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ジャパンダートダービー('17年)は船橋競馬所属のヒガシウィルウィンの勝利ーー回顧

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7月12日(水)、大井競馬場の2000m外回りを舞台に3歳ダート路線のチャンピオンを決めるJpnⅠジャパンダートダービー(JDD)が行われました。JRAから7頭、地方から7頭が顔を揃え、「砂のダービー馬」を目指した1戦は、船橋所属の東京ダービー馬ヒガシウィルウィンが内ラチ沿いを粘るサンライズソアをゴール前で捕らえて1着。'10年のマグニフィカ以来となる地方馬のJDD制覇とあって、大井競馬場は大きく盛り上がりました。

 

ヒガシウィルウィン 3歳牡馬

父:サウスヴィグラス
母:プリモタイム(母父:ブライアンズタイム)
厩舎:佐藤賢二(船橋)
騎手:本田正重
門別でデビューし、JpnⅢ北海道2歳優駿(門別ダート1800m)はエピカリスの2着、JpnⅠ全日本2歳優駿(川崎ダート1600m)はリエノテソーロの4着と交流重賞でもソコソコの好走を見せました。
船橋に移籍してからは南関クラシック路線を歩み、東京ダービーで2着キャプテンキングに1秒差以上つける快勝。初距離となった2000mも臆することなく好位から直線であっさりと抜け出したように、サウスヴィグラス産駒ながら中距離もこなせるタイプです。

 

JDDのレース内容

好スタートを切ると、先手を主張するノーブルサターン、前々につけるサンライズソアとローズプリンスダムを先に行かせて、本田騎手は4、5番手の案を追走。3コーナーで外からリゾネーターが捲り気味に仕掛けるのに合わせて前へと押し上げ、直線で馬場の真ん中へ出すと内から抜け出したサンライズソアを目がけて鋭く伸びて1着でゴール。

3〜4コーナーからじりじりとしぶとく脚を使い、最後はJRAの馬をねじ伏せる力強さにはサウスヴィグラス産駒とは思えない中距離への適性を感じさせました。

JDDはユニコーンSの1、2着馬だけではなく、JRAのオープン競争で好走していた馬たちを退けての勝利ですから、ダートでは世代トップレベルの力があることを示す好内容。2歳時にはエピカリスやリエノテソーロに完敗を喫したものの、3歳からしっかりと地力をつけていることを広くアピールする1戦だったと言えます。

 

JRA勢は2〜6着

1〜4番人気を占めたJRA勢はサンライズソアの2着(4番人気)が最先着。1番人気のサンライズノヴァが6着と掲示板を外すなど、エピカリスがUAEダービーに遠征してからの3歳ダート路線はレース毎にコロコロと勝ち馬や好走馬が入れ替わります。それでは、2〜6着の馬を振り返ってみましょう。

 

2着:サンライズソア

父:シンボリクリスエス

母:アメーリア(母父:スペシャルウィーク)

厩舎:河内洋(栗東)

ユニコーンSはスムーズに中団の前につけ、直線で一度は先頭に立ったものの外からサンライズノヴァとハルクンノテソーロのキレ味に屈して3着。3走前の青竜S(東京ダート1600m)は好メンバーを相手に先行して押し切っているように、広々としたコースでスムーズに好位を走れれば大崩れはしないのがこの馬の特徴。父シンボリクリスエスの影響が出た胴長の馬体で、直線の長い東京や中京、そして外回りコースが適性としてはベストの舞台です。

JDDは勝ったヒガシウィルウィンの一列前のインから、逃げるノーブルサターンの内を突いて伸びて「押し切れるか!」という脚色。馬群のなかでしっかりと折り合い、器用に抜け出したのは収穫ですが、本来はストライドを伸ばしてのびのびと走るレースが合っています。ここまでダートではどの相手と走っても大きく崩れていないので、この馬がこの世代のモノサシになるでしょう。

 

3着:タガノディグオ

父:エンパイアメーカー

母:タガノティアーズ(母父:タニノギムレット)

厩舎:宮徹(栗東)

2走前のJpnⅡ兵庫チャンピオンシップではリゾネーター、クイーンマンボといった強敵を敗って重賞初制覇を果たしました。母父タニノギムレットらしい筋肉質の胴の長い馬体をした中距離馬で、走らせるとパワーだけではなくエンパイアメーカーのしなやさも感じさせます。

JDDはスタートを五分に出たものの、周りの馬が速く中団のインのポジションを取ります。向正面では勝ったヒガシウィルウィンのすぐ直後につけ、3〜4コーナーでは大外を回って押し上げ、直線馬場の真ん中からジリジリと脚を伸ばしますが、残り100mからは1、2着馬と同じ脚色になってしまっての3着。先着した2頭と比べると距離のロスがあったことは確かですし、外から伸びてきたのはこの馬だけなのを考えると及第点の内容。

