エリザベス女王杯当日の福島競馬場メインレースは、ハンデ重賞「福島記念(GⅢ・福島芝2000m)」が組まれています。
福島はローカルの小回りとあって、コーナーで加速できる器用さの活きるコースです。どの馬の捲りがもっとも速いのでしょうか?
イン捲りかアウト捲りか?
土曜日に行われた福島の芝レースを観ていると、3〜4コーナーでインをさばいて直線に向いた馬は手応えの割に伸びず、アウトからバキューンと捲った馬に交わされるシーンが目立ちました。
福島芝は傷みに強いエクイターフを使用
福島の芝コースは傷みに強い「野芝」のエクイターフを多く使用しているため、近年では極端な外差しがあまり観られなくなってきました。
土曜日は外差し優勢でしたが、だからと言って「よーし、外から差して来る馬をバンバン買うぞー!」と意気込むと、一転してイン優勢に変わるのがJRAの馬場。
3コーナーからゴール前まで、内と外のどちらの馬場が伸びるのかは、日曜日にしっかりとチェックしておくことをオススメします。
小回り向き=コーナー加速力に優れる
福島記念を予想する上でポイントになるのは、小回り向きの「コーナー加速力」に優れているのがどの馬なのかを探すことです。
「逃げ・先行・差し」などの脚質よりも、俊敏にコーナーを回れる馬かどうかをチェックすると、小回り向きかどうかを判断することができます。
小回り向きの馬をピックアップ
福島記念に出走する16頭のなかから、小回り向きの馬をピックアップしてみましょう。
▼小回り向きの馬
プリメラアスール
ウインブライト
ジョルジュサンク
マイネルミラノ
ツクバアズマオー
フルーキー
サンマルティン
(枠順に並べています)
✳︎ヒストリカルもピッチ走法なので、小回り向きではあるものの、ズブい馬なのでここは外しました。
上記の7頭はいずれもコーナーをスムーズに回ることができる馬たちです。プリメラアスールとマイネルミラノを除く5頭は、イン捲りもOKのタイプ(サンマルティンは折り合えていることを条件として)。
ただ、ウインブライトとサンマルティンは人気を背負いますし、外目をスムーズに捲り上げるのがベター。インに入って詰まるのは避けたいでしょうから……。この中で好位のインをスッと取れるのは、ジョルジュサンクが最有力。
外差し優勢なっているのであれば、ウインブライトとサンマルティンが、イン優勢であればジョルジュサンクが有利に。
予想
それでは、サクッと予想を進めていきましょう。まずは展開面から見ていきます。
展開
最内枠からプリメラアスール、真ん中からジョルジュサンクとマイネルミラノが前々に付け、ウインブライトなどがそれに続く形に。
前走を上りの速い競馬で勝ったプリメラアスールがペースを遅めにコントロールするようだと、マイネルミラノがすぐさまハナを奪い返すこともありそうです。
先行勢と差し馬との間に大きなスペースが開くことも考えられ、馬場さえ良ければインからポジションを上げる馬に有利な流れになるでしょう。
◎ジョルジュサンク 4歳牡馬
父:ヴィクトワールピサ
母:ハリウッドローズ(母父:ラムタラ)
厩舎:鮫島一歩(栗東)
3歳春にOPすみれS(阪神芝2200m)を勝ち上がった後は、皐月賞から菊花賞までは好走することができませんでした。
今走は1600万下を勝ち上がったばかりでの重賞挑戦となるものの、もともとGⅠに出走したことのある馬ですから、ペースに戸惑うようなことなありません。
血統
父ヴィクトワールピサはドバイワールドカップCなどGⅠ3勝を上げた名競走馬。自身はHalo3×4のクロスをもつことから、小回り中山の皐月賞と有馬記念を俊敏に捲ったように、優れた機動力を武器としていました。
産駒にもその器用さは伝わっており、ジョルジュサンクも小回り・内回りでパフォーマンスがアップするタイプです。母系はスタミナとパワーに優れ、Blushing Groomからはしなやかなスピードを、Mill Reefからは重厚な持続力を受け継いでいます。
母系はパワーとスタミナで固められており、上りやレース全体の時計がかかるレースがベター。この馬は速い脚に欠く分だけ粘り強い走りが武器で、好位インからの捲りがもっとも力を発揮できるでしょう。
福島記念に向けて
今開催の福島は少なくとも「高速」まではいかない標準の馬場ですから、ペースが流れれば上りのかかる決着になります。速い脚を欠くジョルジュサンクにとっては願ってもない舞台で、ここは好位のインのポケットを取れる組み合わせ。
逃げなくてもOKの馬なので、前にスペースを空けて、3コーナー過ぎからジワリとインを捲るような形がベストです。速い時計の出ない芝であれば、この馬のコーナー加速力はなかなかのものがあります。
サンマルティンとウインブライト
3コーナーから外目をバキューンと捲る人気の2頭はいずれも有力。
◯サンマルティン 5歳騸馬
ハービンジャー産駒の前者は、折り合いさえつくなら小回りコースがベストで、ここも55kgで出走できるのは有利です。
サンマルティンについては、週中に詳しい記事を書いているので、よければそちらをご覧下さい。
△ウインブライト 3歳牡馬
3歳馬ウインブライトは、ダイナサッシュとアドマイヤマカディを通じるノーザンテースト4×4のクロスをもち、パワーと小気味良いフットワークで小回りを捲るのがベスト。
全姉ウインファビラスは古馬になってからもOPで好走しているように、成長力のある配合。この馬にとって、このレースは試金石となります。
その他の有力馬
△ツクバアズマオーは今年の中山金杯を勝ってから成績が急降下。小回り向きなので、どこかでスランプを脱出したいところですが……。いつ走り出すかはわかりませんが、気温が下がったこのタイミングはGood。
△ヒストリカルはピッチ走法の馬なので、ペースの流れる小回りは捲りやすいです。忘れた頃に好走する馬なので、人気の薄いときが狙い目。小倉大賞典2着ほど走れば十分に足りるメンバーです。
小回りなら△フルーキーは押さえます。この外枠がマイナスですが……。ジリジリとした脚になってきたので、今は2000mがベター。後は上手くインに潜り込めるかどうか……その点が心配です。
買い目
◎◯の2頭軸から△への3連複を。
3連複
9. 16 → 3. 6. 11. 15
まとめ
今年の福島記念はバキューンと捲る脚をもつ馬たちが揃った面白い1戦。ディアドラが産駒として初めてGⅠを勝ち、勢いのあるハービンジャーを父にもつサンマルティンの重賞制覇がなるのかにも注目です。
以上、お読みいただきありがとうございました。