重馬場が得意なRobertoが捲る皐月賞(2018年)ーージャンダルムは好走できるのか?

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3歳牡馬クラシックの第1冠・皐月賞は小回りの中山芝2000mで行われ、3〜4コーナーを俊敏に回るパワーと器用さが求められるレースです。昔から「最も速い馬が勝つ」と言われるレースにおいて、「最も捲りが速い」のはどの馬なのでしょうか?

 

今年の皐月賞出走馬はRobertoもちが多い

昨年の朝日杯FS(GⅠ・阪神芝1600m)を快勝し、現3歳牡馬のトップに君臨するダノンプレミアムは挫跖により皐月賞を回避することになりました。そのパワフルなフットワークは母系に入るDanzigとRobertoによるもので、中山の急坂を駆け上がるのにピッタリです。

パワーとスタミナに優れたRobertoの血は皐月賞の行われる中山コースをバキューンと捲るのに適しています。そして、今年の3歳牡馬路線は、このRobertoの血を引く有力馬が多いのも特徴のひとつでしょう。今年の皐月賞はパワフルなRobertoもちの馬たちがガチンコで捲り合う、そんなレースを想像するだけでワクワクしますね。

 

Robertoもちの馬は?

今年の皐月賞に出馬登録している馬のなかで、Robertoの血を引くのは以下の7頭です。

グレイル

ケイティクレバー

ジェネラーレウーノ

ジャンダルム

タイムフライヤー

ダノンプレミアム(回避)

マイネルファンロン

(50音順)

上記の馬は「しなやかなキレ」というよりも、パワフルなフットワークでバキューンと捲ったり、先行してしぶとく粘り込むのを得意としています。また、グレイルやジャンダルム、タイムフライヤーのように、回転の速いピッチでコーナーを俊敏に回れるのもRobertoの血によるもの。

しなやかなディープインパクト産駒がクラシック路線を席巻する近年において、これだけ中山向きの馬がズラリと揃うのは珍しく、今年はゴールまで残り1000mからの力まかせの捲り合戦が期待できるでしょう。

 

ホープフルSもRobertoもちの上位独占

昨年、2歳の芝中距離チャンピオンを決めるレースとして、ホープフルSがGⅠへと格上げされました。これにより、芝の中距離に適性のある馬たちは皐月賞まで中山芝2000mに絞ったローテーションを組むことができます。

ホープフルS(GⅠ・中山芝2000m)

京成杯(GⅢ・中山芝2000m)

弥生賞(GⅡ・中山芝2000m)

スプリングS(GⅢ・中山芝1800m)

皐月賞(GⅠ・中山芝2000m)

脚の回転が速いピッチ走法の馬や「キレよりも粘り強い先行力のある馬にとって、小回りの中山コースに絞ったローテーションを組めるのは大きなプラスです。これは中山向きのRobertoにも同じことが言えます。

昨年のホープフルSの1着タイムフライヤー、2着ジャンダルム、3着ステイフーリッシュの3頭はすべてRobertoの血を引いていました。レースは前後半1000mが59.6 - 61.8のハイペースとなり、パワーと器用さを活かして捲った馬の上位独占。「中山コースならRoberto!」とエクスクラメーション・マークを付けたくなるほどのレースでした。

 

ディープインパクト産駒初の皐月賞馬ディーマジェスティ

「小回り+急坂」というコース設定の皐月賞は、上り3Fの時計がかかるレースです。そのため、しなやかなフットワークで走るディープインパクト産駒にとっては鬼門でした。

ディーインパクト産駒として初めて皐月賞を勝ったディーマジェスティは、母父にRoberto直仔のブライアンズタイムをもっています。このパワーとスタミナこそが小回り中山芝2000mを好走するのに必要なものです。

 

Robertoは時計のかかる重馬場もOK

現在の中山芝コースは時計の速いコンディション。ただ、土日にかけて「雨」の予報が出ており、皐月賞当日の芝は重くなる可能性もあります。Robertoもちはパワーに優れているため、渋って時計のかかる馬場はずんどば!

