セントライト記念(2019年)はノーザンファーム生産馬と高速馬場適性のある馬に注目したいレース

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今春の3歳クラシック(牡・牝馬)とNHKマイルCはノーザンファーム生産(育成)馬がすべて1着となり、パーフェクト制覇を達成しました。秋のGⅠシリーズが近づき、また「ノーザンファーム」についてアレコレと考えを巡らす季節がやってきたと言えますね。

2019年下半期のGⅠシリーズについてのメモを記事として先日アップしたので、よければ以下をご覧下さい。

9月16日(祝日)、中山競馬場では菊花賞トライアルのセントライト記念(GⅠ・中山芝2200m)が行われます。今回の記事ではノーザンファーム生産馬と馬場コンディションについて考察します。

 

ノーザンファーム生産(育成)馬は?

セントライト記念に出走登録しているノーザンファーム生産(育成)馬は以下の8頭。

エングレーバー:藤岡佑介騎手

サトノルークス:川田博騎手

シークレットラン:内田博脩騎手

ランフォザローゼス:福永騎手

リオンリオン:横山典騎手

レッドサイオン:北村宏騎手

アドマイヤスコール:戸崎騎手)

ザダル:石橋脩騎手)

50音順・騎手は想定

ノーザンファームの主戦騎手であるC・ルメール騎手の名前が見当たりませんね。ルメール騎手想定のルヴォルグは「藤沢和雄厩舎+ディープインパクト産駒」と好相性の組み合わせながらも、非ノーザンファームの馬です。

C・ルメール騎手は3歳牡馬クラシックの大本命サートゥルナーリアがこの後に控えているので、セントライト記念はスポット騎乗となります。本番のGⅠで乗れないとしても、目の前のレースで好結果を出すのがルメール騎手。とは言え、非ノーザンファーム馬だとやはりマイナスです。

ザダルは生産が新冠橋本牧場、アドマイヤスコールはレイグヴィラファームなものの、育成や外厩はノーザンファームが管理しているため、(  )としてリストアップしました。

 

騎手の配置で考えると

それではもう一度、ノーザンファーム生産馬の騎手配置をチェックしてみましょう。リーディング上位の騎手しっかりと揃え、さすがのラインアップですね。

とくに川田騎手と福永騎手、戸崎騎手を確保したサトノルークスとランフォザローゼス、アドマイヤスコールは大きなプラス。また、ノーザンファームのセカンド・ドライバーである石橋脩騎手のザダルにも注目しています。

また、デビューからコンビを組むシークレットラン+内田博騎手、青葉賞を逃げ切ったリオンリオン+横山典騎手のコンビも、トライアル・レースと割り切れば馬券内の好走が十分にありえるでしょう。

 

中内田厩舎+藤岡佑騎手

中内田厩舎の主戦を務めるのは川田将騎手。ただ、この厩舎のセカンド・ドライバーとしてメキメキと頭角を現しているのが藤岡佑介騎手です。

近年は年間の勝ち鞍が50勝を下回るほど低迷していたものの、昨年は「初GⅠ制覇+キャリア・ハイの勝ち鞍に後2勝と迫る74勝を上げ」て再ブレークを果たしました。今年もここまで順調に勝ち鞍を伸ばし、現時点(9/9現在)で47勝と2年続けての50勝オーバーも目前です。

その藤岡佑介騎手に託されたのがオルフェーヴル産駒のエングレーバー。母系にRobertoの血を引く馬なので、小回りの中山コースそのものはOKです。あとは現在の「高速馬場」に対応できるかどうかがカギになるでしょう。

 

ロードカナロア=ディープインパクト産駒を探せ!

秋の中山開幕週は紫苑Sと京成杯AHの重賞が行われ、2レースともに速い時計の決着となりました。

紫苑S(GⅢ・中山芝2000m)

勝ちタイム:1分58秒3

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京成杯AH(GⅢ・中山芝1600m)

勝ちタイム:1分30秒3 ←日本レコード

京成杯AHの勝ちタイムはマイルの日本レコードとなる1分30秒3をマーク。ここ数年の秋の中山開幕週としては異例の「超」高速馬場となっています。

その京成杯AHはロードカナロア産駒のトロワゼトワルが1着、ディープインパクト産駒のディメンシオンが2着に入り、高速馬場の得意な種牡馬の子によるワンツーとなりました。

京成杯AHの回顧記事でも書いたように、高速馬場と言えばロードカナロアとディープインパクト産駒を外しすことができません。セントライト記念も高速馬場になる可能性が高く、この2頭の種牡馬のチェックから始めてみましょう。

