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アイビスサマーダッシュ('17年)は今年も54秒台前半のタイムレースにーー回顧

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7月30日(日)、新潟競馬場のメインレースとして行われたGⅢアイビスサマーダッシュ(直線芝1000m)は、スタートから後方に位置した8番人気のラインミーティアが逃げるフィドゥーシアと外ラチ沿いを走るアクティブミノルの間を鋭く伸びて1着。2着は逃げ粘った1番人気のフィドゥーシア、3着は3歳牝馬のレジーナフォルテが入線しました。勝ちタイムは54秒2。

 

アイビスサマーダッシュは今年も54秒前半のタイムに

今年のアイビスサマーダッシュの勝ちタイムは54秒2となり、例年とほぼ変わらない水準の時計が出ました。過去5年間と今年のレースタイムを表にすると以下の通り。

馬 名 歳性 勝ちタイム 上り
17 ラインミーティア 牡7 54.2 31.6
16 ベルカント 牝5 54.1 31.7
15 ベルカント 牝4 54.1 31.9
14 セイコーライコウ 牡7 54.3 31.9
13 ハクサンムーン 牡4 54.2 31.9
12 パドトロワ 牡4 54.2 32.2
平均 54.18 31.87

この表からもわかるように、JRAのなかでもっとも短い距離で争われる重賞とあって、勝ちタイムは54秒1〜54秒3のなかにおさまっています。また、'12年を除き勝ち馬の上りが31秒台後半となっていることからも、前半2Fの入りは22秒台前半が理想的です。

 

レースの前半2Fが21秒台だと逃げ馬は苦しくなる

今年のアイビスサマーダッシュの1Fごとのレース・ラップは以下の通りです。

11.8 - 10.0 - 10.4 - 10.3 - 11.7

前半の2Fが21.8と速く、この地点で先頭に立っていたフィドゥーシアにとってはやや苦しい流れになりました。最後の1Fはバテながらも我慢する競馬になるので、ここで短距離馬らしいパワーを求められるのがアイビスサマーダッシュの大きな特徴。ほぼ完璧なレースプランで直線1000mを走ったフィドゥーシアがゴール前で差されてしまったのは、母父にしなやかなサンデーサイレンスが入る分だけ、そのほんの少しのパワーが足りなかったのでしょう。

 

1着:ラインミーティア 7歳牡馬

父:メイショウボーラー

母:アラマサフェアリー(母父:オース)

厩舎:水野貴史(美浦)

今走は前走の韋駄天Sから斤量が4kg増えたなかで、7歳という年齢にもかかわらず自身のベストタイムとなる54秒2をマークしての重賞初制覇。ラインミーティアの競走能力だけではなく、アイビスサマーダッシュの舞台に照準を合わせてベストなパフォーマンスを発揮させた厩舎、そして仕掛けのタイミングをきっちりと合わせた西田騎手には脱帽するしかありません。

 

レース内容

8枠から五分のスタートを切ると、西田騎手が大外のアクティブミノルを行かせて外ラチ沿いに誘導し、後方でレースを進めます。残り600〜400mの中間地点で仕掛け、フィドゥーシアとアクティブミノルの間がガラリと空いたところをじりじりと伸びて1着。

8枠からのスタートということもあって、ゴールまで「真っ直ぐ」にスピードを大きく落とすことなく走れたのは、直線1000mでは大きなアドバンテージになりました。逃げたアクティブミノルとフィドゥーシアが残り1Fでバテるところをしぶとく脚を使って差したのは、血統表のなかにサンデーサイレンスの文字が入らないスプリンターだからこその「パワー」によるものでしょう。

すべてが噛み合ったとは言っても、7歳にして1000mのベストタイムを更新するのは見事で、斤量56kgを背負っての堂々とした勝利ですから、ラインミーティアの地力そのものがアップしているのだと考えられます。

 

2着:フィドゥーシア 5歳牝馬

前走の韋駄天S(54秒3)よりも0.1秒タイムを縮めての2着ですから、フィドゥーシアももてる力をしっかりと発揮しての2着。ほぼ先頭を走っていたため、風の影響を受けながら21.8 - 32.4のタイムを出しており、ラスト1F苦しくなるのは致し方なしです。勝ったラインミーティアが残り600mまでアクティブミノルの後ろにつけて風の影響を受けていないことを考えると、フィドゥーシアには少し運がありませんでした。

