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キタサンブラックの'16年GⅠ4戦をプレイバック!ーー大阪杯(2017年)

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菊花賞、天皇賞・春、JCと3つのGⅠタイトルを獲得しているキタサンブラックが'17年の始動戦に選んだのは新設GⅠの大阪杯。

すでに今春は大阪杯→天皇賞・春→宝塚記念のGⅠを3連戦するローテーションが発表されています。サトノダイヤモンドとの対決に加えて連覇のかかる天皇賞・春は自然と注目が集まりますが、新設GⅠ大阪杯の初代チャンピオンになれるかどうかも見所の一つです。

キタサンブラックは14着と大敗を喫したダービーを除いて、コースや距離を問わずに大きく崩れることのない安定した成績を残しています。昨年に走ったGⅠレースの成績は下記の通りです。

 

天皇賞・春:1着(京都)

宝塚記念:3着(阪神)

ジャパンカップ:1着(東京)

有馬記念:2着(中山)

 

GⅠの舞台でも崩れずに走っているのはさすがです。敗れた宝塚記念も有馬記念も「勝ちに等しい」内容の惜敗ですから、キタサンブラックにとってコースによる得手不得手はほとんどないとも言えます。ただ、これだけポテンシャルの高い馬が勝ち切れなかったのにはどこかに理由があるはずですから、昨年の4つのGⅠをひとつずつ見較べてみましょう。

 

キタサンブラックが走った4つのGⅠを解説

天皇賞・春から有馬記念までの4レースをプレイバック!

 

天皇賞・春 GⅠ 京都芝3200m

馬場状態:良

出走頭数:18頭

勝ちタイム:3:15.3 上り:35.0

鞍上:武豊

解説

最内枠から好スタートを決めて、1周目の3角に入る前にハナを取り切ります。1周目の3〜4角の下り坂をゆっくりと走れたことで1000m通過は61.8秒のマイペース。武豊騎手はホームストレッチでペースを緩めずに1角に入ると、そこから向こう正面、3角の上り坂にかけて13秒台に落とすことなく一定のスローペースで先導しました。そのため、向正面から馬群は凝縮して2周目の下り坂へ。下り坂に入るとスムーズに加速し、残り800mは1つも12秒台に落とさない4Fの上り勝負に。キタサンブラックは直線でインから抜け出したカレンミロティックに一度は前へ出られたものの、平坦な直線でストライドを伸ばし差し返しての勝利。

武豊騎手の作ったペースはパーフェクトでした。道中は13秒台の入る中弛みにはせずに一定のペースを守ると、残り4Fから急激なペースアップ。800mの持続戦にしたことで速い上りが得意な馬を封じます。

下り坂をスムーズに走れるキタサンブラックにとって、3〜4角で後ろの馬とのアドバンテージを取れる、つまりは「自分の土俵に持ち込めた」のが菊花賞と天皇賞・春を制覇した最大の要因だと思います。持続戦に強いハーツクライ産駒のカレンミロティックとシュヴァルグランが2、3着に入ったのは上り特化の勝負にならなかったことの証明ですが、この2頭は4Fからの急激なペースアップよりも全体的にもう少し流れた方が勝ち味があるタイプ。その点でも、武豊騎手のペースメイクは絶妙ですし、緩急自在に走れることがキタサンブラックのもつ大きな武器です。

キタサンブラックが最後に差し返したのも、坂を下る時に無駄な力を使うことなくスムーズに加速できるからで、2016年の天皇賞・春の勝負は3角まででほぼ決していました。

 

宝塚記念GⅠ 阪神芝2200m

馬場状態:稍重

出走頭数:17頭

勝ちタイム:2:12.8 上り:36.3

鞍上:武豊

解説

内枠から好スタートを決めると、1角ですんなりハナを奪います。2番手に田辺騎手のワンアンドオンリーが付け、キタサンブラックを突ついたことで1000m通過が59.0秒。稍重の馬場で少し時計がかかっていたことを考えると前半は締まった流れになりました。3角過ぎからワンアンドオンリーが押して押してポジションを下げないように仕掛けていたところを、外からサトノノブレスが上がってきて、キタサンブラックにとってはかなりのプレッシャーを受ける形に。ただ、この厳しい流れを武豊騎手は4角手前から後ろを引き離しにかかり、ここでアドバンテージを取れたことで、直線では「勝ってしまうのでは?」と思わせる粘りを見せます。

向正面から12.4 - 12.3 - 12.2 - 11.9 - 12.2 - 12.9とゴールまで持続戦になり、逃げたキタサンブラックにはかなり厳しいペースでしたから、最後にマリアライトとドゥラメンテに差されてしまったのは致し方なしというところです。

阪神競馬場の芝内回りコースは3〜4角、そして最後の直線の残り200mまで緩やかな下り坂で、ここをスムーズに加速できるのがキタサンブラックの長所の一つ。かなり厳しいペースの中を直線半ばまで見せ場たっぷりの走りを見せたのは、下り坂の適性の高さがあったからこそです。