 

ロードカナロアとディープインパクト産駒

ここではノーザンファーム生産(育成)馬のなかで、ロードカナロア or ディープインパクト産駒を探します。

ロードカナロア

レッドサイオン

ディープインパクト

サトノルークス

アッサリと2頭に絞れてしまいましたね。それではそれぞれの馬についてチェックしてみましょう。

 

レッドサイオン 3歳牡馬

父:ロードカナロア

母:レッドベルフィーユ(母父アグネスタキオン)

厩舎:藤沢和雄(美浦)

レッドサイオンは前走で函館芝1800mの1勝クラスを勝ち上がり、セントライト記念へと駒を進めてきました。藤沢和雄厩舎+北村宏騎手ですから、組み合わせとしてはマイナスではありません。

母系にRivermanを引くことで、父ロードカナロアのしなやかさをさらにアップさせたのが同馬の特徴。小回り函館コースだと3〜4コーナーで置かれ気味になるのは、しなやかストライドによるものだと考えられます。

走るフォームからは高速馬場はOK。あとは上り3Fの速いレースとなったときに対応できるかがポイントでしょう。

 

サトノルークス 3歳牡馬

父:ディープインパクト

母:リッスン(母父Sadler's Wells)

厩舎:池江泰寿(栗東)

母リッスンは名血名繁殖。ローズS(GⅡ・阪神芝1800m)を制した全姉のタッチングスピーチなどからも、この牝系の完成は遅めです。

ディープインパクト産駒としてはしなやかなキレよりも重厚なパワーがONとなる配合だけに、「超」のつく高速馬場がOKとは言えません。

ただ、直線に坂のあるコースはこの馬にとってプラス。また上りの速すぎる競馬はマイナスなので、できれば上りのかかるペース(前傾ラップ)になればチャンスもあるかも……。

 

2頭のまとめ

高速馬場における2頭の比較であれば、レッドサイオン>サトノルークスの順番。どちらも「ズンドバ!」と太鼓判を押せるほどの適性があるのかは不透明。ただ、馬券のヒモにはちょうど良いかもしれませんね。

 

ノーザンファームの注目馬は?

ノーザンファームの注目馬として上げたいのは、上でも簡単に触れたエングレーバーです。

 

エングレーバー 3歳牡馬

父:オルフェーヴル

母:マルティンスターク(母父シンボリクリスエス)

厩舎:中内田充正(栗東)

今春はプリンシパルSを2着と好走し、その後は秋を見据えて休養に入りました。3ヶ月の休み明けとなった前走の宮崎特別(2勝クラス)を2着と惜敗。セントライト記念は菊花賞への出走権利となる3着を確保したいところです。

 

血統

オルフェーヴル産駒のGⅠ馬ラッキーライラックとエポカドーロの2頭は、どちらもしなやかにキレる脚を使うというより、先行して粘り込むタイプです。

エングローバーも小気味よく先行して粘り込むのは上記の2頭と似ていますが、異なるのは母と母父が中距離馬という点。

✳︎ラッキーライラックとエポカドーロの2頭は母父も母自身もマイラーでした

母父が中距離馬であることから、おそらく馬体の完成は遅めとなります。そのなかでも3歳春の時点でプリンシパルSを2着と好走したのですから立派です。

母がNorthern Dancerの血を引かないことによって、ノーザンテースト4×3の強いクロスをもつオルフェーヴルとは好相性。また、母系にRobertoが入るので、小回りの中山コースはOKです。

 

セントライト記念に向けて

3ヶ月の休み明けとなった前走で馬体重を6kg減らしたのは、これからの成長を期待したい同馬にとってマイナスの要素。その前走から1ヶ月ほどレース間隔が空いており、ここでどれほど馬体をパワーアップさせているかが鍵となります。

「超」のつく高速馬場はおそらくマイナス。ただ、プリンシパルSで見せた馬群から抜け出すときのビュンとした脚は、ノーザンテースト4×3のクロスらしいパワフルさと、俊敏な動きを感じさせるもので、スローの瞬発力勝負にも対応できるかもしれません。

中内田厩舎+藤岡佑介騎手というコンビは魅力的なので、この馬が想定通りの2桁人気になるようなら狙ってみたいですね。

 

まとめ

秋のGⅠシリーズが始まると、どうしてもノーザンファーム生産馬たちから予想をスタートさせなければなりません。クラシックとなるとなおさらですよね。

また、今年の秋の中山開催は「超」のつく高速馬場。そのため、時計の速い決着に対応できるかどうかも大きなポイントとなります。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。