「クラシック」と「スプリント」と「レディスクラシック」、3つのカテゴリーのダート・チャンピオンを1日で決めるJBC(ジャパンブリーダーズカップ)は11月3日(金)、大井競馬場を舞台に行われます。
「ダートのすべてが、ここにある。」
JBCの公式サイトに記載されている「その」キャッチコピー通りに、JRAと地方所属の馬がチャンピオンの座を争う熱い1日から目が離せません。
今回の記事では、クラシックとスプリントの2つのレースを予想していきます!
JBCスプリント
大井競馬場の外回り1200mで行われる今年のJBCスプリントは、JRA勢7頭と地方所属の9頭が争います。
ステップレースの東京盃は、JRAから移籍した地方所属馬キタサンミカヅキとブルドッグボスのワンツー。今年はJRA勢の上位独占とはならないかもしれません。
JRAの注目馬
注目を集めるのは、クラシックではなくスプリントに出走する古豪コパノリッキー。フェブラリーSなどダートのマイルGⅠ勝ち馬が、7歳にしてスプリントGⅠへ矛先を向けてきました。
コパノリッキー以外にもニシケンモノノフ、コーリンベリー、ノボバカラなどの実力馬が出走。ここでは、その4頭について簡単に解説します。
コパノリッキー 7歳牡馬
2014、2015年のフェブラリーS(GⅠ・東京ダート1600m)を連覇するなどGⅠ10勝の実力馬。今年はJBCクラシックではなくスプリントへ出走します。ここ2走はかしわ記念(JpnⅠ)1着→マイルチャンピオンシップ南部杯(JpnⅠ)1着と交流GⅠを連勝しており、まだまだ大きな力の衰えを見せていません。
父ゴールドアリュールは揉まれ弱いVaguely Nobleの血を引き、その産駒は多かれ少なかれ外から被されるのをイヤがります。コパノリッキーもその気性を受け継いでおり、逃げ〜差しと前後のポジションはこだわらないものの、「外目」をスムーズに走るのがベスト。
JBCスプリントに向けて
1200mへの距離短縮+5枠という条件から、スムーズに外目を先行できるのかが最大の不安点。この馬よりも外に、ブルドッグボスとコーリンベリーの先行馬がいるため、ポジション取りが鍵になるでしょう。
重厚なストライドで走るので、直線の長い大井の外回りコースは苦にしません。また、JBCスプリントは1400mベスト型の馬が好走することから、その点もプラス。
テン乗りとなる森泰斗騎手は地方を代表する名手。コパノリッキーの揉まれ弱さもわかっているでしょうから、乗り替わりに大きな不安はありません。
ニシケンモノノフ 6歳牡馬
前走の東京盃は内枠からのスタートとあって、揉まれ弱いニシケンモノノフにとっては難しいレースとなりました。それでも、直線インをついて3着まで押し上げたのは、高い能力の表れです。
1400mベストなスプリンターながら、今年のフェブラリーS5着など強敵相手のマイルGⅠでも好走歴のある実力馬。ダート馬としてはしなやかな走りをするので、直線の長い大井の外回りコースは向いています。
JBCスプリントに向けて
まさかの最内枠……。前走の東京盃はインの好位で我慢ができましたが、直線に向いてからこの馬らしい伸びは見られませんでした。
今年のJBCスプリントも先行馬がズラリと揃ったので、ニシケンモノノフ鞍上の横山典騎手がどのようなレースプランを立てて臨むのか……。横山典騎手は、馬の気分を損ねない走りを最優先にするので、ここは逃げの手に出る公算が高くなりました。
行き切れれば、豊かなスピードを活かせるでしょうし、ペース配分は巧みな騎手ですからアレヨアレヨの逃げ切りも期待できます。
コーリンベリー6歳牝馬
2015年の大井で行われたJBCスプリント勝ち馬。そのレースでは、ダート短距離の交流重賞を勝ちまくっていたダノンレジェンド、フェブラリーS2着のベストウォーリアを抑えての逃げ切り勝ち。
昨年4月の交流重賞「東京スプリント」1着から勝ち星に見放されているものの、まだまだ大きな力の衰えはなく、スムーズな走りさえできれば好走の可能性も十分にあります。
JBCスプリントに向けて
年齢を重ねるにつれ、好位差しもOKのタイプへとモデルチェンジしたコーリンベリー。ただ、馬群を割って伸びてくるタイプではないため、理想は揉まれない位置でレースを運びたい馬です。
スタートが安定しないので、この馬よりも外にダッシュの速い先行馬がネロくらいしかいない6枠に入ったのはプラス。休養明けだった前走の東京盃は松山騎手が積極的に前々でレースを進めていたので、今走はレースでの力みも少なくなるでしょう。
大井の1200mはほぼベストの舞台ですから、スムーズなレースさえできればチャンスも……。