昨年の宝塚記念は3着に敗れましたが、レースの内容はこの馬の持続力の高さと全体としてのポテンシャルの高さを十分に示したと言えます。

 

ジャパンカップGⅠ 東京芝2400m

馬場状態:良

出走頭数:17頭

勝ちタイム:2:25.8 上り:34.7

鞍上:武豊

解説

キタサンブラックは好スタートからハナに立ち、武豊騎手が天皇賞・春と同じように中弛みさせることないペースを作ります。淡々とレースが進み、他の馬が動く気配すらもなく直線へ。

直線を向いてキタサンブラックが後続を引き離した時には「これはもう逃げ切りだな」と思わせる走りで、淡々と直線を駆け抜けて1着。

キタサンブラックは緩急が自在なので、そこに加えて「名手武豊」がペースメイクをするのですから、後続はなすすべがないという完封劇。コースは違っても天皇賞・春と同じような質のレースでした。

他馬が来るならペースを上げて、来ないなら下げるという上げ下げができるのがこの馬の強み。キタサンブラックは気性的な難しさから逃げを選択しているのではなく、自分でペースを作った方が勝つ可能性が高まるというタイプ。

宝塚記念のような持続戦でもしぶとく、ジャパンカップのようなスローでも極端に上りの速い競馬にならなければOKなので、成績が安定するのも当然なのかもしれません。

 

有馬記念GⅠ 中山芝2500m

馬場状態:良

出走頭数:16頭

勝ちタイム:2:32.6 上り:35.8

鞍上:武豊

解説

マルターズアポジーを逃がして、外目の番手で先行したキタサンブラック。

キタサンブラックを目安にするならペースはスローで、残り1000mからの持続戦になりました。

向こう正面からは人気馬3頭の捲り合戦。残りの5Fが11.8 - 11.7 - 12.1 - 11.7 - 12.1ですから、3角前でペースアップをしていることがわかります。脚を使わされてしまった馬たちが次々に脱落し、レース映像では人気の3頭が手綱を動かして仕掛けるのが4角手前のように見えますが、その前から厳しい流れになっています。

人気馬の3頭の直線での叩き合いは、伸びるというよりも「バテるのを最小限に抑えてどこまで我慢できるか」を競ったものでした。まずゴールドアクターが脱落し、キタサンブラックとサトノダイヤモンド2頭の争いになったところで、ルメールのアクションに応えてクビ差だけ前へ出たのが3歳の菊花賞馬。

5Fからの持続戦でこれほどハイレベルなレースというのはなかなか観ることができません。上位3頭が人気馬に相応しい「チャンピオン」としてのレースをしたことがまず素晴らしくて、2016年のJRAを締めくくるGⅠレースでの叩き合いはケチのつけようがないものでした。

 

キタサンブラックの敗因は?

宝塚記念と有馬記念、キタサンブラックの敗因はどこにあったのでしょうか?

 

宝塚記念の敗因

キタサンブラックの1000m通過が59.0秒、後続のワンアンドオンリーやサトノノブレスに突つかれたことを考えれば息を入れながらの追走だったとしてもかなり苦しいペースになりました。

さらに、3角からの下りでペースアップしたので、より上りのかかるスタミナ勝負に。こうなると、上りがかかる馬場とレースは「ドンと来い!」のマリアライトの土俵になり、キタサンブラックは最後に苦しくなってしまいました。キタサンブラックは先行馬が総崩れのなか「あわやの3着」ですから、十分に力を見せたレースだったと言えます。

近年はGⅠでこれほど締まった流れのレースになるのはレアケースです。前半で息の入りにくい流れのなか、向こう正面から12秒台前半のラップを刻むとなるとキタサンブラックにとってもかなり厳しくなりますね。

 

有馬記念の敗因

有馬記念の敗因はさまざまな要素が重なったのだとしても、端的に言えばサトノダイヤモンドという高いポテンシャルをもった馬が出走していたこと、これに尽きると思います。

キタサンブラックの体調とかレースのラップとかはこのレースの敗因としてはあまり意味がありません。このレースに関しては「敗因」というよりも「サトノダイヤモンドのクビ差2着」になった理由こそが次のレースの予想につながるからです。

 

さて、大阪杯は?

大阪杯は小倉大賞典で道中11秒台のラップを連発したマルターズアポジーの逃げが、キタサンブラックに影響を与えるのかどうかを考えなければなりません。武豊騎手が2番手でペースメイクをするはずですから、そこでどのようなラップを刻むのか…

あまりにも締まった流れになれば、宝塚記念のような展開も十分にあり得ます。もちろん、その展開になってもマリアライトやドゥラメンテになり得る馬がいるのかは…

どのようなレースになるにせよ、今から予想をするのが楽しみなレースになりますね。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。