GⅡ神戸新聞杯('17年)はルーラーシップ産駒の初重賞制覇に期待してダンビュライトに◎をーー予想

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菊花賞トライアルのGⅡ神戸新聞杯(阪神芝2400m外回り)は、春のクラシックで実績を上げた馬と夏場に力をつけた馬が顔を揃えるレースです。今年はダービー馬レイデオロがここから秋のローテーションをスタートするとあって、そのレースぶりに注目が集まります。

夏の上がり馬としては、500万下→1000万下信濃川特別を圧巻のパフォーマンスで連勝したキセキが出走。その前走はOP級の素質馬ブラックプラチナムを余裕十分の手応えで交わしての楽勝だったことから、キセキは「夏の上がり馬」と呼ばれるのにふさわしい存在です。

神戸新聞杯はダービー馬がその能力を見せつけるのか、それとも夏の上がり馬が春の実績馬を打ち負かすのでしょうか?

 

神戸新聞杯はノーザンファーム生産馬が2年連続1〜3着を独占

秋華賞トライアルのGⅢ紫苑S(中山芝2000m)は1着ディアドラと3着ポールヴァンドルがノーザンファームの生産馬。また、菊花賞トライアルのGⅡセントライト記念(中山芝2200m)はノーザンファーム生産のミッキースワロー、アルアイン、サトノクロニクルの3頭が出走し、1〜3着を独占するという結果になりました。

3歳クラシック路線はノーザンファームが中心ーーローズSとセントライト記念 - ずんどば競馬

桜花賞からダービーまでの今春のクラシックもノーザンファーム生産馬の活躍が目立ち、今年のダービーは1〜3着を独占。「クラシック」はGⅠのなかでも特別な舞台ですから、レースに向けてより多くのリソース(資源)を競走馬に注ぎ、準備を整えることのできるメジャーな生産者が好成績を上げるのは自然なことです。以下の表は過去5年、神戸新聞杯で1〜3着に入線した馬とその「生産牧場」をまとめたものになります。

 

神戸新聞杯の過去5年 1〜3着馬の生産牧場

着順 人気 馬 名 生産牧場
2016 1 1 サトノダイヤモンド ノーザンファーム
2 6 ミッキーロケット ノーザンファーム
3 4 レッドエルディスト ノーザンファーム
2015 1 3 リアファル ノーザンファーム
2 1 リアルスティール ノーザンファーム
3 7 トーセンバジル ノーザンファーム
2014 1 1 ワンアンドオンリー ノースヒルズ
2 8 サウンズオブアース 社台ファーム
3 9 トーホウジャッカル 竹島幸治
2013 1 1 エピファネイア ノーザンファーム
2 7 マジェスティハーツ 藤原牧場
3 2 サトノノブレス メジロ牧場
2012 1 1 ゴールドシップ 出口牧場
2 8 ロードアクレイム ケイアイファーム
3 2 マウントシャスタ ノーザンファーム

ここ2年のノーザンファーム生産馬の活躍は素晴らしい、というか、恐ろしい……。この表には載せなかった2011年も1〜3着を社台系ファームが独占(2、3着はノーザンファーム)し、クラシック路線では社台系ファームを馬券から外すことはできません。

ノースヒルズのワンアンドオンリーはダービー馬+当日1番人気でしたし、ゴールドシップはクラシック2冠+グランプリ3勝の名競走馬、トーホウジャッカルはこの後で菊花賞を勝つことから、GⅠレベルでないと苦しいのが非社台系ファームの馬と言えます。

 

今年のノーザンファーム生産馬は?

