GⅡオールカマー(2017年)はメルボルンCではなく有馬記念で◎を打ちたいアルバートに期待してーー予想

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秋の古馬中長距離GⅠへ向かう前哨戦として、一着馬には天皇賞・秋の優先出走権が与えられるオールカマー(中山芝2200m)は、春のGⅠ路線を戦った実力馬と夏の重賞で好走した馬が顔を揃えるレースです。今年はGⅠ馬の参戦がないものの、ステファノス、タンタアレグリア、アルバート、ルージュバックなどGⅠで好走歴のある馬が出走し、「いよいよ古馬の秋競馬がスタート!」とエクスクラメーション・マークを付けたくなるほどワクワクするメンバーとなりました。

 

オールカマーはGⅠ or 重賞からのローテーションが基本

オールカマーは秋のGⅠを展望したい馬が集まるレースだけあって、宝塚記念や天皇賞・春など古馬中長距離GⅠからのここへ出走する馬が好成績を上げています。以下は新潟で行われた2014年を除く過去6年の1〜3着馬の前走をまとめたものです。

 

オールカマーの過去6年 1〜3着馬の前走

着順 人気 馬 名 前走
2016 1 1 ゴールドアクター GⅠ天皇賞・春
2 3 サトノノブレス GⅠ宝塚記念
3 6 ツクバアズマオー OP札幌日経
2015 1 3 ショウナンパンドラ GⅠ宝塚記念
2 1 ヌーヴォレコルト GⅠ宝塚記念
3 7 ミトラ GⅢ中日新聞杯
2013 1 9 ヴェルデグリーン GⅢ新潟大賞典
2 2 メイショウナルト GⅢ小倉記念
3 1 ダノンバラード GⅠ宝塚記念
2012 1 2 ナカヤマナイト GⅠ宝塚記念
2 4 ダイワファルコン GⅢ七夕賞
3 6 ユニバーサルバンク GⅡ目黒記念
2011 1 1 アーネストリー GⅠ宝塚記念
2 6 ゲシュタルト GⅠ天皇賞・春
3 2 カリバーン GⅡ札幌記念

(*代替開催のため、新潟競馬場でレースが行われた2014年はのぞく)

オールカマーは前走GⅠ+1・2番人気の馬であれば、3着以内に好走することの多いレース。上の表を見ると「パッ」とわかることですが、昨年3着のツクバアズマオー以外はすべてGⅠ・GⅡ・GⅢからのローテーションになるため、条件戦やOP特別から勝ち上がってきた馬は割引です。

 

1、2番人気のどちらかが連対

オールカマーは秋のGⅠへの前哨戦にふさわしく、前走GⅠからのローテーションかつ上位の人気に支持された馬の強いレース。2014年をのぞくここ6年1、2番人気のどちらかが連対しており、そこまでの高配当は望めません。ただ、1、2番人気のワンツーはないので、もっともシンプルな予想は1・2番人気→3〜6番人気への馬連でしょうか。これだと8点になるので、馬連で8倍を切らなければOK。2013年の9番人気ヴェルデグリーンの1着のような激走がなければ馬券も当たりますね。

 

金曜日に雨が降った中山の馬場は?

秋の中山開催は、開幕週のGⅢ京成杯AH(芝1600m)の勝ちタイムが1分31秒6、2週目のGⅡセントライト記念を勝ったミッキースワローがマークした上り3Fが33.4とかなり時計の速い馬場になっています。セントライト記念は前日の17日に台風18号の影響を受け、中山は「重」まで芝のコンディションが悪化したのですが、18日にカラリと晴れたことで馬場があっという間に回復し、速い時計の出る馬場に変化しました。

オールカマーも金曜日に雨が降り、土日にかけて馬場が乾いていくシチュエーション。日曜日には間違いなく良馬場まで回復するはずで、これは先週と同じように時計の速い馬場へと変わる公算が大きくなります。

 

