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パシフィックプリンセス牝系が2週連続で福島の重賞を制覇ーー七夕賞('17年)回顧

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7月9日(日)、福島競馬場を舞台に行われたハンデ重賞「七夕賞(GⅢ芝2000m)」は、戸崎騎手騎乗の1番人気ゼーヴィントが5ヶ月の休み明けをものともしない快勝を見せました。2着は3コーナー過ぎから逃げるマルターズアポジーを交わして先頭に立ったマイネルフロスト、3着にはゼーヴィントの仕掛けに合わせて捲ったソールインパクトが入線し、2番人気のマルターズアポジーは11着に敗退。

 

パシフィックプリンセス牝系が2週連続で福島の重賞を制覇

先週のラジオNIKKEI賞(GⅢ福島芝1800m)を勝ったセダブリランテスに続き、七夕賞をゼーヴィントが制したことで、パシフィックプリンセス牝系が2週連続で福島の重賞を制覇。

ビワハヤヒデ、ナリタブライアン、キズナなど錚々たるGⅠ馬を出している名門牝系の活力は素晴らしいの一言です。

 

ゼーヴィントとセダブリランテスの血統構成

ゼーヴィントとセダブリランテスは同じ牝系の出身というだけではなく、その血統構成も似ています。

▼ゼーヴィント

ゼーヴィントの血統表 | 競走馬データ - netkeiba.com

▼セダブリランテス

セダブリランテスの血統表 | 競走馬データ - netkeiba.com

ゼーヴィントの4代母とセダブリランテスの3代母がパシフィックプリンセス(Pacific Princess)と共通。前者はディープインパクト×ブライアンズタイム×Dayjur、後者はディープブリランテ×ブライアンズタイム×Fappianoという血統構成です。

セダブリランテスの父ディープブリランテはディープインパクト直仔、また、母父がブライアンズタイムで母母父がDayjur(母父がMr. Prospector)とFappiano(Mr. Prospector直仔)ですから、似通った構成になっていることがわかります。

この2頭はともに身体全体を伸縮させて走るストライドですが、小回りの福島コースを器用に立ち回れるのは母系のRoberto×Mr. Prospectorのパワーとスピードを受け継いでいるからでしょう。

 

1着:ゼーヴィント 4歳牡馬

ゼーヴィントは5ヶ月の休み明けをものともせずに1分58秒2のタイムで好走し、昨年のセントライト記念から続く3戦連続2着に終止符を打ちました。

この日の木村哲也厩舎は3頭が出走し(2 - 0 - 1 - 0)の好成績。それに加えて看板馬のゼーヴィントの勝利によって、厩舎に勢いを呼び込む勝利だったと言えます。

 

レース内容

スタートからフェイマスエンドが出ムチを入れて飛び出し、それを外からマルターズアポジーが並びかけて交わす展開となったことで、前半3Fの入りが33.9と速いペースでレースが進みます。前後半の1000mが58.0 - 60.2と前傾ラップになったことで、中団に構えたゼーヴィントも向正面では戸崎騎手が促しながらの追走。3コーナー過ぎで逃げるマルターズアポジーを交わして先頭に立ったマイネルフロストの動きに合わせて、ゼーヴィントが外から捲り気味に進出し、最後はゴール前で粘る2着馬を競り落としての1着。

この日の福島は、3歳以上500万下の芝2000mで1分58秒8の好タイムが出ていたようにかなり時計の速い馬場でレースが行われました。マイネルフロストが仕掛けた残り4Fの七夕賞のラップは11.6 - 11.8 - 11.9 - 12.9ですからラストがかなり甘くなっていて、ゼーヴィントはスパっと差したわけではなくモタつきながらも何とかパワーでねじ伏せたという内容でした。これは休み明けの分もあったのでしょうし仕方ないとは言えます。

 

今後に向けて

サマー2000シリーズを目指すのか、それとも秋のGⅠ戦線に備えたレース選択をするのか、次走が気になるところです。七夕賞は休み明けにも関わらず厳しい流れのレースになったことから、次走に向けてすぐに疲れが抜けるのかは心配な点です。

ゼーヴィントは昨年の夏以降、中山と福島コースでしか走っていないため、順当に考えればGⅡオールカマー(中山芝2200m)となるのでしょう。疲労の回復が早く、サマー2000シリーズを狙うということであればハンデ戦のGⅢ新潟記念よりも定量のGⅡ札幌記念へ出走する可能性が高そうですね。

今年の札幌記念は好メンバーが揃うとあって、GⅠを見据える馬としては試金石の1戦になります。

 

2着:マイネルフロスト 6歳牡馬

マイネルミラノが勝った今年の福島民放杯を観ているような錯覚に襲われるほど、仕掛け所もバッチリと合っていて、この馬としてはもてるポテンシャルを出し切った2着。マイネルフロストがラスト1Fで甘くなるのはペースの遅い速いにあまり関係なく、3〜4コーナーの加速で後続にリードを取るのは仕掛けとしてはずんどばでした。

 

マイネルフロストの好走の要因

マイネルフロストが七夕賞で好走した要因は体調面が整っていたことを除くと、2つ考えられます。

 