ノボバカラ 5歳牡馬
1200〜1400mの重賞で再三好走歴のある実力馬。今夏は目先を変えて芝のスプリント重賞に出走したものの、好結果を出せませんでした。ダートに戻した前走のマイルチャンピオンシップ南部杯は、積極的に逃げると直線でもしぶとく粘って2着と好走。1600mの距離だったことを考えれば、上々の内容と言えます。
軽い馬場が合うタイプで、時計のかかる地方のダートだと湿った馬場コンディションがベター。速い時計の決着でスムーズな先行ができればチャンスも十分です。
JBCスプリントに向けて
内にニシケンモノノフ、外にコパノリッキーやコーリンベリーがいるため、外目をスムーズに先行できるのかがポイント。前走は逃げて好結果を出しており、ここもイケるならハナを切りたいところでしょう。
最内のニシケンモノノフが強引に先手を主張するなら、番手に控えてもOKなので、スタートを決めて前々へ出して行きつつポジションを探る形に。直線の長いコースも苦にしないので、揉まれずにスムーズなら……。
ブルドッグボスとキタサンミカヅキ
地方所属の注目馬は、ブルドッグボスとキタサンミカヅキの2頭。地方の水が合うのか、どちらも転厩してから成績が上向きました。
先行馬のブルドッグボスは6枠、差し馬のキタサンミカヅキは2枠に入り、ここなら2頭ともにレースの流れに乗りやすいでしょう。
ワンツーを決めた東京盃から、さらに相手は強化されたものの、GⅠ制覇へチャンスのあるメンバー構成ですから、「あっ!」と驚く好走に期待をかけたいですね。
東京盃の予想については以下の記事をご覧下さい。
予想
このレースのポイントを握るのは、最内枠からのスタートとなるニシケンモノノフと横山典騎手のコンビが、どのような展開を作るのか……。
大井外回りコースは直線が長いため、ペースが速くなるとズブズブの差し決着もままあります。
どの馬が逃げるのか?
横山典騎手はここまでニシケンモノノフに7戦連続で騎乗。フェブラリーSや北海道スプリントカップなどを観ても、揉まれそうであればしっかりと前を主張しています。
ノボバカラやコーリンベリーなど、速い馬を先に行かせて外目へと切り替えられるなら、逃げなくてもOKなものの、外から次々と被される可能性が高く、ここは腹を据えての「逃げ」でしょう。
持続戦によって、ストライド型が台頭
ペースが速くなれば、ピッチで抜け出す馬よりも東京1400mをしなやかに差してくる馬にチャンスが巡ってきます。ベストウォーリア型が好走するイメージですね。
東京盃出走馬のなかで、直線の長いコースに向いた1400mベストの馬は以下の通り。
ニシケンモノノフ
(ノボバカラ)
2頭しか見当たらず……コパノリッキーはマイラーなので、1400mベストかと言われると「?」が付きます。ノボバカラを()にしたのは、パサパサのダートだとややスピードに欠ける面があるからです。
ブルドッグボスはパワーで押すピュアスプリンターなので、直線の長いコースであればペースが流れると苦しくなるでしょう。キタサンミカヅキはペースが流れたときに、前走よりもパフォーマンスが上がるとは考えられません。
◎ニシケンモノノフ
北海道スプリントカップのように、強引にハナを叩けばここでもチャンスが出てきます。最内枠に入ったことで、レースの幅が狭くなりましたから、それが反対にプラスになれば。
フェブラリーS5着と能力は確かですから、行き切れてしまえば逃げ切りも。揉まれるとダメなので、今走は1着か馬券外かというレースになるでしょう。
2着以下は混戦
ペースが緩んで、揉まれなければコパノリッキーがアッサリという目も充分ありますが……2着以下は大混戦。
△ノボバカラはもう少し馬場が渋ってくれるとベター。ダート馬としてはしなやかに走るので、コース適性は十分あります。赤岡騎手が強引にハナを取りに行くと、ニシケンモノノフとの争いになるので、そこだけがポイント。
スタートの安定しない△コーリンベリーは外枠がプラスに働きます。好位差しもできる馬で、スムーズに流れに乗れればチャンスもあるでしょう。前走の小気味良い先行によって、ガス抜きもできたでしょうしね。
△コパノリッキーはもう少し外目の枠が欲しかった……森泰斗騎手がどのようなポジションを取れるのかに注目です。△スノードラゴンはペースが速くなって、他馬が追走に苦労し、上りがかかる展開になれば。
買い目
◎→△各馬への馬単を。
JBCクラシック
スプリントと異なり、クラシックはJRA勢7頭の競馬。7頭の争いですから馬券的にも苦しくなりますね。週中にJRA所属の全頭を解説した記事を書いているので、そちらをご覧下さい。
それでは、サクっと予想に行きましょう!
