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夏の福島競馬が開幕!ーーコースと馬場の特徴についての簡単解説

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春のグランプリ宝塚記念が終わると、阪神→中京競馬場、東京→福島競馬場へと開催場が替わり、北海道シリーズの函館競馬場と合わせて、いよいよ「夏競馬」のシーズンが本格的に到来します。

今回の記事では福島競馬場のコースと馬場の特徴についてまとめておきます。

 

福島競馬場の概要

福島競馬場は1年の中で4、7、11月の3回開催。「夏競馬」と呼ばれるのは7月開催を指します。

JRA全10場のなかでもコンパクトにまとまった競馬場で、競走馬との距離も近く感じられて親しみやすいのが特徴。

美浦(関東馬)と栗東(関西馬)のいずれも当日輸送が可能な競馬場です。

 

所在地

〒960-8114 福島県福島市松浪町9-23

 

コースについて

福島競馬場は芝・ダートの1周距離がJRAの全10場のなかで最も短い小回りコース。芝はA、B、Cの3コース(内ラチを移動)があり、ダートは1つのコースのみを使用します。

芝・ダートともに右回りでレースが行われ、コースのポイントは1コーナーに入るまでのホームストレッチに上りと下りの坂があることです。芝1800mとダート1700mはスタートしてすぐに上り坂、その後は1コーナーの途中まで下り坂というレイアウトのため、先行争いが長引くとオーバーペースになることも……。

 

芝コース

コース 1周距離 直線距離 高低差 発走距離
A 1600m 292m 1.9m 1000m 1200m
B 1614.1m 297.5m 1700m 1800m
C 1628.1m 299.7m 2000m 2600m

芝コースのポイントとしては大きく分けて3つ。

 

1. 1周距離が1600mと短いこと

1周の距離が短いため、コーナーをスピードを落とさずに回る器用さが求められます。

 

2. 高低差が1.9mの起伏があること

福島や新潟などのローカル開催はひとまとめに「平坦コース」と言われるので、ついつい高低差がないコースと思い込んでしまいます。実際には福島競馬場も上り下り1.9mの高低差があります。ホームストレッチにも1mの下り→上りが設定されていて、4コーナーから直線入口にかけての下り坂はレースの結果を左右する大きなポイントです。

 

3. 直線の長さ

福島競馬場の直線距離は292.0〜299.7m。小倉とほぼ同じで、函館や札幌の小回りコースよりも30mほど長く設定されています。小回りコースとは言うものの、3〜4コーナーにかけてスピードに乗ることができれば差しも効くコース。

 

ダートコース

1周距離 直線距離 高低差 発走距離
1444.6m 295.7m 2.1m 1000m 1150m
1700m 2400m

ダートコースの特徴は、短距離の1150mとマイルの1700mで変わります。

 

1. 短距離の特徴

ダート1150mはスタートしてから4コーナーまでダラダラとした上り坂が続きます。同じ関東の中山競馬場のダート1200mはスタートしてから下りなので、レイアウトが真逆なことに注意が必要です。前半3Fの時計が中山ほどは出ないため、スピードだけではなくパワーも必要なコースです。

 

2. 1700mの特徴

1700mという距離は1400〜1800mの馬が集まる距離のため、レースによってペースがガラっと変わります。1400mを中心にレースを使っている先行馬が揃うと、レース全体のペースが上がり、差し馬でも届く展開に……。また、1800mで先行できていた馬が普段よりも道中のポジションを下げてしまうこともあるので、注意が必要です。

このコースは1400mの逃げ・先行馬が前で粘り込みやすいので、阪神・京都・中京の1400mを逃げて凡走していた馬はチェックしておきましょう。

 

スパイラルカーブ

福島競馬場のコースの特徴のひとつとして忘れてはいけないのは、3〜4コーナーにかけてスパイラルカーブになっていることです。「スパイラルカーブ」は入口(3コーナー)が緩やかで出口(4コーナー)がきついレイアウトになっています。このカーブの特徴は2つあります。

 

1. スピードを落とさずにコーナーを回れる

2. 直線で馬群がバラける

 

スパイラルカーブによって、3〜4コーナーでスピードに乗せることができれば捲り差しが利くコースになります。また、馬群がバラけやすいことから進路を確保しやすく、差し馬が詰まって追えないというシーンも少ないのが特徴です。

逃げ・先行馬は4コーナー部分の下り坂でスピードに乗れるので、スパイラルカーブだからといって不利というわけではありません。

 

馬場(芝)