今年の神戸新聞杯にはノーザンファーム生産馬が4頭出走。他には社台系ファーム生産馬は出走していないので、この4頭には大きな期待がかかりますね。神戸新聞杯の枠順通りに並べると以下の通りです。

 

ノーザンファーム生産馬

サトノアーサー

ダンビュライト

レイデオロ

アドマイヤウイナー

サトノアーサー、ダンビュライト、レイデオロはダービーに出走し、それぞれ10着、6着、1着の成績で夏を休養しここへ。アドマイヤウイナーは青葉賞3着の後に休養し、前走は札幌の1000万下に出走して3着してからここへ。

 

ノーザンファーム生産馬がトライアルレースの使い分け?

今年のセントライト記念はノーザンファーム生産馬が3頭出走し、そのワンツースリーをしていることからここも……となるのかは微妙な面々。ただ、◎はここから選びます。その根拠は、池江寿厩舎(栗東)の皐月賞馬アルアインがわざわざ神戸新聞杯ではなくセントライト記念へ出走したことです。ノーザンファームの意向によるレースの「使い分け」であれば、もっとも考えられるのはアルアインと同じサンデーレーシングの1勝馬ダンビュライトの賞金を加算させるためでしょう。神戸新聞杯で3着→菊花賞で3着以下の成績の場合、その後のローテーションが組みにくくなります。ダンビュライトにとって、神戸新聞杯は「最低でも2着」に入線しなければならないレースです。そのことを頭に入れつつ予想をしていきましょう。

 

予想

このレースでもっともケアしなければならないのは、弥生賞、ダービーと「ド」スローで逃げたマイスタイルのペース・メイク。神戸新聞杯は直線の長い外回りコースで行われるため、どうしてもペースが緩くなりがちです。もし、今年のダービーのようなペースが再現されるようなことがあれば……。

マイスタイルが逃げることができず、16着と大きく着順を落としたのは、レースレコードになった皐月賞。このレースでは、神戸新聞杯にも出走するアダムバローズが3コーナーまでハナに立ち、前半1000mを59.0秒で通過しました。マイスタイルはスタートのセンスもよく二の脚もソコソコ速いのですが、押して押して逃げるタイプではないので、アダムバローズの池添騎手がいつも通りにハナを主張すれば、好位の2番手におさまる競馬になります。

アダムバローズは2400mが初距離となるので、池添騎手がどのような逃げを打つのかは難しいですね……。ただ、ペースを緩めずに強気な先行で好走している馬なので、ダービーのようなスローになる可能性は低いと言えます。アダムバローズが後続を離して逃げ、2番手にマイスタイルが入る形で馬群がばらければ、ダービーで内々に閉じ込められてしまったダンビュライトは積極的に前を突いて行く展開に。ここ2戦のキセキの素晴らしい末脚を観ていれば、ダンビュライトの武豊騎手は少しでも相手の脚を削ぎたいはずで、全体的に緩みのないペースでレースを進めたいところでしょう。

 

◎ダンビュライト 3歳牡馬

父:ルーラーシップ

母:フォルクローレ(母父:ダンスインザダーク)

厩舎:音無秀孝(栗東)

生産:ノーザンファーム

ダンビュライトについては週中の記事で詳しい解説を書いているので、よければそちらもご覧下さい。

GⅡ神戸新聞杯('17年)はルーラーシップ産駒にベストの舞台、ダンビュライトとキセキは好走できるのか? - ずんどば競馬

ノーザンファーム生産馬+音無厩舎は2016年のミッキーロケット、15年のリアファルと2年連続で好走しているコンビ。ダンビュライトはしっかりと外厩で調整されての復帰戦ですから、仕上がりに関しても大きな不安はありません。ひとつ不安を上げるのならば、内目の枠に入ってしまったこと。ダービーのようにインのポケットで動くに動けない展開になり、瞬発力を求められるレースになったときは……。とは言え、武豊騎手が同じような過ちを2走続けることは考えにくく、今走はしっかりと脚を使い切るレースにもち込んでくれるでしょう。阪神芝2400m外回りコースはストライドを伸ばして走るダンビュライトにとってはずんどばの舞台です。この素質あるルーラーシップ産駒にここで◎を。

