スプリンターズS(2018年)は重馬場 or 高速馬場?ーー前半3Fのタイムに注目の1戦に!

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秋のGⅠ戦線は9月30日(日)、中山競馬場を舞台に行われるスプリンターズS(芝1200m)からスタートします。スプリンターズSはJRAのなかでもっとも短い距離の芝GⅠとあって、スピード自慢の馬が集まる1戦です。

2006年に創設されたサマースプリントシリーズを好走した馬と、春のスプリントGⅠ高松宮記念を好走した馬とが顔を揃え、スプリンターNO.1の座をかけた白熱の争いが期待できます。

今年はどのような「68秒」のドラマが観られるのでしょうか?

 

「王者不在」のスプリント路線

2012、13年のスプリンターズSを連覇し、香港スプリントもぶっこ抜いた「世界のロードカナロア」がターフを去った後、スプリント路線は「王者不在」の状態が続いています。

ロードカナロアが競走馬登録を抹消(引退)してから中山芝1200mで行われたスプリンターズSは3回あり、いずれもスプリントGⅠとしては「ヌルい」ペースになっているのが特徴です。

2015〜17年のスプリンターズS

2015年

勝ちタイム:1分8秒1

前後半3F:34.1 - 34.0

0.1秒の後傾

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2016年

勝ちタイム:1分7秒6

前後半3F:33.4 - 34.2

0.8秒の前傾

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2017年

勝ちタイム:1分7秒6

前後半3F:33.9 - 33.7

0.2秒の後傾

中山芝1200mはスタートしてから3コーナーまでに4メートル弱の下り坂があり、自然と前半3Fが速くなるコースです。ところが、ここ3年は1秒以上の前傾ラップになっておらず、逃げ・先行馬がガンガン飛ばすことはありません。

ロードカナロアの引退して以降、香港スプリントを好走する馬が出ていないのは、日本のスプリント路線がスピードとパワーではなく、「しなやかなキレ」を争う質のレースとなっているからです。もう、前半3F33.0を涼しい顔で先行するピュアスプリンターは、少なくなってしまいました。

 

1秒以上の前傾ラップになるのか?

昨年のスプリンターズSはワンスインナムーンが他の先行馬(ダイアナヘイローの武豊騎手がペースを引き上げるられず)に絡まれることなくすんなりと逃げ、前半3F33.9の緩いラップとなりました。

そのため、レースは0.2秒の後傾ラップとなり、外からしなやかにキレたレッドファルクスが1着。ペースが緩むと、1400mベストの「しなやかスプリンター」が好走することが多くなり、ピュアスプリンターには苦しいレースとなります。

 

ピュアスプリンターの活躍するペースは?

ピュアスプリンターが活躍するためには、1.0秒以上の前傾ラップになるのがベストです。近年のスプリンターズSの勝ちタイムは1分7秒5前後がデフォルト。簡単に計算すると、以下のような前後半3Fのラップになればピュアスプリンターの舞台となります。

想定ラップ

33.0 - 34.5(1.5秒の前傾)

レースの前半3Fが32.8〜33.2ほどになれば、ピュアスプリンターのスピードとパワーが活きるレースとなるでしょう。

 

今年は重馬場に?

関東地方はグズついた天気が続いており、週末も雨の予報が出ています。中山の芝コースは排水性が良いため、雨が降った後に晴れ間が出れば馬場はすぐに乾くのが特徴です。ただ、レースが行われる土日に雨が降り続くようなことがあれば、時計のかかる「重(不良)」でのレースとなるでしょう。

 

重馬場になると?

重馬場におけるレースは体力をロスした馬から脱落する消耗戦になることがあり、ペースうんぬんよりも馬場への適性を問われることがあります。

「不良」で行われた昨年の菊花賞と天皇賞・秋は、重馬場適性とスタミナ、精神的な強さが問われたレースでした。このような馬場コンディションになってしまうと、ペースを想定する馬券の予想はあまり役に立たなくなるでしょう。

 

重馬場に適性があるのは?

それでは、スプリンターズSに出走予定の19頭から、重馬場に適性のある馬をピックアップしましょう。

セイウンコウセイ

ティーハーフ

ナックビーナス

ヒルノデイバロー

ファインニードル

レッツゴードンキ

(50音順)

✳︎グレイトチャーターは重馬場のレースでの好走例が多くあるものの、血統的にサクラバクシンオーとMr. Prospectorの柔らかさをもつはずなので、重い馬場に適性があるのかは半信半疑です。

上記の6頭は重馬場でパフォーマンスを上げるタイプです。上位人気に想定される馬がズラリと揃い、「重馬場だから荒れる!」レースになるのかは微妙なところ……。アレスバローズとレッドファルクスはあまりにも馬場が悪化するようだと大きくマイナスです。

 

「不良」まで悪化するなら

もし、馬場が不良まで悪化するようなら、セイウンコウセイレッツゴードンキは大きくプラス。2頭ともに重馬場は「鬼」なので期待がもてます。

1人気のファインニードルは今春の高松宮記念、前走のセントウルSとタフな馬場でハイパフォーマンスを出していることから、「不良」になってもマイナスにはならないでしょう。後は水の浮いた馬場になったときに、滑らずに走ることができるかだけです。

ナックビーナスはタフな馬場がベターですが、不良まで悪化したときに対応できるのかはわかりません。牝馬としては大型で、母系にDanzigが入ることから、不良でもOKだとは思いますが……。

 

カラリと晴れれば高速馬場に?

先週までの中山芝は速い時計の出るコンディション。1600万下の芝1200mで1分7秒0のタイムが出るほどですから、スプリンターズSが良馬場で行われるなら、1分6秒台も視野に入ります。ただ、週末の雨によってはかなり時計のかかるレースになることも考えられ、どちらに振れるのかは難しいですね。

先にも述べたように、中山の芝コースは排水性が良く、晴れて乾き始めると速い時計の出る馬場へと急速に回復します。土曜日に雨が降っても、日曜日にカラリと晴れれば、高速馬場でのレースとなるでしょう。

 

高速馬場なら

1分6秒台の高速決着になるようだと、有力なのはアレスバローズとダイメイフジの2頭。ともに6秒台のもち時計があるのは大きな強みです。2頭の比較なら、高速決着は「どんと来い!」のディープインパクトを父にもつアレスバローズでしょう。ただ、この馬が好走するほどの馬場になるのかは「?」が付きます。

 

まとめ

重馬場 or 高速馬場のどちらになるのかはレースに大きな影響を与えるので、しっかりとチェックしなければなりません。1人気のファインニードルはどちらの馬場になっても対応可能ですから、今年はこの馬に人気が集中するのでしょう。

今から週末が楽しみですね。

スプリンターズSの予想は以下をご覧下さい。

以上、お読みいただきありがとうございました。