池江泰寿厩舎はダービー(東京優駿)へ毎年のように有力馬を送り込む関西の名門。3冠馬オルフェーヴルで'11年東京優駿を制しているダービー・トレーナーは、今年も有力馬を出走させます。昨年、管理馬のサトノダイヤモンドが2着と惜敗した池江寿厩舎は'17年のダービーを勝つことができるのでしょうか?
今回の記事では、池江寿厩舎の過去のダービーでの成績を振り返りながら、今年の有力馬が好走するのかどうかを考察します。
ダービーへ向かう有力馬の3頭
皐月賞、そしてトライアルが終了し、池江寿厩舎からダービーへ向かう有力馬は3頭(京都新聞杯2着のサトノクロニクルは除外対象なのでここには含まず)。
1:57.8のレースレコード決着になった皐月賞は1着アルアイン、2着ペルシアンナイトと「池江寿丼」という結果になり、この2頭がダービーへの優先出走権を獲得しました。
上り32.7の瞬発力で圧勝したシクラメン賞の内容から一躍クラシック候補に挙げられることになったサトノアーサーは、きさらぎ賞と毎日杯をともに2着と好走し、獲得賞金でダービーへ向かいます。
上記の3頭はダービーで上位人気に支持されることが想定され、それぞれの馬に「戴冠」のチャンスは十分にあることから、予想をする上でもきちんとチェックをしておきたいところですね。アルアイン、ペルシアンナイト、そしてサトノアーサーの3頭についてはこの記事にまとめてありますので、ご参照下さい。
池江泰寿厩舎はダービー(2017年)に3頭がスタンバイ!ーー主役はどの馬に?! - ずんどば競馬
池江寿厩舎は7年連続ダービー出走
池江寿厩舎は'11〜'17年にかけて7年連続でダービーに管理馬が出走します。競馬関係者やファンにとって「競馬の祭典」と位置づけられる東京優駿(ダービー)に照準を合わせ、管理馬を毎年きっちりと出走させることができるのは「厩舎力」がある証拠です。'06年のダービー初出走から'16年までを振り返ると、どのような馬が好走を果たしているのでしょうか?
池江寿厩舎のダービー出走馬
'17年までに池江寿厩舎の管理馬は12頭が出走し、(1 - 2 - 1 - 8)の成績。'11年3冠馬オルフェーヴルの1着を転換点として毎年好成績を上げています。'15と'16年は連続して2着馬を送り出していて、今年は6年ぶりの頂点を極められるのかに注目です。
'06年
フサイチジャンク:11着(2人気)
生産者:社台ファーム
前走:皐月賞3着(2人気)
'07年
ドリームジャーニー:5着(8人気)
生産者:社台コーポレーション白老ファーム
前走:皐月賞8着(3人気)
'11年
オルフェーヴル:1着(1人気)
生産者:社台コーポレーション白老ファーム
前走:皐月賞1着(1人気)
トーセンレーヴ:9着(5人気)
生産者:ノーザンファーム
前走:プリンシパル1着(1人気)
'12年
トーセンホマレボシ:3着(7人気)
生産者:ノーザンファーム
前走:京都新聞杯1着(5人気)
ワールドエース:4着(1人気)
生産者:ノーザンファーム
前走:皐月賞2着(2人気)
'13年
ラブリーデイ:7着(17人気)
生産者:ノーザンファーム
前走:皐月賞15着(17人気)
'14年
トゥザワールド:5着(2人気)
生産者:ノーザンファーム
前走:皐月賞2着(1人気)
トーセンスターダム:16着(5人気)
生産者:ノーザンファーム
前走:皐月賞11着(3人気)
'15年
サトノラーゼン:2着(5人気)
生産者:ノーザンファーム
前走:京都新聞杯1着(2人気)
'16年
サトノダイヤモンド:2着(2人気)
生産者:ノーザンファーム
前走:皐月賞3着(1人気)
プロフェット:17着(18人気)
生産者:ノーザンファーム
前走:皐月賞11着(10人気)
ダービー出走馬の特徴
