ディープインパクト産駒にもさまざまなタイプの活躍馬がいます。例えば、'16年の牡馬クラシックはすべてディープインパクト産駒の勝利でしたが、皐月賞のディーマジェスティ、ダービのマカヒキ、菊花賞のサトノダイヤモンドとそれぞれ異なる個性の馬が三冠を分け合うことになりました。
皐月賞馬のディーマジェスティは母父ブライアンズタイムのパワーを受け継ぎ、コーナーを力強く捲る脚が持ち味です。ダービー馬のマカヒキは3頭のなかではもっともディープらしいキレをもつ馬で、瞬時に加速できる瞬発力が長所。サトノダイヤモンドはファームのしなやかさはディープ譲りですが、マカヒキほどはキレずに平均的に脚を使うタイプに出ています。
しなやかさよりもパワーの勝ったディーマジェスティはこの3頭の中でもっとも瞬発力に欠けますが、こうした瞬発力を武器にしないディープ産駒は他にもいるのです。
上りがかかった時に強さを発揮するディープインパクト産駒として、今でも一線級で活躍している馬と言えばディサイファの名前が挙げられます。'14年エプソムカップで重賞を初制覇すると、'16年AJCCの勝利まで重賞タイトルを4つ獲得。8歳を迎えた'17年の初戦はGⅠの大阪杯。GⅠの舞台だと今一歩力が足りずに敗退していますが、阪神芝2000mの内回りコースはこの馬にとってベストなコースだけに、大きな期待をかけたいところです。
ディサイファ
母:ミズナ(母父:Dubai Millenium)
祖母のTribulationはグラスワンダーの母Amerifloreの全妹。そこにSeeking the Gold直仔のDubai Milleniumがかけられて生まれたのが母ミズナです。Dangiz→Dubai Milleniumと配された母系はパワーと単調なスピードに富んでいます。ミズナは名血名繁殖で、ディサイファの他にもアドマイヤタイシなどの活躍馬を出しています。
ディサイファは母系のパワーとディープインパクトのしなやかさがマッチした配合。5歳春にエプソムカップ(GⅢ)を制覇してから現在まで、重賞戦線において息の長い活躍をしているのはNorthern Dancerの薄いクロスが効いているからでしょう。
適性は?
初重賞制覇となったエプソムカップは、東京コースのスローの上り勝負を33.6の鋭さで突き抜けたことから、毎日王冠や天皇賞・秋など直線の長いコースのローテーションが組まれましたが、本質的には上りがかかった方が力を発揮できるタイプです。
'15年の札幌記念では2番手から上り36.0の脚でヒットザターゲットの猛追を凌いだレースがベストパフォーマンスで、その後もレースの上りが35秒そこそこであれば確実に脚を使う堅実派です。
8歳を迎えて
7歳のシーズンとなった'16年は年明けにAJCCを制覇した後、安田記念やマイルCSなど1600〜1800m戦を中心としたローテーションが組まれ、大きくは負けていないものの掲示板に載れないレースが続きました。
昨年のレース内容から大きな力の衰えは感じませんが、より母ミズナのパワーが発現した馬体になってきており、今なら中山や阪神内回りのの方により適性が振れてきていると思います。
おそらく年内で引退となるでしょうから、今年こそGⅠで好走を果たしたいところです。
四位騎手とのコンビ
ディサイファが条件戦を走っていた頃の主戦は四位騎手が務めていました。折り合い面や馬群の中で我慢をすることをレースの中で教えたのは四位騎手ですから、この馬の長所も短所も知り尽くしています。
四位騎手は内枠に入れば好位でソツなく流れに乗り、直線で馬群を割って抜け出すレースができる騎手です。ディサイファが大阪杯で内枠をゲットしてロスなく立ち回れれば好走しても不思議はありません。
大阪杯でディサイファは好走できるのか?
ディサイファにとって、大阪杯で好走するための要素は3つあります。
1. 持続戦になること
道中のペースが緩み、上りの速いレースになるとディサイファには苦しくなりますが、締まった流れの持続戦になれば最後の直線を持前のパワーで踏ん張ることができます。
大阪杯は出走メンバーの中に平均ラップで逃げるマルターズアポジーがいますから、2番手を追走するであろうキタサンブラックががっちりとマークする展開であればディサイファにはお誂え向きの流れになります。
2. 内回りコースで時計がかかる
阪神は京都に比べて時計がかかる競馬場ですが、それでも馬場の整備が進んでいる近年は少しずつ時計が速くなってきています。
適度に時計のかかる馬場であることがディサイファにとっては理想。
3. 先行勢の直後のポジションを取れれば
大阪杯の出走予定馬を見ると、逃げ・先行馬はマルターズアポジー、ロードヴァンドール、キタサンブラックくらいです。マルターズアポジーの逃げであれば、先行勢と差し馬との間にスペースができることが予想され、ディサイファは内枠からロスなく先行勢の直後のポジションを取れます。4角手前からの積極的な仕掛けでキタサンブラックと直線で叩き合いになれば、差し・追い込み勢の末脚をしのげるのでは…と期待をしたいですね。
まとめ
切れないディープ産駒の典型とも言えるディサイファもいよいよ8歳を迎えました。GⅠで好走するにはラストチャンスとなるシーズンですから、四位騎手とのコンビ復活で大阪杯でもこうレースを期待します。
今年の大阪杯のメンバーであれば、ディサイファにとってプラスになる要素が多いので。
以上、お読みいただきありがとうございました。