 

その他のノーザンファーム生産馬について

ダンビュライトをのぞく人気の2頭、ダービー馬レイデオロと池江寿厩舎のサトノアーサーはどちらも馬券圏内の可能性はあるものの、不安が大きいのも事実です。

レイデオロは週中の展望記事に詳しく書いたように、ストライドの伸びないピッチ走法。本質的には直線の長いコースは合いません。ただ、ダービーのようにスローペースになれば、ピッチで俊敏に抜け出せます。もし、ダンビュライトと武豊騎手がしっかりと全体のペースを引き上げるようなら、レイデオロは苦しくなって……チ〜ンのシーンも。

それと、もう一つ。ルメール騎手+藤沢和雄厩舎のコンビは、日曜日の阪神競馬場で9、10、11Rとオール1番人気での出走となりそうです。もう、ね、これだけ馬を揃えているところを見ても、明らかにレイデオロの神戸新聞杯は騎手の都合に合わせたものですよね……。なので、もし9Rムーンクエイク、10Rラヴィエベールと連勝したら、レイデオロはアッサリと切れますね。

GⅡ神戸新聞杯('17年)はラブリーデイ的なピッチのレイデオロが好走できるのか?ーーレース展望 - ずんどば競馬

サトノアーサーはNorthern Dancerのクロスが強い母をもつディープインパクト産駒で、比較的に完成の早いタイプ。トモの筋肉からしても夏を越してグンと成長するのかは微妙なところで、コース適性のある阪神芝2400mを味方につけられれば……。

アドマイヤウイナーは青葉賞や大寒桜賞のときのようにペースが緩まなければ力を発揮できる馬。前走1000万下を勝ち上がれなかったのは大きなマイナスとは言え、ダンビュライトがしっかりとペースを作るのなら、この馬にもチャンスが出てきますね。

このメンバーだと、ノーザンファームのワンツースリーは可能性が低く、◯には他の馬を取ります。

 

◯ベストアプローチ 3歳牡馬

藤原英昭厩舎は、ステファノスよりもこちらが本命ではないかな、などと妄想しています。とにかくエンジンのかかりが遅い馬。青葉賞はアドミラブルに「あわや!」と思わせる脚で伸び、改めて力のあるところを見せました。ペースが流れて脚を出し切る展開になるのであれば、このメンバーをまとめて負かすだけの力はあります。外回りは直線でインコースがガラリと開くことがあるので、内枠はプラス。復調なった岩田騎手のエスコートでダンビュライトとセットで狙いたい馬です。

 

その他の△候補として

△アドマイヤウイナーはこの人気なら押さえます。△アダムバローズはハーツクライ×Unbridled's Songですから、外回りコースはOK。休み明けに加え前走を大敗していることから後続のマークも緩くなるはずで、ここはアレヨアレヨもあり得ますね。

 

キセキについて

ここ2走は圧巻のパフォーマンス。阪神芝2400m外回りは「ドンと来い!」のパワフルなストライドで走るルーラーシップ産駒で、大きな不安はありません。ただ……この手の瞬発力がある産駒は最後の急坂がやや心配。また、ペースが平均的に流れた場合、差し遅れの心配もあります。レイデオロと同じように、これだけ人気になるようだと、嫌いたいですね。アッサリ好走されたとしてもダンビュライトを交わさないと想定して無印に。

 

買い目

このオッズであれば、◎ダンビュライトの単勝から。キセキとレイデオロが3着以内に好走する可能性は十分にあるので、◎から◯△への馬単だけを買います。

 

単勝

3

 

馬単

3 → 4. 6. 14

 

まとめ

ダービー馬レイデオロと夏の上がり馬キセキを相手にダンビュライトがしっかりと勝利をつかむことができるのか、楽しみなレースですね。神戸新聞杯は、この馬がルーラーシップ産駒として初重賞を制するレースになることに期待して。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。