JpnⅡ東京盃(2017年)は浦和の◎ブルドッグボスと船橋の◯スアデラの2頭の地方馬に期待してーー予想

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優勝馬にJBCスプリントへの優先出走権が与えられる第51回東京盃(JpnⅡ)が10月4日(水)、大井競馬場ダート1200外回りを舞台に行われます。今年はJRAから5頭、地方所属から11頭が出走。JRAの大将格はGⅠフェブラリーS5着、地方交流重賞を2勝しているニシケンモノノフ、地方勢からはトウケイタイガー、ブルドッグボス、スアデラとJRA勢に負けない好メンバーが揃いました。JBCスプリントに向けて好スタートを切るのはどの馬なのでしょうか?

 

地方勢はJRA勢に負けない布陣

今年の東京盃は「JRA勢が1〜3着を独占するのは難しいのでは?」と思えるほど、地方勢のメンバーが充実しています。JRAから浦和の小久保厩舎へ移籍し、前々走でJpnⅢクラスターCを制したブルドックボスやJpnⅢかきつばた記念を勝ったトウケイタイガーなど、すでに地方交流重賞でJRA勢を負かしている馬が参戦し、地方勢の「1 - 2 - 3」も0%ではありません。それでは、地方勢の注目馬をチェックしてみましょう。

 

ブルドッグボス 5歳牡馬

父:ダイワメジャー

母:リファールカンヌ(母父:デインヒル)

厩舎:小久保智(浦和)

JRA所属時にOP特別を3勝し、交流重賞でも好走を繰り返していた馬が地方移籍2戦目で嬉しい初重賞制覇となりました。 ブルドッグボスは昨秋にJRAのダートOP特別を勝ち、今春のJRAで走った2戦とも人気上位の支持を受けていた馬。成績が下降してから地方へ移籍したわけではありません。

移籍先の小久保智厩舎は2005年に管理馬が初出走してから、開業12年目の今年に1000勝を達成した名厩舎。JRAからの移籍馬も多く管理している調教師で、重賞未勝利のブルドッグボスにとっては大きな転機となる移籍だったと言えます。

ダイワメジャー産駒らしいパワフルな馬体とゴリゴリと先行できるスピードがもち味のスプリンター。時計の速い決着でも地方の時計のかかる馬場もOKで、スピードはたちダイワメジャーから、パワーは母系のデインヒルから受け継いでいるものでしょう。

 

東京盃に向けて

有力馬たちを見ながらレースを進められる7枠はこの馬にとって大きなプラス。馬格があり、やや器用さに欠ける部分もあるので、インコースからびゅんと加速するよりも外目をスムーズに追走するレースが理想です。

今回は先行勢を見る形で外目を走れるメンバー。今開催の大井競馬場は直線がやや軽いため、直線の半ばでジワリと先頭に立つような競馬が理想。ニシケンモノノフに対しても格負けはしない馬ですから、アッサリ勝ち切っても驚けません。

前走のJpnⅢテレ玉杯オーバルスプリントは1400mの小回りで勝ち馬のサイタスリーレッドに上手く逃げ切られてしまいましたが、勝ちに行っての3着ですから悲観する内容ではなく、外回りの1200mへ条件が替わるのはこな馬にとってプラスでしょう。

 

トウケイタイガー 6歳牡馬

父:タイムパラドックス

母:ヒノデモンテローザ(母父:マルゼンスキー)

厩舎:住吉朝男(兵庫)

今春のJpnⅢかきつばた記念(名古屋ダート1400m)で地方交流重賞を初制覇。その後GⅢプロキオンS(中京ダート1400m)に出走し、逃げて7着に粘り込みました。JRA勢に対してもしっかりと先行できるスピードは魅力です。

全兄のソルテも地方交流重賞のJpnⅡさきたま杯(浦和ダート1400m)を制しています。産駒たちがこれだけの活躍をしているのは、母ヒノデモンテローザの繁殖能力の高さによるものでしょう。

 

東京盃に向けて

1400mを中心に使われ、その距離で好走を果たしてきた馬だけに、1200mへの距離短縮は決してプラスとは言えません。揉まれずに先行できれば力を発揮できますし、大井競馬場の右回りの競馬も問題ナシ。パワフルに差してくるタイプではないため、川原騎手がどこまで主張してくるのかはレース全体の流れを決めそうですね。

トウケイタイガーよりも内にニシケンモノノフやコーリンベリー、スアデラなどのテンに速い馬が揃っているので、よほど好スタートを切って出して行かないかぎり、外目の2、3番手というのがもっとも有力。しなやかに差すタイプではないので、大井競馬場の外回りであればスローが希望です。

 

スアデラ 4歳牝馬

父:ゴールドアリュール

母:マサノミネルバ(母父:ラムタラ)

厩舎:佐藤裕太(船橋)