中山の芝コースは排水性が良く、「重」にまで悪化することはまずありません。ただ、昨年の皐月賞の1週前は土日ともに雨の降るなかでレースが行われ、重馬場になりました。日差しが出ればあっという間に芝は乾き、時計はすぐに速くなるのが最近の馬場傾向です。

雨が降るかどうかは予想できませんから、重馬場になるのか、それとも速い時計の馬場になるのか、今の段階ではどちらに転ぶのか待つしかありません。重馬場→高速馬場への変化については詳しい解説記事を書いているので、よければ以下をご覧下さい。

 

Robertoもちの注目馬は?

ここではRobertoのパワーと器用さがもっとも発現しているジャンダルムを注目馬として取り上げます。

 

ジャンダルム 3歳牡馬

父:Kitten's Joy

母:ビリーヴ(母父サンデーサイレンス)

厩舎:池江泰寿(栗東)

騎手:武豊

ビリーヴの仔は母も管理した松元茂樹厩舎に預けられることが多いですが、この馬は関西の名門・池江寿厩舎に入りました。それだけ、この馬にかかる期待は大きいと言えるでしょう。

新馬戦を観てもわかるように、スローからの上り3F勝負になると強さを発揮するタイプ。欧州の大種牡馬Sadler's Wells着仔ながら早熟なマイラーだったEl Pradoらしい機動力とパワーが現れた走法ですから、小回りコースはずんどばです。

 

血統

母ビリーヴはサンデーサイレンス直仔ながら、高松宮記念とスプリンターズSのGⅠを制した短距離馬。その母グレートクリスティーヌがNorthern Dancer×Icecapade2×2という濃いクロスに加え、似たような血統構成をしている父Danzigと母Great Lady Mの配合により、コテコテのパワーとスピードが詰め込まれています

ビリーヴの仔は祖母グレートクリスティーヌの影響が強いスピードタイプに出ます。ジャンダルムもその例に漏れず、母系のパワーと祖父El Pradoのイメージ通りの機動力型です。

Kitten's Joy産駒は、父のもつSir Ivorを刺激するとダッシングブレイズのような東京コースでびゅーんとキレるタイプになり、Robertoを刺激するとパワータイプが出ます。ジャンダルムはRobertoを活かす形なので、しなやかにキレるタイプではありません。

 

皐月賞に向けて

前走の弥生賞は前後半1000m61.5 - 59.5のスローペースにもかかわらず、他馬がダノンプレミアムの動きを警戒したからか、馬群は縦長になりました。ジャンダルムは3〜4コーナーでの加速で勝負するタイプですから、前を走る馬との距離を詰めなければならない縦長の展開は不向きです。

小気味の良いピッチ走法なので、ビュンと加速して抜け出せるスローの流れはOKです。ただ、良い脚を長く続けることは苦手なため、馬群が縦長になるのは避けなければなりません。今年の皐月賞は「逃げ・先行馬」が多いため、馬群がばらける可能性が高く、武豊騎手としても乗り方は難しくなるでしょう。

El Prado産駒は馬群をさばくのにも長けていて、好位のインを取ると上手に競馬ができます。皐月賞はできれば内枠が欲しいですね。3コーナーからレースのペースが上がったときにコース・ロスなく回って来るためにも、道中のどこかでインに潜り込む競馬が理想。

非社台系ファーム生産馬という点を除けば、2頭出しの池江寿厩舎とあって、レースへの準備はほぼ万全でしょう。弥生賞はいかにも武豊騎手が脚を測ったかのような騎乗でしたから、本番に向けての上積みも十分にあります。

母ビリーヴはパワーあふれるDanzigの血を引くので、重馬場+時計のかかる馬場はベスト。「Roberto×Danzig」の組み合わせはそう、歴史的な不良馬場となった菊花賞を2着と好走したクリンチャーと同じです。

 

まとめ

ケイティクレバーが逃げ、ジェネラーレウーノがそれに続き、グレイルやジャンダルムが捲り、タイムフライヤーが追い込む……今年の皐月賞はRoberto的なパワーをもった馬たちの捲り合戦になります。

どの馬の捲りがもっとも速いのか?

これがキーワードになるでしょう。

以上、お読みいただきありがとうございました。