GⅠ皐月賞(2018年)はノーザンファーム生産馬が好走するのか?ーー注目馬についても解説!

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3歳牡馬クラシックの第1冠・皐月賞(GⅠ・中山芝2000m)はデビューから4戦4勝のダノンプレミアムが回避し、中心馬不在の1戦となりました。

「ラッキーライラック1強」と言われた桜花賞は、シンザン記念からの異例のローテーションとなったアーモンドアイが上り3F33.2の脚で快勝し、1〜3着馬までノーザンファーム生産馬が独占。改めてクラシック路線における社台系ファーム生産馬の強さが浮き彫りになったと言えます。

 

ノーザンファーム生産馬とクラシック・レース

3歳のクラシック・レースは生産者や調教師、騎手にとって特別な舞台。生産者は牡馬が産まれればダービー、牝馬であればオークスを夢見ると言われるように、競馬にたずさわる多くの人が目指すレースこそ「3歳クラシック」なのです。
そして、クラシック・レースで好成績を上げているのが、日本最大の馬産グループの「社台系ファーム」と言えるでしょう。昨年の皐月賞とダービーは1〜3着を独占しているように、この生産牧場を抜きにしてクラシックを語ることはできません。

また、今年の桜花賞で1〜3着を独占したノーザンファームは、社台系のなかでも質・量ともに素質馬が揃っており、皐月賞においても注目の生産牧場と言えるでしょう。

「ノーザンファームがクラシックを好走」できる理由については、桜花賞の展望記事のなかで詳しく書きました。よければ以下をご覧下さい。

 

ノーザンファーム生産馬

皐月賞に出馬登録をしているノーザンファーム生産馬は以下の通りです。

オウケンムーン

キタノコマンドール

グレイル

ジュンヴァルロ

ステルヴィオ

ワグネリアン

(50音順)

上位人気に推される馬も多く、桜花賞と同じく上位独占も十分に可能なメンバーが揃いましたね。このなかでキタノコマンドールとジュンヴァルロを除く4頭はすべて重賞勝ち馬。ダノンプレミアムが不在となると、このなかから皐月賞馬が出ても不思議ではありません。

 

ノーザンファーム生産の6頭について

現3歳牡馬のなかにあって、ズバ抜けた競走能力をもつダノンプレミアムが不出走の皐月賞は、「馬個体の能力」だけではなくレースに向けての準備も馬券検討の上で大きなポイントとなります。

それでは上記の6頭について1頭ずつ見ていきましょう。

 

オウケンムーン

父:オウケンブルースリ

母:ムーンフェイズ(母父エリシオ)

厩舎:国枝栄(美浦)

想定騎手:北村宏司

桜花賞を制したアーモンドアイと同じ「ノーザンファーム+国枝栄厩舎」の組み合わせ。共同通信杯からの休み明けのローテーションは桜花賞馬と似ており、好感のもてる臨戦過程です。

国枝栄調教師は数々のGⅠ馬を育て上げた名伯楽ですが、これまでに3歳牡馬クラシックを制したことはなく、そこが最大の不安点と言えます。

 

キタノコマンドール

父:ディープインパクト

母:ベネンシアドール(母父キングカメハメハ)

厩舎:池江泰寿(栗東)

想定騎手:M・デムーロ

昨年の皐月賞馬アルアインと同じ「ノーザンファーム+池江寿厩舎」のコンビ。また、M・デムーロ騎手を手配したことからも、ノーザンファームの調整に抜かりはありません。

厩舎力と騎手については申し分ありませんし、デニムアンドルビーの全弟という血統背景からも無視はできないものの、DMMドリームクラブが「1年目」からクラシックをツモれるのかは……。

 

グレイル

父:ハーツクライ

母:プラチナチャリス(母父ロックオブジブラルタル)

厩舎:野中賢二(栗東)

想定騎手:岩田康誠

野中賢二厩舎はJRAのGⅠを今までに制したことがありません。3歳クラシック路線に乗る馬も少ないため、厩舎力の面では大きくマイナス。ただ、馬主のカナヤマホールディングスはそろそろGⅠに手が届いても……。

岩田騎手が上手いか下手かということではなく、レースに向けての準備が整っていないという意味で、武豊騎手からの乗り替わりはマイナス。

 

ジュンヴァルロ

父:New Approach

母:ウェイクミーアップ(母父ロックオブジブラルタル)

厩舎:友道康夫(栗東)

