11月17日(土)、東京競馬場のメインとして行われる東京スポーツ杯2歳S(GⅢ・東京芝1800m)は、来春のクラシックを目指す馬が揃う出世レースです。
昨年1着のワグネリアンはダービー馬となり、一昨年2着のスワーヴリチャードはダービー2着の成績を残しました。クラシックと縁の深いレースとあって、今年もヴェロックス、カテドラル、ルヴォルグ、ダノンラスターなど前評判の高い素質馬が出走します。
東京芝は高速馬場
今開催の東京の芝コースは好天に恵まれていることもあってか、速い時計の出る馬場コンディションです。まずは10日(土)、11日(日)に行われた芝レースの勝ちタイムをチェックしてみましょう。
✳︎2歳戦はタイムのバラつきが多いため、ここでは除きます
11月10日(土)
8R:平場戦
芝2000m(3歳以上1000万下)
勝ちタイム:2分1秒9
レース上り3F:33.5
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10R:三鷹特別
芝1400m(3歳以上1000万下)
勝ちタイム:1分20秒2
レース上り3F:35.2
11月11日(日)
7R:平場戦
芝1600m(3歳以上500万下)
勝ちタイム:1分32秒7
レース上り3F:34.7
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9R:tvk賞
芝1800m(3歳以上1000万下)
勝ちタイム:1分46秒1
レース上り3F:33.7
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10R:奥多摩S
芝1400m(3歳以上1600万下)
勝ちタイム:1分20秒4
レース上り:34.2
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11R:オーロC
芝1400m(オープン)
勝ちタイム:1分20秒2
レース上り3F:34.0
先週の芝のレースは勝ちタイムそのものも速く、上り3F33秒台の脚が使えないとノーチャンス(馬券外)の馬場でした。
エアレーション作業が行われるようになってからの東京の芝は、開催が進むにつれて速い時計の出るコンディションとなります。雨の影響がなければ、この高速馬場はジャパンカップまで続くでしょう。
東京スポーツ杯2歳Sはストライドが優勢
東京スポーツ杯2歳Sは来春のクラシックを狙う好素材の馬たちが集まります。直線の長い東京芝コースの1800m戦とあって、しなやかなストライドでキレる脚を使ったもの勝ちのレースです。
ワグネリアン、ブレスジャーニー、スマートオーディン、サトノクラウン、イスラボニータなどの過去の1着馬からも、ストライド走法が優勢だとわかります。今年、バキューンと弾ける脚を使えるのはどの馬なのでしょうか?
ストライド走法の馬は?
ストライド走法にはディープインパクト的なしなやかで柔らかいフットワークと、ハーツクライ的な重厚でパワフルなフットワークの2種類のタイプがあります。どちらも東京コースを得意とするものの、より高速馬場に適性があるのは前者です。ここでは、この2種類のタイプに分けてピックアップしてみましょう。
▼しなやかストライド
過去のレース映像から、しなやかなストライドで走るのは以下の4頭。
アガラス
ヴァンドギャルド
ダノンラスター
ホウオウサーベル
(内枠から降順)
このなかでより柔らかなフットワークで走るのはブラックタイド産駒のアガラスとディープインパクト産駒のダノンラスターです。前者は血統の字面以上に東京コースに向き、後者は「ディープ×A.P.Indy」的なしなやかなストライドで走ります。
▼重厚なストライド
重厚なストライドで走るのは以下の4頭。
カテドラル
ヴェロックス
ルヴォルグ
ゴータイミング
カテドラルはハーツクライ産駒としてはムチムチのトモをもつ馬で、ビュンとキレるというよりもズドーンとパワフルな脚を使うタイプ。デインヒルのパワーが前面に出ているので、東京や中京、阪神外回りなどゴール前に上り坂のあるコースがベストでしょう。
新種牡馬ジャスタウェイを父にもつヴェロックスはこちらもパワフルなストライドで走るタイプ。母系のドイツ血脈がしなやかさを伝えるので、この馬は東京コースがベストです。ヴェロックスについては以下の記事に詳しく解説しているので、よければそちらをご覧下さい。
ルヴォルグは直線で抜け出すときの速さは母系に入るEl Prado譲り。しなやかさを伝えるSir Ivor5×5のクロスをもつので、もう少し使い込むと柔らかなストライドになるのかもしれませんが、現状だとパワフルなタイプに見えます。
予想
トーラスジェミニの逃げに対し、カテドラル、ヴェロックス、ルヴォルグのパワフルなストライドの馬がどのタイミングで仕掛けるのかがレースのポイントです。しなやかストライドの4頭は1〜3人気の3頭の仕掛けに合わせて、後からバキューンと追いかけてくる展開となります。
◎ヴェロックス 2歳牡馬
父:ジャスタウェイ
母:セルキス(母父Monsun)
厩舎:中内田充正(栗東)
生産:ノーザンファーム
ノーザンファーム生産馬+C・ルメール騎手の組み合わせも魅力的ですが、それ以上にこの馬の雄大でパワフルなストライドには目を見張るものがあり、ここは素質に期待して◎を。
前走の野路菊Sからビュンとキレないことはわかっているので、ハーツクライ譲りのパワフルストライドをC・ルメール騎手がどのように乗るのかが楽しみです。
2着候補は?
カテドラルは好素材で走る馬だとは思うものの、東京の高速馬場だとやや割引です。もしここを楽勝するようなら末恐ろしい……。ルヴォルグ、ダノンラスターも素質馬ですし、好走の可能性は十分にあります。ただ、もうワンパンチに欠けるのでこの人気だと……。
アガラスはしなやかなフットワークで走るので、コーナー距離の長いコースだった前走のコスモス賞から、ここでパフォーマンスを上げる可能性は十分にあります。ノーザンファーム天栄での調整というのも魅力です。
3着はトーラスジェミニを
トーラスジェミニはこれまでに8戦と使い込まれていますが、どのメンバーと戦ってもソコソコに好走しているのは魅力です。逃げイチの展開を味方に付け、カテドラル、ルヴォルグ、ヴェロックスの仕掛けが遅くなるようなら3着の残り目も……。
トラストジェミニの馬主は現4歳のエトルディーニュと同じ。この2頭は2歳からバンバンとレースに出走しているところが似ています。エトルディーニュはスワーヴリチャードやソウルスターリング、ペルシアンナイトなどと少差の競馬をしており、共同通信杯2着の実績馬。
トーラスジェミニも重賞で2・3着に好走する可能性は十分にあります。東京スポーツ杯2歳Sは好メンバーが揃ったこともあって2着はどうかも、逃げ脚を伸ばせれば3着くらいには……。2勝馬ながらもまったく人気がないので、ピックします。
買い目
メインとなる馬券は◎ヴェロックス→アガラスの馬単を。トーラスジェミニ3着付けの3連単は、2着にごそっと人気馬を買います。
馬単
7 → 4
3連単
1着:7
2着:4. 3. 5. 9. 12. 15. 16
3着:6
合計8点。トーラスジェミニがかなりの人気薄なので、3連単は高配当が期待できる組み合わせです。
まとめ
今年の東京スポーツ杯はヴェロックスの走りに注目の1戦。これまでにデビューしたジャスタウェイ産駒のなかで、来春のクラシックにもっとも近い存在なだけに、ここでどのような走りをするのかが楽しみですね。
キングカメハメハ、ディープインパクト、マカヒキ、ワグネリアンに続き、金子真人オーナーが5頭目のダービー馬を引き当てたのか……ヴェロックスにはそれほどの素質を感じます。
以上、お読みいただきありがとうございました。