ラスト1Fの失速を最小限にするためにはどうしてもパワーが必要になり、フィドゥーシアの母父に入るサンデーサイレンスの部分が、直線1000mを走り切るスプリンターとして少しだけ頑強さが足りなかったのだと言えます。3着以下には0.2秒以上の着差を付けているのですから、石橋脩騎手は仕掛けのタイミングもバッチリで今日のところは勝ったラインミーティアの好走を褒めるしかないというレース内容。

フィドゥーシアは1200mの適性も高いスプリンターですから、サマースプリントシリーズのことを考えても次走には注目です。間隔は詰まりますが、コース適性としては札幌競馬場のキーンランドCより小倉の北九州記念のほうがベターです。

 

3着:レジーナフォルテ 3歳牝馬

母ナイキトライアンフは、GⅠ馬ホエールキャプチャなどを出し現在の日本で枝葉を広げているタレンティドガール←チヨダマサコの名門牝系出身。土曜日(7月29日)の閃光特別(直線芝1000m)で2着になったグラミスキャッスルもレジーナフォルテと同じく母母母がタレンティドガールですから、この牝系はこの舞台で好走できるパワーをしっかりと子孫に伝えています。

斤量51kgを十分に活かしての3着。現状もてる力を出し切ってのもので、1、2着馬とは力の差があったかなというレース内容でした。アイビスサマーダッシュでは自己最高の馬体重494kgでの出走となり、デビュー時から10kg以上増えているのはしっかりと成長している証でしょう。牝馬ながら恵まれた馬格があるので、パワースプリンターとしての今後に期待がもてます。

 

4着:アクティブミノル 5歳牡馬

アクティブミノルの鞍上・酒井学騎手は、アイビスサマーダッシュを逃げ馬のハクサンムーンで制しているだけあって、しっかりと前半のペースを抑えながらの先行策に出ました。直線芝1000mも舞台適性としては合っている馬で、前半の入りが22.0くらいであればもう少しタイムは詰められたかも……という4着。デビューしてから1、2番人気になったことがない馬ですから、大外枠に入って2番人気と支持を集める立場でのレースとなったのもこの馬には苦しかったですね。

現状の力は出し切っているので、次走はどこを目標にするのか……選択が難しくなりました。

 

◎ラインスピリットは6着

前走からマイナス2kgとさらに馬体重を減らしてしまい、レース前から苦しい戦いになるだろうことは予想はできました。スタートから後方へ下がる形になりましたが、この馬の二の脚の速さからするとあの位置取りになるのは納得で、そこから前との差を詰めて6着での入線。道中でレッドラウダに寄られて外へ進路を取り、さらにゴール前ではアースエンジェルの内へ切り替えたりとスムーズな競馬ができなかったのも敗因の1つでしょう。勝ったラインミーティアと枠が逆だったら、もう少し上位には……という内容でしたね。

直線1000mではどうしてもパワーが必要なので、馬体重は少なくとも440kg台が欲しかった……。今後は輸送のあるローカル開催は休養するか、小倉の滞在で馬体重をこれ以上減らさないようにするかのどちらかです。430kg台でもしっかりと競馬ができることはわかりましたから、ムリに体重を戻すようなことがなければいいのですが……。

次走はどのレースを選択するのかは難しいところですね。理想は前半3Fが遅くなる京都コース。どうしても前半3Fが速くなる小倉であれば、アイビスサマーダッシュのように差しに回れるならチャンスも出てきます。

 

10着:ネロ

58kgという重い斤量は直線1000mのレースだとかなりの割引が必要です。この舞台に滅法強いネロであってもこのメンバーでコロっと負けてしまうくらいなので……。この馬の走破タイムが55秒0ということは斤量以外に休み明けも響いたと言えます。今走、前走でのレース内容が悪いため、立て直しができるのかは大きなポイント。次走はどこを走るにせよ、取捨選択の難しい1頭になりますね。

 

まとめ

タイムレースの要素の強い直線芝1000mは強い向かい風が吹いていたり、道悪の馬場にならないかぎり、それぞれのクラスで想定される勝ちタイムにおさまります。予想をする上で楽しいコースのひとつではあるものの、なかなかオッズを上回る好走馬を見つけるのが難しいのも……。

今年のアイビスサマーダッシュのように、すでにこのコースを複数回走っている高齢馬が急激にパフォーマンスを上げてくるようだと波乱の決着になりますが、これはレアなケース。競馬はこのような決着になるから難しく、だからこそ面白いのです。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。