JRAのマイル路線はピュアマイラーとは言えないイスラボニータがトップレベルを引っ張っていたように、「ハイレベル」と呼べない現状です。また、この路線の絶対王者だったモーリスが不出走となった一昨年のマイルCSから、マイル重賞はコロコロと勝ち馬が替わる混戦模様……。今年も中距離馬のスワーヴリチャードが参戦し上位の人気に推されていることからも、香港やドバイをぶっこ抜けるトップマイラーの出現が待たれます。
安田記念のポイント
今年の安田記念のポイントは大きく3つです。
1. 逃げ馬の作るペースは?
2. 前後半800mのバランスは?
3. マイラー vs 中距離馬
それぞれのポイントをおさらいしましょう。
逃げ馬の作るペースは?
今年の安田記念はピュアな逃げ馬が不在(✳︎)で、先手を主張するのがウインガニオンとアエロリットの2頭。どちらも前傾ラップでガンガン飛ばし、後続に脚を使わせて逃げ切るタイプというわけでもなく、前半800mのペースが速くなるのかは微妙なところ……。
✳︎逃げないと力を発揮できないタイプが不在
ウインガニオンは3〜4コーナーで少しずつペースを上げて粘り込みたいタイプで、アエロリットもピュアなマイラーではありませんから、前半800mが45秒台になる可能性は低くなりました。
前後半800mのバランスは?
現在の東京芝コースは「高速馬場」となっています。マイルのGⅠであれば1分31秒台の勝ちタイムになるのがデフォルトです。ただ、今年の出走メンバーだと、前半800mが45秒台に入る可能性は低く、勝ちタイムも1分32秒0前後が妥当でしょう。
▼想定される前後半800mのバランス
46.5 - 45.5(1分32秒0)
このメンバーで想定される前後半800mのバランスは上記のもの。前半がもう少し速ければ勝ちタイムが1分31秒台に入ります。アエロリットの戸崎騎手がウインガニオンを突かないかぎり、前半800mが45秒台になることはなく、全体のペースは後傾ラップ(スローペース)でしょう。
マイラー vs 中距離馬
スワーヴリチャード、リスグラシュー、リアルスティールなどの中距離馬が参戦し、それぞれソコソコの人気に推されているのが今年の安田記念。そのため、「マイラー vs 中距離馬」の争いもレースを予想する上でのポイントです。詳しくは週中の記事に書いているので、ここではザックリと説明します。
・前半800mが46秒台+後傾ラップ
→中距離馬が好走するレンジ
・前半800mが45秒台+前傾ラップ
→マイラーが好走するレンジ
現在の芝コースは高速馬場のため、前半800mが45秒台後半でもスローペースになる可能性もありますが、基本的には上記のようにわけるとわかりやすくなります。
中距離馬は道中の追走で脚をなし崩しに使いたくないため、スローペースがベター。スワーヴリチャード、リスグラシュー、リアルスティールの3頭は前半800mが45秒台だと苦しくなるでしょう。今年のメンバーだとスローになる可能性が高く、3頭を切りにくくなりました……。
予想
まず、前半800mがどれくらいのペースになるのかを決め打ちしてしまいましょう。45.5前後までペースが上がってしまうなら、スワーヴリチャード、リスグラシュー、リアルスティールの3頭は馬券から外します。反対に46.5前後であれば馬券内候補として残さないと……。
これまで、安田記念とヴィクトリアマイルの東京芝マイルGⅠではすべて前半800mが45.5前後になる想定で予想し、中距離馬よりも1400mベストの馬をピックアップしてきました。今回のメンバーはいかにもスローになりそうですが、ここは初志貫徹で前傾ラップに期待します。
1400〜1600mベストのマイラーは?
前後半800mのペースは45.5 - 46.0(1分31秒5)を想定。今年の高速馬場だと45.5で入っても46秒台でまとめられるので、イーブン〜ややハイにおさまると考えて……。
ほぼイーブンペースがベースになるのであれば、馬券は1400〜1600mベストのマイラーから入りたいですね。そこから、高速馬場がOKのタイプを絞ります。◎候補は以下の4頭。
レッドファルクス
モズアスコット
ヒーズインラブ
サングレーザー
(内枠から降順)
サングレーザーが3枠よりも内に入ったのなら迷わずここからでしたが、まさかの8枠……。引っかかる馬ではないので、福永祐一騎手が日本ダービーのワグネリアンのような騎乗をしてくれればいいのですが、ここまで差し・追い込みで結果を出しているだけに、本番で強気のスタートからポジションを取って行く可能性は低く……。
というわけで、残りの3頭から選びます。レッドファルクスはスローがベターで、前半800mが45.5まで上がってしまうと不安が……。また、不調の田辺騎手というのも割引です。ヒーズインラブは前目のポジションを取れるのかが不透明なのと、もともとが小回り向きの走法。となると本命候補はモズアスコット1頭だけです。
◎モズアスコット 4歳牡馬
父:Frankel
母:India(母父ヘネシー)
厩舎:矢作芳人(栗東)
高速馬場にも対応できるスピードをもち、スタートさえ決まれば前目のポジションを取れる1400mベストのマイラー。マイルのGⅠであれば1分31秒台の決着になるのがベターです。
今走は獲得賞金の関係で連闘での参戦になること、初GⅠ挑戦となることなど課題も山積みですが、ここに入っても競争能力そのものは劣りません。スタートからしっかり好ポジションを取れれば初GⅠ制覇も十分です。
2・3着候補は?
2着候補はレッドファルクス、ヒーズインラブ、サングレーザーの3頭、1600〜1800mベストの長目マイラーのアエロリット、ペルシアンナイト、キャンベルジュニアの3頭、さらには香港馬ウエスタンエクスプレスをピックします。
アエロリットとペルシアンナイトは内目の枠に入ったのでピック。前者は戸崎騎手が勇気をもって「逃げ」てしまえば、逃げ切りまであります。後者は1分31秒台の決着に不安があるものの、池江泰厩舎+川田騎手なので拾わないといけませんね。
キャンベルジュニアとウエスタンエクスプレスは同じEncostaDeLago産駒。どちらもソコソコに柔らかい体質のもち主で、直線の長いコースがベター。速い時計の決着も苦にしませんし、馬群の中に入ってもOKですから、この枠に入ったのなら狙います。
レッドファルクスとヒーズインラブは2着まで来れるのかが不安なものの、ソコソコに人気がないので捨てきれないですね。
買い目
3連単を買います。高配当を狙いたいので、3連単の2着には7頭のなかで人気の薄い4頭レッドファルクス、ウエスタンエクスプレス、キャンベルジュニア、ヒーズインラブの4頭を、3着に7頭すべてをマークします。
3連単
1着:10
2着:7. 8. 9. 12
3着:7. 8. 9. 12. 4. 5. 15
モズアスコットが1着でなければサッパリと諦められます。今年はこの24点で!
まとめ
安田記念はポコポコと荒れてくれるGⅠなので、買い目はできるだけ高配当になるようなものを。今年はFrankel産駒の素質馬モズアスコットにすべてを賭けます!
皆さまにとっても素晴らしいレースになりますように。
以上、お読みいただきありがとうございました。