安田記念(2018年)は高速馬場で1分31秒台の決着になるのか?ーー注目馬は?

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春のマイル・チャンピオンを決める安田記念(東京芝1600m)は、1400mベストのスプリンターから中距離馬までが出走するレースです。今年は大阪杯(GⅠ・阪神芝2000m)を制したスワーヴリチャード、ドバイターフを制したリアルスティールなどの「ピュアマイラー」とは言えないGⅠ馬が参戦し、バラエティーに富んだメンバーとなりました。

昨年の安田記念は1分31秒5の好タイム決着となり、1着サトノアラジン、3着レッドファルクスと1400〜1600mベストの馬が上位に入線。中距離馬にとっては苦しい馬場と展開だったと言えます。現在、東京の芝コースは速い時計の出るコンディションのため、昨年の再現も十分です。

 

安田記念が高速馬場で行われると?

オークス・ダービーともに2分23秒台と時計の速い決着になりましたが、マイルの安田記念が高速馬場で行われるとどうなるのでしょうか?

ポイントは大きく2つあります。

 

1. 中距離馬は不利

安田記念は春のマイル・チャンピオンを決めるレース。そのため、ピュアなマイラーだけではなく1200〜2000mに距離適性のある馬が集まります。ペースや勝ち時計によっては1400mベストのスプリンターから中距離馬まで走れてしまうGⅠであることから、高速馬場になるかは予想をする上で大切なポイントです。

一般的に言えば、全体のペース(=時計)が速ければスピードのあるマイラーが、遅ければ追走で脚を溜められる中距離馬が好走できるレンジのレースになります。もし、昨年のような速い時計の馬場だと中距離馬は不利になるでしょう。

 

2. 勝ちタイムが1分31秒台になると

例えば、勝ちタイムを昨年と同じ1分31秒5に仮定すると、前後半800mにおけるイーブン・ペースは45.7 - 45.8(=91.5秒)。前半が45秒7よりも速い前傾ラップになれば、追走するためのスピード能力が問われることになり、1200〜1400mに適性のあるスプリンターが台頭する可能性が高まります。

反対に前半800mが46秒台の後傾ラップであれば、追走で脚を溜められる中距離馬にもチャンスが生まれるのです。前後半800mのラップが46.8 - 45.4と1.4秒の後傾ラップとなった今年のヴィクトリアマイルは、中距離馬のリスグラシューが2着と好走したように、前半のペースは距離適性と大きく関係します。

 

今年の出走馬のなかでは?

それでは、中距離・マイルの適性がある出走予定馬をそれぞれピックアップしてみましょう。

✳︎ここでは、1800m以上に距離適性のある馬を中距離、1400〜1600mベストの馬をマイラーとカテゴライズします。

 

中距離馬

スワーヴリチャード

ダッシングブレイズ

リアルスティール

リスグラシュー

(50音順)

1800mがベストと言えるのは、ダッシングブレイズ、リアルスティール、リスグラシューの3頭。このなかだと「後傾ラップ+上り3Fが速い」レースを得意とするのがピッチ走法のリアルスティール。もし、ヴィクトリアマイルのようなスローペースになれば、もっともチャンスの大きな1頭と言えるでしょう。

ストライド走法のスワーヴリチャードやリスグラシュー、ダッシングブレイズは、1800m以上のレースであれば上り3Fの時計がかかってもOKのタイプ。ただ、マイル戦だと前半は少しでも緩むのがベターです。ペース・バランスとしては46.5 - 45.5(1分32秒0)が理想となります。

 

マイラー

ウインガニオン

サトノアレス

サングレーザー

タワーオブロンドン

ヒーズインラブ

ブラックムーン

モズアスコット

レッドファルクス

レーヌミノル

今年はマイラー・タイプの馬がズラリと揃い、前半800mが締まったペースになりそうですね。ここではアエロリットとペルシアンナイトのマイルGⅠ馬2頭を除いています。その2頭は1600〜1800mがベストの「長目マイラー」のため、1分31秒台の勝ちタイムに対応できるのかは未知数です。

 

馬場傾向は?

先週の東京芝は日本ダービー、目黒記念の2重賞ともに「前々+インコース」を走った馬が好走していたように、「前目のポジションが取れるかどうか?」が大きなポイントでした。差し馬であっても、3〜4コーナーではラチ沿いを通さないと直線で伸びてくることがなく、外目を追走すると苦しくなる馬場コンディションだったと言えます。

東京は水・木曜日に雨予報が出ているものの、馬場に大きな影響を与えるほどのものではありません。ダービー週に行われた芝レースからも、安田記念の勝ちタイムは1分31秒台が濃厚でしょう。

 

注目馬は?

勝ちタイムを1分31秒台と想定すると、注目したいのは前々のポジションを取れる1400mベストのマイラーです。候補となるのは以下の4頭。

サングレーザー

ヒーズインラブ

モズアスコット

レーヌミノル

サングレーザーは前々のポジションを取れる馬ですが、福永祐一騎手が日本ダービーのワグネリアンのように「勇気を出してスタートから出して行く」のかが不透明……。馬群に揉まれてもOKで、仕掛けにスッと反応できるタイプですから、内枠に入れば信頼度は高くなります。

ヒーズインラブは配合からしなやかストライドで走る馬に見えますが、本質的には小回り向きのスピードとパワーに優れた走法。中山→東京コースに替わってパフォーマンスがさらに上がるのかは微妙なところです。ただ、高速決着はOK!

モズアスコットは「連闘」での出走となることよりも、スタートが安定しないのが不安要素。マイラーズCのように先行しさえすれば怖いものの、それができるかどうか……。レーヌミノルは1400mベストのマイラーなものの、時計の速い決着に不安が残ります。

 

サングレーザー 4歳牡馬

昨年のマイルCS3着、前走のマイラーズカップを1分31秒3の好タイムをマークし、GⅠ制覇へ向けての準備は万端です。安田記念はマイラーズカップからのローテーションが不振なものの、それを跳ね返すだけの実力を備えた1頭。

先にも述べたように、内枠から好位のポジションが取れればベスト。鞍上の福永騎手はダービーを制覇、管理する浅見厩舎もレインボーラインで天皇賞・春を制していることから、陣営に追い風が吹いています。

不安要素は2歳時のホープフルS以来となる関東への長距離輸送。そこをクリアして内枠に入ればGⅠに手が届くだけの素質のある馬です。ダービージョッキーとなった福永祐一騎手の手腕にも期待しましょう。

 

まとめ

注目馬としてピュア・マイラーのサングレーザーを取り上げたものの、前半800mのペースが46秒台になるようだとスワーヴリチャード、リスグラシュー、リアルスティールの中距離馬向きのレースになります。後傾ラップ+上り3F33秒台だとリアルスティールは能力全開となりますから、まずはどのようなペースになるのかが今年の安田記念を予想をする上でのポイントでしょう。

マイラーか中距離馬か……今年はどちらに向いたレースになるのでしょうか?

以上、お読みいただきありがとうございました。