GⅡ毎日王冠と同じく優勝馬に天皇賞・秋への優先出走権が与えられるGⅡ京都大賞典が10月8日(日)、京都競馬場の芝2400m外回りコースを舞台に行われます。今年はGⅠ馬の出走はないものの、天皇賞・春2着のシュヴァルグラン、GⅠ2着が3回のサウンズオブアースなどの名脇役が登場。今秋のGⅠを展望する有力馬が顔を揃えました。
シュヴァルグランがGⅠを勝つには?
母ハルーワスウィートはヴィルシーナとヴィブロス姉妹のGⅠ馬を出している名繁殖牝馬。シュヴァルグランは父がハーツクライに替わったのと牡馬に出たので、姉や妹よりも「男性的」に捲れるパワーとスタミナに優れています。
昨秋のジャパンカップ3着、今年の天皇賞・春を2着と好走しているように能力はGⅠ級。体調的にピークだった天皇賞・春からの連戦となった宝塚記念は逃げて8着と敗退。ガス欠したような前走の敗戦からリフレッシュされた今走は、どれほど春の疲労が取れているのかが注目です。
Halo3×4のクロスらしい器用さのある馬で、もっとも力を発揮できるのは、2400m以上の距離+小回り・内回りのコース。昨年、6着と敗退した有馬記念で4コーナーを捲った「あの脚」こそがこの馬の最大の武器と言えます。京都大賞典の舞台となる京都芝2400m外回りは、この馬の器用さ活かしきれるとは言いにくいロケーション……父ハーツクライも直線が平坦な京都の大レースを勝ち切れないだけに、舞台設定に不安が……ただ、この馬自身は京都の下り坂も苦にはしませんから、ここは格の違いで押し切りたいところでしょう。
秋のGⅠに向けて
シュヴァルグランが京都大賞典から今週のスタートを切るということは、天皇賞・秋はスキップしてジャパンカップ→有馬記念というローテーションが濃厚。これだと、本命のGⅠは中山芝2500mで行われる有馬記念になります。
ジワリジワリと成長するハーツクライ産駒ですから、5歳秋になってもまだまだ良化が見込めます。春は休み明けで馬体をきっちりと造り、天皇賞・春にピークをもっていったことから宝塚記念まで体調がもちませんでした。今秋の最大目標を有馬記念に置いているのなら、ここはかなり余裕をもたせた造りでの出走になります。有馬記念がピークのデキなら「ジャイアントキリング」も十分に可能。今から年末のグランプリが楽しみですね。
京都外回り向きの馬は?
天皇賞・春や菊花賞といった長距離GⅠが行われる京都の外回りは、3〜4コーナーをロスなく下り、コーナーでスピードに乗せてから長い直線をしなやかに走れる馬に有利なコースです。今年の京都大賞典に出走する馬のなかで、外回り向きのしなやかさをもつ馬をピックアップしてみましょう。
▼外回り向きのストライドで走る馬
スマートレイアー
ミッキーロケット
バロンドゥフォール
レコンダイト
このなかでもっともしなやかなストライドで走るのは父ディープインパクト×母父Pivotalのミッキーロケット。日経新春杯では素質馬のシャケトラとの接戦を制したように、京都の外回りはベストのコース。今春は大阪杯→宝塚記念の内回り2連戦で力を発揮できませんでしたが、条件が好転する京都大賞典はチャンスが十分です。
スマートレイアーはしなやかさのなかにも高齢によるパワーの発言が出てきていて、ホレボレする柔らかさやキレッキレの末脚は失われたものの、長くしぶとい脚を使えるタイプへとシフトチェンジしています。器用さに欠けるので外回りコースがベストの馬です。
レコンダイトは母系に引くMill Reefのクロスと母父ラストタイクーンの柔らかさが表現された馬で、俊敏に加速はできなくとものびのびと四肢を伸ばして走ります。
▼外回りも内回りもOKの馬
サウンズオブアース
フェイムゲーム
ラストインパクト
カレンミロティック
マキシマムドパリ
上記の馬たちは直線の長い東京や中京の重賞で好走している馬たちですが、コーナー距離の長い小回り・内回りでも力を発揮できる馬たち。とくに、サウンズオブアースとラストインパクト、マキシマムドパリはコース不問です。反対に言えば、ここが「ずんどば!」という適性に合ったコースがないのは短所とも言えます。
予想
毎日王冠と同じく、京都大賞典も純粋な逃げ馬が不在。スマートレイアーもカレンミロティックも逃げようと思えば逃げられるメンバー構成。もし、スマートレイアーが先手を主張するようならマイペースにもちこめるはずで、久しぶりに武豊騎手の絶妙な「逃げ」を観られるかもしれませんね。