想定騎手:大野拓哉

友道厩舎はノーザンファーム御用達。マカヒキ、ヴィブロスなどがこの組み合わせで3歳GⅠを制しており、若葉Sを叩いて本番へ向かうローテーションにも好感がもてます。

大野拓哉騎手は中山競馬場であればソツのない騎乗ができるので、クラシックレースであってもプレッシャーのかからない人気薄の馬ならチャンスもありそうです。ただ、乗り替わりはマイナス。

 

ステルヴィオ

父:ロードカナロア

母:ラルケット(母父ファルブラヴ)

厩舎:木村哲也(美浦)

想定騎手:C・ルメール

「ノーザンファーム+関東馬+ロードカナロア産駒+C・ルメール騎手」はアーモンドアイと全く同じ組み合わせ。

木村哲也厩舎はGⅠ勝ちこそないものの、2011年に開業したことを考えると、アルビアーノやゼーヴィントなどの活躍馬を出しており、「クラシックでも!」と思わせるだけのものがあります。

C・ルメール騎手が乗り替わることなく本番へ向かうのは大きなプラス。中山コース向きの馬ではありませんが、ノーザンファームの後押しをバネにして好走を期待したいですね。

 

ワグネリアン

父:ディープインパクト

母:ミスアンコール(母父キングカメハメハ)

厩舎:友道康夫(栗東)

想定騎手:福永祐一

「ノーザンファーム+友道康夫厩舎+金子真人HD」はクラシックをツモれる組み合わせ。この6頭のなかでは最上位の評価となるので、後は「福永祐一騎手が牡馬クラシックを勝てるのか?」の1点だけですね。

 

ステルヴィオとワグネリアン

この2頭はダノンプレミアムが皐月賞に出走していたとしても上位の人気に推される馬だけあって、クラシックを勝てる「厩舎+騎手」のコンビ。ただ、どちらも小回りの中山コース向きとは言えないので、後は「馬個体の能力がどうなのか?」によります。

2頭の甲乙はつけがたいものの、馬個体の能力を抜きにすればワグネリアンがやや優勢。ステルヴィオはダービーが最大目標だとしても、厩舎として正念場のレースです。

 

注目馬はジュンヴァルロ

人気薄で好走の可能性があるとすればジュンヴァルロでしょうか。昨年の皐月賞は池江寿厩舎と音無厩舎が2頭出しで、その2厩舎が上位を独占しました。ジュンヴァルロを管理する友道厩舎はワグネリアンと2頭出しですから、チャンスも……。

 

ジュンヴァルロの血統は?

母ウェィクミーアップは英2000ギニーなどGⅠ3勝の活躍馬Dawn Approach(その父New App roach)の半姉。母系はNorthern Dancer≒Icecapade4・4×4に、His Majesty4×4とクロスがうるさく、ジュンヴァルロはそこにGalileo直仔のNew Approchが配されたので、もうしつこいくらいにNorthern Dancerで固められた配合。

英GⅠ馬のDawn Approachと4分の3同血で、この本格的な欧州血統を日本で走らせることも、すでに2勝を上げていることも重ね重ね驚きます。「パワー×パワー×パワー×パワー」と卍固めのようになっていますが、一本調子なスピードの源は母系に入るDanzigとPhone Trickの血によるものでしょう。

Northern Dancerのクロスがうるさい馬に乗せたら世界屈指と言えるR・ムーアを背に、黄菊賞を逃げ切ったのは納得です。日本の競馬場であれば中山コースがベストで、昨年の菊花賞のような不良馬場になればチャンスも……。

 

皐月賞に向けて

前走の若葉Sは控える競馬を試み、直線ではバテてず伸びずの7着。休み明けの分もあったとは言え、好位からの競馬では苦しかったですね。

皐月賞を好走するためには「逃げ」が絶対条件で、道中からダラダラと1F12.5を続けるペースを作れるなら……。高速馬場になるとアウトですから、雨が降って重馬場くらいまで悪化するのが理想。

今年の皐月賞はタイムフライヤー、ジャンダルム、グレイルなど母系にRobertoをもつパワー捲りの馬が多く出走しており、3〜4コーナーからのペースアップでジュンヴァルロには苦しい展開になりそうですが……。ただ、ケレン味のない逃げを打てば何かが起こるかもしれません。

 

まとめ

桜花賞に続き皐月賞でもノーザンファームは有力馬をずらりと揃えました。ここでも上位独占があるのでしょうか?

今からレースが楽しみですね。

以上、お読みいただきありがとうございました。