ディープインパクト産駒は皐月賞が苦手? それとも…皐月賞(2017年)展望

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皐月賞菊花賞はクラシックのなかでディープインパクト産駒がなかなか勝つことができなかったレースでした。その流れを2016年に打ち破ったのが、皐月賞馬のディーマジェスティ菊花賞馬のサトノダイヤモンド。この2頭の活躍により、ディープインパクト種牡馬として牡馬と牝馬のクラシック完全制覇を達成しました。

 

ディープインパクト産駒は皐月賞菊花賞が苦手?

ディープインパクト産駒はどうして皐月賞菊花賞を勝てなかったのでしょうか?

 

皐月賞を勝てなかった理由

1. 中山の芝2000mで行われる皐月賞は開催の最終週に番組が組まれています。開催が進むにつれて芝が傷み、皐月賞の行われる週は上りのかかるレースになることが多かったために、瞬発力を活かすディープインパクト産駒に合わなかった。

2. 中山は直線が短く、差すとしても3〜4角からスピードを乗せて捲る競馬をしなければならないため、しなやかさ>パワーのディープインパクト産駒にとって、捲るためのパワーが足りなかった。

 

菊花賞を勝てなかった理由

ディープインパクト産駒は3000mを超える長距離での成績が芳しくなく、京都の3000mで行われは菊花賞は距離が長いと考えられていた。

 

昨年の菊花賞サトノダイヤモンドが3000mの距離の壁を克服したと言われます。ただし、3着にエアスピネルが入線したことからも分かるように、このレースは中盤が中弛みした「実質2000m」のレース。サトノダイヤモンドが勝ったとは言え、昨年の菊花賞は長距離の適性が問われなかったのも事実です。本質的にディープインパクト産駒が長距離で強さを発揮できるかは今後のレースを待たなければなりません。

 

皐月賞ディープインパクト産駒でも好走できる?

皐月賞を勝てなかった理由として挙げた2つに関しては、それぞれ変化が見られます。

 

1. 馬場の変化

開催の最終週に行われる皐月賞は「時計のかかる馬場」がデフォルトでしたが、「傷みにくい芝」と評判のエクイターフ導入によって、最終週でもそれほど馬場が悪化していない状態でレースが行われるようになっています。

また、排水性の向上もエクイターフにプラスして馬場の悪化を防ぐ一助になっていて、終日雨のなかで競馬が行われるようなことがなければ「すぐに乾く」のが現在の馬場の特長です。

馬場の悪化が避けられれば、より良いコンディションの芝で皐月賞が行われるため、デイープインパクト産駒が好走したとしても不思議はないと言えます。

 

2. パワー型のディープインパクト産駒の台頭

ディープインパクト産駒は父と同じように、しなやかで細身の馬が多く、小回りの中山をパワーで捲るのが苦手でした。昨年の皐月賞ディーマジェスティディープインパクト産駒としては「しなやかさ+瞬発力」で勝負をするのではなく、「パワー+持続力」のタイプ。母父ブライアンズタイムの影響が出た筋骨量の多い馬体を見ても、ダービーでしなやかに切れるのではなく、中山を捲るパワーに秀でていることが分かります。

母系にパワー型の血統を詰め込むことで、ディープインパクトの特長であるしなやかさだけでは勝てなかった要素をプラスし、皐月賞に勝つことができたと言えるのでしょう。

 

2017年の皐月賞に出走するディープインパクト産駒

2017年の皐月賞に出走する18頭のうちディープインパクト産駒は4頭。この中で、皐月賞を捲れるようなパワーと器用なコーナリング力をもっている馬はいるのでしょうか?

 

4頭のディープインパクト産駒

確定した枠順の内枠から挙げていくと、ディープインパクト産駒は以下の4頭。

カデナ

ファンディーナ

アルアイン

サトノアレス

この4頭の母系を見てみると、スプリンターやマイラー、あるいはダートで活躍したパワー型が配合されていることがわかります。パワーのある順番に並べてみるとーー

 

アルアイン>ファンディーナ=サトノアレス>カデナ

 

それでは、アルアインから1頭ずつ母系の血統を見て行きましょう!