誰も逃げずにゆるゆるのペースだとラブリーデイが勝った2015年のように上り3F32秒台のレースになることも……そのときはピッチで俊敏に加速できるタイプが抜け出してしまうのでしょう。そんなことを考えながら出馬表を眺めていると、「これ、スローになったら何が上位に来るのか難解過ぎる……」という結論に達しました。どの馬もビュンとしなやかにキレるわけではないので、どスローだと「前々を走っている馬が有利な位置取りゲーム」になる可能性も……。JRAの重賞レースは予想できないスローが連発しているので、ここも上りだけのレースになるかも……京都大賞典のメンバーのなかでもっとも俊敏に反応できるのはやっぱりHalo3×4のシュヴァルグランで、毎日王冠のリアルスティールのように瞬間的なギアチェンジの巧みさはJRAにおいてミルコの右に出る騎手はいませんから、7、8分くらいのデキでも勝ち切ってしまうシーンも……。う〜ん、どのような流れになるのか難しいですね。
高配当を狙うなら、武豊騎手が平均ペースで逃げて、しなやかストライドが外から差してくるようなレース。京都の下り坂をロスなく走れるしなやかな馬をピックアップします。
◎スマートレイアー 7歳牝馬
父:ディープインパクト
母:スノースタイル(母父:ホワイトマズル)
厩舎:大久保龍志(栗東)
ヴィクリアマイルを制したホエールキャプチャのように、年齢を重ねるにつれてマイラーから中距離馬へとモデルチェンジし、今は先行してしぶとく脚を使うレースがもっとも合っています。GⅠ馬サトノクラウンに迫った今年の京都記念の内容が素晴らしく、牡馬相手でも力負けはしません。
武豊騎手であれば上り3F33秒台の瞬発力勝負にはもち込まないでしょうし、シュヴァルグランの俊敏な捲りに対抗できるとすればこの牝馬の先行力でしょう。京都の外回りコース適性で言えばミッキーロケットに劣るものの、スタートが安定していることとレースの立ち回りの上手さでこの馬に◎を。
◯ミッキーロケット 4歳牡馬
父:ディープインパクト
母:マネーキャントバイミーラヴ(母父:Pivotal)
厩舎:音無秀孝(栗東)
この馬のベストレースはサトノダイヤモンドをクビ差まで追い詰めた3歳秋の神戸新聞杯2着。しなやかなストライドが活きる外回りコース向きの馬で、今春の大阪杯→宝塚記念の2戦は適性に外れたレースでした。ただ、その2つのレースともに大きくは負けていないため、改めてこの馬の力を示したことも確かです。
京都芝2400mは初重賞制覇を飾った日経新春杯と同じコース。実力馬シャケトラを退けたコースであれば、消化不良だったGⅠ2戦の鬱憤を晴らすのに最適です。不安は仕上がり具合よりも安定しないスタート……。もともと好位で競馬ができる馬ですから、できるならスタートを決めて好位のインのポケットに潜り込みたいところ……そこさえクリアできるなら、大きな不安はありません。
△レコンダイト 7歳牡馬
父:ハーツクライ
母:モテック(母父:ラストタイクーン)
厩舎:音無秀孝(栗東)
俊敏には反応ができないので、少なくとも3コーナーから勢いをつけないとダメな馬。母モテックはラストタイクーン産駒でMill Reef3×3のクロスをもつため、しなやかな血を産駒に伝えます。レコンダイトのダラっとした末脚は母モテックの柔らかさによるもの。
父ハーツクライですから、7歳になっても大きな力の衰えはなく、もし万が一レースが流れればグイグイと伸びてこれる可能性も十分に……。高速決着もOK。馬群に揉まれずコーナーでしっかりとスピードを乗せられる外枠はプラスですし、開幕週の京都芝は外からの差しもソコソコ来ていたので、無欲の捲りが打てるのなら。
その他の有力馬
シュヴァルグランは3〜4コーナーから俊敏に動けますが、仕上がり具合がキーポイント。サウンズオブアースはコース不問で、その分だけ京都大賞典がベストとは言えないのがネック。フェイムゲームはピッチ走法なので京都だとペースがかなり流れないと苦しく……。てなわけで、後は前々に行きそうな△ハッピーモーメントを押さえで。
買い目
◎◯を1、2着に固定した3連単で。
3連単
1着:4. 5
2着:4. 5
3着:14. 13
皆さまにとっても素晴らしいレースになりますように。
以上、お読みいただきありがとうございました。