ここまでダートでは(3 - 5 - 2 - 0)と安定した走りを見せており、中団・後方から捲る脚質ながらコースや展開を問わずに好走しているのか能力の証です。エンパイアメーカー産駒ということもあって、ゴリゴリのパワーではなく時計の速いダートの方がパファーマンスは上がるでしょう。また、ストライドが伸びるので直線の長いコースが適性として向いています。

 

4着:リゾネーター

父:Blame

母:Bluegrass Sara(母父:タバスコキャット)

厩舎:牧光二(美浦)

未勝利からOP伏竜S(中山ダート1800m)まで他馬を寄せ付けない3連勝。2走前の兵庫チャンピオンシップは気の悪さが出たのか、道中で騎手が押しても押しても前へと進んで行かずに4着と敗退しました。ゆったりとした胴の長さと豊富な筋骨量をもつ見栄えのする馬体は、いかにもパワフルなダートの中距離馬。

JDDはスタートでやや出負けし、1コーナーに入るまでに騎手が促して外目の4番手で追走。向正面から騎手が気を抜かせないように気をつけて促していたものの、3コーナー過ぎからは楽な手応えで捲り直線先頭に立ちますが、距離ロスなく乗った1、2着馬からはやや離されてしまい、最後はタガノディグオに後ろから差されてしまっての4着。ロスの大きなレースになってしまったのは悔やまれるところでしょう。気性的にこの馬の能力がしっかりと発揮されているとは言いにくい敗戦で、今後はこの部分が改善されれば……。

 

5着:ノーブルサターン

父:カジノドライヴ

母:クロスマイハート(母父:スペシャルウィーク)

厩舎:牧浦充徳(栗東)

2走前の兵庫チャンピオンシップはスタートを決めて先手を取ると、タガノディグオに差されたもののゴールまでしぶとく粘って2着に入線。関東オークスを制したクイーンマンボに先着を許さなかったのは大威張りできる内容です。脚と胴の造りが長く、いかにも母父スペシャルウィークの影響が出ているような中距離馬。A.P. Indy系のカジノドライブが父ということもあって、大きなフォームが特徴的なストライド走法。

JDDは大外枠から鮫島良騎手が気合いをつけてハナを取り切ると、終始マイペースの逃げにもち込み、最後までしぶとく粘っての5着。逃げ馬とは言え、大井外回りのような直線の長いコースの方がこの馬のストライドを活かせるため、小回りは向きません。

タガノディグオには2戦2敗となりましたが、ちょっとした展開のアヤで逆転できる可能性を秘めた馬で、中距離路線でスムーズに逃げられればオープンでもと思える好素材です。

 

6着:サンライズノヴァ

父:ゴールドアリュール

母:ブライトサファイヤ(母父:サンダーガルチ)

厩舎:音無秀孝(栗東)

初重賞制覇となったユニコーンSは後方から直線で外へ出すと一際目立つ伸び脚で1着となり、この世代のダートマイル路線ではトップクラスの力があるところを見せました。サンライズノヴァは母系に入るしなやかな血のサーペンフロと父ゴールドアリュールがマッチして、ダート馬としては柔らかなストライドで走ります。そのため、直線の長い東京ダートのマイルが現状ではベストの舞台です。

JDDは中団の外をスムーズに追走し、3コーナー手前から戸崎騎手がポジションを押し上げて直線に入りますがそこからはユニコーンSで見せた伸び脚は影をひそめ、6着と敗退しました。マイラー体型であることを割り引いたとしても直線の伸びは不満で、もう少しタメを利かせて乗った方が力を発揮できるタイプなのかもしれませんが……。体調面が整っていなかった可能性もあるため、次走で巻き返せるのかに注目です。

 

まとめ

エピカリス、リエノテソーロに完敗したレースをバネに、しっかりと「砂のダービー馬」に輝いたヒガシウィルウィンの成長力とタフネスさには胸を締め付けられるものがあります。踵の骨折によって休養に入った主戦の森泰斗騎手からバトンを受けた本田正重騎手の見事な手綱さばきも素晴らしいの一言です。

ここまでJRAの3歳ダート路線は、エピカリスがUAEダービーに遠征してから勝ち馬がコロコロと変わる混戦模様。はっきりとした中心馬が不在とあって、夏の新潟で行われるレパードSも難しいレースになりそうです。レパードSはこのJDDを経由した馬が好走している傾向があり、上位の馬たちについてはそのレース内容をしっかりと復習しておきたいところですね。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。