サトノクロニクルのラジオNIKKEI賞は斤量とコースとの戦いに

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GⅢラジオNIKKEI賞(福島1800mハンデ)に出走するサトノクロニクルは、関西の名門・池江寿調教師がアルアイン、ペルシアンナイト、サトノアーサーに続く「ダービー4頭出し」を目指した1頭。GⅡ京都新聞杯(京都芝2200m)2着→OP白百合S1着(京都芝1800m)の実績から、サトノクロニクルは人気も斤量も背負うことになります。57kgのトップハンデを克服して、秋の飛躍へつなげることができるのでしょうか?

今回の記事ではサトノクロニクルのここまでのレース内容から、ラジオNIKKEI賞についての展望をしていきます。

 

サトノクロニクル 3歳牡馬

父:ハーツクライ

母:トゥーピー(母父:Intikhab)

厩舎:池江泰寿(栗東)

 

血統

母トゥーピーは仏1000ギニー(GⅠ芝1600m)の2着馬で、その父IntikhabがRed Ransam×Crafty Prospectorという血統通りのマイラー。Intikhabの代表産駒と言えば、R・ムーアを背にGⅠエリザベス女王杯(京都芝2200m)を連覇したスノーフェアリーが挙げられます。また、ブルードメアサイアー(母の父)として昨年の凱旋門賞(GⅠシャンティイ2400m)を制したファウンドが出るなど、種牡馬としては中距離までこなすのが特徴です。

半兄のサトノラーゼン(父:ディープインパクト)は'15年ダービーでドゥラメンテの2着に好走しており、父がハーツクライに替わったサトノクロニクルは中距離馬に完成するでしょう。

 

全5戦のレース内容は?

サトノクロニクルの全成績は(2- 3 - 0 - 0)。ここまで連対を外していない安定感が光ります。それでは5戦のレース内容を簡単に振り返ってみましょう。

 

2歳新馬:2着

阪神芝1800m 外回り

新馬戦はGⅡ京都新聞杯を制したプラチナムバレットとの対戦。道中はスムーズに追走から4コーナーで仕掛けられると、エンジンのかかりが遅いこともあってスピードに乗り始めたのが直線の半ば過ぎ。前で粘るプラチナムバレットを交わせずに2着という結果になりました。

 

3歳未勝利:1着

京都芝1800m 外回り

間隔を空けて臨んだ未勝利戦は大外枠から5番手をスムーズに先行し、4コーナーで外に膨れながらスピードを上げると直線であっさりと抜け出しての1着。オークス2着のモズカッチャンを寄せ付けない完勝を見せました。

 

水仙賞(3歳500万下):2着

中山芝2200m

好スタートから控え、先行勢を見る形でインのポケットでの追走。逃げたイブキは残り4Fからのからペースを上げ、瞬発力勝負に持ち込みます。ラストの4Fが12.5 - 11.7 - 11.2 - 11.5とエンジンのかかりが遅いサトノクロニクルにとっては、小回りの中山での瞬発力勝負は厳しい流れでした。4コーナー手前から仕掛けたもののエンジンがかかったのが直線の坂下からで、一気に前との差を詰めたものの届かずに2着という内容。

 

京都新聞杯(GⅡ):2着

京都芝2200m 外回り

スタートを五分に出ると、川田騎手がいくらか促して4番手の外目で1コーナーに入ります。向正面ではダノンディスタンスの後ろにつけて折り合いスムーズな追走。3〜4コーナーの下り坂のところで川田騎手が促し始めますが、ここではスピードに乗り切れずにポジションを下げてしまうことに……。直線は馬群を割って馬場の内目を突いて伸びますが、大外からプラチナムバレットに差し切られての2着。

3〜4コーナーのところで他の馬に置かれてしまうのは、カーブでの加速力が鈍いことと下り坂を上手く走れなかったことが原因でしょう。現状では器用な脚に欠けるので、ベストは外回りか直線の長いコースです。

 

白百合S(OP):1着

京都芝1800m 外回り

スタートは五分に出て、自然と後方へ下げて折り合いに専念。ダイシンクイントの逃げは1000m通過が59.0のスローペース。今回は3〜4コーナーの下り坂は前走よりもスムーズにこなし、直線へ向きます。直線で追い出されてもジリジリとした伸びで、一瞬の加速力では他馬に見劣ってしまいました。ただ、いかにもハーツクライ産駒らしいしぶとい伸びで最内で粘るクリノヤマトノオーをゴール前でギリギリ交わして1着。

京都新聞杯で見せた下り坂でスピードが乗らない欠点はいくらか改善されていたものの、やはりエンジンのかかりが遅いのは変わらず……。外回りコースで直線が長さを活かしてしぶとい末脚を発揮できたという内容ですから、小回りコースへの対応は不安が残ります。

 

ラジオNIKKEI賞に向けて

ラジオNIKKEI賞は小回り福島の1800mでレースが行われます。サトノクロニクルにとっては不安な点は2つ。

 

1. 小回りコースへの適性

ここまでのレースぶりを観るかぎり、サトノクロニクルはエンジンのかかりが遅いこととコーナーでの器用さに欠ける面があるため、小回り+直線の短い福島コースは不安が先立ちます。

直線の短い福島では3〜4コーナーで捲りながら押し上げ、そのスピードを活かして直線で伸びるレースがベストですが、サトノクロニクルのこれまでのレース内容からはそのレースができる可能性は低く……。

 

2. トップハンデの斤量57kg

重賞2着、オープン特別1着という戦績から、サトノクロニクルがラジオNIKKEI賞で背負う斤量はトップハンデの57kg。もともと加速力に難のある馬で、重い斤量を背負ってさらに反応が鈍くなるようだとここ2戦の差し脚を発揮できるかは不安が先立ちます。

 

プラスの要素も

今走はウインガナドルとニシノアップルアイの逃げ・先行馬が揃い、極端なスローペースにはならないメンバー。サトノクロニクルは残り1Fで前の馬の脚が鈍ったところを差し込むのが得意ですから、ペースが流れればチャンスも。

また、馬群に揉まれてもOKなので、少頭数はこの馬にとってはプラスになります。

 

池江寿厩舎の考えは?

ダービーを除外になった後は放牧には出さずに自厩舎で調整されたサトノクロニクル。すでにオープン特別を勝っていることから、秋の菊花賞に向けて賞金が足りないという状況ではありません。

サトノクロニクルがラジオNIKKEI賞に出走する理由として考えられるのは、稼げる時に稼いでしまおうくらいしか思い浮かびません。

川田騎手を福島に向かわせての出走なので、厩舎としても勝ちたいのでしょうが……。

アルアイン、ペルシアンナイトと池江寿厩舎の3歳有力馬は菊花賞の3000mがどんと来いというタイプではないので、サトノクロニクルで3冠目を目指すことになるのかな、と思っていました。

このレースにサトノクロニクルが出走するというのはいくらか意外です。

 

まとめ

適性に合っているとは言えない小回り福島コースへの参戦となるサトノクロニクル。

57kgの斤量と合わせて、向かい風をはねのけてラジオNIKKEI賞で好走することができるのか?

人気を背負う馬だけに、その走りに注目が集まります。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。

 

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