 

アルアイン

母:ドバイマジェスティ(母父:Essence of Dubai)

ドバイマジェスティは米国産で、ダート1400mで行われるBCフィリー&メアスプリント(GⅠ)の勝ち馬。父のEssence of Dubaiはアメリカの名種牡馬Pulpit直仔のダート血統です。アルアインの祖母Great MajestyはGreat above×His Majestyというバリバリのダート血統ですから、これらの血がディープインパクトに足りないパワーを補給していると考えられます。

アルアインは重厚感のあるフォームからもスパっと切れる脚ではなく、持続力に優れた脚が武器のタイプ。時計のかかる馬場はOKですが、Pulpitの父A.P.Indyストライドで走る馬を輩出する種牡馬のため、小回りに向く器用さに欠けます。

 

ファンディーナ

母:ドリームオブジェニー(母父:Pivotal)

ドリームオブジェニーの父Pivotalは競走馬として英GⅠナンソープS(5F)を制覇したスプリンターで、種牡馬としては1年目からGⅠ馬を輩出するなどの活躍を見せています。PovotalはNereyev直仔のPolar Falconを父にもつことで欧州的なパワーのある種牡馬

また、ドリームオブジェニーの母系で注目なのが祖母にあたるCoup De Genie、この牝馬は名種牡馬Machiavellianの全妹という両血です。Machiavellianは名マイラーでもあり、ディープインパクトと相性がよいブルードメアサイアー。父ディープインパクト×母父Machiavellianと言えば、ヴィルシーナ、ヴィヴロス姉妹が有名です。

ヴィルシーナとヴィヴロスの脚質を見ても内回り・小回り向きの器用さのある血統で、中山2000mという舞台はファンディーナにとってはマイナスにはなりません。

 

サトノアレス

母:サトノアマゾネス(母父:デインヒル

サトノアマゾネスの父デインヒルは欧州のパワー型マイラーで、怪物フランケルの母父としても知られています。母系もダートで活躍した種牡馬が配されていることからもパワー型。

朝日杯FS1着の内容もしなやかに切れて差し切ったというよりは、パワーにモノを言わせてグイグイと伸びたという走りで、その馬格からも中山で捲る適性はもっています。

 

カデナ

母:フレンチリヴィエラ(母父:フレンチデピュティ

ディープインパクト×母父フレンチデピュティは昨年のダービー馬マカヒキと同じ配合で、その他にも重賞馬を輩出するニックス。母のフレンチリヴィエラフレンチデピュティ×Seattle Slewですからパワーは十分にもっています。ただ、Seattle Slewは胴長のストライドタイプの子を出す種牡馬で、中山の小回りを捲るのは「?」

カデナが前走の弥生賞、4角で外に大きく膨れたのを見ても、コーナリングには難のあるタイプだと言えます。

 

小回り向きの器用さ

昨年の皐月賞ディーマジェスティを見ても、パワーにプラスして小回りを捲りコーナリング力を問われるのが中山2000mの舞台です。今年の皐月賞に出走するディープインパクト産駒はパワーの部分では合格点ですが、器用さの面から考えるとファンディーナとサトノアレスに分があり、アルアインとカデナはやや不利。

もちろん、弥生賞でカデナが大外に膨れても他馬を差し切ったように、コースロスを承知でスピードに乗せれば中山2000mでも好走する可能性はありますが…

GⅠの舞台でコースロスがあっても差し切るというのは、かなりの能力をもっていないとできない芸当ですから、やはり器用さのない馬は割り引いて考えるのが皐月賞だと思います。

 

まとめ

2017年の皐月賞、人気上位を形成しそうなディープインパクト産駒の4頭はどのような走りを見せるのか?

捲り合戦になる皐月賞で、もっともスムーズにコーナーを回れるのはこの4頭のなかのどの馬なのか?

大物牝馬のファンディーナの走りも含めて楽しみな皐月賞になりますね。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。