3/4の中山競馬場では1着馬に高松宮記念GⅠの優先出走権が与えられるオーシャンスSGⅢが行われ、1番人気に支持された戸崎騎手が鞍上の5歳牝馬◎メラグラーナが直線で馬場の真ん中を抜け出して快勝しました。
勝ちタイムは1:08.3(33.6 - 34.7)。
1着メラグラーナについて
メラグラーナは好スタートを切ると、戸崎騎手がなだめて先団よりも後ろの10番手を追走。4角手前でじわっと外を捲りながら進出し、直線では馬場の真ん中をパワーで駆け上がり、内から抜け出した2着ナックビーナスを1/2馬身離して勝利しました。
スタートの速さ
スプリンターとして馬体も気性も完成に近づいているのか、3歳の頃よりも後肢で踏ん張ってスタートを切れるようになってきました。
ウインムートとトウショウピストの逃げ争いの3番手でも追走できたのではないかと思うほどの抜群のスタートでしたが、戸崎騎手は意識的に下げるレースを選択。
33.9の上がり
戸崎騎手は4角手前からメラグラーナをじわっと捲らせて上がり33.9で他馬をねじ伏せましたが、一瞬のギアチェンジでトップスピードに乗るタイプではありませんから、前半が33.6なら2、3番手につけて直線先頭から押し切る競馬をして欲しかったというのが本音です。
33秒台の上がりが使えたからといって、高松宮記念を同じようなレースで差し切るのは厳しいかな、と。
坂を駆け上がるパワー
レース映像を観ても、メラグラーナは坂を駆け上がる時のパワーが素晴らしくて、中山はもちろん中京でもベストパフォーマンスが出せるはずです。
デインヒル直仔の父Fastnet Rockは、メラグラーナやブラヴィッシモからも分かるように坂のあるコースや洋芝などのタフなコースに向く産駒を送り出しています。
高松宮記念に向けて
オーシャンスSでは、前走から間隔が空いたにも関わらずマイナス体重での出走となったメラグラーナ。
馬体のハリはイマイチな感じを受けましたが、その状態でも他馬をパワーでねじ伏せたのですから、GⅠの前哨戦としては上々の内容。
ただ、高松宮記念までは間隔が詰まるため、外厩には出さずに自厩舎での調整になるはずで、馬体のハリと筋肉量をきちんと戻してGⅠへ向かえるかが鍵になります。
サイレントウィットネスのような先行で
メラグラーナと同じ豪州産の名スプリンターと言えば、05年にスプリンターズSを制した香港調教馬のサイレントウィットネス。
17連勝を記録したサイレントウィットネスはスピードとパワーの卓越したスプリンターで、逃げ・先行が勝ちパターンでした。
05年のスプリンターズSは前半3F32.9で逃げるカルストンライトオをサイレントウィットネスが3番手から抜け出して勝利を収めたレース。サイレントウィットネスが連勝を記録できたのは、前傾ラップを恐れずに好位からの横綱相撲で押し切るレースを続けたからです。
メラグラーナもサイレントウィットネスのようにパワーとスピードのある馬ですから、前傾ラップを先行で押し切る競馬ができるようになれば、それが完成形だと思います。
2着ナックビーナス
昨秋、横山典騎手に主戦を戻してからメキメキと力をつけてきた4歳牝馬。逃げ、先行、差しと幅広い脚質で勝っているのは横山典騎手の教育騎乗の賜物です。
オーシャンSでは内から馬群を捌いて伸びたように、操縦性が高く器用に立ち回れるのがこの馬の強み。
1400mがベストなタイプだと思いますが、父ダイワメジャー×母父More than Readyの血統通り、前に行ってしぶとく、母父父サザンヘイローの素軽さも表現されていて1200mにも対応できます。
対メラグラーナは2戦2敗となりましたが、いずれも2着に粘ってのもので、この馬も着実に力を付けていて、この先が楽しみです。
無事であれば、今年の夏のサマースプリントの主役になる馬かもしれません。
3着クリスマス
函館2歳SGⅢの覇者で、3歳時はオークスまで駒を進めましたが、古馬になってから1200mに照準を絞り、昨夏に再びオープン入り。
オーシャンステークスではメラグラーナのワンポジション前での競馬でジリジリと伸びたもののキレ負けという内容の3着。
バゴはセックスバイアスのある種牡馬で、牡はビッグウィーク(菊花賞勝ち馬)のように中距離馬も出ますが、牝は短距離馬が多く出ます。
クリスマスも洋芝実績があるように、時計のかかる馬場の方がパフォーマンスが上がるタイプで、薄手の馬体に似合わないパワーをもっています。
6歳を迎え、若い頃に見せた前向きすぎる気性も今はまったく見せなくなり、安定して走れるようになってきました。この馬も夏のサマースプリントシリーズに出てくれば好勝負になる馬です。
1〜3着まで牝馬が独占
オーシャンステークスは1〜3着までを牝馬が独占しました。スプリント路線は斤量が大きな要素を占めるため、古馬牝馬にとって牡馬との斤量差は大きなアドバンテージになります。
もちろん、今季のスプリント路線の層の薄さもありますが…
◯バクシンテイオーは6着
シュタルケ騎手らしく、普段よりもワンポジション前での競馬で、道中は勝ち馬のメラグラーナと同じような位置取り。
この馬は上がりが要求されるレースは不得手で、勝ち馬のメラグラーナの上がりが33.9ですから、もう少し前傾のラップなら…という内容。
8歳ですが、大きな力の衰えは感じないので、今年一杯くらいは元気に走る姿が見れそうです。
▲コスモドームは7着
バクシンテイオーと同じように上がりのかかるレースで末脚を生かすタイプで、直線もよく追い上げていますが、ジリジリと伸びるので馬券内までは届きませんでした。
まとめ
高松宮記念の前哨戦として、メラグラーナは満点解答とはいきませんでしたが、及第点はつけられる内容。
この後は外厩に出さずに自厩舎調整となることを考えるとさらなる上積みは「?」ですが、本番ではオーシャンステークスよりも積極的な競馬ができればチャンスは十分にあります。
戸崎騎手の連続騎乗になるのか、鞍上が替わるのかも注目です。