JRAは1年を通して良好なコンディションでレースが行われることを目指しています。以前は開催が進むにつれて競走馬の多くが走り抜ける芝の部分が傷み、「最終週は外差しを狙え!」と言われることもあったほどに馬場が変化しました。

現在ではJRAの多くの競馬場(洋芝の函館と札幌、京都を除く*)で傷みに強いエクイターフが導入されています。これによって、開催が進んでもそれほど芝が傷まず、内を通った逃げ・先行馬が粘るシーンも見受けられるようになりました。

*阪神競馬場はエクイターフを導入していますが、占有率は5%以下

 

福島芝コースはエクイターフを積極的に導入

以前の福島競馬場の芝コースは開催が進むにつれて内側が荒れてしまい、直線の外を通った差し馬がバンバン台頭することで有名でした。そのような偏りのあるレースを減らすために福島英馬上は積極的にエクイターフを導入しました。

小島友美さんの著書『馬場のすべて教えます』ではエクイターフの導入について、福島競馬場の馬場造園課へのインタビューが載っています。

 

「どうしても傷みやすい状況だったので、JRAでは率先して福島にエクイを入れてきました。最初に入ったのは2008年の秋開催からで、場所は直線入口から1コーナーにかけての内側13mと、1800mのスタート地点などに計約8800m2。09年は3〜4コーナーの内側など、10年の秋開催からは直線と1〜2コーナーの全幅員と向正面から4コーナーの内側などに導入。その後、震災後の除染のため再度張替を行った部分もあるのですが、現在は向正面から4コーナー手前の外側以外はほとんどがエクイターフになっています」

福島競馬場の青山祐介専門役へのインタビュー

小島友美『馬場のすべて教えます』P103より

 

このインタビューからも分かるように、福島競馬場では芝のほとんどがエクイターフになっています。今年の4月、福島競馬場の芝が開催後半になっても時計のかかる外差し決着になっていなかったのはエクイターフの影響もあったからでしょう。

 

エアレーション作業を実施しているかがチェックが必要

JRAはレース中の事故を防ぐ、または減らすために「柔らかい馬場を造る」ことを推進しています。馬場を柔らかくする方法としてJRAが取り入れているのが「エアレーション作業」。

 

エアレーション作業とは?

エアレーション作業とは馬場の通気性と排水性の向上を目的としたもので、芝に穴を開けて路盤をほぐすものです。これによってクッションが効いた柔らかい馬場へと変わり、レースの時計が少しかかるようになります。

'13年からは競馬の開催される1ヶ月前にエアレーションをすることによって、開幕週は時計のかかる馬場へと変化しました。

 

エアレーションによる馬場の高速化

「アレ!? でもこれっておかしくない?」

エアレーション作業のことを聞いて、多くの競馬ファンは「アレ?」と首を傾げるはずです。'17年の春シーズンはどこもかしこも芝が高速化していました。エアレーション作業を行った中山は最終週の皐月賞でレースレコードが出たように、かなり速い時計の馬場コンディション。この芝の高速化にはカラクリがあります。

 

1. 排水性の向上→芝と路盤に含まれる水分が少なくなる

2. 柔らかい路盤が馬に踏み固められて硬くなる

 

1と2にプラスして傷みにくいエクイターフが導入されたことで、開催が進むのにつれて芝が高速化していくのです。

 

エアレーション作業はJRAのHPでチェック

エアレーション作業が行われたかどうかはJRAのHP「週末の馬場情報」でチェックすることができます。開催前にどのような作業が行われたかを知ることで、その後の馬券検討にも役立つはずです。

 

福島は7月開催が終わった後にエアレーション作業に入る

'13年以降の福島競馬場は7月開催が終わってからエアレーション作業を行います。4月→7月と2ヶ月ほどしか休養期間がないこのタイミングでエアレーション作業をするかどうかは「?」です。

 

福島芝は速い時計が出るかどうかは雨量で決まる

福島は芝に含まれる水分量によって速い時計が出るかどうかが決まります。その週にまとまった雨量がなければ速い時計が出るので、やや先行馬が優勢、ただしキレる脚をもっている馬は差し届くという難しい馬場に……。

雨がまったく降っていないようだと今年の函館開幕週のように、レコードの大安売りというシーンもありえるので気をつけたいですね。

 

まとめ

福島開催が始まると、いよいよ夏競馬のムードも盛り上がります。開幕週には3歳の名物重賞ラジオNIKKEI賞が組まれており、秋の大舞台に向かう素質馬が現れるのかに注目が集まります。

福島競馬場のコースや馬場について予習の意味も込めて記事にしました。競馬場の特徴について気付いたことがあれば今後も追記していきます。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。

 

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