GⅡローズS('17年)は社台系ファーム生産馬と重馬場適性からブラックスビーチに◎をーーレース予想

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9月17日(日)、秋華賞トライアルのGⅡローズSが阪神競馬場の芝1800m外回りコースを舞台に行われます。オークス3着のアドマイヤミヤビがこのレースを回避(競走馬登録を抹消)したものの、ファンディーナ、レーヌミノル、リスグラシューなど春の実績馬が顔を揃えました。牝馬クラシックのラスト1冠に向けた白熱の争いに期待しましょう。

 

「怪物」と呼ばれたファンディーナは?

このレースでもっとも注目を集めるのはデビューから3連勝を飾り、皐月賞に挑戦したファンディーナ。その皐月賞は牡馬の壁に阻まれて7着と敗れましたが、4コーナーからこの馬らしい捲りで直線は一旦先頭に立つシーンも。デビューから皐月賞までのローテーションがタイトだったこともあり、皐月賞後に休養に入りました。ローズSは休養からの復帰初戦となり、一夏を越してどのような成長を見せているのかに注目ですね。

 

同世代の一線級牝馬とは初対戦

ファンディーナは春の時点で、同世代の一線級牝馬とは未対戦。デビューから3連勝したレースでと「強敵」と言えるような存在がいなかったため、この馬の本当の強さを疑問視する声もチラホラと聞こえてきます。今回はレーヌミノル、リスグラシューなど春の実績馬が顔を揃え、ファンディーナの実力がはっきりとする1戦。怪物牝馬はその能力を示すことができるのでしょうか?

 

皐月賞7着の評価は?

直線で一旦先頭に立ったときの、4コーナーからの捲りはいかにもファンディーナらしい加速力で、「おおっ!」と思わせましたが、そこからはガス欠したような走りになってしまいました。この馬としては能力を出し切ったという走りではなかったと言えますし、皐月賞の1戦だけをとって評価がうんぬん言われるレベルの馬ではありません。

現役最強馬のキタサンブラックが宝塚記念であっさりと負けたように、どんなに強い馬であっても負けることはあります。ファンディーナが年明けから4戦目の皐月賞でガス欠したとしても、それはそれで納得です。

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ローズSでは好走できるのか?

今年のローズSは台風の接近→上陸によって、土日にかけ雨が降り続く予報が出ており、道悪でのレースになります。ディープインパクト産駒としてはパワー型のファンディーナにとって、重馬場はそれほど苦にはしないでしょうが、バキューンとした脚を削がれるのはプラスとは言えません。

皐月賞での敗戦から、これまでよりも後ろのポジションでレースをすることが想定され、重馬場に脚を取られているところを他の馬に出し抜かれるシーンも十分に描けます。長期の休養明けで、ここは次走に向けてダメージを残したくない1戦ですから、陣営としても脚を測るようなレースを念頭に置いているでしょう。

 

重馬場のローズSと言えば2013年

重馬場のローズSと言えば、デニムアンドルビーとシャトーブランシュが1、2着に好走した2013年のレースがパッと思い浮かびます。この年はデニムとシャトーがほぼ最後方から外回りの長い直線をズドーーーンとパワフルに差し切るレースとなりました。しなやかなキレよりも重厚なパワー優先の馬場で、上りのかかるレースに適性のある馬が上位を占めることに。

 

2頭の共通点は?

デニムアンドルビーとシャトーブランシュの2頭は、母系に欧州のパワー・マイラーNureyevの血を引きます。重厚なパワーで時計のかかる馬場をグイグイと伸びるNureyevの血がONになっていれば、阪神外回りの道悪はドンと来い!の舞台と言えるでしょう。

デニムアンドルビーは母ベネシアンドールがNureyev5×3のクロスをもち、シャトーブランシュは母ブランシェリーがトニービン×Alleged×Nureyevと長い直線を重厚に差せるパワーをもつ血が詰まっています。

17日(日)の阪神芝は道悪になることが避けられそうもないため、重馬場をズドーーーンと重厚な走りで差せる馬をピックアップ。

  