予想
う〜ん、配当が厳しくなるので、予想としては買い目を3点以下に抑えたいですね。まずはレースの展開から考えましょう。
レース展開
差しても好結果が出ているケイティブレイブが強引にハナを叩くとも考えられないので、ここはオールブラッシュの単騎の逃げ。帝王賞は3コーナー過ぎからロングスパートの大好きなクリソライトが捲って先頭に立ちましたが、今走はオールブラッシュのマイペースでしょう。
実質的に7頭の競馬なので、馬群がばらけやすいのは近走で気の悪さを見せているアウォーディーや揉まれ弱いミツバにとっては大きなプラス。帝王賞と同じように、3コーナーからJRA勢が前目に位置する展開になります。
そもそも、もう何度も顔を合わせている同士の対戦ですから、ハイペースになる可能性は低く、今年のJBCクラシックはどの馬の捲りがもっとも「速い」のかを争うレースです。
◎グレンツェント 4歳牡馬
JRA勢7頭のなかで、3〜4コーナーをもっとも鋭く捲れるのは、父ネオユニヴァース×母父Kingmamboのグレンツェント。直線の長いコースとあって、ペースがあまりにも速くなるようだと、ゴール前で脚が鈍る可能性はあるものの、オールブラッシュが逃げるここはスローでしょう。
3歳時から大きな期待をかけられた馬。昨年のレパードSでは帝王賞馬ケイティブレイブをアッサリと差し切っているように、もてる能力はGⅠ級です。
ここ2走は58kgの斤量を背負ったこともあって凡走が続きましたが、前走から間隔を空けて臨む今走は、リフレッシュが成功すれば、このメンバーでも十分に戦える力があります。癖の強い馬ではないので、テン乗りの森泰斗も大きな不安はありません。
◯サウンドトゥルー 7歳騸馬
3〜4コーナーから、ケイティブレイブ、アポロケンタッキー、グレンツェント、アウォーディーが捲り合う展開で、もっとも漁夫の利を得れるのは、しなやかに末脚を伸ばせるサウンドトゥルー。
抜け出すとソラを使ってしまうアウォーディーはワンテンポ遅れての仕掛けになるでしょうから、グレンツェントの俊敏な捲りが決まれば(アポロケンタッキーとケイティブレイブが苦しくなり)、サウンドトゥルーの出番も。
3着候補は混戦
アウォーディーは残り5〜6F戦のロングスパート戦になるのがベスト。ただ、抜け出すとソラを使うので、積極的な競馬ができないのはこの馬の大きな弱点です。
アポロケンタッキーもケイティブレイブも大きなマイナス点はなく、大きく崩れるシーンは考えられません。2頭の捲りの速さを較べれば母父Gone West(マイラー)のアポロに軍配が上がります。
また、3コーナー過ぎまでスローにコントロールできるのなら、父ウォーエンブレム×母父Crafty Prospectorで捲り脚もあるオールブラッシュの逃げもチャンスが出てくるでしょう。
買い目
3着に入る馬を選択するのは困難なので、◎の単勝と◎→◯の馬単を。2点であれば、配当的にもOK。
まとめ
JBCクラシック&スプリントは好メンバーが揃って、熱い戦いが期待できます。馬券としては配当面が辛くなることもあるので、できるだけ買い目を抑えて臨みたいですね。
ダートGⅠ3レースが1日で行われるJBCを楽しみましょう!
以上、お読みいただきありがとうございました。