ジャスタウェイ産駒のヴェロックスは東京スポーツ杯2歳Sを好走できるのか?ーー展望

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11月17日(土)、東京競馬場のメインとして行われる東京スポーツ杯2歳S(GⅢ・東京芝1800m)は、来春のクラシックを目指す馬が揃う出世レースです。

昨年1着のワグネリアンはダービー馬となり、一昨年2着のスワーヴリチャードはダービー2着の成績を残しました。クラシックと縁の深いレースとあって、今年もヴェロックス、カテドラル、ルヴォルグなどの素質馬が出走します。

注目を集めるのは、C・ルメール騎手が騎乗するジャスタウェイ産駒のヴェロックス。新種牡馬として期待の高いジャスタウェイだけに、その産駒がクラシックと縁の深い重賞でどのような走りをするのかは楽しみですね。

今回の記事では新種牡馬ジャスタウェイ、その産駒ヴェロックスについて解説します。

 

新種牡馬ジャスタウェイ

現2歳が初年度産駒となるジャスタウェイは京王杯2歳S2着のアウィルアウェイ、函館2歳S2着のラブミーファインが重賞で連対し、新種牡馬として好スタートを切りました。

 

競走馬としてのジャスタウェイ

ジャスタウェイは2歳時に重賞路線で活躍したものの、本格化したのは古馬になってから。4歳で天皇賞・秋を制すと、明けて5歳春のシーズンにはドバイデューティフリー、安田記念と国内外のGⅠを連勝。その後にGⅠ勝利はありませんでしたが、5歳の有馬記念で引退するまでに高い競争能力を示しました。

ハーツクライ産駒らしい重厚なストライドが最大の長所。この馬が本格化したのは、トモがパンとしてスタートからポジションを取れるようになったときです。トモにしっかりと筋肉が付いたことで、持続的な末脚をフルに活かせるようになりました。

 

ジャスタウェイ産駒の特徴

これまでにデビューしたジャスタウェイ産駒の特徴は以下の通りです。

2歳新馬から小気味好く動ける

父と似て身体の線が細い産駒が多い

さまざまなタイプが出る

新馬戦を勝ち上がったのはここまで(11月11日終了時点)に7頭。父ジャスタウェイと同じく、本格化する前の2歳戦から高いスピード能力を発揮しています。

産駒の多くは父の影響からかすらっとした体型の馬が多く、これは成長曲線が緩やかなことと、ハーツクライのもつトニービンの血が強く出ているからでしょう。

ピッチ走法のアウィルアウェイは胴の詰まった体型(1400mベストのマイラー)、ストライド走法のヴェロックスは脚と胴の長い体型(中距離馬)をしており、ジャスタウェイは繁殖牝馬によってさまざまなタイプの産駒を出しています。

 

トニービンの血を活かす

ジャスタウェイを含むハーツクライ産駒のGⅠ馬は、直線の長い東京コースが「ずんどば!」の適性です。これはハーツクライの父トニービンの優れたスタミナと持続的な末脚によるもの。

ハーツクライ産駒のA級馬ジャスタウェイは、母系に入るBushel-n-Packがトニービンらしさをもっとも伝えるHornbeamと脈絡(✳︎)し、重厚なストライドを受け継ぎました。

✳︎この2頭は血統構成が似ているため、ニアリークロスとなる

ジャスタウェイ産駒においても、トニービンのもつHornbeamをいかに刺激するのかが大きなポイントとなるでしょう。アウィルアウェイ、ヴェロックスなどは、このHornbeam(NasrullahとHyperion)と脈絡する血を母系に抱えています。

 

東京スポーツ杯2歳Sに出走するヴェロックス

ヴェロックスはC・ルメール騎手を鞍上に迎え、東京スポーツ杯2歳Sに出走。この馬を管理する中内田充正調教師は、昨年の2歳牡馬チャンピオンのダノンプレミアムを出した新進気鋭のトレーナーです。

中内田充正厩舎の主戦は川田将雅騎手。ヴェロックスにC・ルメール騎手を配した(✳︎)のはノーザンファームの意向でしょうから、この馬の期待の高さがうかがえます。

✳︎C・ルメール騎手は新馬戦で手綱を取った藤沢和雄厩舎のルヴォルグではなく、ヴェロックスを選択

ジャスタウェイ産駒として来春のクラシックへ好スタートを切れるのか、ヴェロックスの走りが今から楽しみですね。

 

ヴェロックス 2歳牡馬

父:ジャスタウェイ

母:セルキス(母父Monsun)

厩舎:中内田充正(栗東)

生産:ノーザンファーム

新馬戦(小倉芝1800)は2着馬に8馬身差をつける快勝。直線はほぼもったままでのゴールとなり、この馬の高い競争能力を示した1戦となりました。2戦目の野路菊S(OP・阪神芝1800m)は素質馬カテドラルに逃げ切りを許しての2着と敗退したものの、そこまで悲観する内容ではありません。

 

血統

Monsunは日本でもソウルスターリングの母父として知られるドイツの名種牡馬。この名種牡馬はNorthern DancerもNasrullahもHaloも引かないため、日本の歴代トップサイアーのサンデーサイレンスとノーザンテースト(Norther Dancer)に対してアウトブリードとなります。

Monsunのもつ異系の血はディープインパクト、キングカメハメハ、ハーツクライ、ロードカナロアなどの種牡馬との組み合わせにアクセントをもたらし、産駒に豊かな活力を与えることになるのです。

母セルキスはトニービンのHornbeamと脈絡(NasrullahとHyperion)するChief's Crownを引いていることで、ジャスタウェイとは好相性の繁殖牝馬。ヴェロックスは父が中距離(1800mベスト)×母父が中距離の組み合わせのため、完成するのは古馬になってからでしょう。

 

重厚なストライドで走る中距離馬

ヴェロックスは脚長+胴長の馬体からも中距離馬であることがわかります。トニービン→ハーツクライ→ジャスタウェイ譲りの重厚なストライドは、いかにも直線の長い東京コース向き。直線に坂のあるコースも苦にしませんし、来春のダービー候補と言える1頭です。

 

東京スポーツ杯2歳Sに向けて

C・ルメール騎手を配したとあって、来春に向けての期待値の高さは折り紙つき。コース適性も申し分ありませんし、後はルヴォルグ、カテドラルなどの素質馬との現時点における力関係だけでしょう。

まだトモが緩く、完成するのは古馬になってから。成長曲線が緩やかなことを考えると、父ジャスタウェイと同じように2・3歳時はGⅠを取ることができないかもしれません。

血統と馬体は一級品の馬だけに、東京スポーツ杯2歳Sを素質でぶっこ抜けるのかに注目しています。

 

まとめ

ジャスタウェイ産駒の現時点における稼ぎ頭は、名牝トキオリアリティーを祖母にもつアウィルアウェイ。同馬はその母ウィルパワーの特徴を色濃く受け継いでおり、距離適性としては1400m前後です。

クラシックを展望するジャスタウェイ産駒はヴェロックスが筆頭候補なだけに、東京スポーツ杯2歳Sは楽しみな1戦となります。ここに出走するカテドラル、ルヴォルグ、ダノンラスターの3頭もかなりの素質馬ですから、白熱したレースになることは間違いありません。

以上、お読みいただきありがとうございました。