東京競馬場は馬場が高速化ーー今年もヴィクトリアマイルは高速馬場になる?!

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GW開催の5月6、7日の東京競馬場はメインに3歳馬限定のレースが組まれ、土曜日のプリンシパルSは1:58.3のレースレコード、日曜日のNHKマイルカップは1:32.3の好タイム決着となり、馬場の高速化が目立った週となりました。

5月14日に行われる、春の古馬牝馬チャンピオン決定戦ヴィクトリアマイルは、ここ2年が1分31秒台の高速決着。5月13日からはA→Bへとコースが替り、先週よりもさらに速い時計になることも考えられます。

速いタイムが出ることによってレースの質が変わり、それによって好走する馬と凡走してしまう馬が分かれることにもなりかねません。例えば、今年の皐月賞は中山の開催最終週にも関わらず1:57.8のレースレコードが記録された高速馬場。レースでは差し・追い込みに構えて、最後の直線で外に出した馬はまったく伸びなかったことからも、レースを予想する上で馬場は重要なファクターの一つです。

今年のヴィクトリアマイルも高速決着の馬場になるのでしょうか?

 

速い馬場になる下地は整った東京競馬場

JRAの馬場造園課は「芝の育成」(=芝が傷みにくくなるように)を目的として、馬場に散水を行います。芝や路盤に含まれる水が多いほどレース時計は出にくくなり、少ない(乾いた状態)ほど速くなるのが一般的です。そのため、散水によって馬場がどれくらいの水を含んでいるのかは時計の出やすさに関係します。

 

土曜日に雨の予報

天気予報を見ると、土曜日には雨、日曜日は曇りのマークが出ています。また、水曜日の午前中も雨が降る可能性があり、このことからJRAの馬場造園課は週中の散水を控えることも考えられます。

土曜日に雨が降り、続く日曜日も雨または終日曇りであれば、馬場が回復することがなく高速馬場にはなり得ません。ところが、もし、土日で雨が降ることがなかったとしたら、馬場はかなり乾いた状態でレースが行われる可能性が……。

 

東京競馬場は暗渠排水設備が優れている

東京競馬場は早くから芝を傷みにくくするため、馬場の排水性を向上させる工事を行っています。これにより、雨が降ったとしてもすぐに馬場が回復します。

小島友美さんの名著『馬場のすべて教えます』のなかでも'02と'06年に暗渠排水設備の工事を行ったことで、排水性が向上していることが述べられています。

もし、土曜日に雨が降ったとしても、その後の天気が回復すれば芝はすぐに乾き始め、もとの高速馬場に逆戻りするはずです。まして、今週はBコース替り初日の開催。傷みの少ない芝が内ラチ沿いに現れるので、回復が早ければ自然と速い時計に。

 

もし、土日に雨が降らなければ……

予想されている雨が土日に降らなければ、散水されていない馬場は含水率が低くなり、「超」のつく高速馬場が出現する可能性があります。

天気だけは誰にも読めませんから、JRAの馬場造園課が週中の散水をどれほど行うのか?

この判断が週末の高速馬場が現れるかどうかの鍵を握ります。

このことから、天気予報を見るかぎり高速馬場が作られる下地は整ったと言えるでしょう。

 

土曜日に雨が降った時は注意が必要

土曜日に雨が降ったなかでレースが行われた場合、日曜日の天気がどうなるのかによって馬場は大きく変わります。

 

日曜日:晴れ

日差しが出れば馬場は早く乾き、もとの高速化

日曜日:曇り

馬場が乾きやすい内ラチ沿いのみが高速化

日曜日:雨

馬場が乾かずにタフなコンディションに

 

このなかでもっとも注意する必要があるのは土曜日が雨、日曜日が曇りの場合。日差しが出て馬場の回復が早ければ、内側から乾き始めたとしてもすぐに均等になります。

日差しが出ずに、緩やかな回復になると内側だけが乾いてインベタ馬場になることもあるので、メインまでにどのコースが伸びるのかの推移を見極めないといけません。

 

高速化して1分31秒台の決着になると

ここ2年のヴィクトリアマイルは1分31秒台の決着になっていることから、今年も土日で雨が降り続くことがなければ、これぐらいの時計を想定する必要があります。

で、1分31秒台と言っても、その中身によって好走する馬は変わってしまうわけで……。

 

前半1000mの通過タイムによって

例えば、昨年の1:31.5のレースタイムを元に考えてみましょう。前半1000mの通過タイムがどれくらいかによって、好走できる馬も変わってきます。

 

58.0 - 33.5

前半を58秒で通過すれば、上り3Fを33.5で走破することによって全体の時計は1:31.5になります。

このペースであれば、中距離馬もそこまで追走が苦しくなく、上りでしっかりと足が使えるため1400〜2000mに距離適性のある馬が走れるレンジ。

 

57.5 - 34.0

牝馬限定の重賞で1000通貨が57秒台に入ることはほぼないため、57.5よりもペースが速くなり上りが34秒そこそこのレースになると、1400〜1600mに距離適性のある馬が走れるレンジ。

このペースだと中距離馬はどうしても追走が苦しく末脚を溜められなくなります。

 

今年の出走馬の中で1番人気に支持されるであろうミッキークイーンは中距離馬ですから、前半1000mの通過が57.5秒よりも速くなってしまうと、昨年のこのレースで2着に好走した時よりもパフォーマンスを落とす可能性があるので注意が必要です。

反対に58秒そこそこであれば33秒台の上りを使えばOKなので、昨年と同じくらいのパフォーマンスを期待できます。

 

今年のメンバーの中で逃げ馬は?

ヴィクトリアマイルの出走予定メンバーを見ても、ピュアな逃げ馬は不在。枠順にもよりますが、逃げるとすればスマートレイアーかソルヴェイグでしょう。

スマートレイアーの逃げならばまず平均以下のペースに落としてくるはずで、ソルヴェイグの逃げだとしても距離不安があるだけに58秒を着るペースでいけるかどうか……。

ソルヴェイグは1400mベストのタイプですから、一昨年の大波乱の立役者ミナレットのように57秒を切るくらいのペースでいけばミッキークイーンを相当に苦しめることができると思います。ただ、そんな競馬を川田騎手がするのかどうかは……。もし、57.0 - 34.5のレースが作れれば、それこそ1400〜1600mに適性のある馬が好走できるレンジになります。

 

まとめ

芝が高速化すると、ペースによっては中距離馬に不利なレースが出現したり、雨の降り具合によってはインベタ馬場になったりと予想をする上で欠かせないファクターが出現します。

天気予報は土曜日は「雨」ですから、まずはそこで予報通りになるのかどうか。ここで降らないようだと、かなりの高速馬場を想定しなければなりませんね。

今年のヴィクトリアマイルは馬場にも天気にもレースのペースにも注目のレースになりそうです。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。

 

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