GⅢファルコンS(3歳限定)は中京芝1400mで行われ、3歳マイルGⅠ「NHKマイルカップ」へとつながるプレステップレースの1つ。
2012年に中京競馬場のコース改修に伴い、ファルコンSは1200m→1400mと施行距離が延長されました。13年の覇者インパルスヒーローがNHKマイルカップで2着に好走しているものの、現状ではステップレースとしての役割を十分に果たしているとは言えません。ただし、今後、スプリント路線で活躍する馬も出走しているので注目のレースです。
もともとは芝1200m戦
この時期の3歳馬のレースプログラムはどうしてもクラシック路線を中心に組み立てられています。年明けからファルコンSまでの間にマイルよりも短い距離の重賞がないため、1200〜1600mに適性のある馬たちがここぞとばかりにこのレースへ集まってきます。
2012年のコース・リニューアル以前は1200mでレースが行われていましたから、その傾向がより強く、「マイルまでもたないのではないか…」というスプリンターが力を発揮する舞台でもありました。
ジョーカプチーノ
ファルコンSがまだ1200mで施行されていた09年にこのレースを勝利したジョーカプチーノは、若い藤岡康太騎手の積極的な先行策でNHKマイルカップまでぶっこ抜いてしまいました。
3歳時にマイルGⅠを制覇したものの、古馬になってからは1200〜1400mに少しずつ距離の適性がシフトし、1400mがベストのスプリンターとして完成。
そして今年、種牡馬として2頭の産駒をファルコンSに送り込みました。種付け頭数から考えてもこれは優秀な成績で、マンハッタンカフェの後継種牡馬として今後も活躍が期待できます。
マイネルバールマンとジョーストリクトリ
ジョーカプチーノは初年度産駒から2勝馬を輩出し、ファルコンSにその2頭を送り込みます。
マイネルバールマン
父譲りのストライドが伸びる体型で、1200mのOP戦クリスマスローズSを勝ちましたが、ベストは東京や中京など直線の長い1400m。
好位からの競馬ができ、差し脚も安定しているので、重賞のファルコンSでもチャンスは十分にあります。
前走のクロッカスS(オープン)は東京の芝1400mと条件としてはベストでしたが、道中のペースが短距離としてはかなりのスローになったため上りの勝負にもちこまれ、バールマンも伸びてはいるものの他馬にキレ負けしたという内容の4着。
ファルコンSは1200m戦を勝ち上がってきた馬も集まるので、極端なスローは考えられません。ここはもち前のしなやかなストライドでの差し切りに期待したいところ。
ジョーストリクトリ
東京の新馬戦、中京のなずな賞(500万下)といずれも1400m戦で勝利を上げています。ジョーカプチーノ産駒らしい先行力に加えて、ゆったりとした伸びのあるストライド走法なので直線の長いコースがベター。新馬戦のレースなどを観るとはっきりと分かりますが、脚の回転が見た目にも遅いので、スローからの急加速のレースになると、他馬に離されてしまいます。反対に、スピードに乗ってしまえばぐいぐいと伸びるのがこの馬の長所です。
重賞は京王杯2歳ステークス、アーリントンCと2度挑戦し、6着、5着と善戦。前走のアーリントンC(阪神芝1600m)は、好素質馬ペルシアンナイトのパワーのある差し脚の前に完敗でしたが、内目をロスなく立ち回れたことは収穫のあった1戦と言えます。ファルコンSでは距離が1400mへと短縮されますし、ペースがそこそこ流れるところを先行してストライドを伸ばせれば、こちらもチャンスは十分です。
今の中京芝は…
3/12(日)のメインレースのトリトンSで1400mのコースレコードが更新されたように、現在の中京はタイムの速い決着もありうる馬場状態です。
そのトリトンSでは1〜3着まで内枠の馬が占めたように、以前の中京芝の特徴だった外枠の差し追い込み馬に有利な馬場ではなくなってきています。
マイネルバールマンもジョーストリクトリも好位差しの脚質ですから、今の馬場を活かせるタイプです。特に、内枠に入ったジョーストリクトリは、ぴゅっとした急加速ができないストライド走法なので、内で詰まってしまうと前を捕らえきれない可能性もあります。武豊騎手の手綱捌きに注目しましょう。
マイネルバールマンもストライドを伸ばすタイプですから、内で詰まるよりは外目をスムーズに走った方がプラスなので、好位を取れれば。鞍上が柴田大騎手ですから、この枠である程度の位置を取りにいくとは思います。
まとめ
今年のファルコンSはマイネルバールマンとジョーストリクトリの活躍で、カプチーノが香るレースになるのでは、と期待を込めて見守りたいところです。
ここで父子制覇となれば、NHKマイルカップでも…と期待もしたくなりますね。
以上、お読みいただきありがとうございました。