中山競馬場は2014年以降、水はけがかなり良い

中山競馬場は2014年の馬場改修時に「暗渠排水管」を設置し、それ以降は水はけが格段に良くなりました。今春、中山開催の最終日に行われた皐月賞が、前の週に重馬場まで悪化したにもかかわらず、レースレコードの出る高速馬場に変化したのは記憶に新しいところです。

この排水性の向上によって、雨が降った後に日差しが出て路盤が急速に乾くと、それ以前よりも「時計の速い」芝に変わります。時計の速さは路盤に含まれる水分量の多少によるため、排水管によってJRAが想定する以上に芝が乾いてしまうと、「えっ!?」と驚くような高速馬場になってしまうのです。そのため、オールカマーも高速馬場に適性のある馬をピックアップします。

 

ステファノスとタンタアレグリアについて

前日時点で1、2番人気に押されているタンタアレグリアとステファノスの2頭は大きく割引く要素がありません。前者は長期の休み明け初戦、後者は休み明け+マイルから2200mへの距離延長と不安要素はあるものの、他のメンバーとの力関係を考えると、「これは馬券外に飛ぶな〜」というレベルではなく……。この2頭のどちらかを軸にして馬券を組み立てるのはベターでしょう。

 

ステファノスについて

藤原英昭厩舎は、GⅠに照準を合わせた仕上げをすることで有名なこともあり、ステファノスも休み明け+GⅠ前哨戦は勝ち切るところまでは「?」が付きます。とは言え、藤原英厩舎の年間複勝率とこの馬の能力を考えると2、3着に入る可能性は高く……。オールカマーは3〜4コーナーからの仕掛けになることが多く、ロングスパート戦の得意なこの馬には悪くない条件のレースです。

昔ほどではないものの藤原英厩舎+戸崎騎手はゴールデンコンビ。好走率の高い組み合わせですからこの人気も納得です。休み明けだった今春の金鯱賞6着の内容は物足りないものの、後はオッズとの兼ね合いでしょうね。

 

タンタアレグリアについて

休み明けと蛯名騎手というのが最大のネック。札幌記念でも札幌2歳ステークスのときにも書きましたが、JRAの重賞で蛯名騎手を買うというのは大きなリスクがあります。これは蛯名騎手が上手いとか下手とかではなく、ズバ抜けた能力の馬に乗っているか、よほどコース適性がずんどばでないかぎり、重賞では買わないと決めているので……。

今年のAJCCの内容からもオールカマーへの適性はバッチリですし、休み明け以外は大きな不安はありません。蛯名騎手「らしい」出遅れ+ダンサブルな騎乗による早仕掛けというチグハグ・セットが発動しなければチャンスも十分に。

 

予想

先にも述べたように、高速決着にも対応OK+GⅠからここへ出走する馬をピックアップします。候補は天皇賞・春からの出走となるアルバートとヴィクトリアマイルから参戦するルージュバックの2頭。この2頭については週中に詳しい展望記事を書いたので、よければそちらもご覧下さい。

名門・堀宣行厩舎のアルバートはオールカマーで好走し、国内レースに専念するのか?ーー展望 - ずんどば競馬

ルージュバックはGⅠ勝利に向けてのラストシーズンでどのような走りをするのか?ーーGⅡオールカマー展望 - ずんどば競馬

3枠と内目の枠に入ってしまったルージュバックはもう、逃げか外目の2、3番手からの競馬をする以外はノーチャンス。戸崎騎手から乗り替わった北村宏騎手が積極的に出して行き、ポジションを取りきれるのかどうか……。内のグランアルマダと外のマイネルミラノを制することができれば、「逃げ」も叶うメンバー。行き切れれば好走の可能性は十分にありますが、最大目標のエリザベス女王杯のことを考えると、陣営が逃げの手を選択するのかは微妙なところです。逃げてくれるのであれば間違いなく◎なのですが……。

 

◎アルバート 6歳牡馬

父:アドマイヤドン

母:フォルクローレ(母父:ダンスインザダーク)

厩舎:堀宣行(美浦)

