ユニコーンS(2018年)は素質馬ルヴァンスレーヴが1分35秒0の好タイムで快勝ーー回顧

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3歳春のダート路線の最大目標となるユニコーンSは例年、GⅠ・フェブラリーSを展望する素質馬・有力馬がズラリと集まる注目の1戦です。

今年は1人気に推されたルヴァンスレーヴがM・デムーロ騎手の手綱に導かれ、1分35秒0(重)の好タイムで快勝しました。

同日の10Rに行われた3歳以上1000万下の青梅特別(ダート1600m)は3歳馬のシヴァージが、1分35秒2の好タイムで勝利しているように、この日は速い時計の出るコンディション。ただ、あきらかに中距離馬の身体つきをしているルヴァンスレーヴがこのタイムをマークしたのは驚きです。

 

現3歳世代のダート路線はハイレベル

現3歳は500万下・1000万下のダート戦で好走馬が多く出ているように、ハイレベル世代です。

3歳馬がダートの古馬1600万下〜OPで好走するのは秋以降がデフォルト。ただ、今年は例年よりもダートの1000万下を好走する3歳馬が多く、夏競馬もこの世代に注目です。

 

ルヴァンスレーヴ 3歳牡馬

父:シンボリクリスエス

母:マエストラーレ(母父ネオユニヴァース)

厩舎:萩原清(美浦)

生産:社台コーポレーション白老ファーム

昨年の3歳ダート路線を牽引したエピカリスと同じ萩原清厩舎の管理馬。こちらは3歳時に海外遠征はせず、国内に専念するローテーションが組まれました。

デビューから3連勝を飾り、ダート路線におけるこの世代のトップレベルに位置する1頭。前走の伏竜S(OP・中山ダート1800m)はドンフォルティスの2着に敗れたものの、ユニコーンSでしっかりと巻き返したのは立派です。

マイルよりも1800m以上の距離に向いている馬だけに、この後はJDD(JpnⅠ・大井ダート2000m)、レパードS(GⅢ・新潟ダート1800m)のどちらのレースを目標としても楽しみな1頭と言えます。

 

血統

母マエストラーレは1600万下まで出世した活躍馬。母系はネオユニヴァース×ティンバーカントリー×リアルシャダイと代々にわたって中距離馬がかけられており、スタミナとパワーに優れた配合。

ルヴァンスレーヴは父シンボリクリスエスらしい「胴長+脚長」の体型をした中距離馬。ただ、新馬戦の豪快な捲りや小回り川崎で行われた全日本2歳優駿の走りからも、Roberto3×5のパワーが前面に出ています。

直線の長いコースをしなやかに差すというよりも、小回りコースをパワーで捲るのに適しており、本質的には中山や阪神コースがベスト。馬体が完成したら、チャンピオンズC>フェブラリーSという馬になるでしょう。

 

ユニコーンSの内容

今年のユニコーンSは3〜4コーナーが12秒台と緩み、馬群が凝縮するレースとなりました。レースのラップは以下の通りです。

ユニコーンSのラップ

12.2 - 10.8 - 11.8 - 12.3 - 12.3 - 11.9 - 11.5 - 12.2

ビュンとした捲りを得意とするルヴァンスレーヴにとって、3〜4コーナーの区間で12.3 - 12.3とペースが緩んだのは大きなプラスでした。ここで先行勢に取り付くと、残り400mでは先頭のセイウンクールガイに並びかける勢い。しなやかな差し脚をよりも、グンと加速する捲り脚を活かしたレースぶりだったと言えます。

M・デムーロ騎手らしいスタートの後手でしたが、「外枠+中盤が緩む」レースだったことで大きな不利になることはありませんでした。配合と馬体からはあきらかな中距離馬なので、マイル戦だと追走に脚を使ってしまうのが負けパターン。今走は中盤の緩みが最大の勝因でしょう。

 

グリムとグレートタイムについて

2人気のグリムは密集した馬群に包まれ、直線でもスムーズに進路が取れずに9着と敗れました。すぐに加速できる器用さがあるとタイプではなく、川田騎手は3コーナーから外にもち出すタイミングを計っていたもののさばけず……。「力負け」ではないので、次走の内容に注目です。

3人気のグレートタイムはさすが良血馬という走りで2着と好走。この馬を管理する藤原英昭厩舎はダートでの3着内率が高く、ここもしっかりと好結果を出しました。母ミラクルレジェンドと似たような適性をもっており、直線の長いコースも小回りコースもこなすのが長所です。馬体からもまだまだ成長が見込め、これからが楽しみな1頭。

 

3着エングローサーについて

芝の重賞・新潟2歳でも4着と好走したように、しなやかなストライドで走るのが特徴です。父がダートGⅠ馬のトランセンドですが、母系に引くHabitatの影響が出ているのか、体質が柔らかくなっています。芝・ダートを問わず直線の長いコースに向いており、小回りコースは割引です。また、母父が揉まれ弱いアフリートですから外枠がベター。

 

逃げ・先行馬が4着と5着

4着ホウショウナウと5着セイウンクールガイはともに2桁人気ながら好走しました。2頭にとって前々からスムーズに流れに乗れたのが、好走の要因でしょう。アッサリと捲ったルヴァンスレーヴ以外にはそれほど負けておらず、2頭ともに先々が楽しみになりました。

 

セイウンクールガイ

セイウンクールガイはMr. ProspectorとNorthern Dancerのクロスをもち、ダート馬としてはしなやかな走りをする馬です。直線の長いコース+軽いダートはベスト。先行して粘り強いことから、東京と中京のダート1400〜1600mなら安定して力を発揮できます。今後も注目の1頭ですね。

 

◎ダンケシェーンは12着

◎のダンケシェーンは出遅れて最後方からの追走となってしまい、鞍上の横山典騎手もあまりムリはせずに1周してきたという内容……。スタートしてすぐに馬券が外れたことだけはわかったので、レースは冷静に観戦することができました。能力を出し切ってはいないのですし、今走でのダメージもほぼないでしょうから、次走に注目ですね。

 

ユニコーンSの特徴

ユニコーンSは近年、3〜4コーナーで1F12秒台に緩むのが特徴となっています。そのため、中団〜後方から少しずつポジションを押し上げて直線へ入ってくる馬が有利。インを器用に立ち回る馬よりも、外からしなやかストライドの馬がバキューンと弾ける脚で好走するのがユニコーンSと言えます。

今年のルヴァンスレーヴはしなやかさに欠けるものの、これは競争能力が上だったのとM・デムーロ騎手の騎乗法がバッチリとハマったものです。今後は外目をスムーズに回れるしなやかストライドの馬を積極的に狙いたいですね。

 

まとめ

ルヴァンスレーヴはベストではない東京ダート1600mの舞台で高いパフォーマンスを見せました。適性に合っていないにもかかわらずの快勝ですから、今後の楽しみが広がりますね。

以上、お読みいただきありがとうございました。