クラシックは社台系ファームからピックアップ

クラシック路線のレースは、日本を代表する馬産グループの「社台系ファーム」産馬が活躍することでも知られています。ローズSもノーザンファーム生産の馬が大活躍を見せているレースで、ここ5年は1〜3着までをほぼ社台系ファームが占めています。以下が過去5年のローズSで1〜3着に入線した馬の生産牧場をまとめた表です。

 

過去5年のローズSの1〜3着馬 生産牧場

着順 人気 馬 名 生産牧場
2016 1 1 シンハライト ノーザンファーム
2 11 クロコスミア 小島牧場
3 6 カイザーバル 社台ファーム
2015 1 7 タッチングスピーチ ノーザンファーム
2 1 ミッキークイーン ノーザンファーム
3 2 トーセンビクトリー ノーザンファーム
2014 1 2 ヌーヴォレコルト 社台ファーム
2 15 タガノエトワール 社台コーポレーション白老F
3 9 リラヴァティ ノーザンファーム
2013 1 1 デニムアンドルビー ノーザンファーム
2 9 シャトーブランシュ ノーザンファーム
3 10 ウリウリ ノーザンファーム
2013 1 1 ジェンティルドンナ ノーザンファーム
2 2 ヴィルシーナ ノーザンファーム
3 3 ラスヴェンチュラス 社台ファーム

「クラシックは社台グループの運動会」と揶揄されるのも致し方なし、というほどの成績。ノーザンファームを赤色、その他の社台系ファームを青色でマークしました。ここから馬を選べればまず当たりが引けるのでは……と思える成績ですね。これについては週中の展望記事に詳しく書きましたので、よければそちらをご覧下さい。

3歳クラシック路線はノーザンファームが中心ーーローズSとセントライト記念 - ずんどば競馬

ノーザンファーム生産のアドマイヤミヤビとアロマドゥルセが回避し、ベルカプリが抽選除外となったため、社台系ファーム生産馬はローズSに5頭が出走。

 

ノーザンファーム

・サトノアリシア

・ミリッサ

・リスグラシュー

 

社台ファーム

カラクレナイ

ブラックスビーチ

◎はこのなかから重馬場に適性のある馬を選出。

 

予想

上位人気のリスグラシューは母系にMill Reefを引くハーツクライ産駒ですから、阪神外回りで上りのかかるレースはずんどばですが、あまりにも馬場が悪くなるようだと割引。また、オークスではギリギリまで馬体を絞っての出走だったので、それが戻っているかどうかもポイント。
レーヌミノルは父ダイワメジャー×母父タイキシャトルなので重馬場はOK。ただ、阪神の外回りをズドーーーンと重厚に差すタイプではないですし、一夏を越してパワーアップの見込める配合ではないのも割引です。

 

◎ブラックスビーチ 3歳牝馬

父:ディープインパクト

母:ビジュアルショック(母父:Kingmambo)

厩舎:角居勝彦(栗東)

生産:社台ファーム

春はスイートピーS1着→オークス9着という成績を上げ、夏を休養にあてたブラックスビーチ。角居勝彦厩舎の管理馬ですから、一夏を越しての成長が見込めます。この馬は未勝利戦で阪神芝1800mを勝っているように、上りのかかる馬場を重厚なフォームでズドーーーンと脚を伸ばすのかベストの馬で、道悪のローズSは願ってもない舞台です。

 

血統

母ビジュアルショックはGⅠ馬アグネスデジタルを産んだ名牝Chancey Squawを祖母にもつこと、そして、代々名血・名種牡馬がかけられていることから、配合的に魅力の大きな繁殖牝馬です。ブラックスビーチはビジュアルショックの2番仔で、母はまだ目立った活躍馬を出していません。

ビジュアルショックの血統表 | 競走馬データ - netkeiba.com

ブラックスビーチはキレる脚というよりも長く脚を使えるタイプで、それは母ビジュアルショックのNureyevから伝わるパワーとストライド走法を伝えるA.P. Indyによるものでしょう。長い直線をズドーーーンと重厚なストライドで伸びてこれる馬で、阪神の外回りも道悪馬場もOK。母系の質の高さからも社台系ファーム生産馬からはブラックスビーチを◎に。

 

◯リスグラシュー 3歳牝馬

父:ハーツクライ

母:リリサイド(母父:American Post)

厩舎:矢作芳人(栗東)

