3連単が200万超の配当と大波乱に終わった2017年の阪急杯(GⅢ)。
1〜3着のトーキングドラム、ヒルノデイバロー、そして最低人気だったナガラオリオンも波乱の立役者ですが、単勝1倍台のシュウジが馬券内に入れなかったことも配当が高くなった要因の1つです。
GⅠ高松宮記念に向けて、阪急杯では結果だけではなくレース内容も問われたシュウジ。
その敗因はどこにあったのでしょうか?
敗因は?
鞍上の川田騎手のコメントやレースのラップ推移、そして馬券内に来た馬たちの走りからーー
2. 前半の3Fが33秒台で、そこからゴールまで失速するラップだった→ダートのラップに似ているため、重たい馬場だった
などが挙げられています。
もちろん、さまざまな要因が重なっての敗戦だと思いますが、レースリプレイを見返して印象に残ったのはシュウジの好スタートとダッシュ力です。
スタートが速すぎた
スプリンターは前後駆ともに筋骨量が豊富でパワーがあるので、踏ん張ってポンとスタートが出られることと、二の脚のダッシュを効かせられることが中距離馬よりも優れています。
シュウジも昨秋以降、母カストリアの血統に由来するパワーが現れてきて、いかにもスプリンターらしい体型と走りにシフトしてきました。
阪急杯のアナウンサーも驚いたかのように「シュウジが好スタートから前へ」と実況したように、ポンとスタートを出て先手を取れるほどのダッシュ力を見せたのは、シュウジのスプリント能力の高さを裏付けるものです。
馬への当たりの強い川田騎手がシュウジの前進気勢を腕力で押さえ込もうとしたことで、3角を回るまでにかなり体力を消耗してしまったと思います。
もちろん、好スタートから馬の気に任せて前へ前へと出して行ったとしても、残れたのかは分かりませんから、川田騎手の判断が間違っていたわけではありません。
前走、道中はインで我慢して、前で抜け出しを図ったイスラボニータをゴール前で捉える大人びたレースをしたのですから、阪急杯で同じようなレースをしようとするのは自然なことです。
シュウジは「もうスプリンター」だから
ただ、シュウジはもう立派なスプリンターなので、前半のダッシュも速くなり前傾ラップを堂々と押し切る馬へシフトしているのだと。
1200m戦なら前半3Fが33秒台後半だとペースが緩くて掛かってしまい、例えば、1:07.5の決着になるとしたら、33.0ー34.5の前傾ラップを先行抜け出して勝つ馬なのだと思います。
そのため、多少ペースがハイになったとしてもムリに抑えずに馬の気に任せた方が後半の粘りが増すと思います。
GⅠ高松宮記念は…
昨年の優勝馬ビッグアーサー、前哨戦のシルクロードステークスを勝利したダンスディレクターが回避する高松宮記念は主役不在と言われる混戦模様です。
出馬投票はまだ先ですが、昨年のスプリンターズSのメンバーに上がり馬が加わったとしても、テンの3Fが33秒前半になるかは疑わしく…
シュウジは気負った走りだった阪急杯が良い意味でのガス抜き(1走したことで力みが消える)になれば、馬の気に任せて33秒前半を涼しい顔で追走し、直線で他馬を突き放す競馬をしてもバタッと止まらないのではと思います。
あまりにも前に行く馬が薄ければ、「逃げてもいい」くらいのレースができれば、母カストリアのパワーが中京の芝で存分に発揮されるはずです。
あるいは…重〜不良馬場なら
あるいは、高松宮記念当日、重から不良になれば阪神Cの時のように湿った馬場に脚をとられる分、前進気勢が削がれスムーズに折り合いがつくかもしれません。
気性の難しいコパノリチャードが不良の高松宮記念(2014年)を折り合いもスムーズに2番手から抜け出して快勝したときのようなイメージで。
ただ、あまりにも馬場が悪くなるようだと、ネロやセイウンコウセイと言った重馬場巧者も黙ってはいられませんね。
シュウジに期待するレース
いろいろと書きましたが…
これだけスピードとパワーのある馬がスプリント戦で「能力全開」の場面を観たいのです。
33.0ー34.5 = 1:07.5
前半が33秒台のレースを34秒そこそこの後半で上がるような、しのぎを削るスプリント戦いが観たいのです。
フラワーパークとエイシンワシントンが叩き合った時のような、ロードカナロアが32秒台で逃げるハクサンムーンを力づくで捕らえるような、32秒台で逃げるエイシンバーリンを余裕しゃくしゃくで追いかけるタイキシャトルのようなーー
そんなスプリント戦になりますように。
シュウジは「もうスプリンターだから」、33.0で気分よく走って欲しいのです。