七夕賞('17年)は◎フェルメッツァと2桁人気馬の好走に期待してーー予想

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サマー2000シリーズの第1戦となる名物ハンデ重賞「七夕賞」が7月9日(日)、福島競馬場の芝2000mを舞台に行われます。

5年連続で2桁人気の馬が馬券圏内に好走しているように、「荒れる」と言われる七夕賞。今年はミルキーウェイを好走する人気薄の馬が現れるのでしょうか?

 

今年の出走馬は12頭

フルゲートの16頭で争われる例年の七夕賞と異なり、今年は12頭といくらか寂しいメンバーになりました。これだけ少頭数になると、2桁人気の好走は今年で途切れてしまうかもしれませんね。

2桁人気に決め打ちするなら、対象は10〜12番人気の3頭となるので絞りやすいレースと言えそうです。人気薄の好走馬については週中に展望記事を書きましたので、参考にしていただければ幸いです。

七夕賞は5年連続で2桁人気の馬が好走、今年も高配当が出るのか?ーーレース展望('17年) - ずんどば競馬

 

上位人気馬について

今年の七夕賞で上位の人気に支持されるのは、昨年のラジオNIKKEI賞を制している福島巧者のゼーヴィント、現役屈指のハイペースの逃げ馬マルターズアポジー、今年の新潟大賞典2着で復活を遂げたマイネルフロストの3頭。

それでは、1頭ずつ解説していきます。

 

ゼーヴィント 4歳牡馬

父:ディーインパクト

母:シルキーラグーン(母父ブライアンズタイム)

厩舎:木村哲也(美浦)

昨年の3歳限定のハンデ重賞「ラジオNIKKEI賞(福島芝1800m)」を制し、その後はセントライト記念2着→福島記念2着→AJCC2着と十分な間隔を取りながら重賞で好走しています。前走から半年近く間が空いたのは、目標にしていた大阪杯を脚部不安で回避し、足元の様子を見ながらの調整となったからです。

3歳の夏以降は、中山と福島に的を絞ったローテーション。この馬はディープインパクト産駒としてはキレ味は「並」で、母父ブライアンズタイムらしいパワーとスタミナで小回りを捲るのが得意ですから、このローテーションは好感がもてます。

ゼーヴィントについては、週中の展望記事で詳しく書きましたので、よろしければそちらも参照して下さい。

七夕賞は小回り向きのディープインパクト産駒3頭に注目してーー展望 - ずんどば競馬

 

不安点

ゼーヴィントにとっての不安点は2つ。

 

1. 今年の木村哲也厩舎は不振

'15、'16年と年間勝利数が30勝を超えていた木村厩舎が今年はここまで7勝に留まっています。

オークス6着のフラーレスマジックを筆頭に、質量ともに揃っている3歳馬が今年に入ってから思ったほどの好結果を出せなかったこと、厩舎の看板馬だったアルビアーノが引退したことの影響もあって、なかなか厩舎成績が上がってきていません。

木村哲也の年度別成績|競馬データベース - netkeiba.com

厩舎の不振がゼーヴィントに影響を与えることも考えられ、その点は不安材料です。

 

2. 脚部不安で休養が長引いたこと

ゼーヴィントはAJCC2着の後、脚部不安によって目標としていた大阪杯を回避しました。6ヶ月近い休養期間は初めての経験だけに、レースで走れる仕上がりにあるのかは心配な点です。

 

マルターズアポジー 5歳牡馬

父:ゴスホークケン

母:マルターズヒート(母父:Old Trieste)

厩舎:堀井雅広(美浦)

デビューから20戦すべてで逃げている快速馬のマルターズアポジー。昨年は1000万下からの3連勝でGⅢ福島記念を制覇すると、有馬記念でもケレン味のない逃げでファンを沸かせました。

マルターズアポジーが逃げたレースのなかでもっとも驚かされたのはハイペースの逃げ切り勝ちとなった今年のGⅢ小倉記念(小倉芝1800m)。

 

▼小倉記念のレースラップ

12.2 - 11.1 - 11.5 - 11.4 - 11.4 - 11.7 - 11.7 - 11.9 - 12.9

1000mの通過が57.6のハイペース。ゴールに向かってスピードが落ちて行く消耗戦になっていることが、レースラップからもわかります。このラップで逃げ切ってしまうのはスピードだけではなく競走馬としての総合力が高い証です。

福島は(3 - 0 - 1 - 0)と好相性のコース。3着に敗れたラジオNIKKEI賞の勝ち馬はGⅠ級の能力をもつアンビシャスですから、マルターズアポジーにとって胸を張れる敗戦だったと言えるでしょう。

 

不安点

七夕賞に向けてマルターズアポジーの抱える不安点は2つ。

 

1. 大阪杯大敗のダメージ

前走のGⅠ大阪杯は逃げて見せ場を作ったものの15着と大敗を喫しました。その大阪杯は前後半の1000mが59.6 - 59.3とこの馬としてはそこまで厳しい流れではなく、キタサンブラックのプレッシャーを受けたのだとしてもここまで大敗するのは……。身体・精神的なダメージが残るような敗戦だったために、気性の難しい逃げ馬ということを考えると、大阪杯からの立て直しができているのかは不安な点です。

 

2. トップハンデの斤量57.5kgを背負う

57.5kgはマルターズアポジーが初めて背負う斤量ですし、他馬との差も気にかかります。スピードタイプの馬にとって重量の影響は大きく、もち味の末の粘りが削がれることも……。

 

マイネルフロスト 6歳牡馬

父:ブラックタイド

母:スリースノーグラス(母父:グラスワンダー)