生産馬:ノーザンファーム

母系にMill Reefを引くハーツクライ産駒で、持続的な脚に長けた馬。瞬発力勝負よりもペースが流れてロングスパート戦になった方が差しやすく、阪神外回りコースは適性としてベストでしょう。桜花賞を2着と好走したもののピュアなマイラーではないため、少しでも距離が伸びるのはプラスです。

前走のオークス5着はレースのペースが合わなかったこと以上に、馬体がギリギリだったのも大きな影響があったと考えられます。一夏を越して少しでもふっくらとしていれば……。道悪馬場はプラスとはいえ、あまりにも悪くなるようだと心配な面も……。有力馬のなかではこのコースがもっとも合っている馬で、◯以下の印に落とすことはできません。

ハーツクライ産駒のアドマイヤミヤビとリスグラシューがGⅡローズS('17年)に登場ーーレース展望 - ずんどば競馬

 

▲メイズオブオナー 3歳牝馬

父:ハーツクライ

母:キャサリンオブアラゴン(Holy Roman Emperor)

厩舎:藤原英昭(栗東)

生産:ケイアイファーム

昇級初戦だった前走の500万下は直線でスムーズさを欠きながらもゴールまでしっかりと伸びて1着。未勝利を勝ち上がるまで10戦を要した馬が1発で500万下を突破したのですから、ここへきての成長は目を見張るものがあります。その前走は2ヶ月と間隔の空いた影響が出たのか、馬体重をプラス14kgと増やしての出走で、ハーツクライ産駒らしくジワジワと成長しているのでしょう。

ローズSは一気の相手強化と条件的には苦しいですが、関西の名門・藤原英昭厩舎の3着内率の高さを考えると、この人気であれば狙いたくなります。ただ、非社台系ファームというのはマイナス。

 

血統

母のキャサリンオブアラゴンは、リアルスティールの母ラヴズオンリーミーの半妹という良血。祖母Monevassiaも名種牡馬Kingmamboの全妹ですから、代々名血・名種牡馬がかけられています。母系が重厚な血で固められていること、そして、父はトニービンの血を引くハーツクライとあって、阪神外回りの重馬場をズドーーーンと差すにはもってこいの配合。

前走でもキレる脚が使えたように、上りのかかる展開であればグイグイと伸びてきます。かなり馬場が悪化してもOK。母系の良さを引き出せればローズSでも勝ち負けにもちこめるはずです。

 

△候補として

ノーザンファーム生産馬のサトノアリシアとミリッサ、社台ファームのカラクレナイは△で押さえます。ただ、ミリッサは人気になるようなら嫌いたい1頭です。

ミリッサはオークス馬シンハライトの半妹という良血馬で、母のシンハリーズはどんな種牡馬でも重賞級の馬が出る名繁殖牝馬。シンハリーズは小回り・内回り向きの器用さとピッチ走法を伝えます。傑出した能力をもっていたシンハライトは直線の長いコースでも好走しましたが、この母の産駒は小回りコース向きというのがデフォルトです。ミリッサがシンハライト級の馬であれば、阪神外回りもこなせるのでしょうが……。また、馬格のないことからもわかるように、ダイワメジャー産駒とは言ってもそこまで道悪が得意とは考えにくく。ノーザンファーム生産馬でなければ、ズバッと切っていた1頭。

もう1頭、血統的に押さえておきたいのはハローユニコーン。重厚なストライドで走る馬で道悪も得意ですから、田辺騎手の手腕も込みで期待をしたいですね。

 

買い目

◎から各馬への馬連と、3連単のフォーメーションを。ファンディーナはこのレースでソロっと乗って3着あたりに入ることもあるので、3連単よりも馬連を中心に。

 

馬連

8 - 6. 7. 3. 5. 15. 13

 

3連単フォーメーション

1着:8. 6

2着:8. 6. 7

3着:8. 6. 7. 3. 5. 15. 13

 

まとめ

台風の影響で、日曜日の阪神競馬場のレースが開催されるかは現時点で未定。もしレースが行われるとするなら、かなりの道悪馬場になるでしょうから、パワータイプの馬も狙いたいレースです。レースの安全がしっかりと確保できるのかどうか……まずは明日を待つしかありません。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。