GWの5月6日のJRA開催は日本ダービーに向けて、西では京都新聞杯、東ではプリンシパルSがメインレースとして組まれています。
今年のプリンシパルSは12頭と少頭数ながら関西の有力馬も参戦し、ダービーへ残されたわずかなチケットを目指して、白熱したレースが期待できます。
モノサシ馬のエトルディーニュが参戦
プリンシパルSには今年の3歳世代のモノサシとなる馬、エトルディーニュが参戦します。
1勝馬ながら重賞でも2着のある実力馬で、掲示板を外したのは6着に敗れた前走のスプリングSのみという堅実派。エトルディーニュが出走したレースの勝ち馬には、ソウルスターリング、サトノアレス、スワーヴリチャード、アウトライアーズ、ウインブライトなど3歳世代の活躍馬がずらりと並びます。そのため、エトルディーニュを負かすことができればクラシックへの道が拓けると言っても過言ではありません。
今後のダービーを占う意味でもエトルディーニュの走りには注目です。
有力馬をピックアップ
プリンシパルSで上位の人気を集めるのは、2勝馬の4頭、そして未勝利を勝ち上がったばかりの1頭です。ここでは1頭ずつ解説します。
スズカメジャー
父:ダイワメジャー
母:スプリングサンダー(母父:クロフネ)
現2勝馬のアドマイヤロブソンやプリンシパルSに出走するロードアルバータなど素質馬の揃った新馬戦を快勝した後、きさらぎ賞へ格上挑戦しましたが、まさかのスタートしてすぐの落馬により競走中止。
仕切り直しの1戦となった500万下のフローラルウォーク賞を後方から重厚なストライドで差し切り勝ちをおさめると、NHKマイルカップ・トライアルのNZTへ駒を進めます。
NZTはスローの流れを後方から進め、直線は際立った伸び脚を見せたものの6着と敗退。NHKマイルカップを除外されてこちらへ回ってきました。
レースに向けて
ダイワメジャー産駒としてはストライドの伸びるパワフルな走りをする馬で、2勝目を上げたフローラルウォーク賞も重厚なストライドでの差し切り勝ち。上り33.6はダイワメジャー産駒らしくない速さで、GⅠ馬を輩出した名繁殖牝馬スプリングマンボを祖母にもつ母系のよさが出ているのでしょう。
ストライドが伸びるファームから東京コースはOK。父マイラー×母マイラーの配合ですが、中距離もこなせる体型をしており2000mも問題なし。
速い上りを出したことがあるとは言え、本質的にはスローの上り勝負では前走のNZTのように末脚が不発になってしまうので、ここはある程度ペースが流れて欲しいところ。
ダイワキャグニー
父:キングカメハメハ
母:トリプレックス(母父:サンデーサイレンス)
新馬戦とセントポーリア賞を連勝し、その2戦の上りがそれぞれ34.0と33.4をマーク。2レースともに道中はスローの流れですから上りのタイムが速くなるのは当然なのですが、2戦続けるというのはなかなかできないものです。3連勝をかけた弥生賞では2戦の内容が評価されて2番人気に支持されるも9着と敗退しました。
弥生賞の敗戦は、マイスタイルのスローの逃げをなだめなだめてムリに2番手で追走したもので、手先の強い走りをする馬をこれほど押さえ込んでは4角で手応えがなくなるのも止むなしというもの。広い東京コースに替わって、気性的に前へ前へと行くようであればムリに抑えずに外目をのびのびと走れればチャンスは十分にあります。
レースに向けて
スローのセントポーリア賞を快勝しているように、キングカメハメハ産駒らしい手先の強い走りですから、上りの勝負にも対応でき急加速のレースもOK。
コーナー4つの中山よりもほぼワンターンの東京2000mであれば他の馬から余計なプレッシャーを受ける可能性は好くなく、スムーズなレースができるはずです。今回は逃げ・先行勢が揃いましたから、道中で馬群がばらけることを考えると能力全開のシーンもあり得ます。
レッドローゼス
父:ステイゴールド
母:リヴィアローズ(母父:Galileo)
デビュー3戦目の未勝利戦を内から抜け出しての完勝。その後500万下の2戦は足踏みをしましたが、前走の山藤賞(中山芝1800m)はいかにもステイゴールド産駒という素晴らしい捲りで4角出口で先頭に立って抜け出すと、余力十分にゴール。
いくらか細身に映る馬体ながら手先の力強さとしなやかさも感じさせるストライドで、血統(母系)の字面以上に日本の芝にも対応できるタイプです。母父Galileo×母母父Nashwanですから欧州の重厚さがたっぷりと詰まっていて、それにも関わらずこれだけ素軽い走りができるのはこの馬のポテンシャルの高さを表しています。
レースに向けて
重厚な中距離馬なので、プリンシパルSよりもむしろ青葉賞向き。2000mが短いということはないですがダービーの距離の方がパフォーマンスは上がるはずです。完成するのは古馬になってからと思うものの、このメンバーであればきっちりと結果を残したいですね。
ステイゴールド産駒としてはしなやかさのあるタイプなので直線の長い東京はOK。脚質も自在性があり、最内枠は願ったり叶ったりですね。少頭数で馬群もバラけそうですから、インをぴったりと回って直線抜け出す競馬ができるはずです。
