春のグランプリ・宝塚記念が終わると、開催場所は阪神→中京競馬場、東京→福島競馬場のローカルへと替わり、北海道シリーズの函館競馬場と合わせて、いよいよ「夏競馬」のシーズン到来となります。
夏の福島開催はラジオNIKKEI賞や七夕賞などの重賞が組まれ、いかにも「夏のローカル!」という季節感が満載です。馬券の収支が良くなるわけではないものの、「夏のローカル開催」というパワー・ワードにワクワクソワソワしてしまうのが競馬ヲタ……。浮かれモードになる季節なので、財布の紐を緩めすぎないように気をつけましょう!
夏の福島開催は3歳重賞・ラジオNIKKEI賞でスタートします。世代限定の重賞ながら「ハンデ戦」とあって、一筋縄ではおさまらないレースです。開幕週の馬場を味方につけ、秋に向けて好スタートを切るのはどの馬なのでしょうか?
昨年の福島開幕週の馬場は?
開幕週の福島芝は好タイムの決着が多く、「やや時計の速い」馬場コンディション。4月開催の終了後にエアレーション作業を実施していたことから、芝は適度にクッションが効き走りやすい状態でした。
開幕週らしくイン+逃げ・先行有利ではあったものの、外から差してくる馬もソコソコには伸びる馬場。イメージとしては9月の中山開催と似ています。
開幕週の芝の時計は?
開幕初日、7月1日(土)の芝レースは500万下南相馬特別(芝2000m)の勝ちタイムが1分58秒9、メインレースの1600万下テレビユー福島賞(芝1200m)が1分7秒6とかなり速い時計の決着が目立ちました。
翌2日(日)は1000万下さくらんぼ特別(芝1200m)が1分8秒1、メインレースのGⅢラジオNIKKEI賞が1分46秒6と前日とほぼ変わらない速い時計の決着。
福島競馬場は「傷みに強い」とされるエクイターフの占有率が高く、雨の影響がなければ開催が進んでも速い時計が出る可能性があります。
今年の馬場コンディションは?
JRAのHPに記載されている「馬場情報」のなかで、福島競馬場の芝コースは4月開催の終了後にシャッタリング(エアレーション作業)が行われたとの記載があり、馬場コンディションは昨年とほぼ同じでしょう。
開幕週らしく「イン+逃げ・先行」有利な高速馬場ですが、ペースによっては外差しも届きます。また、エアレーション作業が行われると、開催が進むにつれて内の芝が踏み固められ、「イン有利」になることもあるので注意が必要です。
ラジオNIKKEI賞のポイント
ラジオNIKKEI賞は小回りコースのハンデ戦とあって、レースのポイントは大きく2つあります。
1. 小回りコース向きの器用さ(機動力)
2. 体調が整っているか?
小回りコース向きの器用さ
福島の芝コースは直線が300m弱と短く、いかに3〜4コーナーをスムーズに加速できるかが好走のキーポイント。しなやかなストライドよりも回転の早いピッチ走法が有利なコース形態です。
2017年セダブリランテス、16年ゼーヴィント、13年ケイアイチョウサンと母系にRobertoを引く馬や、14年ウインマーレライ、11年フレールジャックと器用さを伝えるHaloクロスをもつ馬が勝馬となっているように、コース適性が重要なレースとなります。
母系にRobertoを引く馬は?
今年の出走予定馬のなかで母系にRobertoを引くのは以下の4頭です。
イェッツト
マイハートビート
ロードアクシス
ロードライト
イェッツトは名牝Katiesに遡る牝系の出身。ここからはヒシアマゾン、アドマイヤムーン、スリープレスナイトなどのGⅠ馬を出ており、母系の活力は十分にあります。新馬戦と京成杯の2戦は中山コースを俊敏に捲っているように、小回りコースもOKの配合。
マイハートビートは昨年の同レースで1人気となったサトノクロニクルの半弟。こちらは札幌や京都内回りコースを好走していることから、兄よりも小回り向きの脚質となりました。Mr. Prospectorのクロスがあり、高速馬場もOKのタイプです。
ロードアクシスは阪神内回りの若葉S3着、福島のひめさゆり賞1着と、器用さ&パワーをもつ母父Archの特徴をしっかりと受け継ぎました。ラジオNIKKEI賞と同じコースを快勝しており、小回り適性に不安はありません。
ロードライトはRobertoとHaloのクロスをもつため、器用さとパワーに特化したタイプです。小柄な牝馬ですが、中山コースで行われた500万下のレースを快勝しています。
Haloクロスをもつ馬は?
キボウノダイチ
キューグレーダー
マルターズルーメン
ロードライト
この4頭はともにHaloクロスらしい器用さをもつタイプ。より福島コースに適性がありそうなのは名牝Coup de Genieの血をHaloとMr. Prospectorのクロスで刺激しているキボウノダイチでしょう。先行策で結果が出ているのは父Nashwanが引くWild Riskの気難しさによるもの。スムーズなレースができればここでもチャンスは十分にあります。
体調が整っているか?
ラジオNIKKEI賞は「残念ダービー」と呼ばれているように、クラシック路線に乗れなかった馬が出走することの多いレースです。クラシック路線の重賞やOPで好走できなかった馬や、デビューの時期が遅くダービーに間に合わなかった馬などがここへ出走しています。
重賞やOPで実績のある馬がこのレースを凡走してしまうのは、ハンデが重くなることと春の疲れが残っているため。体調の管理がしっかりとできているのかも好走するためのキーポイントです。
イェッツト、ケイティクレバー、マイハートビート、メイショウテッコンなど重賞やOPで実績のある馬は疲労をしっかりとケアする調整ができているのか……そこが好走への鍵になります。
注目馬は?
ロードアクシス 3歳牡馬
注目馬は人気が薄そうなロードアクシス。器用さとパワーに特化しており、福島コースの最内枠は「ずんどば!」な 1頭です。ここは先行馬が揃って3コーナーからのスパート戦になる可能性が高く、イン捲りが決まれば重賞初制覇のチャンスでしょう。
前走の重賞は16着と大敗。ただ、勝ったステイフーリッシュとは1.6差&メイショウテッコンとは1.2差ですから、コース適性と距離短縮で逆転も目論見ます。
3代母Kelly's Dayは日本で成功を上げた種牡馬ブライアンズタイムの母。また、Archの母Auroraは日本だとアルビアーノの祖母で、活躍馬がゾロゾロと出る名牝とあって、母系は一流です。重賞に入っても格負けはしませんから、このままの人気に落ち着いてくれれば……。
まとめ
今年のラジオNIKKEI賞は昨年に続いてフルゲートに満たなかったものの、OP実績馬から500万下勝ったばかりの上がり馬まで面白いメンバーが揃いました。
秋に向けて好スタートを切るのはどの馬なのか、今からレースが楽しみですね。
以上、お読みいただきありがとうございました。