厩舎:高木登(美浦)

'14年日本ダービーの3着馬。4歳時にOP特別の福島民放杯を勝ちましたが、それ以降は長いスランプに陥ることに。

今年、ブリンカーを着用して臨んだGⅢ新潟大賞典(新潟芝2000m)で11番人気ながら2着と好走すると、次のGⅢ鳴尾記念も3着に入線し能力に衰えがないことを示しました。

父ブラックタイド×母父グラスワンダーらしいパワーと先行力があり、本来は小回り・内回りを捲る脚に優れています。

ここ2走、重賞を連続して好走したのは体調が整ってきたこととレースに対して前向きな気持ちが出てきたからでしょう。

 

不安点

マイネルフロストにはそれほど不安になる点はありません。そもそも重賞を勝ち切るだけの力が戻っているのかは「不安」よりも「期待」です。

この馬に関してはプラスになる要素を探すことが予想の上で重要と言えます。

 

予想

少頭数になったことから、ここ5年のように2桁人気が馬券圏内に突入するかは「?」が付く今年の七夕賞。ただ、ゼーヴィント、マルターズアポジーと不安要素もあるだけに一筋縄で収まるのかも「?」が付く難しい1戦になりました。

ここ5年、2桁人気の馬が好走していることから、今年も波乱を前提として予想します。

 

レース展開

アクシデントがない限りはマルターズアポジーの逃げは確定的です。外からマイネルフロスト、真ん中の枠からヴォージュが2番手をうかがい、内枠に入ったパドルウィールとフェルメッツァ、フェイマスエンドも先行態勢に入ります。1番人気のゼーヴィントはこの枠だと中団の位置取りになります。

2000mという距離と57.5kgの斤量から、マルターズアポジーの逃げは大阪杯のようなイーブンペースに落ち着きそうです。ただ、現在の福島競馬場の馬場は軽いため、武士沢騎手が前半を抑え気味に入ったとしても1000mの通過が59秒ソコソコに。マルターズアポジーは3コーナーあたりからペースを上げてくるので、他馬がどのように勝負処で前へ取り付いて行くのかがレースを大きく左右します。

 

◎フェルメッツァ 6歳牡馬

先週のラジオNIKKEI賞3着のロードリベラルにしても、外からの捲りは1着までは届かないのが今の福島の馬場コンディション。

今の馬場ならば3コーナーからインを捲り気味に押し上げて、スピードに乗りながら直線に向くのがベストで、それができるのは内枠に入ったフェルメッツァがもっとも有力です。

週中の展望記事でフェルメッツァについては詳しく書いたので、そちらを参照していただければ幸いです。ここでは簡単に◎の根拠を。

七夕賞は小回り向きのディープインパクト産駒3頭に注目してーー展望 - ずんどば競馬

ディープインパクト産駒としてはキレ味がそれほどあるタイプではないものの、時計勝負には強いのが特徴。前走の福島民報杯2着はハイペースを追走して直線でもしぶとく脚を伸ばしました。

マルターズアポジーの逃げが確定的なことからペースはある程度は流れ、少なくともスローの瞬発力勝負は考えられない展開になることから、時計勝負に強いフェルメッツァには好走のチャンスが十分にあります。

松永幹夫調教師が55kgの斤量について、「ハンデが見込まれた」と嘆くコメントが出ていましたが、このメンバーであれば致し方なしでしょう。秋山騎手の連続騎乗も好感がもて、半兄フラガラッハに続く重賞制覇に期待します。

 

◯フェイマスエンド 6歳牡馬

2桁人気の好走馬としてピックアップする1頭。もともと素質を高く評価されていた馬で、長期の休み明けを克服できればチャンスも出てきます。

スタートを決めて石川騎手が出していけば、2、3番手のインを取れる組み合わせ。同じ馬主のパドルウィールとの兼ね合い次第ですが、少なくともインコースを走れるのは間違いありません。

七夕賞と相性の良いNijinskyの血をもっていることも強調材料で、今年「2桁人気の好走馬」として期待して◯の印を。

フェイマスエンドの詳しい解説については下記の記事をご参照下さい。

七夕賞は5年連続で2桁人気の馬が好走、今年も高配当が出るのか?ーーレース展望('17年) - ずんどば競馬

 

▲パドルウィール 6歳牡馬

こちらも人気薄の好走馬としてピックアップ。時計勝負もOKな先行馬で、ペースが速くなるようなチャンスも十分にあります。

最内枠に入ったことからインのポケットに入れる可能性が高く、3コーナーから石橋脩騎手が強気な騎乗を見せてくれることに期待します。

 

その他の馬について

2桁人気馬の好走が前提の予想なので、3着候補は全通りとしたいところですが……。

上位人気のゼーヴィント、マルターズアポジー、ヴォージュ、マイネルフロストについては3着内は十分に考えられるので3連複の3軸目として拾います。

その他に流しておきたいのはバーディーイーグルと大外のソールインパクトの2頭。

 

買い目

フェルメッツァの単勝と、この馬からの3連複を。

 

単勝

3

 

3連複フォーメーション

1軸目:3

2軸目:4. 1

3軸目:4. 1. 5. 6. 8. 9. 11. 12

 

まとめ

「荒れる」と言われる七夕賞は、6年連続で2桁人気馬の激走があるのでしょうか?

今年は12頭と少ない頭数なので、そこまで大波乱はないとは思うものの、ついつい高配当に目が眩んでしまいます。

皆様にとっても素晴らしいレースになりますように。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。