スアデラは社台ファームの生産馬で、吉田照哉氏の所有馬。2歳時から活躍し、南関の牝馬クラシック路線を歩みました。今春からスプリント路線へと転向すると、その豊かなスピードが開花し、1000〜1400mのレースを3連勝。前走のSⅢアフター5スター賞は2番手追走から直線で伸びあぐねて5着と敗退しましたが、スタートでやや出負けしてリカバリーに脚を使ったことを考えると、許容範囲の負け方です。

父ゴールドアリュールは揉まれ弱いVaguely Nobleの血を引き、代表産駒と言えるコパノリッキーやエスポワールシチーなどのGⅠ馬を見ても、多かれ少なかれ外から被されるのを嫌がる気性を伝えます。また、スアデラの母父ラムタラはBlushing Groomを通じて気性の難しいWild Riskの血を引くので、これを上手くコントロールできればレースでの爆発力に、反対にマイナス面が出ると抑えが利かずに暴走してしまうことも……。

スアデラがダート馬としてはしなやかなストライドで走るのは、母マサノミネルバのMenow5×5のクロスとBlushing Groom引くのと、自身がNijinsky5×3のクロスをもつからだと言えます。ゴリゴリとスピードとパワーで押し切るスプリンターというよりも、1400mをしなやかに走るスプリンターで、大井の外回りコースはセカンドベスト。直線の長いコースだともち味が活きるので、根岸SやプロキオンSでの走りが観たい1頭です。

 

東京盃に向けて

ゴールドアリュール産駒は逃げか揉まれずに外目を先行するのがベストなので、スアデラよりもひとつ外のトウケイタイガーに被されないかどうかがポイントとなります。前走はスタートでやや出負けしたので今回は好発を決めたいですね。ピュアなスプリンターではないので、1200mであれば時計の速い馬場か前半のペースが遅くなるのがベスト。

内のニシケンモノノフも揉まれ弱い馬ですから、スアデラに騎乗する本田正重騎手がどこまで主張するかはレースの流れを左右します。ポンと好スタートを切れるなら、逃げてしまった方がこの馬の爆発力を発揮できるでしょう。

 

JRA勢は?

JRA勢は1、2番人気に推されているニシケンモノノフとナックビーナスの2頭について解説します。

 

ニシケンモノノフ 6歳牡馬

父:メイショウボーラー

母:グリーンヒルコマチ(母父:アフリート)

厩舎:庄野靖志(栗東)

昨年2月のOPすばるS(京都ダート1400m)1着から、JRAと地方を問わずに重賞で好走を続け、掲示板を外していない安定感が魅力の1頭。今年のフェブラリーSではインカンテーションと競り合って先行し、直線で「あわや」と思わせる伸びを見せての5着。1200〜1600mまでの距離に対応し、しなやかな走りからもベストは東京や中京などの直線の長いコース。渋ったダートが得意なように、時計の速い決着はOKで、弱点は母父アフリートの揉まれ弱さだけでしょう。

前走の北海道スプリントCをレコードで快勝したときは、2枠からのスタートだったために横山典弘騎手が押してハナに立ったように、揉まれずにスムーズ+時計の速い馬場であれば能力全開のパフォーマンスを見せることができます。

母グリーンヒルコマチはしなやかな血が優勢の配合。ニシケンモノノフは母父アフリートですから、逃げるか外目をスムーズに追走しないと能力を発揮できません。6走前のカペラSからコンビを組む横山典弘騎手は、この馬の特性をしっかりとつかんでいるため、揉まれない位置でレースをする意識を強くもっています。今回は内枠に入ったので、前走の北海道スプリントCと同じようにハナを主張していく可能性が大。

 

東京盃に向けて

今年の東京盃は外枠に入ったナックビーナス、スアデラ、トウケイタイガーなどの「逃げ」候補の馬が揃いましたが、ここは横山典騎手がしっかりとハナを主張する展開にもち込みます。インのポケットからスッと抜け出すようなレースだと気性的に難しさを見せる恐れもあるため、さすがにリスクの高い戦法は選択しない(はず)でしょう。

1200mのダートであれば1分10秒ソコソコの時計がベストの馬で、パサパサのダートになるようだとマイナス。地方競馬場でも直線の長い大井の外回りコースであれば、ニシケンモノノフのしなやかなストライドを活かせるので、コースに不安はありません。

前走の北海道スプリントCも3ヶ月の休み明けでの勝利ですから、間隔の空いた今走もそれほど気にする必要なナシ。とにかく揉まれなければOKなので、スアデラなどが抜群のロケットスタートを切って外からかぶされるようなことがなければ……。この馬が馬券圏内を外すとしたら、極端に揉まれたときだけです。

 

ナックビーナス 4歳牝馬

父:ダイワメジャー

母:レディトゥプリーズ(母父:More Than Ready)

厩舎:杉浦宏昭(美浦)

今春のGⅢオーシャンS2着の後は、GⅠ高松宮記念8着→GⅢキーンランドC3着とスプリント重賞で堅実な走りを見せているスプリンター。牝馬ながら500kg超の馬体から繰り出されるフットワークは、前脚を力強くかき込むパワータイプのもの。直線の長いコースよりは内回り・小回りに向く馬で、前走のキーンランドCのように洋芝+小回り+時計のかかる荒れた馬場というのは、ナックビーナスにぴったりと合ったレースでした。