1. マルターズアポジーの逃げを気にせずにレースを組み立てられた

先行馬のマイネルフロストにとって逃げるマルターズアポジーを目標にしつつ、後続の仕掛けをケアしなくてはいけないという状況はなかなかにタフなものです。1コーナーに入るまでにフェイマスエンドが積極的に出して行ったことで、マルターズの逃げのリズムが狂ったことははっきりとわかりましたから、柴田大騎手にとっては後続のケアだけでOKという状況になったのは大きなプラスでした。

 

2. マルターズアポジーがペースを緩めなかった

七夕賞の公式のラップは以下の通りです。

12.0 - 10.5 - 11.4 - 12.2 - 11.9 - 12.0 - 11.6 - 11.8 - 11.9 - 12.9

マイネルフロストが先頭に立つのは残り800mを過ぎた地点(青色)でスピードを上げているのですが、それまでのペースを落としやすい2コーナーから向正面(赤色)にかけて、マルターズが極端にペースダウンしていないことがわかります。

瞬発力勝負が苦手なフロストにとっては、ここでペースが緩まずに後続とのリードを保ったままで3〜4コーナーを回れたのは、ラストの甘さを考えると好走の大きなポイントとなりました。

 

マイネルフロストとゼーヴィントも似通った血統構成

マイネルフロストは父ブラックタイド×母父グラスワンダー(Silver Hawk直仔)という血統構成。

マイネルフロストの血統表 | 競走馬データ - netkeiba.com

マイネルフロストの父ブラックタイドはディープインパクトの全兄、母父はRoberto系のグラスワンダー、母母父Dayjurと血統表の4分の3がゼーヴィントと同じです。

この日の福島競馬場は速い時計が出ていてもパワーの要る芝で、この2頭が七夕賞をワンツーしたというのは、そういう馬場コンディションとレースの流れだったのでしょう。

 

今後に向けて

ここ3戦のレース内容を観ていても、フロストの体調面が整っていることは明らかです。好調期間の長い馬ですから、秋の中山開催くらいまでは今の状態が続くかもしれません。そう考えるとサマー2000シリーズが狙えますから、次走どのレースに出走するのかは注目ですね。

 

3着:ソールインパクト 5歳牡馬

週中の記事にも書いたようにソールインパクトは「最強の条件馬」ですから、ペースや距離を問わず「相手なり」に走れてしまいます。またも3着を積み重ねたので、全成績が(4 - 4 - 10 - 10)となり、「掲示板には載れるのだけど、勝つにはちょっと足りない」馬としてより磨きがかかってきましたね。

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大外枠ということもあって道中は中団に位置し、ゼーヴィントを前に見る形でスムーズな追走。小回りを捲るレースが適性としてはずんどばですから、今回はバッチリと展開がハマりました。

3着で賞金が積み重ねられなかったので次走以降は条件戦に出走することが可能ですが、もし、今回の重賞3着で過剰人気になるようなら……取りこぼしの多いタイプですからそれを念頭に入れた上で検討をしなければいけません。

 

◎フェルメッツァは5着

速い時計の勝負もOKなフェルメッツァにとって、今回の七夕賞はレース全体として緩みがなかったのが5着に敗れた要因だと考えられます。1分58秒6の決着になった前走の福島民放杯は3コーナーのところで息が入り、フェルメッツァ自身の上りが34.9。七夕賞は自身の上りが36.5ですから、パワーで小回りを捲るゼーヴィントやソールインパクトに較べて器用さで勝負するこの馬には苦しい流れになりました。

松永幹調教師がレース前のインタビューで七夕賞→小倉記念というローテーションを口にしていたことからもピークのデキではなく、前走よりも1kg斤量が重くなったことも敗因なのでしょう……。次走の小倉記念ではどのようなレースを見せるのかに注目したいですね。

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11着:マルターズアポジー 5歳牡馬

スピードとコーナーでの加速力に優れた馬で、1コーナーまでにフェイマスエンドに絡まれたものの逃げの形にもち込みました。デビューからすべてのレースでハナに立つ快速馬とは言え、57.5kgの斤量を背負ってあのテンのスピードを出せるのは……。

武士沢騎手が1〜2コーナーにかけてペースをコントロールしましたが、3コーナーからマイネルフロストに捲られた時点で厳しくなってしまいました。

昨年の福島記念(芝2000m)をスローで逃げ切っているように、2000mであれば後傾ラップにしたいところでしたが、オーバーペースになってしまいました。

七夕賞への出走が流動的だったことからも、マルターズアポジーにとっては57.5kgの斤量と休み明け、1800mの距離がベストという不安を抱えての出走となったのもここまで負けてしまった原因だと言えます。小回りの1800mの重賞であれば力を発揮できるので、ここを叩いて次走はどのレースになるのか注目しましょう。

 

まとめ

小回りコースで力を発揮するRoberto×Mr. Prospectorのパワーとスピードをまざまざと見せつけられたラジオNIKKEI賞と七夕賞。

今年はこのワンツーだったように、来年以降もこの傾向は覚えておきたいところです。

 

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以上、お読みいただきありがとうございました。