ダービーなどのクラシック路線は、「社台系ファームの大運動会」などと揶揄されることもありますが……池江寿厩舎のここまでのダービー出走馬がすべて社台系ファームの生産馬。改めて「社台」の影響力の大きさが分かります。とくに'12〜'16年まではノーザンファーム生産馬のみでの出走。POGをするファンからすれば、池江寿厩舎からピックアップするならここは抑えておかなければならないポイントになりますね。
'17年のダービー出走予定の3頭は……
上記のことを踏まえた上で、今年のダービー出走馬3頭、アルアイン、ペルシアンナイト、サトノアーサーを見てみましょう。
アルアイン
生産者:ノーザンファーム
前走:皐月賞1着(9人気)
ペルシアンナイト
生産者:追分ファーム
前走:皐月賞2着(4人気)
サトノアーサー
生産者:ノーザンファーム
前走:毎日杯2着(1人気)
今年はノーザンファームの期待馬2頭をきっちりとダービーに送り込むことに成功しました。ペルシアンナイトの生産者「追分ファーム」は社台グループの創設者・吉田善哉氏の三男の吉田晴哉氏が代表を務めており、こちらも「社台系ファーム」です。
アルアインはノーザンファーム生産馬+皐月賞1着+ディープインパクト産駒といかにもダービーで好走する要素が満点な気もしますが……不安点を挙げるとすれば、レースレコードになった皐月賞1着のダメージがどれだけ残っているのか……。アルアインが皐月賞→ダービーの2冠を制するとすれば、ドズラメンテやオルフェーヴル級の馬という確信が欲しいところです。
これまでの池江寿厩舎ダービー出走馬の傾向から外れているのがサトノアーサー。きさらぎ賞を勝ち切れなかったのが誤算とはいえ、その後の毎日杯からダービー直行のローテーションがプラスに出るのかどうかは「?」が付きます。皐月賞が超高速馬場での決着になったことを考えるとダメージ軽減はプラス要素ですが、ダービーが初の長距離輸送ですし近年例のないローテを考えると、ここで「厩舎力」が問われることになりますね。
ダービーに向けて
ここではアルアイン、ペルシアンナイト、サトノアーサーという馬個体のポテンシャルやレース適性を一旦脇において、池江寿厩舎に焦点を絞ると……。
7年連続でダービーへ管理馬を出走させるという「実績」はなかなかできるものではありません。馬質の高さもあるのでしょうが、それ以上にオルフェーヴルで「ダービー・トレーナー」の称号を得ていること、ここ2年は連続して2着と好走馬を出していることから、ローテや仕上げなど「ダービーを勝つための情報」が厩舎として蓄積されているのは大きな財産です。
レースは生き物ですから、昨年のサトノダイヤモンドのようにレース中の落鉄などのアクシデントによって調教師が描いたレースができないこともあります。ただ、勝つにせよ負けるにせよ、「ダービーを勝つためには何が必要なのか?」については池江寿厩舎としてこの7年間で培ったものがあるはずです。「競馬の祭典」と呼ばれ、すべての競馬関係者が目標とするレースにおいて多くの経験をもっていることはかけがえのない財産であることは間違いありません。少なくとも今年のダービーに出走予定の3頭がダービーで好走できる仕上げになっている確率は高いと言えます。
まとめ
大混戦と言われる'17年のダービー。皐月賞組ではなく、青葉賞を勝ったアドミラブルが1番人気になるのでは? というほどに各馬の能力が拮抗している(ように見える)今年の牡馬クラシック路線。
今年は、それぞれの馬のポテンシャルだけではなく、枠順や馬場、そして厩舎によって勝敗が決まる東京優駿になるのでしょう。もしそうであれば、7年連続でダービーへ管理馬を送り出している池江寿厩舎の経験が活きることになります。
'17年のダービーを戴冠するのはどの馬なのか? 今からレースが楽しみですね。
以上、お読みいただきありがとうございました。
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