チャロネグロ
父:ハーツクライ
母:ルミネンス(母父:ジェイドロバリー)
田辺騎手らしい捲りで中山の未勝利戦と山吹賞を勝ってここへ参戦。東京コースは初重賞挑戦となった共同通信杯でスワーヴリチャードから0.9秒差の8着と敗れています。ハーツクライ産駒らしくストライドが伸びるタイプですから、中山コースを捲って2勝というのは不思議な戦績です。適性としては東京>中山のはずなのですが……。それだけ、他馬と力が違ったという2勝なのだと思います。
レースに向けて
共同通信杯は出負け+直線での不利が重なり、よいところがなく8着と敗れたものの、東京コースが合わないという走りではありません。前走の山吹賞で見せた脚を使うことができるのであればここでも好勝負にもちこめるはず。
ハーツクライ産駒なので、上りの速い競馬よりは持続力で差すタイプなので、逃げ・先行勢が揃った今回は展開も向きそうですね。
ヘリファルテ
父:ディープインパクト
母:シユーマ(母父:Medicean)
既走馬相手の未勝利戦を快勝してここへ駒を進めてきました。
母は英GⅠサンチャリオットSを勝ったマイラーで、母父のMediceanはヴィルシーナ、ヴォヴロス、シュヴァルグランの母父としても知られるMachiavellianの直仔。ここにディープインパクトが配されてHaloクロスになるのは上記の活躍馬たちと同じです。
中山の芝2000mの稍重馬場をパワー溢れる走法で勝ち切ってしまったように、小回り向きの機動力に優れているのが特徴。直線の長い東京コースに替わって上りが速くなったときに対応できるのかは未知数ですが、堀宣行厩舎+M・デムーロ騎手は好相性のコンビですから、それだけでも買い目に入れたくなってしまいます。
レースに向けて
血統的にはOP競走でも十分に走れる下地はあります。問題はキャリアの浅さと東京で瞬発力勝負になったときに対応できるのかの2点。この2つはレースのスタートが切られて走るまでは誰にも分かりませんから、この馬の素質と厩舎+騎手で買うのか買わないかを決めるしか……。
予想
プリンシパルSはなかなかの素質馬が揃った1戦。どの馬にもチャンスがありそうで、予想をするのも難しい反面楽しくもあります。まずは展開面から考えてみましょう。
展開
ピュアな逃げ馬はいませんが、内枠に入ったマイネルユニブランとニシノアップルパイの逃げ争いに、エトルディーニュとロードアルバータ、外からダイワキャグニーが続く展開。ニシノアップルパイはハナに行けなくともOKなので、どちらの逃げになるにせよ2頭の競り合いが続くことはないと考えます。
問題は先行勢がごった返しそうなことで……エトルディーニュもロードアルバータも切れる脚を使えるタイプではないので、ある程度前へ出して行くことが考えられます。ダイワキャグニーは気性的に前へととりつくでしょうから、逃げ馬が息を入れるために中弛みの展開にするようだと先行馬が凝縮してスムーズさを欠くシーンもあり得ます。
全体としてペースが流れて馬群がバラけるようであれば、後方のスズカメジャー、チャロネグロ、ヘリファルテにとっては願ってもない流れに。
◎レッドローゼス
青葉賞でも好勝負になったのではないかと期待をしていた素質馬。母系はGalileo×Nashwanという掛け合わせですが、MiswakiやBlushing Groom、Mr. Prospectorなど日本の芝向きの柔らかさを表現する血が豊富です。ステイゴールド産駒としてはしなやかで柔らかいフォームなのは納得。もちろん、東京競馬場の上り勝負ではディープインパクトのA級産駒に切れ負けするおそれはありますが、ここはそこそこペースも流れそうで、最内枠からロスなく運んで直線抜け出すシーンが描けます。
古馬になってから完成するとしても、ダービーに出走して欲しい1頭です。
◯スズカメジャー
本来はNHKマイルカップを目指していた馬。ただ、ダイワメジャー産駒としては体型に伸びもあり、上りの勝負でもそこそこ走れるので東京の2000mは適性として合っています。先述したようにここはペースが流れる公算が大きく、ラスト1Fが極端に速くならなければこの馬がまとめて差し切るシーンも十分に考えれます。
△の以下は3着候補として
△チャロネグロ
△ニシノアップルパイ
△マイネルユニブラン
△ダイワキャグニー
△スイーズドリームス
△のスイーズドリームスは母スイープトウショウらしい重厚なストライドで走る馬で、東京コースも適性としては合っています。後は騎手がポツンをしなければ……。
人気のロードアルバータは母レディアルバローザの影響が強い機動力型。そのため東京コースだとスローが希望で上りの速い決着は不向きです。
ヘリファルテはあっさりと勝ち切っても驚けませんが、血統と厩舎、騎手以外に評価が出来ないので印が打ちにくく、この人気であれば嫌いたいです。
買い目
◎と◯の1、2着固定の3連単、3着に人気の馬が入ることも考えて◎→◯の馬単を。
3連単
1着:1. 10
2着:1. 10
3着:11. 9. 2. 8. 4
馬単
1→10
皆様にとっても素晴らしいレースになりますように。
以上、お読みいただきありがとうございました。