドラが秋華賞を制しているのは、ともに内回り向きの機動力を伝えるHaloのクロスがあるからで、競走能力や細かな適性は異なるとしても、この2頭は「幹」が同じだと言えます。

✳︎ディアドラの母ライツェントは、BMSとしても優秀なスペシャルウィーク、Machiavellian、Nureyevという種牡馬が代々重ねられており、今後も注目の繁殖牝馬です。

 

母系に目が行く今年のエリザベス女王杯

これだけの才媛たちがドーンと揃うGⅠはそうそうあるわけではないので、それぞれの母系を見て、「ああでもないこうでもない」と想像するのは、競馬ファンとしてとても幸せな時間なのでしょう。

 

母系にBlushing Groomの血を引く馬たち

今年の出走馬の母系を見ると、上位人気の馬はBlushing Groomの血を引いていることがわかります。 

Blushing Groomを母系に引く

クロコスミア

スマートレイアー

ミッキークイーン

ルージュバック

ヴィブロス

(50音順に並べています)

上位人気に推される馬(赤色でマーク)は、ディアドラをのぞいてすべて母系にBlushing Groomを引きます。Northern DancerやMr. Prospectorのように子々孫々まで枝葉が広がっているとは言えないものの、Blushing Groomは母系に入ってその「しなやかな」なスピードと底力を伝えています。

*Blushing Groomの馬名の意味は「赤面する花嫁」。

参照:ブラッシンググルーム - Wikipedia

 

BMSとして優秀

日本では、父系としてサクラローレル(父Rainbow QuestがBlushing Groom直仔)やマチカネフクキタル(父クリスタルグリッターズがBlushing Groom直仔)を出し、BMSとしてマヤノトップガンやテイエムオペラオーなどを出しています。

上の4頭はいずれも栗毛(サクラローレルは栃栗毛)というのも、Blushing Groom(栗毛)の影響が強く出ているからでしょう。どれもしなやかな脚さばきでバキューンと伸びてくる馬たちで、小回りでも直線の長いコースでも好走するのが特徴でした。

父系よりも母系に入ると優秀で、安田記念と天皇賞・秋を制したヤマニンゼファー、オークス馬レディパステルの母父がBlushing Groomです。

 

ヴィブロス=ヴィルシーナに入るBlushing Groom

この全姉妹はHalo3×4・5のクロスをもつため、ディープインパクト産駒ながら、本質的には小回り向きの機動力に優れたタイプ。

ヴィルシーナが牝馬3冠でジェンティルドンナとの差をもっとも詰めたのが秋華賞だったように、この姉妹にとって京都内回りコースはベストの舞台でしょう。

ただ、ヴィブロスがドバイターフ、ヴィルシーナがヴィクトリアマイルと直線の長いコースでGⅠを勝っているのは、しなやかなBlushing Groomの血が入るのも大きいからだと言えます。

 

4頭のなかでもっともBlushing Groomらしいのは?

栗毛の馬がいないので、この4頭のなかからもっともBlushing Groomらしい馬を選ぶのは難しいですが……7歳になってますますしぶとさを増しているスマートレイアーは、テイエムオペラオーやマヤノトップガンとイメージが重なる馬です。

前走の京都大賞典は、時計の速い馬場をインからしぶとく差し切り、先行しても差しても好走できるのは、いかにもマヤノトップガンらしい走りになっているから。

京都芝2200mは、粘り強くサトノクラウンに迫った京都記念と同じ舞台ですから、前走のように後ろで構えなければ好勝負にもち込めるはずです。

 

今年のエリザベス女王杯は自分の「好きな馬」から買えるレース

今年のエリザベス女王杯は、枠順や馬場や展開やペースによって、「5回レースをすれば5回とも勝ち馬が変わるのでは?」と思えるほどにハイレベルの混戦です。

上位人気に推されているどの馬が勝ったとしても、「やっぱり、◯◯◯◯は強いよね!」と言えるレースですから、ヴィブロス、ミッキークイーン、スマートレイアー、ルージュバック、ディアドラ、クイーンズリング、リスグラシュー、モズカッチャン、クロコスミアのどれを本命に選んでも間違いではありません。

今年のエリザベス女王杯は、「ちょっとしたこと」で着順が入れ替わるようなハイレベルなレース。その些細な何かをすべて読み切れる人などいませんから、「好きな馬」から馬券を買うのが健全です。

とは言え、好きな馬がズラリと揃うので、そこから選ぶのも困ったものなのですが……。

 

まとめ

今年のエリザベス女王杯で1〜4人気の支持を集める4頭は、いずれも母系にBlushing Groomを引いています。直線でこれらの馬が叩き合う姿を観戦できるのですから、今からレースが楽しみで仕方ありません。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。