母レディトゥプリーズは父More Than Ready(サザンヘイロー直仔)を通して、Halo3×4のクロスをもちます。この母にサンデーサイレンス直仔のダイワメジャーがかけられて産まれたナックビーナスはHalo3×4・5のクロスをもつことになり、これが小回りのコーナーを器用に回れる1番の要因です。ダイワメジャー産駒としては器用さのある馬で、直線の長い東京コースでも勝ち鞍がありますが、そのOPオーロC(東京芝1400m)はスローペース(後傾ラップ)をピッチで抜け出したものですから、本質的には小回りコースに向いています。

JRAのダート戦で勝ち鞍があるように、前脚をかき込む走法からも芝・ダートは問わない馬。むしろ速い上りを求められないダートのレースは向いている可能性があります。東京盃は3歳未勝利戦以来のダートですから、なるべくであれば砂を被らない位置でレースを進めたいところでしょう。

 

東京盃に向けて

極端に砂を被ることのない7枠に入ったのはプラスで、後は武豊騎手がどのポジションを取るのかがポイントとなります。好位で競馬ができるタイプですから、ニシケンモノノフを制してまでハナにはこだわらないのでは……。先週のGⅠスプリンターズSのダイアナヘイローの消極的な騎乗が武豊騎手の意識に残っているのなら競りかけることも考えられるものの、可能性は低いですね。

本質的に直線の長い大井の外回りコースであれば、ペースが緩んだ方がベターな馬。でも、速い上りは使えないので、直線早々にニシケンモノノフに並びかけて抜け出し、ゴールまで粘りたいところでしょう。

ニシケンモノノフの横山典騎手とナックビーナスの武豊騎手の2人がハナと2番手なら、ペースをどうとでもコントロールしてくるでしょうから、イヤな予感しかしません。ナックビーナスがスンナリの展開で回ってきて、長い直線で何かに差されての3着とか、そんなシーンが目に浮かびますね……。

 

予想

スタートが決まり、松山弘平騎手がガシガシと出して行くのならコーリンベリーがこのメンバーのなかではもっともテンが速いとは思うものの、出遅れ癖のある馬だけにここはニシケンモノノフの先手が濃厚。スアデラの本田正騎手がポンとスタートを切ってハナを主張するのかどうかが鍵ですが、テンを意識的にセーブして末を伸ばした追い切りの映像を観ても、どうも先行策のような気がして……。

ナックビーナスは外枠かつ武豊騎手ですから、どう考えてもペースを引き上げに行くとは思えず、ニシケンモノノフがコントロールする流れだと、先行勢は苦しくなりますね。

 

◎ブルドッグボス

ニシケンモノノフがハナに立つ流れだとしても、スアデラが思い切って逃げる展開になったとしても、どちらにも対応できるのがブルドッグボスです。速い時計の決着にも対応可能とは言え、このメンバーであればパサパサに乾いた馬場の方がこの馬には有利。4日(水)は晴れの予報が出ていることからダートの含水率が下がり時計がかかるようになれば……。

もちろん、ニシケンモノノフとナックビーナスがハナと2番手でペースをコントロールするような展開だと、外目を回らされるこの馬には苦しい展開になるでしょうが、そこはそれ、乾いたダートでニシケンが苦しくなったところを左海誠二騎手の手綱に導かれたブルドッグボスがゴール前で差すシーンに期待して◎に。

 

◯スアデラ

逃げてくれれば、逃げてくれさえすればチャンスはあります。このメンバーでもスンナリとハナに立てるなら直線で後ろをぶっちぎる可能性は十分に。それほど「習志野きらっとスプリント」の逃げ切り勝ちは優秀なもの。

揉まれ弱い馬だと思うので、ポンとスタートを切ってハナに立てれば。でも、ニシケンモノノフ+横山典弘騎手相手に本田正騎手がどこまで……という不安があるのも事実です。

 

買い目とその他の馬について

スンナリと先行したニシケンモノノフとナックビーナスの2頭が馬券圏内に入ってしまう可能性もあるので、まずは◎と◯の単勝を。スアデラが逃げてくれるならブルドッグボスとのワンツーは十分にあり得るので、◎◯の馬連を。

◎◯がワンツー態勢に入ったときに3着を争うのはしなやかに差してくる馬でしょうから、△ショコラブランと△キタサンミカヅキを3連単で押さえます。

 

単勝

14. 11

 

馬連

14 - 11

 

3連単

1着:14. 11

2着:14. 11

3着:4. 9

 

まとめ

ニシケンモノノフがハナを取り切った時点でブルドッグボスの単勝以外は可能性がかぎりなく低くなりますが……。JBCスプリントでスアデラが観たいというのもあるので、ここは本田正重騎手がガシガシとハナを主張してくれると信じてこの買い目に。

地方勢からも好メンバーが揃った2017年の東京盃。今年はどのようなレースになるのか今から楽しみですね。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。