マイルCS(2017年)で重馬場適性のある馬を買うときに、注意をしなければいけないことは?

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今秋の京都開催は10月半ばから後半にかけて、雨の降りしきる中でレースが行われ、「重〜不良」まで馬場状態が悪化しました。

菊花賞(GⅠ・京都芝3000m)の行われた10月22日(日)は133.5mmの雨量を計測し、馬場が「不良」まで悪化。メインレースの頃には芝に水が浮く状態になっており、菊花賞を制したキセキの上り3Fが39.6ですから、かなりタフなコンディションでのレースだったと言えます。

 

京都の芝は雨のダメージが残っている

京都競馬場は11月に入ってから2週続けて「晴れ」の状態でレースが行われたものの、芝コースはややタフなコンディション。同じように雨の影響を受けた東京競馬場と比べても、芝は時計がかかっている状態です。

18日(土)、京都は雨が降る中でレースが行われました。日曜日には雨の止む予報が出ているものの、少なくともダメージの残るはずで、マイルCS(GⅠ・京都芝)への影響が心配されます。

 

エクイターフを使用していない京都の芝

東京競馬場は内ラチ沿いに傷みに強いエクイターフ(野芝)を導入しているため、馬場へのダメージが残りにくいのが特徴です。天皇賞・秋は菊花賞と同じような不良馬場だったにもかかわらず、その翌週のアルゼンチン共和国杯は「イン有利」かつ2分30秒0の好タイムが出たことから、時計面の回復が早いと言えます。

それに対して、京都競馬場はエクイターフを導入していないため、これだけ「重〜不良」のレースが続くと、どうしてもダメージは残ってしまうのです。京都の芝は内回りと外回り、A〜Dまでコース(✳︎)を使い分けることができるため、芝の傷みを抑えられるのですが、これだけ雨が降ると回復も難しいのでしょう。

✳︎京都競馬場の芝コースは幅員が広いため、A→Dまでコースを使い分けられる

JRAの馬場については、フリーアナウンサー+スポーツライターの小島友美さんの書いた『馬場のすべて教えます』がもっともわかりやすい教科書です。

 

マイルCSは時計のかかるレースに

良馬場だった先週の時点で、京都の芝はややタフなコンディション。さらに土曜日に雨が降ったことで、マイルCSは時計のかかる状態でのレースになることはほぼ間違いありません。

勝ちタイムは1分33秒台になる可能性が高く、スピードだけではなくパワーを求められるレースとなります。しっかりと地面をつかんで走れる馬でないと、苦しくなりますね。

 

京都外回りコースと重馬場適性

京都の外回りコースは3〜4コーナーに下り坂+直線が平坦なロケーション。下り坂でスピードに乗せ、その惰性で直線を駆け抜けるのがこのコースでの好走のポイントとなります。

下り坂をスムーズに走るためには、前脚をロスなく伸ばせる馬に有利で、トモ(後肢)を強く蹴れなくてもOK。また、上り坂向きのパワーよりもしなやか(柔らかい)な血の入る馬に向くとも言えるでしょう。

 

重馬場適性=上り坂を駆け上がるパワー

不良馬場で行われた今年の菊花賞は、2〜4着に入った馬はすべてRobertoの血を引いていました。ブライアンズタイムの父としても知られるRobertoは、小回り+急坂の中山芝コースやダートを得意とする馬を出す種牡馬。パワーのある血のため、下り坂をスムーズに走るのが苦手です。

また、菊花賞を制したキセキは、ルーラーシップ(母父トニービン)らしい重厚なストライドと立派なトモをもつ馬。京都の下り坂が合っているとは言えないパワー型でした。

重馬場が得意な馬はパワー型のタイプが多く、上り坂>下り坂という適性をもっています。京都の大レースで重馬場適性のある馬を選ぼうとすると、本質的には京都が不向きな馬を選ぶことになってしまいます。

 

中山マイルと結びつきの薄い京都のマイル

秋の中山開催の開幕週に行われる京成杯AH(GⅢ)は、マイルCS路線の1つであるものの、本番へのつながりが薄い重賞です。これは小回り+急坂の中山と、下り坂+直線平坦+外回りの京都で求められる適性が異なるからだと言えます。

今年の勝ち馬グランシルクは母父DynaformerはRoberto直仔ですから、いかにも中山向きのパワーを秘めています。この馬は重馬場の適性も高いため、馬場が渋ればチャンスもありますが、京都の下り坂をスムーズに走れるのかは「?」が……。

重馬場適性のある馬は京都の外回りコースに不向きなことが少なくありません。マイルCSの馬場が悪くなるからといって、すぐさまそこに飛びつくと、コース適性に合っていない馬を選んでしまうことになりかねないのです。

✳︎ただし、京都の内回りは直線が短くコーナリング力が求められるので、外回りとは適性が異なる

 

まとめ

京都の外回りコースの適性と重馬場の適性は相反する部分もあるため、どちらに重きを置くのかはバランスが大切になります。今年のマイルCS出走馬の重馬場適性は、以下に詳しく解説しているので、よければそちらをご覧下さい。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。

 

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