生産:ノーザンファーム

今秋は豪州の長距離GⅠメルボルンC(フレミントン競馬場 芝3200m)に出馬登録をしており、2年ぶりとなる2200m以下のレースへの出走はあきらかにひと叩きの匂いがプンプンします。前走の天皇賞・春は5着と掲示板を確保したとは言え、4着のアドマイヤデウスからは離されてのもの。いかにも「アヤシイ」人気馬で、競馬のことをよく知っている人であればあるほど、アルバートは敬遠されるでしょうね。

でも、ちょっと待って下さい! メルボルンCへの出否はあくまでもオールカマーの結果次第によって決まります。ステイヤーズS3連覇のかかるシーズンに、初めての海外遠征を視野に入れているということは、陣営のこの馬にかける期待が並々ならぬものだから。ここを叩いてメルボルンCというよりも、最大目標を有馬記念に置いた逆算のローテーションだと感じるのは私だけでしょうか。

父アドマイヤドン×母系にHyperionの血が詰まっているという配合は今年の天皇賞・春4着のアドマイヤデウスと同じ。高齢になってもジワジワと成長する血統ですから、6歳の秋だからといって臆することはありません。簡単にはバテない馬なので、ロングスパート戦から脚を削り合うような展開になれば……。このオールカマーはアルバートの競走人生を左右する大切な1戦です。

石橋脩騎手が乗ることから「勝負気配が薄い」などと言われますが、堀宣行厩舎が勝負をかけるときはR・ムーア、J・モレイラ、M・デムーロ以外はどっこいどっこいですから、気にする必要はまったくありません。2冠馬ドゥラメンテの共同通信杯2着は石橋脩騎手によるものでしたしね。

内枠に入ったことから、多少スタートをもっさりと出ても中団のインに潜り込めるメンバー構成。アルバートは出して行ってもかかることなく折り合える馬ですから、先週のセントライト記念のミッキスワローのようなポジションを取れれば、最後はきっちりと脚を使って伸びてきます。距離が短いのは承知の上で、名門・堀宣行厩舎の手腕に賭けたいレースです。

 

アルバートの相手は1頭

アルバートから「1、2番人気へ」というのがもっともポピュラーな予想なのでしょうが、それなら◎の単勝でカバーできるので、ここは人気薄の馬をピックアップします。週中の展望記事に書いたモンドインテロは外枠というのがネックで、この人気であれば嫌いたいところ……。ブラックバゴは人気的にはぴったりの1頭で「内枠だ〜、よーし!」と力が入るレースなのですが、鞍上が内田博幸騎手なのでチ〜ン……。というわけで、もう少しひねります。

オールカマー出走のPacific Princess牝系のモンドインテロは中山の高速馬場乗り切れるのか? - ずんどば競馬

GⅡオールカマー('17年)は「高速の馬場」に適性のある馬をピックアップしたいレースーーブラックバゴの展望 - ずんどば競馬

 

◯ショウナンバッハ 6歳牡馬

キタサンブラック(父ブラックタイド)の半兄。ショウナンバッハは父がステイゴールドに替わりノーザンテーストとPrincely Giftのクロスになり、弟よりもちょっとだけしなやかなタイプ。上り1、2位の脚で追い込むのがデフォルトで、仕掛けをワンテンポ遅らせマイルドに捲る柴田善騎手とは手の合う馬です。今回は中山2200外回りでインコースがガラリと開く可能性が高く、有力馬を外々を捲る展開をフワリとイン差しできれば……。前日時点で2桁人気というのがネックですが、前走マイルの関屋記念で見せた鋭脚の再現に期待します。

 

買い目

ステファノス、タンタアレグリアが2、3着に入る可能性が十分あるだけに、まずは◎アルバートの単勝を。そして馬連は◎◯の1点でGO!

 

単勝

2

 

馬連

2 → 3

 

まとめ

中山の芝はこれからどんどんと乾いて時計の速い馬場になれば、イン差しのできる2頭の決着に期待ができます。アルバートがステイヤーズS3連覇からの有馬記念制覇に向けて、オールカマーをきっちりと1着で通過することができるのかに注目しましょう。

皆さまにとっても素晴らしいレースになりますように。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。